抜きゲーみたいな島に住んでる童貞はどうすりゃいいですか? 作:楓 湊
目覚めた場所はまさかの並行世界で___
というわけで新章に入ります。
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「___はっ!」
唐突に目が覚めた。
直ぐに身体を起こし、周囲を見渡す。
視界に広がっていたのは、何の変哲もない自宅の自室___ではなかった。
まるで違う部屋で寝ていたようで、危機感を覚える。
___確か、記憶しているのは夜中に防人老人の手先の集団と戦闘していた所までだ。
戦いの最中に限界が来て意識を失ってから今に至るまで何があったのか、皆目見当も付かない。
数日で生活に復帰出来るような状態では無かった筈だと、五体満足な自身を疑う。
以前から生じていた左腕の反応の鈍さもなくなっているとあっては、本当は自分の身体ではないのではないかと疑うしかない。
取り敢えず、部屋の中を散策することにした。
最初に見たのはベッドの傍にある机のPCだ。
パスワードなどは幸い自分が使っていたPCと同じだったが如何せん性能が悪く、以前やっていたエロゲー制作などが出来るようなモノではない様子で、特にコレといったファイルなども見つからない為、文書を作ったり閲覧するだけのモノという印象が強かった。
「…自分の部屋、なのか」
そう考えるしかなかった。
そしてふとPCの画面に表示されている日時は、自分が記憶している日から数日ほど先に進んでいる。
時間こそ普段起床する午前四時前後なのだが、日に関してはどう考えても計算が出来なかった。
然し、違和感はない。
寧ろ、それで当然だと思う自分がいる。
「取り敢えず、部屋の外に出てみるか…っと」
この時間なら外出したとしてもそこまで人目を引くことは無いだろうと思い、自然に着替えが入っているであろう棚を開いた。
そこに入っていたのは想定通り、制服だった。
それも、SSの制服と普通の男子制服が。
以前SSにいたときは特例中の特例の扱いであった為にSSの制服は与えられなかった。
然し今は何方の制服も棚に入っている。
「えぇ…」
漫画やゲームなどでよくある展開。
___異世界転生。
あるとは思いたく無かったが、全否定するわけにもいかない。
___そういうワケで、今日は普通の制服を身に纏い、部屋から出てみることにした。
「………あっ」
部屋から出た直後に、見慣れた人間と目が合った。
SS一番隊隊長、女部田郁子だ。
部屋の外は長い廊下になっており、幾つもの部屋の扉が並んでいる。
まるでカラオケルームのような、というより寮の感覚に近いだろうか。
「お、おはようございます」
「キサラギくん…おはよー。どうしてその部屋から出てきたの?」
突拍子もない質問だった。
間違いなく自分の部屋から出てきたという認識だったのに、彼女の言葉だと自分が此処にいるのがおかしいといった様子で理由を尋ねられた。
「この部屋は、僕の部屋…らしいです。寮で暮らした記憶なんてないんですけど…」
「___! もしかしてキサラギくんも、
「あっち側…っていうと、
「やっぱりあっち側の…A世界のキサラギくんなんだね。こっちはB世界って呼んでるんだ」
何となくハッキリしない言葉でも女部田隊長は納得してくれたらしく、現状について朝が早かったこともありある程度情報を共有する事が出来た。
まとめると、淳之介がオナホでオナニーしている際にSSビッグスリーが乱入して来て、それからオナニーが止まらなくなり寧ろ加速して何やら光に包まれて気付いたら此方のB世界に来てしまった。
そしてB世界では淳之介は”性帝”と崇められる存在になっており、役職も生徒会副会長という事、A世界では自分も戦っていた件の戦いの後に”真ドスケベ条例”なる新しい条例が施行された事により共存へと進んでいる事などを知る事が出来た。
生憎淳之介達がB世界に来るまでに自分は意識不明の重体のままらしく、数年は目覚めないかもしれないと言っていた事などが得られた情報だった。
現在では淳之介とSSビッグスリーでA世界へと戻る方法を探している最中らしく、それに協力して欲しいという話もあった。
「勿論、僕も帰りたいので…協力しないわけないですよ」
そう言って快諾した、というより言われなくても協力するのは決まっていた。
然し下手に動き回るワケにもいかないので暫くはこの世界での自分の役割を果たしておくという事になった。
そして夜に情報共有をする話し合いにも自分が立ち入れるように何とかしておくとの事で、中隊長とは別れた。
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「ある意味ラッキー…なのかな…」
自分の所属はこの世界でも確定していなかった。
正確には五番隊に名を連ねてはいるが何やら”性帝”の影ながらの護衛というかその専属オペレーターの那賀伊波___通称スス子のアシストをするとか何とかという自分でも良くわからない立場に居るらしかった。
そうなった理由はB世界の会長がそういう風に決めたらしいのだが、真意は何方にせよわからない。
ドスケベがほぼ仕事で出来ないから可哀想___などと他の五番隊の人から哀れまりたりしているがそれほどまでに”性帝”はSSには欠かせない存在ということで、自分もドスケベを自然に躱す事が出来る為に不都合などは無かった。
というわけで他の隊員が哨戒で朝早くから寮から出ていくのを眺めながら自分が所持しているタブレットから情報を得ることにした。
「……びっくりするくらい何もない」
自分らしくない丁寧に整理されたファイルなどを閲覧したものの、手掛かりになるようなモノは殆ど無かった。
自分が反交尾勢力にも肩入れしていた事も此方では自分自身でも協力しているという証拠を見つけられなかった。
ただ、役職を利用してドスケベを避けているのは事実の為、反交尾勢力と接点が無いというのは考えにくい。
「後は実際に動いてみるしかない、か___」
タブレットの電源を切ろうとした際に電話の呼び出し音が鳴る。
紛れもなく自分がA世界でも設定していた音だとわかると、誰からの着信か考えずに電話に出た。
「もしもし___」
「おはよう…悠真、さん」
「___麻沙音ちゃん、どうかした…?」
通話相手の声を聞いた瞬間、直ぐさま焦るように自分の部屋へと戻った。
「……今日の放課後、来れそうですか…?」
矢張り自分は、SSと反交尾勢力の二足の草鞋を履いていた。
あとがき
今回から始まりましたB世界編、その一話目でした。
悠真くんをB世界に移動させた要因はこの際スルーして読んでいただけると幸いです。