※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでる童貞はどうすりゃいいですか?   作:楓 湊

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悠真は一人になったタイミングで電話を掛けた。

繋がれば僥倖、駄目元だった。


27話 最期の連絡

 『___もしもし、悠真さん』

 

 彼女___麻沙音は電話に出てくれた。

 

 「もしもし…出てくれて、嬉しいよ」

 

 『…どういう状況かわかってるの? 電話なんか掛けて来たら何処に隠れてるかバレバレじゃん…!』

 

 「それはまぁ、バレても良い場所で掛けてるから問題ないよ」

 

 今居る場所は隠れ家にしている戦場跡地ではなく、自宅である。

 

 『…それで、今更何の用なの?』

 

 「いや、もう会えないだろうから、最期に話したいな、と思っただけ」

 

 『最期ってなんで…』

 

 「水引と戦って勝てるワケないだろ? それにあいつは僕に殺意抱いてるし」

 

 『なんで戦う前提なの…!? 戻って来たらいいじゃん! 私が説得するから…!』

 

 「…淳之介は、仲直りをしたいと思ってる」

 

 『………私の兄じゃ、ないのに?』

 

 「…わかってたんだ」

 

 『ほんの少しだけ、話したんだ…でも、直ぐに違うってわかった。偽物だって』

 

 「…まあ、わかる人にはわかるよね」

 

 『悠真さんは、それを知ってて兄に協力してたの…それとも___』

 

 「どっちでも、変わらないと思う。いや、正直に言うなら…淳之介と同じだよ」

 

 『…やっぱり、そうなんだ。騙してたってこと?』

 

 「結果的にはそうだと思う。でも、嘘を言ってたつもりはない」

 

 『だろうね。悠真さんは私よりも辛い思いをしてたから少し遠慮してたけど…何時変わったのかわからないくらいだった』

 

 「あっちの世界とこっちの世界で、僕の境遇はそこまで変わってないから…かもしれない。二人は、だいぶ…変わってしまっていたけれど」

 

 『兄の話はいい。悠真さんの話を聞きたい』

 

 「…ごめん」

 

 『…謝らなくていい。兄が私の事を想って色々動いてるのは知ってる。けど…こっちの兄を助けないと意味が、ないから…』

 

 「…だったら、そのまま淳之介と戦えばいいと思うよ」

 

 『…どうして』

 

 「不満があるならぶつければいい。それが兄妹…家族ってものでしょ」

 

 『…家族がいない人に、言われてもっ…』

 

 段々と麻沙音の声に嗚咽が混じる。

 

 「…だから、僕みたいにならないで欲しいと思ってるんだよ」

 

 『……もう、いい?』

 

 「うん、じゃあ…悔いのないように」

 

 別れの挨拶も程々に通話を切った。

 涙でくぐもった声をずっと聴いていたら自分も貰い泣きしそうだったから。

 

 そして、本来の目的だった手紙を手に取り、自宅から出た。

 

 「やぁ、良い身分だね、こんな場所に一人で来ているなんて」

 

 自宅の外に出ると、お待ちかねと言わんばかりに憎たらしい笑みを浮かべた水引が立っていた。

 

 「…そっちこそ、良い身分だな。こんな場所に武装もしないでいるなんて」

 

 「やっぱり、あっちの世界は平和になったからボケてるんじゃないか…? 既にキミはもう囲(・)ま(・)れ(・)て(・)る(・)んだよ?」

 

 水引の言葉と共に、何処に隠れていたのかSHOのガードマンが銃を構えて囲んでいる。

 

 「…僕は、その平和になった世界なんて知らないんだけどなぁ…」

 

 嘘は言っていない。

 

 「それはそれで、無防備が過ぎるんじゃないかなぁ。堂々と麻沙音ちゃんに電話を掛けるものだから最初は罠かと思ったよ」

 

 思わず笑みを浮かべてしまった。

 

 「まさか。そこまで警戒してくれて嬉しいね。てっきり僕達なんて大した戦力じゃないから無視してくれるのかと思ってたよ」

 

 「こっちだって色々と条件を呑んでいるからねぇ。でも、その様子なら彼(・)女(・)はそっちに居るらしいね」

 

 彼女とは、恐らく文乃のことだろう。

 

 「まあ…そういう感じの条件なんだって大体わかったよ。でも___」

 

 「ああ、彼女の居場所を無理に聞きたいとか、そういうワケじゃないんだ。ただ教えてあげたかったんだ」

 

 「何を?」

 

 「明日、面白い催しを予定している、とね」

 

 本当にそれを言った後に、水引はガードマンを引き連れ去って行った。

 

 

__________

 

 「…久し振り、数日ぶりだっけ」

 

 「ええ、お久しぶりで御座います」

 

 夕方ごろになって、文乃が来て色々あったらしかった。

 味方になったという事実だけで十分なのでそれ以上は尋ねなかった。

 

 「何をしに行ってたんだ?」

 

 「………」

 

 淳之介からの問いにどう答えたものか、頭を抱えた。

 

 「まぁ、色々と濃い数時間だったなぁ…と…」 

 

 「それは…悪い意味じゃないだろうな?」

 

 「まぁ…さっき言ってたイベント関連の事を直接水引に言われただけだから…ある意味そんな重要な事ではなかった…かもしれません」

 

 嘘を吐いた。

 

 「「嘘を吐きましたね?」」

 

 「えっ」

 

 文乃と会長に同時にツッコまれてしまった。

 

 「…テレパシーか何かですか…」

 

 「顔で嘘を吐いたと言っていましたよ?」

 

 「そんなわかりやすい顔してない自信ありますけど」

 

 文乃はともかく、何故会長が自分の嘘を見抜けるのかが理解不明だった。

 

 「あー、言った方がいいですか…?」

 

 「いえ、別に強制はしませんよ。この状況で必要な情報ではないという事なのでしょうから」

 

 「桐香様、前にも似たような理由で重要な情報を知るのが遅れたではありませんか…」

 

 「今回は間違いなく重要な情報ではないです。私情が絡みまくってるので」

 

 そこは断言しておいた。

 麻沙音との会話なんてこの状況に話すだけ場をかき乱しかねないからだ。

 

 「だったら良いんだが…」

 

 「明日の”パコルロワイヤル”…正面から立ち向かうって話ですけど」

 

 水引がお膳立てしたイベント___そこで淳之介は仲間を集めると言った。

 

 「僕は…やっぱり別行動します」

 

 「秋野さんと一人で戦うつもりですか?」

 

 「それはまだしない。それとは別に…ちょっとツテを通してやりたいことがある…ので」

 

 「わかりました。そちらは一人で大丈夫なんですか?」

 

 「寧ろ、人数をこっちに割けるような状況じゃないでしょう?」

 

 だから心配しないでください、と報告などを終わらせた。

 

 

 水引と正面から戦う上で必要なのは矢張り戦力、物量だろう。

 故に、淳之介は仲間を集めると言った。

 だから自分も、違う方向で仲間を集めようと考えたのだった。




あとがき

次回は敵に回ったSS隊員と一悶着するお話です。
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