※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでる童貞はどうすりゃいいですか?   作:楓 湊

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これほどまでにないご都合展開ですがいいんです


30話 まるでタイムスリップしたかのようだった

 「___ぁ…」

 

 唐突に目が覚める。

 

 勢いで身体も起こそうとしたが、動かない。

 

 身体の至る部位が重く、僅かに揺らす程度でも相当な時間が掛かる。

 

 そして、左腕と右脚に関しては存在しているのかさえわからない程感覚が無かった。

 

 「…ぁ………ぁ…………」

 

 声もまともに出て来ない。

 

 徐々に身体の状態を理解してきて、様々な情報が意識に入り込んでくる。

 

 ___此処は、病院のベッドだという事は把握出来た。

 

 「___!_______!」

 

 何やら外が騒がしい。

 静寂なイメージのある病院が何処か騒がしい。

 

 何やら病室からチラチラと此方へ目線を送る看護師が多いのは気の所為か。

 

 「___おはよう、如月悠真くん」

 

 看護師たちが群がっているドアの方から白衣を着た初老を迎えたばかりに見える男性が入ってくる。

 

 「ぁ…、ぁ……」

 

 「ああ、まだ目覚めたばかりだからね。無理に話そうとしなくていい」

 

 柔和な顔つきで先生は続けた。

 

 「キミが重体でこの病院に運ばれてから、十年が経ったんだ」

 

 「………」

 

 別段驚きはしない。

 以前自分の状態を耳にしていたからだろう、落ち着いて頷く事が出来た。

 

______

 

 それからリハビリ出来るようになるまで数週間、身体の回復に努めた。

 

 身体の発育が少し中途半端で、年齢相応ではないというのが少し心残りではあるが、老化を抑えられたと思う事にした。

 

 因みに目覚めてから誰も見舞いに来ていない。

 先生曰く、

 

 『十年も経ってしまったが、キミは言わずもがな”ドスケベ戦役”の英雄に名を連ねているんだ。身体が回復する前に表向きの対応をするのはキミにとっても苦痛だから面会謝絶を徹底させているんだ 』

 

 とのことで、数年前だとSHKで番組が出来る程だったらしいのだが、近年ではそういった取り扱いもされなくなってきたらしい。

 

 ___そして、リハビリなどでまだ暫く病院のお世話になるものの、車椅子で生活だとか、リハビリ以外の運動禁止だとか、色々と条件付きで退院が許されることとなった。

 

 

 「凄い成長してるんだなぁ…」

 

 いざ十年振りの青藍島___と思って街並みを見ていたが、現状維持の延長上のような印象を受けた。

 端的に言うと、何が変わったのかわからない___そんな印象だ。

 

 「___如月悠真さま、退院おめでとう御座います」

 

 病院を出て直ぐの所で見知らぬ人に呼び止められた。

 

 「えっと…どちらさまです…?」

 

 「SHOの…と言えばわかりますでしょうか」

 

 「え…? SHOが僕に何の用です…?」

 

 「代(・)表(・)が、退院直後の如月さまと一番にお話がしたいと」

 

 「あー…」

 

______

 

 そういう流れで、SHO本社ビルへと強制送還させられてしまった。

 

 「此処は相変わらずなんだなぁ…」

 

 本社ビルは細かい所こそ改修されているみたいだったが、根本的な部分は大して変わっている様子はなかった。

 

 「後ほど、是非演場の方にも出向いてあげてください。如月さまの逸話を信じている戦闘部の人間は多いですから」

 

 「逸話ってそんな…大したことなんてしてませんよ」

 

 「ご謙遜を。”ドスケベ戦役”では二百人もの敵を相手に誰一人殺すことなく戦闘不能にしたという話を初めて聞いた時には震え上がったものです」

 

 「…あなたも戦闘部所属なんですか?」

 

 「はい。ストライクフォース所属です」

 

 「あー…そういうこと…後で行くよ、演習場」

 

 出来れば、ではなく絶対、だと思った。

 

 

 「___それでは、私はここまでです」

 

 「ありがとうございます」

 

 本社ビルの最上階。

 一度も足を運んだ事がないその場所の、扉を開く___

 

 「…ちょっと待って、扉が開けられない…!」

 

 左腕はまったく動かないので右腕だけで何とか開こうにも、車椅子に腰掛けている身では扉を開く力が足りなかった。

 

 「これは失礼しました___!」

 

 自分を送ってくれた職員さんに開けて貰い、漸く中へ___

 

 

 「……やっぱり、代表って言えば…ですね…」

 

 「ふふ…お久しぶりです、悠真さん」

 

 代表の席に座しているのは、矢張り冷泉院桐香だった。

 

 「外見は…髪を結わなくなったから違って見えるだけで、ソレ以外はあまり変わってない…」

 

 「ええ…成長しませんでした」

 

 「…最初に顔を合わせた知り合いが相変わらずって…本当に十年も経ったのか疑うレベル…」

 

 「どうしても一番は譲りたくなかったので…勿論この後で退院祝いのパーティーなどを企画しているのでそちらで顔合わせは出来るかと」

 

 「みんな、青藍島に住んでるんだ…」

 

 「はい。進学などで一度は本島で住んでいた時期が他の方々にはありますが、現在は青藍島に住居を構えていますね」

 

 「まぁ…積もる話は皆と会う時でいいや…情報量が多すぎる」

 

 「では、礼と郁子の所に行きましょうか。演習場で訓練をやっている最中なので」

 

 「郁子さんはわかるけど礼先輩はどうして…? あの様子だったら戦闘部にいなさそうなのに」

 

 「それはもちろん、一人ずつ会いに行くのが面倒だからですよ?」

 

 「なるほどなるほど…」

 

 敢えて深くは尋ねなかった。

 

 「それよりも悠真さん、覚えていますか? 約束を」

 

 「セックスの話…?」

 

 「そうです♪ いつ頃だと都合が良いですか?

 

 「先生にセックス解禁って言われてから…」

 

 激しい運動は禁止なのである。

 

 「それは仕方がありませんね…」

 

 別段辛くも何ともなさそうに桐香は自分との距離を詰めてくる。

 

 「ではそれまでに悠真さんがどうしても私とセックスしたくて堪らなくなるくらい、猛烈にアタックさせて貰いますね♡」

 

 あまり久しくない、何時もの無邪気な笑みだった。




あとがき

あっという間に十年経ってしまって…

ぬきたし2及びヘンプリで描かれていなかった場所などの情報は自己解釈で書いております。
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