※この作品はR-18です。

魂の座 二部 緋色の遺言   作:伊駒辰葉

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壊れたのが直りました。
まだまだ機械が書けてません(泣)

エロシーンはありません。


甘えと別れて 1

 白い光が目に飛び込んでくる。開けかけていた目を閉じ、思わず顔をしかめる。恐る恐る薄く目を開けると見慣れた光景が見える。多輝はほっと息をついて目をしっかりと開けた。

 

 ぐるりと周辺を見回す。幾つかの実験台と器具等を納める棚が並んでいる。ここは立城の屋敷の地下だ。幾度か訪れた記憶がある。多輝はゆっくりと首をめぐらせた。するとよく知る人物が目に入る。

 

「由梨佳……先生?」

 

 白衣に身を包んだ由梨佳が振り返る。機材を手にした由梨佳が嬉しそうに微笑みながら多輝に近づいてくる。

 

「回復したのね。よかった……」

 

 心底、ほっとしたように告げて由梨佳が多輝の手を取る。多輝は出来るだけ由梨佳が安心できるよう、微笑みで応えてみせた。

 

「由梨佳先生は怪我はなかったのか? おれ、あいつを防ぎ切れなかったから」

 

 ふと気になって多輝はそう訊ねた。すると途端に由梨佳の顔が曇る。

 

「気にしないで、私もダメージは受けたけどたいしたことは無かったから」

 

 それを聞いた多輝は顔をしかめた。由梨佳の表情はその言葉が嘘だと物語っている。多輝はだるい身体に強引に力をこめて起き上がった。かけられていたシーツが滑り落ち、肌が露になる。だが多輝は露出した身体を隠そうともせず、剣呑な目で由梨佳を見た。

 

「嘘だろ、それ」

 

 びくりと由梨佳が身体を震わせる。そっと肩に手を置き、多輝は由梨佳の目を覗き込んだ。

 

「修理すれば、元通りなんだから。気にしないで。もともと私の身体は耐久力は高くないし」

「そういう問題じゃない!」

 

 声音を荒らげて告げると由梨佳が泣きそうな顔になる。多輝は慌ててごめん、と詫びた。

 

「そういう問題じゃないだろ? 壊れる時は痛いんだし、第一、おれならともかく無抵抗の由梨佳先生に攻撃したのか? あいつは」

 

 憤る多輝に由梨佳が微笑む。

 

「良く覚えてないの。痛みを感じる暇も無かったわ。一撃で破壊されたみたいだから」

 

 だがその微笑みは多輝には悲しいものにしか見えなかった。多輝は由梨佳からそっと手を離して実験台を滑り降りた。一糸纏わぬ姿のまま、ドアに向かって歩き出す。まだ身体は本調子ではない。そのことは多輝自身もよく判っていた。

 

 あの野郎。好き放題しやがって! 心の底で呟きながら多輝はドアのノブに手をかけた。慌てたような声が背後から届く。

 

「まだ、無理はしないでね。あなたの身体は私なんかよりもずっとデリケートに出来てるんだから」

「なんかって言うなよ」

 

 呆れてそう言い返しながら多輝は由梨佳の許に取って返した。焦ったように目を見張る由梨佳を強引に抱き寄せる。

 

「それっておれを侮辱してると思わない? じゃあ、そんな由梨佳先生が好きなおれはどうなんだよ?」

「でも、機械的に構造が単純でコストが安いのは確かだし、あの、あっ!」

 

 慌てたように言い返そうとした由梨佳の唇を強引に塞ぐ。多輝の腕の中でしばらくもがいていた由梨佳は、やがて諦めたように抵抗を止めた。

 

「おれが男だったら由梨佳先生のこと、むちゃくちゃに抱いてるとこだな」

 

 唇を離して多輝はそっと呟いた。潤んだ眼差しをして由梨佳がそっと笑う。その笑みには影があった。怪訝に思いながら多輝はどうしたのか、と由梨佳に問い掛けた。だが由梨佳は何でもないと首を振る。

 

「言わないと壊れるまで犯しまくるぞ?」

 

 どうやってだよ。多輝は内心で自問しつつそう告げた。真っ赤になった由梨佳が視線を彷徨わせる。

 

「ほんとに、男の子みたいなんだから……」

「ああ、男だったら由梨佳先生をおれの女にしたいところだな」

 

 多輝は何の気なしに由梨佳にそう答えてみせた。するとびくりと腕の中で由梨佳が身体を震わせる。訝りながら多輝はどうしたと訊ねた。由梨佳はいつの間にか俯いてしまっている。

 

「あなただけね……」

 

 呟くような声に多輝は目を細めた。由梨佳がゆっくりと顔をあげる。その頬には涙が伝っていた。

 

「何がだよ」

 

 由梨佳を泣かせるようなことをしてしまったのだろうか。内心では多輝は焦っていた。だが多輝のそんな焦りにも気付かないのだろう。由梨佳が悲しそうに笑って目許を拭う。

 

「女として、私を見てくれるのは」

「何言ってんだよ。由梨佳先生には旦那さんが……」

 

 そこまで言って多輝は息を飲んだ。まさか、と呟く。

 

「もともと、女性として私を好いていてくれていたわけじゃないの。ずっと片思いしていただけだったの……」

 

 そう言って由梨佳は多輝の肩に額を乗せた。剥き出しになったままの多輝の胸に温かいものが流れ落ちる。由梨佳は多輝の肩に顔を伏せて泣き続けていた。




エロシーンはないけどラブシーンはあるというw
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