※この作品はR-18です。

魂の座 二部 緋色の遺言   作:伊駒辰葉

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エロシーンです。(機械ですけども
エピタイ通りです。


思い出しながらあれこれする 1

 最初は何が何だか全く判らなかった。気付いたら優一郎に抱かれていたのだ。多輝は快楽に喘ぎながら指先で額を押さえた。まだ戻ってきた記憶の整理がついていない。思い出すことは全て断片で、今の状況とまるで繋がらないのだ。

 

「母さんとやってたんだ?」

 

 にっこりと優一郎が笑う。多輝は与えられる快楽に懸命に耐えながら思い起こした。そう、由梨佳と屋敷で一緒にいた。だが抱きたいという激しい欲望とは裏腹に満足は到底できなかった。

 

「あ……ん、えっと……そ、それは」

 

 答える声もつい力ないものになる。優一郎は小さく笑って多輝の顔を覗き込んだ。圧し掛かるようにして多輝の耳元に口を寄せる。同時に優一郎のペニスは多輝の膣深くに侵入した。

 

「母さんのこと好きなの? もしかして」

 

 多輝の耳元に囁きながら優一郎は腰を軽く動かした。ペニスが音を立てて膣に出入りする。多輝は思わず声を上げて優一郎の首に腕を回した。自然と腿を大きく開く。どうなの、と優一郎に再度訊ねられ、多輝は震える声で答えた。

 

「んっ、す、好きだけど……でも」

 

 壊れるほどに抱きたいと願い、実際に抱いた。が、とても満足は出来なかった。その思いが好きということなら、確かに自分は由梨佳を好いているのかも知れない。

 

「でも、なに?」

 

 笑みを浮かべて優一郎が問う。多輝は誘導されるように少しずつ思い出していた。由梨佳を抱きながら物足りない気持ちでいたことを懸命に告げる。由梨佳を抱きたいという思いが好きという気持ちの現れなら、確かに言われた通りに自分は由梨佳を好きだったのだろう。が、それは決してかなうことのない願いだ。

 

 途切れ途切れに告げる多輝を優一郎はじっと見下ろしている。不意に優一郎の動きが止まり、多輝は怪訝に思いつつも閉じていた目を開けた。至近距離に優一郎がいる。

 

「なら、男に戻りたい?」

 

 戻る。そう言われて多輝は目を見張った。そうすれば由梨佳を思う存分に抱けるのか。掠れた声で訊ねると、優一郎は多輝に苦笑してみせた。それが肯定の印だと多輝は理解したが、言葉の先を続けられなかった。確かに由梨佳を抱くためには男に戻るのが一番いいのだろう。どういう方法でかは判らないが、優一郎はそれが可能だと示しているのだ。が、自分が抱かれたいと思うのは由梨佳ではない。多輝は眉を寄せて額を押さえた。ずきん、とした痛みが走る。

 

「女として僕に抱かれるより、男になって母さんを抱きたい?」

 

 囁きに多輝は片目を開けた。痛みはまだ持続している。記憶が戻ってから時折、こうした痛みが多輝を襲う。その間はそれまで感じていた快楽が途切れてしまうのだ。多輝は優一郎を横目に微かな嗤いを浮かべた。

 

「両方、欲しい、かな。何か変なんだよ、おれ。精神が二つに割れた感じがするというか……」

 

 優一郎も多輝が時折、頭痛を覚えていることを承知しているのか、その間はぴたりと動きを止めている。多輝は深い息をついて額に滲んだ汗を拭った。

 

「贅沢だね。でもいいよ」

 

 願いをかなえてあげる。そう囁いて優一郎は多輝の髪をそっと撫ぜた。多輝は驚きに目を見張って優一郎を見つめた。ふわりとした笑みを浮かべて優一郎が首を傾げる。それを見た多輝はあれ、と眉をひそめた。

 

 あれ? 何でだ? この感じ、前にどっかで見たような。

 

 多輝の疑問に答えるようなタイミングで優一郎はくすくすと笑った。それと同時に多輝の脳裏に記憶の断片が蘇る。

 

 真っ暗な部屋が見える。細い月明かりに照らされた白衣が揺れる。

 

「あ……れ?」

 

 多輝は蘇った光景に思わず声を漏らした。優一郎が怪訝そうに瞬きをする。間近に優一郎がいることも忘れ、多輝はかたく目を閉じた。

 

 廊下に硝子の破片が散っている。卑猥な水音と小さな笑い声が聞こえる。ばらばらになっていた記憶の断片が少しずつ繋がっていく。多輝は自分でも気付かないうちに震え始めていた。無意識のうちに息を詰めてしまう。

 

「また、何か思い出したのかい?」

 

 静かな声に多輝ははっと我に返った。何でもない、と反射的に首を振る。すると困ったように優一郎が苦笑した。

 

「何でもないって様子じゃないけど?」

 

 言いながら優一郎は多輝の首筋に指を這わせた。焦れるような快感に多輝は思わず熱い息をついた。まるで操られるようにして口を開く。

 

「由梨佳……先生が……」

 

 頭痛は殆ど消えている。なのに多輝の脳裏にはまざまざと記憶が蘇りつつあった。いや、正確には記憶の断片がパズルのピースのように繋がっている最中なのだ。多輝は甘い吐息を漏らして誘われるように記憶をたどった。

 

 揺れる白衣を身につけているのは由梨佳だ。ぎこちなく白衣が揺れているのは、由梨佳が誰かに揺すられているからだ。だが壁に持たせ掛けられた由梨佳はまるで反応しない。

 

「母さんがどうしたの?」

 

 くすりと笑いつつ優一郎が告げる。そうしながら優一郎は多輝の鎖骨を指でたどり、その指をするりと胸に滑らせた。焦らすように乳首をくすぐられる。多輝はされるがままに快感を味わいながら、途切れがちに告げた。

 

「だ、れかに……犯されてて」

「誰に? 立城さんじゃなくて?」

 

 即座に優一郎が切り返す。その瞬間、多輝の記憶はクリアになった。隠れていた部分にぱちりとピースがはまる。そう、あの夜、由梨佳は立城に抱かれていたのだ。

 

 残忍な笑みを浮かべた立城が由梨佳を解放する。壁伝いに由梨佳の身体が力なく床に落ちる。そしてけたたましい音と共にドアが弾け飛ぶ。多輝は持っていたミネラルウォータの瓶を落としてしまい、硝子の破片が廊下に散った。

 

 言いようのない恐怖がこみ上げてくる。多輝の肌が無意識のうちに泡立つ。優一郎は驚いたように手を止めてまじまじと多輝の顔を覗き込んだ。だがそのことにすら多輝は気付かなかった。自然と優一郎を抱く手に力がこもる。

 

「あ、の時、立城、変で」

 

 酔っているのだと思った。だから他人の妻に手を出したのだと思った。だがそう思っていても多輝は感じる恐怖をどうすることも出来なかった。立城が手招きをすると身体が意志に反して勝手に動いた。手足を蔦に取られ、招き寄せられるように多輝は立城の許へと引き寄せられたのだ。

 

「母さんが立城さんとセックスするのは普通だと思うけど」

 

 そっと優一郎が呟くように告げる。確かにヒューマノイドには性的な快楽が不可欠だ。だがあれは違う。多輝は呻くように告げた。言いようのない嫌悪感がこみ上げてくる。

 

「違う、あれは、だってあいつはおれの」

 

 セーターを引き裂かれ、胸元に口づけられる。立城は凶悪な笑みを浮かべて多輝に手を伸ばしたのだ。そのことを思い出して多輝は真っ青になった。あれは違う。立城は酔っていたのではない。だってあれは。まるで熱に浮かされたように多輝は口の中で呟いた。




まあ多輝だからなあ……という……。
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