※この作品はR-18です。

魂の座 二部 緋色の遺言   作:伊駒辰葉

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エロシーンの続きです。
このエピソードで六章は終了です。


思い出しながらあれこれする 2

 酔ってたんじゃない。だってあいつは酒には全然強いし、少々酔ったくらいでそんな真似する筈が。無意識にそう呟いてから多輝ははっとして優一郎を見やった。

 

「立城さんに抱かれたの?」

 

 にっこりと笑って優一郎が告げる。多輝はその問いかけには答えなかった。目を逸らして顔を背ける。だが優一郎はそんな多輝のあごを指でつかみ寄せた。自分の方に多輝の顔を向けさせる。

 

「立城さんに抱かれてどうだった?」

 

 そう訊ねつつ優一郎は多輝の乳房を弄り始めた。多輝の脳裏に鮮やかにあの晩のことが蘇る。嫌がる多輝を蔦で縛り上げ、立城は嘲笑うかのようにその身体を蹂躙した。得体の知れない力を注がれたことも今ならはっきりと判る。多輝は無意識のうちに優一郎の腰に手を回した。

 

 あの時、強い恐怖を凌駕する快楽に襲われた。立城が普通でないことも判っていて、それでも快楽から逃れられなかった。助けを求めてもその声は誰にも届かなかった。

 

 多輝は熱い息をつきながら腰を軽く持ち上げた。優一郎の腰に腕でぶら下がるようにして、腰をくねらせる。次第に多輝の目には涙が浮かび始めた。

 

「もしかして、いやだったの? 君は誰よりも立城さんが好きだったんじゃないの?」

 

 その筈だった。多輝は幼い頃からただ一人、立城だけを求めていた。決して自分を振り返ってくれないと知りながら、立城だけを追いかけてきた。多輝は強い快楽に涙を零しながら息を詰まらせた。腰を動かすたびに快楽が増す。

 

 あの時見たのはおれの知ってる立城じゃなかった。もっと別の、怖いものだった。多輝は掠れた声でそう告げた。優一郎が不思議そうな面持ちになる。違う、そうじゃない。多輝は自分の言葉を自分で否定した。だから嫌だったわけじゃない。途切れがちの声でそう続ける。

 

「だったら立城さんの下に戻りたい? 僕よりも立城さんのほうが好きなんでしょう?」

「違う!」

 

 即座に多輝はそう言い返した。次いでそっと息をついて腰を台に戻す。するりと優一郎の腰から腕を放し、多輝は自嘲気味に笑った。

 

「違う、おれはあの時、本当に嫌だったんだ」

 

 だが強い快楽に溺れた多輝はされるがままに立城に抱かれた。立城は嫌がる多輝を抑えつけるために力を施し、それに伴って多輝の記憶は霞んでいった。立城に記憶を吸われたのだということは理解できたが、そのことすらすぐにわからなくなった。立城の嗤いが今では鮮明に思い出せる。

 

「以前、約束したよね?」

 

 多輝の耳元に口を寄せて優一郎がそう囁く。多輝は息をついて目を閉じた。ずっと傍にいるって。その囁きに小さく頷く。

 

「僕の不注意で破ってしまったけど。そのペナルティが君にも降り掛かってしまったかもしれない」

 

 ごめん。囁きで優一郎はそっと詫びた。多輝は驚きに目を見張って息を飲んだ。どうして優一郎が謝る必要があるのかが判らない。そもそも何に対してのペナルティなのだろう。多輝は疑問に感じるままに優一郎にそう訊ねた。が、優一郎は苦笑して言葉を濁してしまう。なあ、と多輝が再度問い掛けようとした時、優一郎は不意に腰を軽く動かした。突き抜けるような快感が多輝を襲う。多輝は声を殺して快楽に耐えようとした。だがとても耐えられるレベルの快感ではない。自分でも気付かないうちに腰がひくついてしまう。

 

 立城の本性は龍神だ。もしもあの夜に見た立城がその本性の現れだとしたら。そうしたら自分が本性を現してしまった時、優一郎はどう思うのだろう。多輝は快楽に震えながらそのことを考えた。

 

「僕に傍に居てほしいと君が思ったときに、僕は居ることができなかった。そうでしょう?」

 

 優一郎は耳元にそう囁きながら多輝の腰に片腕を回した。激しく突かれた多輝は答えることすら出来ず、喘ぎを漏らした。だがそんな多輝を見つめる優一郎の目はとても静かだった。

 

 次第に考えることすら出来なくなる。多輝は甘い声を上げて優一郎を両腕に抱いた。せき止められていた水が溢れるように快楽が一気に襲い掛かってくる。

 

「ゆう、いちろうっ! 好き、好きなのぉ! ああっ!」

 

 強い快楽に晒されながら多輝は悲鳴混じりに喘いだ。徐々に優一郎の呼吸が速くなる。多輝の腰を強く抱き、優一郎は激しく腰を動かした。それに伴って多輝の感じる快楽がいっそう強くなる。

 

 あの時の立城のように本性を見せても、優一郎は傍にいてくれるのかな。

 

 そんな不安がかすめるように多輝の脳裏を過ぎる。次の瞬間、多輝は唐突に快楽の果てに導かれた。高い声を上げて果てた多輝の膣内に熱い精液が飛び込んでくる。腰の動きを急速に緩やかにしながら優一郎は小さく笑った。

 

「まだ欲しいかい?」

 

 多輝の長く細い髪を手に取りながら優一郎が囁く。多輝は絶頂の余韻にぼんやりとしながら小さく頷いた。じゃあ、と優一郎が多輝の身体を抱き上げる。多輝はされるがままに台にうつ伏せになった。腰を上げた多輝の膣口からとぷん、と音を立てて精液が漏れ落ちる。

 

 優一郎がそっと指を肌に乗せる。多輝は目を閉じて軽く唇をかんだ。焦らされているのだと判りつつも、多輝は黙っていた。丸みを帯びた多輝の尻を優一郎が指で静かになぞる。

 

「今度は後ろでする?」

 

 微かに笑いながら優一郎が囁く。多輝は震えながら頷いた。直後、強い刺激を受けて多輝は声を懸命に殺した。興奮にひらいた肛門に優一郎が指を入れたのだ。

 

 立城の屋敷にいる間、優一郎でない男に何度も抱かれた。強い快楽を覚えて激しく喘いで、そして絶頂に到達する。機体のストレスはそれで解消された。だからきっと多分、あの時はそれで良かったのだろう。

 

「んっ、そこっ……いいっ!」

 

 感じる部位を何度も攻められて、舐めるように犯された。それを自分から求めていたとは言え、多輝はその度に言いようのない罪悪感にかられていた。由梨佳を抱きながら満足出来ない自分を他人に慰めさせていたのだから仕方のない話だ。優一郎の攻めに喘ぎながら多輝はぼんやりと考えた。

 

「君は……どうしたいの?」

 

 誰かが同じことを言っていた。そう思いながら多輝は肩越しに優一郎を見返った。涙に濡れた目で優一郎を見つめる。優一郎は笑みを完全に消し、静かな眼差しで多輝を見つめていた。

 

「おれ、は」

 

 優一郎の傍がいい。囁くように多輝はそう応えた。他の誰でもない、優一郎がいい。そう告げて多輝は腕に顔を伏せた。だから優一郎が薄い笑みを刻んだのは多輝には見えなかった。

 

「以前の誓いは破られてしまったから。新たな誓いを交わしたいんだけど、いいかな?」

 

 そう言いながら優一郎は指を多輝の中に深く潜らせた。多輝は懸命に声を殺して何度か頷いた。優一郎は口許に嗤いを刻んで多輝の肛門にペニスをあてがった。じわじわと焦らすようにゆっくりと多輝に挿入する。多輝は震えながら喘ぐ声を途切れさせた。

 

「僕がこの世に存在する限り、僕のもので居てくれるかい?」

 

 多輝に圧し掛かるようにして優一郎が囁く。多輝は小さく頷きながらうん、と応えた。

 

 その瞬間、多輝の脳裏が真っ白になる。え、と息を飲む暇もなく多輝の意識は知らないどこかに放り出された。目まぐるしいほどの勢いで色んな景色が脳裏を過ぎる。様々な人々が過ぎ去り、刻々と移り変わる空の様子が行き過ぎる。

 

 不意に焦点が定まる。多輝はふらつく意識を何とか支えてそれを見た。青い空には雲はない。真っ白な居城が空にぽつんとそびえ立っている。そして視界いっぱいに鮮やかなブルーが飛び込んできた。日の光を反射するそれが鱗だと気付いた時にはもう、そのブルーは消えていた。

 

 女の泣き顔が一瞬、視界に映って消える。そこで多輝ははっと我に返った。

 

「い、今の、なに?」

 

 まるで乗物にでも酔ったような気分の悪さが残っている。え、と問い返す優一郎の声すらどこか遠く聞こえる。多輝は低く呻きながら台に沈んだ。




あ。BL警報出してませんが……大丈夫でしょうか(汗)
最早、多輝は女性カウントにした方がいいような気がしなくも……。
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