いや、TS?
どっちにしろ警報です!
「手伝ってあげる」
そう告げて優一郎は台によじ登った。激しく動いていた多輝の腰を片手につかむ。唐突に動きが止められたことで焦れたのだろう。多輝が甘えた声を上げて肩越しに振り向く。
「あんっ、ゆういちろうっ!」
切なそうな顔をする多輝に優一郎は笑みをみせた。手早くベルトを外してジッパーを下げる。現れた優一郎のペニスはすっかり勃起しきっていた。何かに急かされるような気分を味わいつつ、優一郎は多輝の肛門にペニスをあてがった。一気に奥まで挿入する。
「あっ、あっ、あああっ!」
激しい声を上げた多輝に優一郎は圧し掛かった。それまで感じたことのない程の切迫感に襲われる。優一郎は自分でも気づかないうちに興奮のままに腰を振り始めていた。多輝と繋がった部分から絶え間なく快楽が注ぎ込まれてくる。無意識のうちに優一郎はそれまで築いていた力の壁を解き放っていた。それまで見えなかったものが見え、感じられなかったことが強制的に意識にねじ込まれる。
激しく喘ぐ多輝は淡い水色の燐光を帯びている。それはどことなく水輝を思わせる。対して横たわる多輝は極々薄い別の色を纏っている。優一郎は興奮に滲んだ視界にその二色をはっきりと捉えていた。
何かが遠くで呼んでいる。呼び声に応えるように優一郎は腰を強く押し出した。痛みにも似た激しい快楽が襲ってくる。掠れた声を上げて優一郎は射精した。同時に多輝が身体を震わせて悲鳴じみた声を上げる。
「ゆうっ、いちろうっ! あっ、あああんっふううんっ!」
優一郎は多輝を強く抱きしめてブラウスに手をかけた。力任せにブラウスを引き裂く。嗤いを浮かべて優一郎は多輝の背を強く押した。横たわる身体に食い込んでいた多輝の腕がずぶずぶと音を立てて潜っていく。
呪わないでね、せつな。誰かを憎んだりしないで。わたしたちがこうなってしまったのは仕方のないことだから。
蒼い光が瞼の裏に見える。優一郎は笑い声を上げて多輝を強く押した。抵抗するように多輝が声を上げる。
「君は、僕のものだ。僕のものなんだ」
熱に浮かされたように呟きながら優一郎は多輝の頭を押さえつけた。恍惚とした表情を浮かべた多輝の胸が横たわる肉体に溶け込んでいく。凶悪な笑みを浮かべ、優一郎は多輝から手を離した。両手を合わせて意識を凝らす。一瞬後、優一郎の手の中に輝きが生まれた。真っ白な光が収縮して小指の爪ほどの大きさの宝玉になる。優一郎はそれを片手につかむと多輝の背中にこぶしを押し付けた。
蒼い雷が天から降ってくる。その雷は容赦なく逃げ惑う人々を打ちのめした。冷ややかな双眸が脳裏に蘇る。優一郎は嗤いながら多輝の背にこぶしを食い込ませた。やがて多輝の身体が沈んでいく。
快楽が唐突に途切れる。気付くとその場に多輝はいなくなっていた。横たわる身体が不思議な光を帯びている。優一郎は肩で息をつきながら強く頭を振った。
「なるほどね」
呟きながら優一郎は嗤っていた。横たわる身体には変化は見えない。だが確実に意識はこの中に入っているだろう。だるい身体を引きずるようにして優一郎は台を降りた。汚れたペニスをティッシュで丁寧に拭う。乱れた服を整えた後、優一郎は台を振り返った。
それまで眠るように目を閉じていた多輝が静かに瞼をひらく。その目は暗い青色をしている。優一郎は腕組みをして多輝を見下ろした。先ほど見た光景は恐らく多輝が無意識に優一郎にみせたものだ。そしてきっと優一郎もその光景を知っているのだろう。だからあれほど鮮明に見えたのだ。
蒼い眼差しが揺れる。傍に立つ優一郎を見止めた多輝はにやりと口許を歪めた。
「相変わらず景気のわりぃ面してやがるな」
「お久しぶりです。先輩」
不敵な多輝の言葉に優一郎はにっこりと笑って応えた。へえ、と呟いて多輝が腕を上げる。驚く優一郎を余所に多輝は指で優一郎の頬を拭った。濡れた指先を多輝が口に運ぶ。
「泣いてんじゃねえよ、ばーか」
そう吐き捨てて多輝は身軽に台に身体を起こした。あーあ、と破れたスーツを見下ろしている。優一郎は白衣の袖で顔を拭って苦笑した。
「あ……と。そいえば抜け殻は出さないとな」
何かを思い出したかのように告げ、多輝は腕をゆらりと上げた。その手のひらが優一郎の方に向けられる。優一郎は苦笑したまま、両腕を伸ばした。空気が震えて蒼い光が生まれる。その直後、優一郎の腕の中には脱力しきった多輝の機体が現れた。
作った時の姿に機体は戻っている。軽々と機体を抱え上げて優一郎はそれを別の台に乗せた。どのみち、多輝はもうこの機体を必要とはしないだろう。
「とりあえず祝杯でもあげるか。おい、買出しに付き合え」
そう言って多輝は軽々と台を飛び降りた。歩きながら指を鳴らす。するとそれまで多輝の身体にまとわりついていた破れたスーツが消え、変わりに真新しいシャツとジーンズが現れる。優一郎は多輝の様子に苦笑しながら首を傾げてみせた。
「僕はお酒は飲みませんよ。それでもよろしければ」
「嘘吐け。お前、酒豪だったろ」
嗤いを浮かべて多輝が優一郎の背を叩く。やれやれと優一郎は肩を竦めた。きっとまだ多輝の意識は完全に現実に戻っていないのだろう。
「何時の話ですか」
「ああ? あ、そか。今は違うのか。まあ何でもいいや。付き合えったら付き合え」
多輝はそれだけ言ってからさっさと部屋を出てしまう。優一郎はため息をついてから白衣を脱いだ。当分の間は話がかみ合わないかも。そんなことを思いながら優一郎は多輝を足早に追いかけた。
はい、男に戻りました!w