※この作品はR-18です。

魂の座 二部 緋色の遺言   作:伊駒辰葉

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段々とエロシーンが長く……(汗)
あっ、TS警報です!
エロシーンです。


甘い蜜の味 1

 小さな呻きを零して順は寝返りをうった。横を向いた順の額にさらりと髪がかかる。

 

 熟睡するといつも嫌な夢を見る。いつからか順は無意識に浅い眠りだけを欲するようになった。だがこの夜、順は最近では珍しく熟睡していた。眠る直前まで酷い痛みを堪えていたからなのか、疲れ果てて倒れるようにして眠ってしまったのだ。

 

 そんな時、夢に現れるのは決まっている。今日もまた夢の中でかつての風龍神と水輝が向き合っていた。その夢を見るとき、いつも順が思うことがある。何故、いつも夢に出てくるのは水輝なのだろう。せめて夢でくらい、愛しい者と会わせてくれてもいいのに。だがそう思う順も心のどこかでは諦めていた。

 

 忘れるな、と誰かが告げている気がする。決してあの時の思いを忘れてはいけない。もし忘れたなら、それはお前に生きる意味がなくなったということだ。知らない声にいつも順はそう告げられるのだ。

 

 順はどこからともなく降ってくるその声を耳にするたびに自嘲する。それすらも妄想だろうに。有り得なかった過去を求めてみても意味はない。断罪の主は誰のものにも成り得ない。そんな事実があるとすれば、それは断罪の主の座が別の誰かの手に委ねられたということだ。

 

 未だ、火藍は断罪の使命を捨てようとしない。それだけが生きがいなのだと言わんばかりに、断罪の印を探すことに没頭している。何事もない顔をして火藍は常に世界の意志とやらに囚われているのだ。

 

 夢の世界で水輝は問う。お前は如何様な理由であのようなばかな真似をしたのだ。その問いは夢を見るたびに繰り返される。そのたびに風龍神は笑って応えるのだ。どれほどお前たちにとってばかな所業でも、自分には必要だったのだ。断罪の主の刃を確実に食らう方法はこれしかないと思ったから。

 

 他の誰も気付かなかったのに水輝だけが風龍神の犯した罪に気がついた。蒼龍天輝が風龍神討伐の命を下した本当の理由を知っているのは水輝だけだったのだ。そして火藍が遅れて断罪の印に気がついた時にはもう、風龍神は水輝の刀の前に倒れていた。

 

 順は夢うつつのままにため息をついた。真っ暗な部屋の中に順の息遣いの音が響く。他に誰もいなかった順の部屋に人影が現れたのはその時だった。ベッドに眠る順に人影は近づいて行く。再び眠りに落ちた順はそのことに全く気がつかなかった。

 

 不意に夢の光景が一転する。夢の中にいた順はそのことに驚愕した。今の今までこんな風に景色が急に変じたことはない。草原で向かい合っていた二人の姿が滲んで消え、その直後、草原そのものがかき消えた。眩しい光に包まれた景色が別の場所に変化する。

 

「ん……」

 

 ベッドの中で順は眉を寄せて身じろぎした。夢の中で感じている筈の眩しさが順の身体そのものを反応させたのだ。夢の中の順はどこか知らない暗い場所に佇んでいた。試しに自分の身体を触ってみる。先ほどまで風龍神と意識がリンクしていた筈なのに、今度の順は知らない誰かに姿を転じていた。だが暗いためにはっきりと容姿を確かめることが出来ない。ただ、順は自分の身体を触った感じでその身体が知らない誰かのものだと理解した。

 

 変だな。そう胸の内で呟く。闇に目が慣れてくると順は周囲を見ることが出来るようになった。どうやらここは倉庫か何かのようだ。暗がりの隅には無造作に農具等が置かれている。順は不思議に思いながら置かれた道具に近づこうとした。

 

 不意に背後で物音がする。順は鋭く振り返った。闇の片隅に蠢く何かがある。順は警戒しながらじりじりとそれに近づいた。少しずつ近寄ると大きなその塊が人影だということがわかる。そして順はある程度近くに寄ってからぴたりと足を止めた。背を丸めて苦しそうに息をついているそれは火藍だったのだ。

 

 どしたの? 火藍ちゃん。順はいつものように声をかけようとした。だが何故か声が出ない。佇んで困惑する順に気付いたのだろう。火藍がのろのろと顔を上げる。最初は苦しみに歪んでいた火藍の表情が、やがて喜色の浮いたものになる。その表情を見止めた順の胸に、一抹の不安が過ぎる。

 

 うずくまっていた火藍が唐突に立ち上がる。火藍は荒い息をつきながら順の腕を捕らえた。痣になりそうなほど、強い力で腕をつかまれた順は慌てて火藍を引き剥がそうとした。

 

「大人しくしろ」

 

 低く深い声が聞こえる。その瞬間、順ははっと目を見張った。耳に聞こえた火藍の声は紛れもなく男のものだったのだ。

 

 ベッドに横たわった順は喉の奥で小さく呻いた。口の中を何かが満たしている。だが夢に落ちた順にははっきりと現状を把握することは出来なかった。枕元に座す人影は順の頭を柔らかくつかみ寄せる。

 

「ん、ぅ」

 

 それが現実なのか夢なのか判らないまま、順は苦し紛れに舌を動かした。口に突き入れられた太い何かを舌が強く擦る。

 

 夢の中で順は火藍の腕に捕らえられ、直後、床に組み伏せられた。何故、そんな気になったのか判らないが、夢の中の順は切迫していた。火藍の腕に捕らえられ、更に組み伏せられたからといって、現実の順は喜んで受け入れることはあってもうろたえることはないだろう。それがよく判っているだけに、順は自身の思いに強い違和感を覚えた。

 

 身体を捻って火藍から逃げようとする。そんな自身の動きも順には信じられなかった。なーんで逃げなきゃなんないの。そう自分に言い聞かせる。だが夢の中の順は意志に反して火藍から逃れようと必死になっていた。




実は割と相性の良い2人ですw
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