「お前の生気を吸い尽くしてやる。さあ、いっていいぞ」
嘲笑しながら多輝は果穂の小さな頭を手で支えた。噛み付くように唇を貪る。その瞬間、果穂は多輝の口の中で呻きながら全身を硬直させた。
「んっ、くっ! くふううううぅ!」
多輝は目を閉じて流れてくる果穂の生気を唇から啜り上げた。絶頂に達した果穂の膣壁が脈動する。ペニスを締め付けた膣壁はやがて静かに力をなくしていった。
「ん? まだ足りないか」
多輝が唇を離すと果穂はうっとりとしつつ目を開けた。小さな舌が艶かしく動いて唇を舐める。果穂は命じるまでもなく自分から再び腰を揺すり始めた。幼い小さな身体が不安定に揺れる様を眺めながら多輝は薄く笑った。
果穂が大人の女性の身体を欲したのは、たびたび欲情する自分に嫌気が差したからだ。調教されているのだから仕方がないが、果穂は自分の望まない時にも欲情して自慰を止められなくなってしまったようだ。生身の身体を持つ果穂にとってそれは苦痛だったのだろう。
だがヒューマノイドになったからといってその性癖が変わる訳ではない。脳が同じだということは、思考形態も行動パターンもほぼ生身の時と変わりないからだ。
「機械になったってお前はただの人形だ。誰かに支配され、誰かに調教されて初めて満足できる。……ま、言ってもわかんねえかな」
快楽が足りなくなったのだろう。果穂は甘い声で多輝を誘いながら腰をくねらせている。ペニスの抽送に感じていた苦痛はどこかに行ってしまったらしい。多輝は苦笑して果穂の胸に手を這わせた。指の腹を使ってピアス越しに小さな乳首を捏ねる。膨らみのない平らな胸の上でピアスが左右不揃いに揺れる。
「所詮、人形は人形ってことだ。餌にしてやるんだからありがたく思うんだな」
「あん! くうん! くふううん!」
甘い声を上げた後、果穂はもっととねだって多輝の唇に吸い付いた。やれやれと苦笑して多輝は後ろを向いた。優一郎はコーヒーのお代わりをいれているところだ。多輝は優一郎の背中に声を飛ばした。
「おい、バイブってあったっけ?」
「これ、どうぞ」
いつの間に持っていたのだろう。優一郎は白衣のポケットからピンク色のバイブレーターを取り出して多輝に近づいた。多輝は差し出されたそれを受け取って呆れた気分で優一郎を見上げた。
「おっまえ、もしかして最初っからこいつをおれに食わせるつもりだったろ?」
バイブレーターの先には細いコードが繋がっている。電源ボックスにあるスイッチを入れるとピンク色の硬いバイブレーターはすぐに振動を始めた。果穂のサイズに合わせてなのか、多輝の握るそれは普通のものより幾分か細く出来ている。
「さあ、どうでしょうか」
笑顔で告げて優一郎がその場を離れる。けっ、と喉の奥を鳴らして多輝は優一郎の背中を睨みつけた。優一郎はゆっくりと元の場所に戻り多輝に告げた。
「まもなく五分ですよ」
「言われなくても判ってる」
舌打ちをして多輝は振動しているバイブレーターを果穂の尻に当てた。ひっ、と息を飲んで果穂が一瞬だけ正気に戻る。
「なっ、なにを」
「当然、後ろにぶち込むに決まってっだろ」
冷酷に告げて多輝は果穂の腰に片腕を回した。動けないように押さえつけてからバイブレーターの先を肛門に押し付ける。嫌がる果穂を力ずくで押さえて多輝は握ったバイブレーターを一気に果穂の肛門に突き入れた。
鮮血が散る。果穂の激しい悲鳴を聞きながら多輝は嗤い声を上げた。肛門にバイブレーターを突きこんだまま、果穂の身体を激しく揺する。見開かれた果穂の目からゆっくりと理性の色が消える。
「お、きたきた。でかいな、今度は」
「んんんんんんぁああ!」
果穂は背中を大きく反らして一際高く鳴いた。その瞬間、多輝は果穂に再び口づけた。狂気の入り混じった熱い力が唇を通して滝のように流れ込んでくる。それを吸いながら多輝は果穂の膣奥にペニスをねじ込んだ。吸い込んだ果穂の生気が身体の中で渦を巻いている。
数十秒ほど果穂は全身を硬直させていた。やがて糸が切れた操り人形のように身体からがっくりと力が抜ける。多輝は深い息をついて脱力した果穂を床に横たえた。膣から音を立てて抜けた多輝のペニスは血に染まっている。床に寝かされた果穂の目からは完全に生気が失われていた。虚ろな眼差しが焦点の合わないまま宙に向けられている。酷い痛みと快楽を立て続けに与えられて精神が壊れてしまったのだ。
「っしゃ、完了! 何分だ!?」
そんな果穂を気遣うでもなく多輝は目を輝かせて優一郎を振り返った。片手に握ったストップウォッチを眺めていた優一郎が目を上げる。
「五分四十五秒ですね」
どうしましょう。そう笑いながら優一郎が首を傾げる。
「げ。まじで?」
心底がっかりしながら多輝は訊き返した。優一郎は困った顔でストップウォッチを放り投げる。片手でそれを受け止めた多輝は眉を寄せて思い切り渋い顔をした。確かに優一郎の言う通りだ。
「賭けは成立不可か」
面白くない気分で多輝はストップウォッチを優一郎に投げ返した。軽く片手を振って優一郎がそれを受け止める。多輝はふと振り返って果穂を見た。自分もだが果穂も相当に汚れたままだ。苛立ち紛れに指を鳴らし、多輝は二人の身体にまとわりついていた汚れを消した。萎えたペニスをさっさとジーンズの中にしまいこむ。
「つまんねえなあ。まあ、力は吸えたからいいけど」
ぼやきながら多輝は不機嫌な面持ちのままで優一郎に近づいた。手に握られていたコーヒーカップをさらう。困ったように微笑む優一郎を横目に睨んでから多輝は熱いコーヒーを啜った。
「でもそいつ、本当にもう使い物にはならないぞ。あらかた吸ったからな」
言いながら多輝は顎をしゃくって果穂をさした。果穂はだらしなく床に横たわったままぴくりとも動かない。辛うじて胸が上下しているから呼吸はあるのだろう。だが恐らく果穂は二度とまともな思考が出来ないだろう。
「母を呼んでいただけますか? 指示は先輩が出してください」
「どーすんだよ」
ふて腐れてコーヒーを啜りながら多輝はそう訊ねた。優一郎はにっこりと笑ってそれ以上は言わない。要するにさっさと作業を進めろという意味だろう。多輝はやれやれとため息をついてコーヒーカップを優一郎の手に戻した。
賭けは成立しませんでしたw