かなり長いので五分割くらいになります。
エロシーンはありません。
世界は八つの国に分かれている。タイラード王国、ウルスマ国、ファイダ国、ソニルガ国、トゥルメニア国、ワイザー国、ブラナーマ国、そして魔法大国と呼ばれるラクタート神聖王国。タイラード王国を除くそれぞれの国には守護神と呼ばれる存在を頂きに掲げ、日々の生活の守護を受けている。守護神の性質からか国民はそれぞれに特別の能力を持っているという。……尤もそれが必ずしも開花するという訳ではない。潜在的な能力を秘めている筈なのに、その力を一度も使うことの出来ないまま死にゆく者の方が多いのだ。
ラスティたちの生きる世界は龍宝珠界といわれる。その名称をだが、世界に生きる者の殆どは知らない。彼らは自分たちを人間だと信じて生きているのだ。だが龍宝珠界の名の示す通り、その世界に生きる者の本性は龍宝珠だ。そして各国に祀られている守護神もまた例外ではない。
ウルスマ国は水の国と呼ばれる。清浄な水の豊かな土地柄で、昔から水を利用した産業が活発だ。特に色街と呼ばれる水商売の店が並ぶ通りは壮観で、他の国から訪れる者たちはまず圧倒されるという。守護神は水の力を操ることを得意とするウィレネードと呼ばれる青年だ。他の国にも言えることだが、守護神の容姿は実際に生きた時間とは関わりがない。噂ではウィレネードを始めとする守護神たちはかつて世界の危機を救った勇者につき従っていたとも言われている。
平均寿命が五十年前後の国民たちとは異なり、彼らはとても長い時間を生きている。それ故にあらゆる分野に精通し、類稀な知識と智恵をもって国を平和へと導けるのだ。そして国王や神殿の者たちは守護神ウィレネードを全面的に信頼し、国の様々な問題についても相談を持ちかけている。
その隣国であるファイダ国は対照的に火の国だ。守護神ファルサラは別名、火の巫女とも言われている。守護神が火を操り、周囲を燃やし尽くすという特性を持つ故か、ファイダ国の国民は好戦的な性質を持つ者が多い。だが火の国らしからぬ面もある。ファイダ国は乾いた大地であると認識している者も多いが実際には違う。火の国という俗称からは想像出来ないくらいにファイダ国は水が豊富なのだ。しかもファイダ国は海に面しており、海産物等を主軸にした商業も成り立っている。好戦的な性質故に他国には脅威となっているようだが、彼らは無意味に争いを仕掛けることはない。あくまでも利潤を追求するという理由がなければ他国に侵攻したりはしないのだ。
ファイダの港を出て船旅をすると辿り着くのは大抵がソニルガ国だろうか。航路の中でも比較的穏やかであるため、別の大陸に渡るにはこの方法が一番早い。先のファイダ国の民が真紅の民なら、この国の民は輝く銀髪と灰色に近いいぶし銀の瞳を持っている。悪意のある者は銀貨の民とも呼んでいるようだ。ソニルガの民は一見、物静かな風貌をしているが、その実、金銭的な感覚が非常に鋭いことがその俗称の所以だ。要するに早い話が金にしっかりしているのだ。だからファイダ国から渡航した商人たちは財布の紐の固い彼らとは商売しようとしない。彼ら相手ではろくな儲けが出ないからだ。
ソニルガ国の守護神は生命のソフィア。少女のような幼い容姿をしているともっぱらの評判になってはいるが、実際にソフィアが国民の前に姿を現すことは滅多にない。生命の守護神と呼ばれるソフィアが司るのはその名の通り、生物の命だ。だが皮肉なことにソニルガの出生率は年々落ち込んでいる。国の民は子孫を欲しているのに子供が出来にくくなっているのだ。
ソニルガの民は他国の民に比べてはるかに長命だ。それ故に急激に人口が減ることはない。だが先細りになっているのは事実だ。それ故にひとたびソフィァが民の前に姿を現せばたちどころに争いが起こることになる。生命を司るソフィアの力を利用しようとする民が絶えないからだ。
実際のソフィアは若々しくはあるが、少女と呼べるほどに幼い容姿はしていない。あらゆる公式の場面において姿を見せるのが守護神ソフィアの代理の少女だ。国民の中にはこの少女を守護神と勘違いしている者がいるのだ。
ソニルガを横切って広大な砂漠を越えた先に巨大な橋がかかっている。この橋は丁度ソニルガとトゥルメニアを分ける国境となっている。ソニルガ国が外に対して開けているのに比べてトゥルメニア国は国境警備がしっかりしている。素性の知れない余所者を通さないために橋には国境警備隊が控えている。仮にソニルガ国から船に乗ったとしても、間には時を問わずに荒れ狂う航海士泣かせの海がある。トゥルメニアには船ではとても渡れないというのが一般的な船乗りの見解だ。
森の国トゥルメニアは国境警備こそ厳しいが、来訪者を完全に拒絶している訳ではない。国の抱える広大な森林を守るために不届き者が入らないようにしているのだ。何故ならトゥルメニアを守護する守護神トゥイーヌは樹木を司る。彼女に守護してもらうためには森林の保護は絶対の条件なのだ。
トゥイーヌは穏やかな風貌からは想像も出来ないほどに厳格な性質を持っている。若い娘の姿をしているから、と舐めてかかって勝手に散ってしまった王宮の者は数知れず。神殿に勤める巫女や神官たちもトゥイーヌの逆鱗に触れることのないよう、日々を警戒しながら過ごしている。
説明が続きます~。