※この作品はR-18です。

魂の座 二部 緋色の遺言   作:伊駒辰葉

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説明の続きです~。
エロシーンはありません。


龍宝珠界 2

 そんなトゥイーヌの機嫌を損ねないように森林は常に警護隊に守られている。国境警備隊とはまた別の働きをする彼らは、森林に無断で侵入する者たちを捕らえる役目を持っている。だが森林警護隊は森林に害を為す者を捕らえるのが仕事で、迷い込んだものを罰することはない。森林に入った者に悪意がないことが判明すれば即刻解放されるのがルールになっている。

 

 何ゆえトゥルメニアが国をあげて森を保護しているか。それはトゥイーヌとかつての国王の間で交わされた約束に起因している。トゥイーヌの守護を受ける代わりに、国王は国にある森林を保護することを約束したのだ。その約束は当時の国王の死後もなお生きている。

 

 広大な森に覆われた大陸を抜け、こじんまりした港に出るとそこには再び橋がかけられている。トゥルメニア国から伸びた二つの橋は大陸と大陸を繋いでいる。この橋には特殊な魔法がかけられており、いくら海が荒れていても橋には何らの影響もでない。通行する者たちはトゥイーヌの力により守護されるのだ。そしてソニルガとは反対側の橋の先には二つの大陸がある。双子のように全く同じ形、同じ規模の陸にあるのがワイザー国とブラナーマ国だ。

 

 ワイザー国の守護神は創造の主と呼ばれるワイル。対するブラナーマ国の守護神は死を司ると言われる黒のブラン。彼らは国の形と同様に、性別の違いはあるが双子のように容姿もそっくりだ。ブランは少年、ワイルが少女。彼らは互いの国を頻繁に行き来している。そして彼らの守護する国の民もやはり二国間でよく行き来する。白と黒という一見、両極端な色を持つ彼らだが、実はこの二つの国は共存しているのだ。

 

 幼い少年少女が司る力は国にとってはとても扱いの難しいものだった。どちらも単体では本来の力が出せないのだ。そこで両国の王は思案した。互いに足りない部分を補えばいいのではないか。しかも二人の守護神は頻繁に会っているようだ。それならば力を魔法の形にして合わせることも出来るのではないか。

 

 両国の王はそれぞれに守護神を説得した。元々、仲の良かった彼らは王の言葉をあっさりと承諾した。結局、破壊の力をしか持たないブランと作り出すことしか出来ないワイルはそれぞれの力を混ぜ合わせることにしたのだ。今もなお、両国の間では魔法力を混ぜる機会が多い。そしてそれは互いの国に利潤と守護を自然ともたらすことになったのだ。

 

 双子の陸地からはるかに離れた場所には魔法大国と言われるラクタート神聖王国がある。魔法士なら一度は訪れることになる地とも言われ、ラクタートでは国全体を挙げて魔法の研究が日々為されている。神殿に勤める神官の多くは魔法を学んでいるし、役所などの施設にも魔法士が必ず雇われている。魔法を学ぶ者たちのために専門の学校も数多く建てられ、子供の時分から身近に魔法に触れることが可能にもなっている。

 

 活気に溢れ、将来を約束された素晴らしい土地とされる一方で、この国の守護神の存在は謎に包まれている。守護神ラルエミーナは人前には決して姿を見せない。ラルエミーナはソニルガ国のソフィアとはまた違う理由で表には出てこないのだ。その理由を国民の殆どは知り得ない。神殿に勤める者といえど例外ではない。ごく限られた者たちだけが真実を知っているのだ。

 

 ラクタートの守護神ラルエミーナは神殿の最上階のとある部屋に拘束され続けている。手足を鎖で繋がれたまま、ラルエミーナは日々を過ごしているのだ。ラルエミーナが司るのは運命。ラルエミーナが望むかどうかを別にして、彼女の行動そのものが国の運命となってしまうところに問題があるのだ。

 

 国王たちは力のあるラルエミーナが国を離れることを恐れた。彼女自身にその意志があったかどうかは関係なく、国王を始めとする国の中枢に属する者たちは、力があるが故にラルエミーナが国を離れる危険性があるとしたのだ。自国がある程度栄えてから出た発想だというところが、彼らの小心振りを明らかにしている。

 

 ラルエミーナは物静かな女性だ。必要のないことは決して口にはしない。投げかけられた質問に対して出来るだけ誠意のある返答をするだけだ。ラルエミーナから声をかけることがあるとすれば、それはかけられた者に問題がある時だけだ。だがそんな物静かな様子が逆に国王たちの不安を誘ったのだろう。他国の守護神たちは一様に周辺の者たちとよく会話をする。普段は彼ら自身の持つ力が特殊な魔法によって封じられているから出来ることだとも言える。

 

 だがラルエミーナは違う。彼女は力のままに存在し、周囲と隔絶された生活を余儀なくされているのだ。龍宝珠界の者たちは力に酷く敏感だ。ラルエミーナの力を封じることもなく、また隠すこともないままに接していれば、どうしても強大な力に怯えることになる。それがこの世界に住むものの特性であり、また外せない条件でもあるのだ。

 

 守護神ラルエミーナはそれでも国の平穏を日々祈る。誰に命じられるでもなく、みなの幸せを願って囚われの身に甘んじているのだ。もしもラルエミーナが本気で拘束を解こうと思えば易々と成し得てしまう。ラルエミーナを拘束している者たちはそのことにすら気付かぬまま、守護神という名の許に彼女を国に縛り付けているのだ。




カタカナの名前が凄く苦手で。
面倒なので辞書登録して頭数文字で出るようにしています。
たまに誤変換でのたうちますが。
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