※この作品はR-18です。

魂の座 二部 緋色の遺言   作:伊駒辰葉

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最初からエロシーンです。


十一章
暗闇と暗示 1


 窓の外には雪がちらついている。暗闇に下りる白く小さな雪をしばらく眺めてから立城はそっとカーテンを閉めた。閉ざされると微かな外の光も遮られて部屋の中が余計に暗くなる。

 

 暗闇の中に佇んでいる人影に立城は笑いかけようとしてやめた。この暗がりで例え笑みを浮かべたところで相手には見えないだろう。立城は気配のする方へと静かに歩き出した。柔らかなじゅうたんが足音を吸収して立城は全く物音を立てずにその相手に近づいた。傍に寄ると相手の呼吸音が妙に大きく聞こえる。立城より頭一つ分低い位置で相手は深いため息をついた。

 

「泣いているの?」

 

 囁きで告げて立城は腕を上げて目の前の暗闇を探った。すぐに相手に手が届く。最初に触れたのは肩だった。形を確かめるように肩をなぞって首筋に手を移動させる。細い首を指先で辿ると微かに甘い息遣いが漏れ聞こえた。相手の頬を伝う涙を指先で拭ってから立城は思わず苦笑した。濡れた指先を口に運ぶ。舌先で確かめた涙に味はない。塩分も何も含まれていない涙を舐め取ってから立城は再び手を伸ばした。今度は両手で相手の顔の形を確かめるように頬を包み込む。柔らかな感触は生きているそれと差などない。なのに目の前にあるのは紛れもなく機械仕掛けの身体なのだ。

 

 指先でなぞった唇が微かに動く。声のない言葉を刻んだ唇の動きを指先だけで読み取って立城は小さく笑った。

 

「いいよ。先に口にあげるからこの間のようにしてくれる?」

 

 気配が動いて立城の手の中から相手の頬の感触が消える。ためらいがちに伸ばされた手が立城のシャツにかかり、一つずつボタンを外していく。露になった胸に柔らかな唇が押し当てられ、肌をなぞった手が緩やかに下降していく。暗闇の中で感触だけを頼りに相手の動きを捉えながら、立城は目を細めて天井を仰いだ。

 

 閉め切られた寝室の中は闇に覆われている。どこからが壁でどこからが天井なのかも判別できない。上を向いても視界に広がるのは暗い闇だけだ。

 

 金属の触れ合う音がした後に腰元が緩む。立城は見えないと判っていても音のする方に目を戻した。手を伸ばして探ると相手が目の前に膝をついているのが判る。丁度、股間のところにある相手の頭を優しく撫ぜて立城は薄い笑みを口許に刻んだ。スラックスのジッパーが下がる音がした後に衣擦れの音が続く。露にされた股間に生暖かい微かな風を感じ、立城はくすりと笑いを漏らした。勃起しかけたペニスを数本の指が包み込む。その直後、立城はびくりと身体を震わせた。見えないために一つ一つの刺激が唐突に思える。指よりも更に柔らかく温かなものが鈴口に触れたのだ。

 

「見えないからどうかなと思ったけど……悪くないかもね」

 

 独り言のように呟いて立城は相手の頭に乗せた手を軽く動かした。指で短い髪をつかむようにして何度か頭を撫ぜる。そうしている間にペニスへの刺激は徐々に強くなっていった。最初は僅かだった接触面が次第に大きくなる。舌先だけの刺激から舌全体を使った刺激に切り替えられたためだ。それに伴ってペニスをしゃぶる音がし始める。

 

 意識して閉ざしていた感覚を少しだけ開く。すると真っ暗だった視界にぼんやりとした光が浮かび上がった。真紅の淡い光を放っているのが目の前に膝をついている火藍だ。それに対して立城の身体は薄紫の光を纏っている。触れ合っている場所を中心に、互いの特性を示す色つきの淡い光が混ざり合ったところだけが濃い赤紫に光っている。

 

 ベールのような光をしばらく眺めた後、立城は再度感覚を閉ざした。通常、人の目には映らない二人の光はそうすることによって完全に見えなくなる。立城は手探りで火藍の後頭部をつかみ寄せた。唾液にぬめる火藍の口の奥深いところにペニスが届く。鋭敏な鈴口がざらりとした口内から狭い喉を何度も往復する。微かに呻く火藍の頭を両手につかんだ立城はくすくすと笑い出した。

 

「君の感覚も閉ざしてあげるね。ほら、暗くすると余計に感じるでしょ?」

 

 笑い混じりに告げながら立城は指先で火藍の耳を探った。耳朶を指先に挟んでくすぐるように撫でる。すると火藍はペニスに塞がれた口の中で苦しそうな声をあげた。立城はそんな火藍に小さく笑って細い軟骨を覆う皮膚を指先でゆっくりと辿った。やがて火藍の息に甘い響きが混ざり始める。

 

 ためらいがちだった火藍の舌の動きが次第に大胆になる。ペニスの先から根元にかけてを擦るように火藍の舌が口の中で踊る。そんな舌の動きに逆らう格好で、火藍は頭をゆっくりと動かし始めた。頭を前後に小刻みに振りながら舌を動かす。引くときは舌を押し付けて吸いながら、入れる時は鈴口をくすぐるようになぞられる。唾液を啜る音もあいまって、立城は火藍の愛撫に否応なく昂奮していった。

 

 呼吸が速くなる。立城は上半身を少し前に傾けて指に力をこめた。立城が火藍の髪をつかむようにして深く息を吐き出した時、ちょうど火藍がペニスの根元までを口に含んだ。狭められた口の中を勢いよくペニスが擦っていく。温い唾液を啜りながら火藍は手を立城の腿にあてがった。

 

「んっ、いいよ、火藍。そのまま……あっ!」

 

 腿に触れていた火藍の細い指先が滑って立城の股間に辿り着く。思わず掠れた声を上げた立城は火藍の頭をつかんでいた指に力をこめた。火藍が指で立城の陰嚢を探ったのだ。火藍は巧みに手の中で陰嚢を揉み解しながら頭を小刻みに揺すっている。明らかに熱の放出を促しているのだ。

 

「一体、いつの間に……。ほんの数日の間に君は随分といやらしくなったんだね」

 

 そう言いつつも立城は火藍の意図する通りに強い衝動を感じていた。声が自然と震えて呼吸が荒くなる。だが先に根を上げたのは火藍の方だった。唐突に動きが止まり、掠れた声が漏れる。立城は薄く笑って詰めていた息を吐き出した。

 

「咥えて達してしまったの? ああ、今の君は男の気配に敏感なんだね」

 

 それが口の中だろうが、膣内だろうが、男の性を感じれば達するようになっているのだろう。そのことを思い出しながら立城は小さく笑った。絶頂の余韻に震える火藍の頭を強引につかみ寄せる。限界まで堪えていた立城の衝動は一度の抽送であっけなく解き放たれた。喉の奥に放出しながら立城は火藍の頭を前後に揺さぶった。熱い蜜が勃起しきったペニスの中を勢いよく通って外に流れ出る。




長いので四分割です~。
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