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「要さん。どうなさいました?」
微笑みながら優一郎が穏やかに告げる。要ははっと我に返って慌ててにっこりと笑いかけた。
「何でもありませんわ」
平静を装って告げる要の心の中は大きく揺れていた。どこが、と明確に判る訳ではない。今の優一郎は前とは少し違って見える。どうしたのだろう、と要はしばし考えた。特に容姿が変わっている訳ではないし、動きが違う訳でもない。なのに優一郎を見ていると妙に心がざわつくのだ。
野木と周藤も優一郎が以前とはどことなく違っていると認識しているのだろう。不思議そうな面持ちでじっと優一郎を見ている。三人に注視されながら優一郎は静かに部屋の奥に進み、机についた。
「斎姫の件。ですね」
そう言って優一郎が椅子ごと要に向き直る。要ははっとして慌てて頷いた。何かを言う前に全てを見抜かれていることにも気付かず、要はえへん、と咳払いをした。
「そうですわ! 何故、斎姫さんを救出なさらないんですの!?」
憤然と言いながらも要は優一郎のことをとても気にしていた。以前はこんな感じはしなかった。もちろん、前々から魅力的ではあったと思う。優一郎当人はそれを自覚しているのかしていないのか判らない。今日の優一郎は以前にも増して要の性的な欲求を煽っていた。当然のごとく要の女性器が疼きはじめる。だが要は平然とした素振りで優一郎の応えを待った。
「要さんは、フェアな方ですね。僕は、要さんのそういうところが好きですよ」
にっこりと笑って優一郎が告げる。要は思わずうっ、と詰まってじりじりと優一郎から離れた。何故か優一郎がとても眩しく見える。
好き、と要は心の中で呟いた。要はもちろん優一郎をとても好いている。だがこれまで優一郎はこうもはっきりと好きと言ってくれた事はなかった。優一郎のそういった想いは斎姫にのみ注がれているのだと要は半ば諦めていたのだ。
無意識に要の表情が明るくなる。ほんわりとした感情に包まれていた要は慌てて頭を振った。いけない。今はこんな風にほんわかしている場合ではないのだ。
「そっ、それはそうと! 何で斎姫さんを救出に行きませんの!? 何でしたらわたくし、斎姫さんが囚われているところに乗り込んでも良くってよ!」
そう宣言して要は胸をこぶしでどん、と叩いてみせた。すると困ったように優一郎が苦笑する。
「すみません。席を外していただけますか?」
笑顔で優一郎は要の背後に控えていた野木と周藤に声をかけた。するとはい、と静かに礼をして二人が退出する。閉じたドアをぼんやりと見つめてから要は改めて優一郎に向き直った。
「要さん、ショーツをおろしてください。そのままだと、話し合いには不便でしょう?」
にこやかに告げて優一郎は要のスカートを指差してみせた。要は指摘を受けてうっ、と再度詰まった。何で判るの、と反射的に言い返しかけて焦って口を噤む。当り前だ。優一郎はこの機体の製作者なのだ。状態が筒抜けになっているのはしごく当然の話だ。判りましたわ、と呟いて要は大人しくショーツを引き下ろした。腿の中ほどまでさげたところで優一郎が要のスカートの中に手をしのばせる。
少し冷たい指先が濡れた要のクリトリスを優しくつまむ。要はぴくりと身体を震わせて唇を噛んだ。感じていた性的欲求が次第に落ち着いていく。優一郎は柔らかな笑み浮かべながら要のクリトリスを指につまんで引いていた。
「深呼吸してください」
優一郎の言葉に従って要は深く息を吸った。その間に優一郎が指先につまんだクリトリスを軽く回す。時計の竜頭のようにクリトリスが捻られると、それまでの熱があっけなく引いていった。要は吸った息を静かに吐き出しながら目を閉じた。身体を捻って机に乗った紙の箱からティッシュを数枚抜き取って優一郎が再度、要の股間に手を伸ばす。溢れていた要の愛液を拭き取る優一郎の手つきはとても優しい。
「気分は落ち着きましたか?」
「えっ、ええ」
静かな問いかけに要は思わず声を裏返らせて応えた。確かにもう女性器は疼いてはいない。なのにどうしてだろう。暖かいものが心の中を満たしたままだ。優一郎は丁寧に要の股間を拭い、汚れたティッシュをごみ箱に放り込んだ。いいですよ、と言われて要はそろそろとショーツを引き上げた。微かに愛液の残るショーツの底が股間に触れると酷く冷たい気がする。
「そっ、それで! 斎姫さんの件なのですけれど!」
動揺を隠すつもりで要は勢い込んでそう告げた。すると優一郎がああ、と笑って頷く。
「斎姫の救出計画をまもなく発動する予定です。あなたにも手伝っていただくつもりです。でもその前にあなたに確認したいことがあります」
滑らかな口調で言いながら優一郎が要の腕を取り、その目を覗き込む。真っ直ぐに見つめられた要の頬が微かに赤くなる。
「な、何ですの? わたくし、あなたが望むなら、あるだけの力を発揮して斎姫さんを救出するつもりですわよ」
「斎姫は必ず救出します。僕が聞きたいのは、救出した後の話です」
要の動揺とは裏腹に優一郎の声は酷く落ち着いている。その後? 思わずそう訊き返して要は首を傾げた。一体、何を気にするというのだろう。斎姫が救出された後は当然、宣戦布告をするに決まっている。要は正直にそう告げようとした。だが要が口を開く前に優一郎が続ける。
ある意味では要はフェアなのだと……思いたいw