説明が多くてすみません(汗)
エロシーンはありません。
それから優一郎は栄子がなくしている記憶について、高校生時代の後の栄子の人生について、知りうる限りをかいつまんで説明した。本当は要の方が詳しいのかも知れない。だが今ここに要はいない。詳しいことは後ほど要さんに、と前置いて優一郎は栄子に話して聞かせた。
そして話は現代に近づく。最後に拉致事件のことを話す時、優一郎は躊躇した。風の主のことを全て話しても大丈夫なのだろうか。だがその点については栄子が先に言葉を挟んだ。自分は何を聞いても大丈夫だ。だから話してくれ。そう促されて優一郎はできるだけ判りやすい形で拉致事件のことを話した。
「拉致された先は木村の非合法な研究所でした。そこで栄子さんは……」
言葉を濁して優一郎はちらりと栄子を見た。風の主に意識を蹂躙されたことは既に話してある。だが捕らえられた栄子がどう扱われていたかは、発見した当時の様子から想像することしかできない。優一郎にしてもはっきりと栄子がどうしていたのかを理解してはいないのだ。
だがこれだけははっきりしている。栄子の肉体には別の何かを継ぎ合わせてある。そしてそれが原因で栄子の肉体は今、危機的状況に置かれているのだ。
「栄子さんの身体は生体実験に使われました。現在は容態は安定しています。しかし……」
いつ、破局が訪れるかわからない。優一郎は苦い顔でそう付け足した。栄子はだが、それを聞いても一片たりとも動揺した素振りを見せなかった。本の上に置いた手を組み合わせ、頷く。
「つまり、私の身体は目に見えないところで危険な状態になっている、と。こういう理解でよろしいかしら?」
そう告げた栄子の表情は凛としていた。説明する優一郎の方が圧される形で弱々しく頷く。内心、優一郎は驚いていた。栄子が全く動揺していないとは言いがたい。見た目にそう思えはするが、どう思っているのかは優一郎には判らないからだ。だが、少なくとも栄子は他人にその思いをみせないようにしているのだ。栄子がそう出来るのは恐らく、話している優一郎の負担にならないようにという気遣いと、同時に誰にもおかされないプライドからだ。そうでなければこれほどまでに平然としてはいられないだろう。
「はい。僕と要さんはその破局を回避するための方策を模索しました。その結果、二通りの方策が浮上しました」
「二択、ですのね」
そう言って栄子は頷いた。はい、と告げてから優一郎は白衣のポケットから資料を取り出した。携帯端末にデータを入れてから栄子に手渡す。見えやすいよう、画面の角度を調整してから優一郎は椅子に腰を戻した。
「解析の結果、栄子さんの四肢が遺伝子操作されたものに付け替えられていることが判明しています」
解説しながら優一郎は足を組み合わせた。軽く指を組んで膝に乗せる。興味深そうに栄子は画面を見つめている。
「ひとつめの方法は四肢を切断し、義肢、義足に交換するというものです」
そう言ってからそうすることから発生するメリットとデメリットを優一郎は端的に述べた。説明の一つずつに頷いて栄子が目を上げる。優一郎は頷き返してから次の選択肢について説明を始めた。
「もうひとつの方法についてはちょっと話は長くなりますが……よろしいでしょうか?」
「ええ。構いません……ああ、少し待って頂けるかしら? 面会謝絶の処置をして頂きますから」
そう言うなり、栄子はするりとベッドを降りた。優一郎が止める間もなく病室を出て行ってしまう。邪魔が入らないように、という心遣いなのだろう。栄子がいなくなった病室で優一郎は深々とため息をついた。
もう一つの方法。それこそが優一郎が本心から提示したい方策であり、要も望むものだ。ヒューマノイドの機体に脳を移植する。言葉で表せば随分と乱暴な方法に聞こえるが、実際は義肢等を利用するよりはるかに効率的だ。何より若さや美しさが好みの形のままで維持できる。
だがもちろんデメリットも存在する。それはヒューマノイドの機体を維持するための絶対条件であり、それを受け入れられるか否かがヒューマノイド化が可能になるかどうかの鍵になる。
栄子がどう出るかは正直なところ、優一郎にも予測できない。要と似た精神構造であろうことは確かだが、絶対にそうだと言い切れる自信はないのだ。
軽くドアがなる。はい、と返事すると栄子が静かに病室に戻ってきた。ドアの外には面会謝絶の札がかけられているらしい。説明されて優一郎は頷いた。栄子がベッドに再び入る。置かれた携帯端末を膝に乗せ、栄子はどうぞ、と告げた。
ヒューマノイドの設定は書きながら決めていたんですよね、実は。
なのでこの時期はまだ曖昧なところが多いです(汗)