※この作品はR-18です。

魂の座 二部 緋色の遺言   作:伊駒辰葉

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常磐がキレました。
若干、エロ……かな? 程度にふわっとしてます。


判らないなら教えてやる

 そんなことがしばし繰り返された。ラスティは常磐に言われるままに各国の守護神の元をいちいち訪ねたのだ。あの時は森の国の守護神は不在だったから、合計六回ほどラスティは守護神の元に跳んだ。だがそれでも常磐の納得する答えは得られなかった。

 

 ある日、常磐の質問に答えられないことに苛立ちながら、ラスティは風呂に入っていた。大きな入れ物に溜めた湯に身体を浸す。そうしながらラスティはしばらく考えた。どうして常磐は急にあんなことを言い出したのだろう。何故、わざわざ自分に答えさせようとするのだろう。しかも質問した常磐はどうもその答えを知っているらしい。それなら直接に教えてくれればいいのに。

 

 家の傍でのんびりと湯に浸かっていたラスティの傍に常磐が姿を現す。ラスティは不服のこもった目で常磐を見つめ、思ったままを告げた。

 

 あの時に多分、常磐の中で何かが切れたのだろう。ラスティの身体を洗うために布に石鹸をつけていた常磐が無言で立ち上がる。そうかと思うと常磐は手にしていた布と石鹸をいきなりその場に打ち捨てた。ラスティは唖然としてそんな常磐を見上げた。

 

 腕を引かれ、風呂から引っ張り出される。常磐はラスティの身体を抱き上げると大股で家に戻った。ラスティは焦って常磐の腕の中で暴れた。まだ身体を洗っていない。それに家に入るなら濡れた身体はちゃんと拭かなければ床が汚れる。そもそも常磐は服を着ているのだ。身体が濡れた自分を抱えれば自然と常磐の服も濡れるではないか。

 

 だが常磐はラスティの訴えを完全に無視した。暴れるラスティをベッドに放り出す。急に放り出されたラスティは慌てた声を上げた。ベッドの上で身体が弾む。

 

 そこに座れと言われてラスティは渋々ベッドに腰掛けなおした。どうも常磐はもの凄く怒っているらしい。それだけは理解出来たのでラスティは大人しく常磐の指示に従った。膝を曲げろと言われて膝を曲げる。足を開けと言われて合わせ気味になっていた腿を開く。そこで常磐はラスティの股間を指差して告げた。

 

 抱くというのはお前のその部分に俺の性器を挿入するということだ。

 

 きっぱりと言われ、ラスティは目をしばたたいた。その部分、と呟いて顔を俯ける。ラスティは腿に回した手で指差された部分を触ってみた。

 

 ラスティや常磐、守護神たちは人間のように排泄はしない。体内に取り込まれたものを全て力に変換することが可能だからだ。もしも体内に異物が入った場合は、力そのもので焼き切ることが出来るのだ。

 

 そのため、ラスティはそれまで股間にある複雑な器官を気にしたことがなかった。身体を洗う時には布越しだから気づかなかったのだ。ラスティは不思議な気分で指先でその形を確かめた。確かに言われた通り、穴らしいものはある。が、指もろくに入らないほどにその穴は狭い。それに常磐が言った性器というのは何だろう。ラスティは訝りながら顔を上げた。

 

 常磐がいつの間にか俯いている。こぶしを握り、肩を震わせる常磐をラスティはしばし見つめた。

 

 今にして思えば酷く単純な話だ。ラスティが本来守護するべき国はタイラードだ。時の国と呼ばれるタイラードは本当は時のない国だ。他の国には等しく流れる時間もタイラードでは殆ど流れない。つまり、あらゆる物事の成長がとてつもなく遅いのだ。そしてラスティの身体もまた、成熟しない。水輝の言ったことはある意味では当たっているのだ。

 

 あれから常磐はラスティをベッドに押し倒した。常磐の行為が理解出来ず、暴れたラスティは手足を紐で括りつけられた。ベッドの支柱に手足を括り付けられ、身動きの取れなくなったラスティを常磐は強引に犯したのだ。

 

 今なら判る。常磐は恐らくずっと我慢していたのだ。だが夫婦になってもラスティは一向にその気にならなかった。というか、その手の知識が全くなかったのだ。しかもいつまで経ってもラスティは正しい性知識を得ない。そうしているうちに常磐の我慢の限界が訪れたという訳だ。

 

 少なくとも表面上はそうなっている。常磐もそう思っているし、守護神たちの認識も同じだろう。

 

 あの時を境に常磐はラスティを強引に抱くようになった。抵抗するラスティを縛り上げ、強引にペニスを突き入れる。だが何度そんなことを繰り返されてもラスティが感じるのはただの痛みだけだった。そして犯されるたびにラスティは出血する。だがそれでも常磐はラスティを抱くのをやめようとはしなかった。

 

 行為の果てにラスティと常磐の間には子供が生まれた。が、成熟しないラスティの身体は孕むことも産むことも出来ない。ラスティは常磐の目を盗んで注がれた力と自らのそれとを混ぜてしまったのだ。

 

 子供が出来れば常磐はきっともう乱暴しないに違いない。ラスティはそう思っていた。が、実際に子供が出来ても常磐はラスティを抱くことを止めなかった。取り憑かれたように毎日毎日、ラスティをベッドに括りつける。魔法を用いれば常磐を打ち倒すことは出来るが、そんな真似はできなかった。ラスティは確かに常磐を好いていたのだ。

 

 次第に常磐の行為は激しさを増した。そうしているうちに常磐の顔には見慣れない表情が浮かぶようになった。満足そうな、それでいてとても辛そうな嗤いが。

 

 常磐は抱く時はいつもラスティをいたぶる。言葉や態度、行為の全てでラスティを嬲るのだ。ラスティはそのたびに大声で常磐を詰る。何でいつもこんな真似をするのだ。どうして嫌だと言っているのにやめてくれないのだ。

 

 もしかして本当は俺を嫌っているんじゃないのか。

 

 そう、ラスティが言うと常磐は満足そうに嗤う。そうかも知れないな、と必ず答えるのだ。




別タイトルで分けていたのですが、そろそろラストなので次は同じのに……。
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