「そう、奥まで含んで……いいよ。上手になったね」
多輝の髪を優しくすきながら立城が声をかける。多輝は甘えた声を上げて片手を自分の股間に伸ばした。机の影に隠れながらしているということも、多輝の興奮を煽っていた。時折、部屋に誰かが入ってくるのだ。だが立城が平然としているためか、その誰かは多輝に気付いた様子がない。多輝はそのたびに緊張して声を殺す。だがそんな時に限って立城がこっそりと多輝の耳を指先で愛撫するのだ。
「失礼します」
不意に聞こえてきた声に多輝はびくりと身体を震わせた。聞き覚えのある声だ。多輝は立城のペニスを口に含んだまま、目を見開いた。股間に伸ばしかけていた手が力なく落ちる。
「ああ、例の件かな? どうなったの?」
何事もない口調で立城が告げる。だがその影で立城は多輝の頭に手を伸ばした。髪を優しくつかんでゆっくりと引く。自然と多輝の口にペニスが出入りした。
「はい。今日は清陵にお戻りになっていらっしゃるようですが、こちらには恐らく」
蒼。胸の中で多輝はその声の主の名を呼んだ。蒼は淡々と何事かを報告している。それを聞く立城もいつも通り、平然と受け答えしている。なのに多輝だけが机の影で快楽に悶えているのだ。多輝は熱い息をついて目を潤ませた。滲んだ涙が頬を伝う。
「まあ、そう簡単には戻るつもりはないだろうね。判ってはいたけど」
立城が苦笑する。その手に不意に力がこもる。多輝は目を見張って必死で声を殺した。頭を押さえていた立城の手が多輝を腰に引き寄せたのだ。さぼってはいけないという意味だろう。多輝は快楽に震えながら口を大きく開けた。
「どう致しますか? このまま調査を続けても……さほど変化はないように思いますが」
次第に我慢が出来なくなる。多輝は立城のペニスを舐めながら震える手を股間に伸ばした。剥き出しになったクリトリスを静かに弄る。立城は指先で多輝の耳を弄っていた。
「判らないよ。変化は急に起こるからね。僕も幾人かは使い魔を飛ばしているけど……最終的に頼りになるのは君だけだから」
二人の声が遠い。多輝は舌でペニスをなぞりながらゆっくりと頭を動かした。開いた唇がペニスをなぞっていく。
「それに水輝は恐らく気付いているよ」
不意に耳に入った名前に多輝は全身を硬直させた。
「主が、ですか? ですがそんな様子は……」
それまで感じていた快楽が消し飛んだ気がする。多輝は目を細めてペニスを口から出そうとした。その瞬間、立城の手が多輝の頭を押さえる。強引に押さえつけられた多輝の口に熱いものが飛び込んできた。思わず目を見開いて無防備にそれを喉の奥に流し込んでしまう。
身体のどこかで何かが嵌るような音がする。それと同時に多輝は一気に強い快楽に晒された。理性がまるで働かなくなる。
「気付いていて知らない振りをするのは、水輝の得意技だよ? それにたとえ気付いていないとしても、所業は変わらないと思うけれど」
多輝は虚ろな眼差しでそっと立城のペニスを口から出した。口の周りに付着した精液を舌で舐め取る。それまで以上に大胆に多輝は立城のペニスに吸い付いた。腰に腕を回して自分から動く。自然と声が漏れていることにも多輝は気付かなかった。
「そうですか。判りました。では、引き続き、調査続行します」
微かに蒼の声が揺れる。立城が微笑を浮かべて首を傾げる。そんな二人の様子を多輝は気にしてはいられなかった。欲望のままにクリトリスを弄り、膣内に指を出し入れする。艶かしい水音がたっていることにすら、多輝は気付かなかった。
「まるで仔猫のようだろう? 可愛いものだよ」
言って立城が多輝の頭を撫ぜる。蒼はそれには答えず、目を細めただけだった。多輝は我慢ができず、机の中から這い出した。甘えた声を上げて立城にすがりつく。そこに蒼の目があることは全く気にならなかった。
「抱いて……お願い」
多輝は目を潤ませて立城に抱きついた。立城が軽く肩を竦める。
「僕はまだ仕事が残っているんだよ。……ああ、そうだ。彼にお願いしてみるかい? きっとよくしてくれるよ」
立城は笑って蒼を指差した。蒼がぴくりと眉を寄せる。
「立城様。おたわむれを」
そっと床に下ろされた多輝はのろのろと蒼に近づいた。蒼はその場に釘付けになったように動かない。多輝は甘い息をついて蒼の首に腕を回した。快楽がもらえるなら何でもいい。そう強く思ってしまうほど、この時の多輝はストレスが溜まっていた。だが自分ではそのことは理解できていない。
「僕はいつでも本気だよ? 冗談のつもりはないんだけれどね」
そう言って立城は手早く乱れた服を整えた。まるで何事もなかったかのようにキーボードに向き直る。その間に多輝は蒼に抱きついてその唇を奪っていた。驚愕に目を見開いた蒼が慌てたように多輝を引き剥がす。
「いけません、多輝様」
告げた蒼の顔が苦しみに歪む。多輝は嫌がるように首を振った。その背後から声が飛んで来る。
「多輝。さっきのように確かめてごらん。きっと彼は無理をしているから」
のんびりとした立城の声に触発され、多輝は蒼に近づいて手を伸ばした。身体をひねって避けようとした蒼に強引に抱きつく。密着した状態で多輝は手を蒼の股間にあてがった。びくりと蒼が身体を震わせる。
手のひらで優しく撫でる。蒼のペニスは勃起していた。
「おねがい……蒼。抱いて」
「駄目です。出来ません」
蒼が顔を歪めて即答する。だが多輝を完全に拒絶することも出来ないのだろう。肩に置かれている手に力は入っていない。
「蒼。何故、水輝が使い魔を数多く持たないか、知っている?」
ふと、立城がそんなことを言う。疑問に感じたのだろう。蒼が怪訝な面持ちでいいえ、と告げる。その間に多輝は蒼のシャツのボタンを開き始めていた。現れた肌に舌を這わせる。
「水は透明。何色にでも染まる。……水輝の使い魔はね。主を裏切りやすいんだ。その色を染め替えることが余りにも多いから、水輝は滅多に使い魔を作らないんだよ」
はっとしたように蒼が目を見張る。辛うじて多輝を退けようとしていた手から完全に力が抜ける。多輝はうっとりとした面持ちで蒼の腰にとりついた。
「でもね。水輝はそんな程度のことは最初から知っているんだよ」
知っていて君を作ったんだよ、蒼。立城が笑い混じりに告げるのを多輝は全く聞いていなかった。露になった蒼のペニスにしゃぶりつく。焦ったように蒼が多輝を引き剥がそうとする。
「蒼。君は多輝のために作られたんだ。多輝を守るために、水輝が作り出した使い魔なんだよ」
その場に蒼の身体が沈む。多輝は蒼に抱きついて深く唇を合わせた。震える蒼の手が多輝の腰に回る。ためらいがちに抱かれ、多輝は目を閉じた。
蒼は元々、多輝のことを気に掛けてはいたんですけどねー。