エロシーンありです。
「それでは再開しましょう。このまま要さんのあられもない姿を見続けていたら理性を保つ自信がありませんし」
苦笑しつつそう言って、優一郎は椅子に腰掛けた。背後で要が息を飲む。だがそれを無視して優一郎はディスプレイ画面に目を向けた。要に再度、スローで再生するように告げる。
ゆっくりと映像が動き始める。斎姫の胸に少年の刀が吸い込まれると同時に急に画面が上下に揺れる。要の悲鳴が聞こえる。ここで要は葵に抱えられて救出されたのだ。廊下に放り出された要の目が辛うじて葵の後姿を捉えている。
翻る水色のスーツがドアの向こうへと消える。直後、激しい声が聞こえてくる。いつもののんびりとした様子は声のどこにも感じられない。切迫した雰囲気だけが伝わってくる。遠くで怒鳴っているのは葵だ。
野木と周藤の慌てた様子が映る。その後、爆音が轟く。スピーカーから聞こえた音に優一郎は目を細めた。喫茶室から溢れたその音の向こうに、極々小さな声が聞こえる。優一郎はもう一度、と要に映像を巻き戻させてスピーカーのボリュームを上げた。
欲望の海よ。それを聞き取ってから優一郎は要に映像を止めるように命じた。肩越しに振り返る。戸惑ったような要の視線を真正面から受け止めた優一郎は真剣な顔をしていた。
「木崎順、と要さんには名乗られていたんですよね?」
「ええ、あの男のことならそれで間違いはないですわ」
先ほどまで与えていた快楽の余韻が残っているのだろう。要の顔は赤い。だが受け答えする声はしっかりしている。なるほど、と頷いて優一郎は再び画面に向かった。
神崎葵。それが優一郎が聞いたあの男の名前だ。しかも葵は名刺まで優一郎に手渡している。優一郎は再び動き始めた映像を睨むようにして見た。
要にしてみれば訳がわからないことばかりだったという。神楽坂洋と名乗った少年が急に暴れ始め、裸の女と戦い始めた。その騒動の中で葵に廊下に放り出されたのだという。再度、喫茶室を覗いた要を怒鳴りつけたのも葵だ。
「で、ここから、パワーチェッカーはこの男にも反応しだしたと」
要が再び捉えた葵の髪と瞳はそれまでと全く異なる色をしている。空色。鮮やかなその色を脳裏に刻みつけながら優一郎は要に問いを投げた。すると憤慨したような要の声が返事する。
「ええ、全くもってその通りですわ!」
必要に迫られたため、要の機体に対龍神用のパワーチェッカーが仕込んであったことを、既に優一郎は話していた。そのチェッカーが動作する際、要の乳首とクリトリスが如実に反応してしまうのだ。優一郎は要に軽く頷いてから画面に向き直った。
この後のことは優一郎は直に目にしている。葵の叫びも自分の耳で聞いた。何も知らなければ良かったのに。腹の底からの声はその場にいた優一郎を硬直させた。優一郎の脳裏に葵の歌っていた歌がなぜか閃いたからだ。
そして葵は斎姫の機体を持って去ってしまった。暗くなった画面に向かって優一郎はため息をついた。何となく予測できることはあるが、それは優一郎が想像した末に導き出した答えに過ぎない。疲れた面持ちで腰を上げ、優一郎は要に近づいた。スティックを無造作に膣から抜く。微かに震えた要にありがとうございました、と声をかけてから優一郎は研究室を後にした。
エレベーターに乗って地下二階に降りる。とにかく要から得た情報をあらゆる面から調査する必要がある。自分が目にしたものももちろん調査しなければならないだろう。またしなければならないことが増えたことにため息をつきつつ、優一郎は私室のドアを開いた。
その瞬間、硬直する。私室の中は荒れ果てていた。予備に作られていた何体かの機体がばらばらになって床に転がっている。優一郎は急いで機体をチェックした。あの斎姫の機体を見た時から気にはなっていたのだ。何故、あの機体は動けたのだろうか。斎姫の機体は形は辛うじて保ってはいたが、足りないパーツがあった筈だ。もちろん、龍神の力が動かしていたのだとすれば納得は出来る。彼らの尋常ではない力が優一郎の予測を超えていたのだと言えるだろう。
だがそれだけではない気がする。優一郎は床に転がった機体の残骸を入念にチェックした。予備の機体は三体。優一郎は残骸を一つずつ手に取りながら頭の中で三体分のパーツを組み立てた。全ての残骸をチェックし終えて優一郎は目を見張った。足りない。残骸の中に明らかに足りないパーツがある。
優一郎は急いで部屋の奥に走った。そこには巨大な金庫が据えられている。苛立っていたためにパスワードの入力をミスしてしまう。優一郎が三度目にパスワードを入力した後、金庫の扉はゆっくりと開いた。
青い溶液の中で細かな気泡が揺らめく。だがそこにあるはずの斎姫の脳は影も形もなくなっていた。
この頃はまだ機械がちゃんと書けてません(泣)