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さだめというものがあるならばそれは何と気紛れで残酷なのだろうか。渇望し心底から求めてそれでも手に入れられない者が居る一方、何の欲望も抱いて居ないどころか何の関係もなかった者がそれをあっさり手に入れてしまう。
自分の中に蘇った膨大な記憶を反芻し、紛い物たちの悲痛なあがきを感じ取りながら栄子は吐息をついた。
『うむ、所謂ひとつの逆転の発想という奴だな』という前置きの後、総一郎から告げられた治療プランは完璧に成功した。いや、成功しすぎてしまった。
風龍神のフェイクのさらに出来損ないの四肢。その四肢にあわせて、栄子の残りの身体のほうを作り変えてしまえばいい。最初に総一郎から聞いた時には判らなかった治療プランの意味も今ならわかる。
相変わらずとんでもない発想をしてとんでもない事を実現してしまう人ね。
苦笑しながら栄子はひとりごちた。
彼が為し遂げたことがどれほどとんでもない事なのか、継承した記憶をきっちりと自らのものとした今ならはっきりわかる。
出来損ないでもない。フェイクでもない。失われて久しいはずの紛うこと無き本物の風龍神に、栄子は作り変えられてしまったのだ。
そして、この復活劇は誰にも知られていない。秘密研究所に張られたバリアは外部からの干渉は全て排除するからだ。たとえあの地上の王でもこのバリアを越えて感知能力を働かせることはできないだろう。
栄子は力を直接揮うのではなく、バリアと並ぶこの秘密研究所の目玉装備であるスーパー探知機を介して、現在の状況を把握すべく探査の網をめぐらせていた。
その網に、怒りと屈辱に震えるある魂がひっかっかった。
もっと強くおなりなさい。
彼はまだまだ未熟だ。しかし、無限大の可能性を秘めている。いつかは自分さえも従える存在になるかもしれない。
とりあえず甲斐性を磨くことね。
彼の傍らに存在する娘の様子を感知しながら、栄子は苦笑した。
娘はヒューマノイドになっていた。別にその事にはなんの感慨もない。あれはそうなるべき存在だったのだ。彼女も学ばねばならないだろう。自分は主でなく、あくまで他者に服属すべき存在であることを。
娘は彼に従属するだろう。扱い難い娘だがそれは彼にとって良き試練になる。とりあえず、甲斐性を磨くには最適だ。少なくとも、娘を含めて数人の女を同時に侍らせられるくらいになってもらわないと話にならない。
さて、総一郎さまが帰ってくるわ。
自分にはしなければならない事がある。ずっと胸の奥にしまいこんでいた想いを告げるのだ。結果はわかっている。だがそれは必要な事だ。
あの女のようにはなってはいけない。あのような生き方は歪みを生む。龍神となった自分にはそれは許されない。
ドアを開けて入ってきた総一郎に、栄子は満面の笑みを向けた。
総一郎さんは天才設定。