※この作品はR-18です。

魂の座 二部 緋色の遺言   作:伊駒辰葉

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完全に自分用のエピタイです!
エロシーン……微妙にあるといえばある……かな? です。


龍田流兵法術 1

 張りつめた小陰唇の間で僅かに黄色いそれが揺れる。要は声を殺して足を震わせた。検査用のスティックを握っているのは優一郎だ。優一郎はいつもと同じ穏やかな面持ちで要の機体を調べている。

 

 その日、要は機体のテストを行うために学校の施設である弓道場を借り切っていた。丁度、学期末テスト前ということもあり、部活動を行う生徒たちはいない。そのことは判っていたが、どうしても恥ずかしさがこみ上げてくる。袴の上で腰をぎこちなくよじった要は吐息を漏らして優一郎を見つめた。

 

「要さんは龍田流兵法術の奥伝名取を取得されているんですよね?」

 

 滑らかな口調で優一郎が告げる。要はええ、と頷いて軽く眉を寄せた。優一郎はスティックを要の膣に挿入しているだけだ。特に大した動きはない。なのに要の機体は僅かなスティックの動きに如実に反応していた。

 

 龍田流兵法術。それは抜刀術、柔術、長刀術、棒術、弓術、暗術をあわせた総合武道術を受け継ぐ流派だ。だがその流派は世間的な認知度は低い。何故なら代々の師範の意向で影の流派に徹しているからだ。流派の源はかつて闇の世界で活躍していた忍者であるという伝承まで残っている。

 

 何故、優一郎がその流派について知り得ていたのかは判らない。要は不思議な気分で優一郎を見つめた。

 

「僕が護身術を習った先生が、実は龍田流の師範代をやってらっしゃった事もある方だったんです」

 

 要の疑問を言われずとも感じ取ったのだろう。優一郎がそう説明してみせる。そこで要はああ、と納得した。幾ら責任者であるとは言っても、優一郎は生身なのだ。あの赤い女が暴れた事件現場に単身で乗り込んだのは、優一郎にもそれなりの自信があったからだろう。

 

 暗い空から雪が降りている。要は寒さを感じて身震いした。二人の吐く息は白い。

 

「まだまだ秋なのに、なぜこんなにも寒いのかしら?」

 

 本格的な冬にはまだ早い。なのに今年はいつもよりはるかに雪が早い。昨日のテレビでも気象庁が例年にない異常気象だと発表したと言っていた。要はしばし曇り空を見上げてから優一郎に目を戻した。いつの間にか優一郎は手元ではなく要を見つめている。視線を正面から受け止めた要は自分でも気付かないうちに頬を染めた。

 

 要の膣に挿入されたスティックからは細いコードが伸びている。その先は優一郎が持つ携帯端末に繋がっているのだ。要の戦闘能力のバランスをとるのが目的だ。優一郎は要から視線を外して手の中の端末を見た。軽く指で端末を弾く。要はぼんやりとその様子を眺めていた。

 

「今日は寒いのに、動作試験のために下着もつけず、性器を露出してもらってすいません」

 

 言われていることに間違いはない。だが気遣うような優一郎の言葉に要は真っ赤になった。確かに胴衣と袴以外のものは今は身につけていない。そのために何だか居心地が悪いのも事実だ。だがそのことを指摘されると、自分が思っていたよりも恥ずかしいことをしているのではないかという気になってくる。

 

 静かにスティックが膣から抜ける。優一郎に促されて要は立ち上がった。弓を手にして構える。要は矢を番えて狙いをつけたところでぴたりと身体の動きを止めた。目標である白黒の的の裏にはあらかじめ計測器が仕込まれており、要の番えた矢尻の向きを正確に測定しているのだ。

 

 0.02度ほど矢尻が右にずれている。要は優一郎に言われて眉を寄せた。胴衣の中で乳首が微かに動く。最初は随分と戸惑ったものだ。まさか乳首が側距センサーになっているなどとは思っていなかったからだ。

 

「要さん、センサーのフィードバックを参考に補正をかけて放ってみてください」

「わかりましたわ」

 

 的に狙いを定めて要は矢を放った。真っ直ぐに放たれた矢が的に吸い込まれるように走る。僅かの間の後、矢は狂いなく白い的の中心にあたった。息を潜めていた優一郎が要を褒め称えるように手を叩く。要は当然ですわ、と振り返った。

 

 要が手にしている弓は特別製だ。何しろこれは要の師範である男性から譲り受けた大事な弓なのだ。要はその弓をじっと見下ろした。

 

 懐かしい思い出が胸の奥に蘇る。要がまだ幼かった頃、母親の栄子に連れられて龍田流の道場を訪れた。栄子は師範と幾つか言葉を交わしてから要をその道場に置き去りにしてしまった。戸惑う要に最初に声をかけてきたのが、同じ年頃だった野木だった。そして野木の隣には周藤もいた。

 

 野木はあの頃から神経質そうな面立ちをしていた。対する周藤は元気いっぱいの明るい表情をしていたのをよく覚えている。彼らは幼い要をとても珍しそうに見つめていた。要は驚くやら怖いやら、どうしていいのか判らずべそをかいていた。

 

 同じ年頃の子供を見たのも初めてだったし、何やら物騒な物音がする道場も初めてだった。何も判らない要に野木は不器用にだが道場の説明をした。ここは強くなるための場所なんだ。そう告げた野木に周藤が元気よく頷く。

 

 要は結局、道場にしばらく寝泊りすることになった。師範はどうやらあらかじめ栄子とそういう打ち合わせをしていたらしい。戸惑う要を叱り付ける声はとても怖かった。だが師範は要を叱る時に決して手は上げなかった。もっとも、その声だけで要は充分に怖い思いをした。何しろ師範の本気の声は周辺の空気を震わせるほどに気がこもっているのだ。何も判らない要ですら、その声が他の人の声と違っていることは感じ取れた。

 

 要はめきめきと上達していった。やがては野木と周藤を追い越すほどの実力を身につけることが出来た。だがそれは同時に野木と周藤に、これ以上はないというほどの屈辱を与える結果になった。




どっちかといえば要の幼い頃の事情みたいな感じです。
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