とりあえずこれといった感じのエロシーンはありません。
要はじっと弓を見つめていた。そんな要に優一郎が声をかける。
「要さん、次は差矢を」
携帯端末を片手に優一郎が指示する。要は頷いてその場に腰を屈めた。左の膝をつき、右膝を立てる。背負った矢筒から矢を引き抜いて番える。流れるような動きで要は次々に弓を引いた。射た矢が真っ直ぐに的を目指す。要の射た矢は全て的にあたった。
お見事、と優一郎が告げる。全ての矢を射た要は静かに立ち上がった。
「わたくしだけの力ではありませんわ。この身体、素晴らしいですわっ!」
これまでの能力をはるかに上回っている。そのことを要は実感していた。機体の能力が高いからこそ出来たのだろう。先ほど射た矢は全てが的の中心にあたっている。そんな真似は以前の要には出来なかった。せいぜいが全てを的に入れるくらいだっただろう。
それは何よりです、と穏やかに笑ってから優一郎は要に目で合図した。要は戸惑って視線を彷徨わせた。これ以上に調整する必要があるのだろうか。だが要がそう告げるより早く優一郎が口を開いた。
「その場でけっこうです。袴をたくしあげていただけますか?」
言われるままに要は片手で袴をたくし上げた。自然と周囲を伺うように視線をめぐらせる。だがこの弓道場は借り切っているのだ。生徒の姿がある筈もない。そのことを判っていても要は誰かに見咎められたら、と不安になった。
あの日もやはり空は曇っていた。雪のちらついていたその日、師範は急に模擬戦を行うと告げた。当時の要は小学生だった。そんな要の相手をしたのが野木と周藤だったのだ。
道場に緊張が漂う。多くの弟子に見守られる中、要は弓を構えて矢を射た。あの時もやはり今と同じ差矢勝負だった。三名の弟子の背後には師範が控えていた。始め、という号令で三人は次々に矢を射た。
その日、要は友達を二人なくした。その代わりに二人の側近を得た。師範がそうしろと命じた訳ではない。潔く負けを認めた二人が自分から要に傅くことを選んだのだ。
ひんやりとした感触に要は微かに震えた。たくし上げた袴の中に優一郎の息遣いを感じる。要は思わず息をついて袴を握る手に力をこめた。
「冷却システムに改善の余地があるかもしれませんね。予想以上に性器が加熱している」
優一郎は指で確かめるように要の陰部に触れていた。要は熱い息をついて優一郎を見下ろした。何故だろう。どうして優一郎に触れられると、それだけでこんなに感じてしまうのだろうか。
ヒューマノイド化した要は定期的に野木と周藤による性的な奉仕を受けることになった。実際の行為そのものは今までとそう変わりない。なのに要は最近、満足したことがないのだ。
彼ら二人が至らないとは思えない。今でも彼らはよくやってくれている。それは要にもよく判っていた。変わったのは彼らではない。自分だ。そして要が満足できていないことを二人はよく理解しているようだ。奉仕行動の後、二人は心底辛そうに要に詫びる。申し訳ありません、精進いたします。その言葉を聞くたびに要は悲しくなるのだ。
違うのよ。あなた達に落ち度がある訳ではないの。そう、何度口にしようとしただろうか。だが傅く彼らにそれを言うのは逆に酷と思えた。何故なら彼らは要を満たすために、そして要を守ることを選んで今でも傍にいるのだから。
そっと息をついて要は目を閉じた。こうしていても判る。身体は優一郎に敏感に反応している。直接に触れられているということもあるが、傍に優一郎がいるということに特に過敏に反応しているのだ。
「とりあえず、季節的に今すぐに対処する必要はないでしょうが、来年の夏までには改良しないといけませんね」
ゆっくりと撫でるように優一郎が指の腹で要の陰唇を探る。要は思わず掠れた声を上げて仰け反った。手にしていた弓が音を立てて転がり落ちる。目を開けた要は切ない眼差しで優一郎を見た。
「そういえば性交システムはうまく機能していますか? 性器や乳首の機能や動作に不満はありませんか?」
言われて要はびくりと肩を震わせた。自分でも気付かないうちに泣きそうな顔になる。野木と周藤に落ち度はない。問題があるとしたら自分だ。それも身体が変わったから、という理由では恐らくない。変わってしまったのは自分の心だ。要はだがそれを優一郎には正直に告げることが出来なかった。
多輝や水輝を自分のものにしたいと思っていた。特に多輝は心から傍にいて欲しいと望んだ。だがそれは本当に多輝を好いていたからなのだろうか。本当はもっと別の、恋とは違う何かを自分は求めていたのではないか。今現在の自分の心を思うと要はどうしてもそう思えてならなかった。
「要さん。やはり、何かご不満な点があるんですね?」
静かに優一郎が告げる。穏やかな、だが有無を言わせぬ響きのある言葉だった。要は困惑しつつもとつとつと話し始めた。野木や周藤に奉仕されても満足できないこと。多輝や水輝を思っても、以前のようには感じられないこと。それらの話をするうちに要は胸につかえていたものが少しずつではあったが、溶けていくような気がした。
要は割とお手軽なようで、実はかなりの鉄壁なので後で苦労する人が(棒