エロシーンといえるほどではありません。
このエピソードで四章は終わりです。
「それでは、機能的な面で不満があるわけではないんですね? 心配していたんです」
言葉の通り、優一郎は心配顔をしている。要は首を小さく横に振った。機体の性能そのものは申し分ない。肉体を持っていた時よりもはるかに運動能力も高い。その点については何らの不満はない。
静かに滑った優一郎の指が要のクリトリスに辿り着く。要は思わず小さな声を上げて腰をひくつかせた。甘い快感がこみ上げてくる。
「運動能力を重視し、多目的センサーを組み込むために、要さんの性器や乳首は外観こそカムフラージュされていますけど、かなり機械的な構造になっています」
淡々と説明しながら優一郎がクリトリスを指の腹で弄る。要はそれまでとは違う強い刺激に唇をかんで声を殺した。
「ちょっと力を込めればここもバネ仕掛けになってるのがまるわかりです」
言いながら優一郎が指に力を入れたり抜いたりを繰り返す。その指の動きは要の快楽をいっそう深くした。袴を握る手が震え、足から力が抜ける。要は膝を折ってその場に座り込んだ。無造作に要の腿に手をかけ、優一郎が陰部を弄る。
「あっんっ……別に、気にしてませんわっ!」
機体の機能を充実させるにはそうするしかなかったのだろう。そう思いながら要は返事した。何もかもを望むのは強欲すぎる。それに機械的とは言っても感じている快楽そのものは以前よりはるかに強い。
もっともそれは相手が優一郎の時に限られる。要は目を潤ませて改めて優一郎を見つめた。端正な面立ちには穏やかな表情が浮かんでいる。多輝や水輝とはまるで違う。なのにどうして自分はこんなに優一郎のことが気になるのだろう。
「機械なのですから、機械的なのは当然ですわ。わたくしはそのような些細なことについて悩んでいるわけではありませんの」
途切れ途切れに告げ、要は軽く腿を開いた。不思議そうに優一郎が要を見つめる。その視線すら、要には快感になる。甘い息をついて要は優一郎の手をそっと握った。陰部に触れていた優一郎の指に自分の指を絡める。導くようにして要は優一郎の指を小陰唇の間に触れさせた。膣内に満ちていた愛液が優一郎の指に押されるようにして溢れてくる。
「要さん?」
戸惑ったように優一郎が呼ぶ。要はうっとりと優一郎を見つめて口許に笑みを浮かべた。優一郎の指をそっと膣の中へと導く。驚いたように優一郎が目を見張った。
「覚えてますわ。わたくしのはしたない姿をみていたら理性を保つ自信がないと、そう仰っていましたわよね?」
膣の中に入っていた優一郎の指がぴくりと動く。要は艶やかな笑みを浮かべて吐息をついた。困惑したように優一郎が視線を彷徨わせる。
「あなたの好きにして、よろしくてよ」
「か、要さん!?」
慌てたように優一郎が声を上げる。要は目を潤ませて大胆に足を開いた。濡れそぼった陰部を優一郎に晒す。指を絡めた優一郎の手を動かす。引き寄せるようにして要は片腕を優一郎の首に回した。
「まさか、わたくしを抱くのは嫌だなどと仰っしゃるつもりはありませんわよね?」
優一郎に特定の彼女がいることは知っている。吉良瀬斎姫。彼女は校内でも有名だ。何しろあの吉良瀬財閥の関係者なのだ。そして彼女は優一郎の隣に並んでも遜色ないほどの美貌の持ち主だ。
もし、優一郎が自分のことを抱きたくないと思ったら。要は急に不安になった。
「そんなこと、あり得ません。ですけど……」
そう言って優一郎は自嘲するように笑った。要はどうしたのか、と優一郎に問い掛けた。相手の欲求を逆手にとって誘惑する素振りはしているが、要は内心では気が気ではなかった。優一郎を想っていることがもし知れてしまったら。これまで好いた相手には他人の目など全く気にせずアタックしていた。それに比べるとこの時の要の思いは全く異なっていた。
「自分が怖いんです。今の要さんは機械です。その気になれば僕は要さんを自由自在に操ることも出来ます」
確かに優一郎の言った通りだ。だがそれを聞きながら要はもどかしさを感じていた。ためらう優一郎に言ってしまいたくなる。だからこそ、自分は優一郎が気になるのだ。
今まで要をそんな風に扱った者はなかった。野木や周藤だけではない。周囲にいる者たちは要を敬い、傅いている。言わば要が彼らを操り、意のままにしているのだ。そして要はそんな彼らに囲まれた生活が当り前に思ってきた。
だが今は違う。機械の身体になった瞬間から、自分は優一郎を欠いては生きられなくなった。それはある意味、優一郎の意志に無条件に従う身体になったということだ。
「僕は自分自身に枷をはめてきました。それが外れたら、要さんにどんな不埒なことをするか自分でも予想がつきません。自分が怖いんです」
何かを悔いるように優一郎が目を背ける。要はそっと優一郎の手を握った。ためらうように動きを止めていた優一郎の指を自ら膣内に出し入れする。それと同時に要は優一郎の額に唇を寄せた。それが今の要に出来る、精一杯の意思表示だった。
「今だって、充分不埒ですわ……」
吐息混じりに告げると優一郎がじっと要の目を見つめる。要はゆらりと腕を動かして優一郎の制服に触れた。ネクタイを指で引きながら優一郎の指を膣の奥へと導く。それまで動きのなかったその指が、ゆっくりと膣壁をなぞった。
「んあっ……! わたくし……あなたのこと、これから、優一郎さまとお呼びしますわ……」
潤んだ目で要はそう告げた。構いませんわよね。囁き声で続けると、優一郎は黙って首を縦に振った。
要陥落ー。とりあえずですけどもw