機械相手です!!
胴衣に身を包んだ要を抱きかかえて戻っても、保美は一言も発さなかった。静かに頭を下げる保美に頷くだけの返事をし、優一郎は地下に続くエレベーターに乗り込んだ。
要は優一郎に身体を預けたまま何の反応もしない。優一郎は口許に笑みを浮かべて腕の中の要を見下ろした。はだけた胴衣の隙間から胸の膨らみが覗いている。だが要に先ほどまでの激しい痴態は伺えない。今はただ静かに目を閉じているだけだ。
先の事件によって地下の二階はそれまでとは構造が変わっている。一度目は火龍神による被害から外部の敵に対しての防御システムを強化せざるを得なかった。二度目のそれは内部からの攻撃に対しても防御できるよう、研究室周りには特に監視システムを張り巡らせ、情報は即時に知らされるように設定する必要があることを優一郎に教えた。
そして今、地下の二階にはあらゆる手段をこうじて敵の進行を食い止められるよう、最新の防犯設備が整えられている。優一郎はそんな地下二階を悠々と歩いた。エレベーターから降りた直後に個人認識システムが作動した以外は優一郎の行動を止めるものはない。
システムが優一郎の腕の中の要に反応しないのは、機体そのもののシステムが停止しているからだ。そう。今の要は完全に壊れてしまっているのだ。
「クリトリス、ちょっと引っ張っただけだったのにね」
あられもなく悶えた要はそれきり無言になった。その時のことを思い出して優一郎はくすくすと笑った。激しい快楽に晒されていたためか、要にはいつもの高飛車な態度は感じられなかった。最初は優一郎の欲望を満たすという格好で誘った要だが、その本心が別のところにあったことを優一郎はその時に既に見抜いていた。あえて要の意に従う素振りをしたのは、その方が効率的に要を欲情させられると踏んだからだ。
他の誰でもない自分を見つめる人形になればいいと思った。だから要を抱いたのだ。優一郎は小さく笑いながら研究室のドアを開けた。あれだけ散らかっていた部屋は既に片付いている。ばらばらになった幾つかの機体は元の形に戻して再び実験台に乗せた。優一郎は空いた実験台にそっと要を横たえた。優しい手つきで要の髪を撫ぜる。
「君は予想以上に僕に忠実で使える人形になりそうだね」
口許に嗤いを刻んで優一郎は囁くように告げた。溜まった鬱憤を晴らすために優一郎は要を壊れるまで抱いたのだ。だが要自身は恐らくそのことには気付いていない。もっとも、気付いたところで優一郎に抱かれた瞬間にそんなことは気にならなくなっただろう。それがマスターである優一郎と人形の要の正しい関係だ。
弓道場に誰も来ないように野木と周藤は入り口に座して見張っていた。要を抱えて悠々と過ぎる優一郎に二人は無言で頭を下げた。だが内心は気が気ではなかっただろう。それまで聞いたことのないような要の喘ぎ声が絶え間なく響いていたのだ。当然、弓道場で何があったのかは言わなくても判るだろう。だがそれでも二人は優一郎に何も言わなかった。それは優一郎を欠けば要の命を維持出来ないと知っているからだ。
ハンガーにかけてあった白衣を取り上げ袖を通す。いつも通りに白衣に身を包んだ優一郎は改めて要に近づいた。無造作に袴をめくり上げて要の股間を晒す。精液と愛液に塗れた股間を優一郎は嗤いながら覗き込んだ。
「ヒューマノイドは人間じゃない。機械仕掛けの人形にすぎない。僕はその言葉の意味をちゃんと理解できていなかった」
そう呟きながら優一郎は白衣のポケットから一本のスティックを取り出した。細いそれは先が球状になっており、コードで端末に繋げられるようになっている。優一郎は要の膣内にスティックを差し込んだ。端末にコードを繋げて膣内の様子を探る。ペニスで激しく突かれたため、要の膣壁はあちこちが擦り切れている。
「膣もぼろぼろになっちゃったね。クリトリスも半分外れちゃってるし。でも機械だから」
修理すれば簡単に元通りだよ。笑いながら告げて優一郎はスティックを更に奥に押し込んだ。かちり、という小さな音がしてスティックが膣の奥に隠れている接続端子に繋がる。ほどなく端末には要の機体状態が表示された。
人形であると割り切れなかったために斎姫の修理は遅れた。ヒューマノイドが生きた人間ではなく、ただの人形であると理解していれば斎姫は奪われなかった。何故なら優一郎はこれまでヒューマノイドをただの作り物だとは思っていなかったのだ。
生きた人間を模したもの。それがヒューマノイド工学における、ヒューマノイドの定義だ。その時点で気付くべきだったのだ。そう、ヒューマノイドは決して人間にはなり得ない。あくまでも作り物、人形に過ぎないのだ。
スティックの入った要の膣から透明な液体が滲んでくる。内部を洗浄するために膣内から洗浄液が滲み出しているのだ。優一郎は棚から消毒済みのタオルを取り出し、要の腰の下に敷いた。洗浄液に混ざって白い精液が流れてくる。
「機械なんだから機械的なのは当然。あたりまえだよね、機械は機械なんだから。なんでそんな事に気づかなかったのかな」
人らしい反応を求めるのが間違っているのだ。マスターはマスター、人形は人形。その関係に例外はない。そしてヒューマノイドは朽ち果てるまでマスターである人間を慕い、命令を忠実に実行する。
笑う優一郎の胸の奥に微かな苛立ちが生まれる。機械は機械だ、と言いながら優一郎自身、まだはっきりとそう割り切れている訳ではないのだ。だが優一郎はあえてその苛立ちを無視した。
斎姫がヒューマノイドだと知った時、心の底から嬉しいと思った。だが同時に少しだけ残念に思った。その時のことを優一郎は意図的に思い出した。自分はどうしてそう思ったのか。何故、残念だと感じたのか。斎姫が望むままのヒューマノイドであったなら、何も問題はなかった筈なのだ。優一郎は自分で自分をそう問い詰めてみた。
自分は斎姫を作りたかったのだ。人間である斎姫を自分の人形にしたかった。そう、自分の手で、だ。他の何も見えなくなるように、自分だけの人形にしたかったのだ。優一郎はそう答えを出してくすくすと笑った。それだけで苛立ちがすうっと消えていく。
優一郎は基本的にはドSなのです。