ちょっと長めですが一気にアップします。
施工日程にそって作業は順調に行われている。黄色い安全第一のキャップを被った優一郎は案内の男性に従ってロボットのあちこちを見て回った。納入予定日は二日後だ。場所は学校のグラウンドを指定している。これなら大丈夫かな。優一郎は内心でそう呟いてその巨体を見上げた。
搬入後の生徒の騒動を予測して、グラウンドは冬休みまで利用が禁止されることになっている。手続きを行ったのは要だ。さすがに様々な突発的な事態に慣れている生徒たちだとは言っても、これだけの大きなロボットが校内にあれば騒がずにはいられないだろう。そう告げた優一郎に要はすかさず同意したのだ。
その日の打ち合わせを済ませ、優一郎は久しぶりに家路についた。家に戻るのは何ヶ月ぶりだろうか。だが戻ってもきっと誰もいないだろう。そう思いながら優一郎は家のドアを開けた。やはり、予想した通り、家は無人だった。研究室の方には明かりが灯っているから、研究員の誰かはいるのだろう。
家にいると色んなことを思い出す。優一郎は自室に入って明かりを灯した。鞄を放ってベッドに横になる。幼い頃のことを思い出しながら優一郎は小さく笑った。あの頃から優一郎は必死だった。いい息子を演じようと懸命に努力をしていたのだ。だが時にその努力は的外れの方向に進むことがあった。そんな時、困ったように笑っていた由梨佳のことを思い出す。
そうしているうちに優一郎はいつの間にか眠ってしまった。目覚めた時にはもう外が明るくなりかけていた。どうやら自分が思っていた以上に身体が疲れているらしい。それは当然か。優一郎はそう呟きながらのろのろと身体を起こした。先日、力の試し撃ちをした。その際に受けた反動がまだ消えていないのだ。
だが間違いなく力は葵に到達しただろう。きっと今ごろは苦しんでいるに違いない。そのことを思いながら優一郎はくすくすと笑った。斎姫をさらったりするからだよ。そう呟いてベッドを降りる。
シャワーを浴びて身支度を整えてからキッチンに向かう。だが冷蔵庫の中身は空っぽだし、他に食べられそうなものもない。本格的に長く家を空けるつもりである由梨佳がそんなものを残しておくはずがない。優一郎は仕方なくコーヒーだけをいれることにした。幸い、冷凍庫にインスタントのコーヒーが入っていたのを見つけたのだ。
湯が沸く間、優一郎は端末を使ってニュースのチェックをした。いつもなら新聞を読むのだが、長期不在のためにか新聞も止めているらしい。これで水道や電気まで止まっていたらさすがに部室に戻るしかなかっただろう。だが運良く、それらは生きている。優一郎は笛を鳴らしたやかんの湯をカップに注ぎ分けた。何とかそれらしい香りが立ち上る。
コーヒーを啜りながら優一郎は無言で椅子に腰を下ろした。開きっぱなしになっていた端末の画面には今日のニュースが表示されている。まだ朝の六時だ。外は何とか明るくはなってきているが、人の気配などを感じられるほどではない。優一郎は窓の外の日差しをぼんやりと眺めながらカップを傾けた。
不意に電子音が鳴り響く。優一郎はびくりと震えて慌てて音のした方を見た。電話だ。優一郎はそのことに気付いてほっと胸をなで下ろした。立ち上がって受話器を取り上げる。
優一郎が名乗る前に電話口の向こうからよく知った声が聞こえてきた。
『もしもし、優一郎? 良かった……。家に居るとは思わなかったわ……』
どうやら由梨佳は優一郎を探してあちこちに電話をかけたらしい。だがいつもいる学校の部室にもおらず、生徒会に問い合わせても判らないと答えられたらしい。なるほど、確かに昨日から今日にかけての自分のスケジュールには自宅に戻ることまでは入っていなかった。要もそれ故に答えられなかったのだろう。優一郎は苦笑してどうしたのかと問い掛けた。
だが内心は気が気ではなかった。相手は由梨佳だ。ヒューマノイドを作りながら由梨佳に欲情する自分を思い返しながら優一郎は由梨佳の答えを待った。由梨佳は焦ったような声で告げる。
『多輝さん、は知っているわね? 彼女について頼みたいことがあるの』
そう告げる由梨佳の声にはいつもの張りがない。怪訝に思いつつも優一郎は話を邪魔しないよう、口を挟まなかった。
多輝は今、立城の屋敷にはいない。それを聞いた時、まず優一郎は驚いた。多輝はてっきり今でもあの屋敷にいるのだと思っていたからだ。次いで聞いた事に更に驚く。どうやら由梨佳も屋敷にはいないらしい。優一郎はちらりと電話機本体に目をやった。だが由梨佳がどこから電話をかけているのかは表示されていない。
「いったい何があったんですか? 立城さんの指示なんでしょうか?」
だがそう訊きながら優一郎は自分の質問が図星をさしていることを知っていた。立城の指示でなければ由梨佳や多輝は屋敷から出てはいないだろう。それに多輝のことについて由梨佳が何事かの相談を持ちかけてくる、ということは多輝の機体に優一郎が何らかの関わりがあると知っていなければ無理だ。その情報を由梨佳に与えた者がいるとすれば。優一郎がそう考えをめぐらせている間に由梨佳は答えた。
『そう……よ。立城さんに、あなたに見てもらうようにって』
告げる由梨佳の声はかなり苦しそうだ。優一郎は目を細めて天井を仰いだ。意識が勝手に由梨佳に向く。きっと今、由梨佳は相当のストレスを感じているだろう。原因は判らないが、電話の向こうにいる由梨佳はかなり苦しんでいるようだ。このまま放置すればきっと由梨佳は我慢が出来なくなり、自慰をし始める。それもいいかな、と一瞬考えてから優一郎は頭を振った。
「つまり、多輝が故障して母さんでは治せない。だから立城さんから僕に修理してもらうように指示を受けたと。そういう理解でよろしいですね?」
由梨佳の話をまとめて優一郎はそう告げた。すると電話の向こうで由梨佳がほっと息をつく。優一郎は目を細めて片手をそっと股間に這わせた。由梨佳と話をしているだけで性的な興奮が高まってくる。淡々と由梨佳と話をする傍ら、優一郎はそっと制服のジッパーを下げた。
勃起しきったペニスを軽く握る。優一郎は息を潜めてペニスをゆっくりと扱き始めた。電話の向こうではしきりに由梨佳が多輝を心配している。機体は正常なの。でも目を覚まさないの。その心配そうな声に耳を傾けながら優一郎は目を閉じた。
「わかりました。直ぐに向かいますよ。ただ、母さんのほうは大丈夫なんですか?」
電話の向こうで由梨佳が沈黙する。その沈黙の隙間にごく僅かに荒い息遣いが聞こえる。優一郎は電話を強く握り締めてペニスを扱く手の動きを速くした。
「もしかして、かなりストレス溜まってます?」
呆れた声で優一郎は告げた。するとそんなことないわ、という慌てた声が返ってくる。優一郎は薄く嗤いながら自慰を続けた。焦ったように由梨佳が話を打ち切って電話を切ってしまう。優一郎は切れた電話を耳にあてがったままくすくすと笑った。
射精の衝動がこみ上げる。優一郎は由梨佳を思いながら息を殺した。電話機を戻して片手を伸ばす。乱暴にティッシュを数枚抜いて眉を寄せる。その直後、ペニスの先から精液が迸った。あてがったティッシュの中に熱い精液が染み込んでいく。
ヒューマノイドは人形だ。それ以外の何物でもない。優一郎は荒い息をつきながらそっと目を閉じた。ペニスを拭ってズボンの中に押し込む。ジッパーを上げてから優一郎は手にしていたティッシュを丸めてくずかごに放り込んだ。
由梨佳大好きが刷り込みなので、仕方ないですね……。