見ろ、アソコがまるで石の様に! ジョンは異世界で新世界の神となる! 作:昆布 海胆
こちらも以前完結済み作品です(あまり長くはないです)
「なんて事なんだ・・・」
俺事『ジョン』は絶望に打ちひしがれていた。
運送会社で働く俺はある日、同僚がいつもの様に発狂して怒鳴っているのを宥めようとした。
その時に落ちていた荷物を踏んで転んで、その上に荷物が落ちてきてその下敷きに・・・
更に助けようと駆け寄ってきた同僚が足を滑らせ、その荷物の上にダイブしてきた。
なんとか一命を取り留めたが、体中打撲で救急車を呼ぶことになった俺に更に不幸は続いた。
担架に乗せられて救急車まで運ばれ、車内へ運び込まれたまでは良かったのだが、発進と同時に閉まってなかった後ろ扉が開いた。
そのまま担架に乗せられたまま道路を走り出した俺、偶然真後ろを走っていた除雪車に止めとばかりに轢かれた。
そして、衝撃で吹き飛んだ俺はそのまま近くの真冬の川に転がって落ちて、そのまま凍死したというわけだ。
「ジョンさん、目覚めなさいジョンさん」
声が聞こえて目を開けるとそこには絶景のブスな女神様が居た。
俺的美的センスが決して一般的とは言わないが、それでも異様に酷い容姿をしたその女神様は言ったのだ。
「運命改革に巻き込まれて貴方は死んでしまいました。ですが異世界に転生させますので頑張って下さい」
有無を言わさず転生させられた俺を待っていたのは良くあるファンタジー小説的な展開であった。
近くの町まで移動して持ち物だった日本の小物を売り払って、町に入り生活の為に冒険者登録をしに冒険者ギルドへ来たのだが・・・
名前:ジョン タカダ
レベル:1(MAX)
HP:35
MP:0
攻撃力:3
防御力:3
魔力:0
スキル:石化
ここで冒頭に戻るわけだ・・・
「あの・・・ジョンさん、大変申し上げにくいのですが・・・」
「あっ大丈夫です・・・なんとなく言いたいことは分かります・・・」
そう、触れるとステータスが見れると言う水晶玉に表示されたステータスを見れば一目瞭然。
まずレベルが1でMAXと言う事はこれ以上上がらないと言う事。
事前に聞いたとおりHPやステータスは一般人より少し少ないくらい。
魔力が無いので魔法は使えず、所持しているスキルは石化という1つのみ。
一目見て「あっこれ詰んだ」と分かる素敵仕様って訳だ。
「いえ、そうではなく・・・ステータスが基準値を下回ってますので当冒険者ギルドでは登録がえっと・・・」
更に俺に追い討ちを仕掛ける異世界らしい青いショートヘアの受付嬢は申し訳なさそうに口にする。
つまりあれだ、冒険者登録が出来ないので仕事が出来ない。
正真正銘住所不定無職が確定した訳だ。
「お世話になりました・・・」
「あっ待って下さいジョンさん!」
「えっ?」
捨てる神あれば拾う神ありと言う言葉の通り、呼び止められたジョンは振り返る。
しかし、現実は常に非情だ。
「鑑定料金218enになります」
所持金が100enを下回り、食べ物が何も買えなくなった瞬間であった・・・
「さっさと出すもの出せや」
この世界は何処まで過酷なのか・・・
ジョンは冒険者ギルドを出てフラフラと歩いていたら数名のゴロツキに絡まれ裏路地へ連れ込まれていた。
あれだ、日本風に言うならずばりKATUAGEってやつだ。
有り金全部出しても命まで取られない日本と違いここは異世界、人の命なんて馬の糞と同じくらいの価値しかない。
「もういいや、お前死ねや。後からゆっくり物色するわ」
目の前に立つ男が振り上げたのはハンマーの様な鈍器。
そのまま自分の頭に振り下ろされれば俺の2度目の人生は終了だ。
そう言えば家に残してきた猫達は無事なんだろうか・・・
同棲していた女が居るには居たが、そいつよりも猫の事を最後に心配した自分がおかしくなり小さく笑う。
それを不気味に思ったのか一瞬男の動きが鈍った。
「な、何がおかしいって・・・えっ?」
今にも振り下ろされそうとしていたハンマーは何時まで経っても降りてこず、ジョンはそれを見て驚いた。
そう、目の前の男の肩から先が石化していたのだ。
その場で同じようにジョンが逃げられないように包囲していた男達も裏返った声を上げる。
「て、てめぇスキル持ちか?!」
正面の男の言葉に周囲の男達が一斉に攻撃を仕掛けてきた。
ナイフを突き出す者、蹴りを入れてくる者、角材で殴りかかる者。
だがその攻撃を仕掛けようとした者のその部分が同じ様に石化して動かなくなる。
結果、ジョンは一切の怪我を負う事無くその場に立ち尽くす。
「ひ、ひぃいいいい化け物だ?!」
「ま、待ってくれ~」
「置いていかないでくれー!」
男達が蹴りを入れようとして足が石化した男を残して逃げていく。
その場に残されたジョンとその男は目を合わせる。
先程までと完全に立場が逆転した2人、男は震えながら命乞いを始める。
「ま、待ってくれ俺が、俺達が悪かった!頼む助け・・・」
「俺が命乞いしてもお前は殺していただろ?」
そう言ってジョンは男に手を翳す。
彼の頭の中にはゲームやアニメで培った知識があった為か無意識にそうすればいいのだと理解していた。
「石化!」
ジョンが口にすると共に男は完全に石となり動かなくなった。
「これが・・・俺の・・・力?」
後にたった一つのスキルのみで世界一恐れられる人間となった魔王と呼ばれる男の誕生であった。