見ろ、アソコがまるで石の様に! ジョンは異世界で新世界の神となる! 作:昆布 海胆
「ひひっ!やった・・・やってやったぞ!これで俺は賞金が・・・」
そう喜びながら森の中を駆け出す1人の冒険者。
暗殺専門のBランク冒険者で名前はデジタ。
暗殺一本でBランクまで上がった彼の能力は潜伏や潜入と言った隠密系スキルに偏っていた。
森の中を足音を立てずに駆け抜けるその技量も凄いのだが、何よりも彼の持つ武具に秘密がある。
今回ジョンに使ったのも複数の呪術を混ぜ合わせたオリジナルブレンドの猛毒を込めた特注品であった。
解除魔法は存在せず、喰らえば死は確実。
だからこそ彼は既に勝利を確信していた。
その瞬間までは・・・
「へっ?へっ?へぇえええええ?!?!?!」
地面が持ち上がる。
森が急に斜面になり、逃げようとしている方向が見る見る山に変化していくのだ?!
転げ落ちそうになりながらも生えている木に捕まるが、その木すらも根から抜けて落下していく・・・
それは反対側もであった。
そして、その下には赤い髪を逆立てて赤い目で見上げるリーゼの姿が在った。
「アルティメットクエイク!」
地面を変動させ地割れを起こす魔法クエイクを賢者の石を利用し、とてつもない魔力を消費することによってリーゼは新たなる魔法へと進化させた。
それは地面を自由に隆起させて変化させる魔法。
まるでつり橋を上げるようにリーゼは自身を中心とした周囲の地面をまるまる持ち上げ、自分の所へ落ちてくるあり地獄の様にしたのである!
「アソートメント!」
今度はマヤであった。
こちらも本来なら混ざり合った物から一つの物を抽出するだけの生活魔法アソートを賢者の石を利用して強化した更なる新魔法。
思い描いた物を瞬時に仕分けするこの魔法で落下してくる人や木、森の動物等に分けていったのだ。
光の円が空中に出現しそこを通過した物は全て仕分けされて地上に着地する。
木々は全て寝かせて積み上げられ動物は開放される。
そして、落下してきた人間は一箇所に固められた。
その前に怒り狂うリーゼが立った。
「さぁ、ジョンさんを元に戻せ」
倒れているジョンには既にマヤの絶対回復魔法が使用されているが、毒のせいで意識が戻らないままであった。
そんなリーゼの左手の上には風の球体が出現していた。
「ま、魔女め!世界を滅ぼす化け物と言うのは本当だっ・・・」
1人の兵士が口にした言葉が待っている返答ではなかった為リーゼは左手の魔法を投げる。
風の球体が通過した場所は綺麗に抉り取られ、兵士の顔面に穴が開いていた。
そのままドサリと倒れる兵士の姿を見て誰もが震える。
「もう一度だけ言う、ジョンさんを元に戻せ!」
今度は同じ球体が数百個空に浮かんだ。
それを全てコントロールしているその魔力に魔法が使える者は震えた。
そんな中、数名の冒険者がジョンに使われた毒に心当たりがあったのかそっちを見た。
勿論その視線にマヤが気が付きリーゼに知らせる。
「あいつみたい」
「分かった。他のヤツは逃がしてやる、ただし・・・」
リーゼが口にした逃がすと言う言葉に安堵した瞬間彼らの周りに炎の檻が出現した。
「ジョンさんが助かったらな」
そう言ってリーゼが指を鳴らすと檻の炎の天井が少し下がった。
助からなかったら全員炎の檻に焼かれて死ぬ・・・
その恐怖に震えたまま彼等は1人の男を差し出した。
Bランク冒険者デジタである。
「さて、助けられなかったらどうなるか分かってるだろうね?」
「ひっうわっ?!」
そう言ってリーゼは風の輪を生み出しそいつの手足に飛ばした。
それはまるでブレスレットの様にそいつの手首と足首に装着されて固定された。
「早くしろ!」
「わっ分かった」
そう答えてデジタはジョンの側に寄る。
だが勿論デジタにすらその毒を解除する事は出来ない。
本来毒と呪術は相性が悪い、両方同時に掛かると互いが互いの対処法を打ち消し合って回復が不可能になるのだ。
だからこそ暗殺専門のデジタは愛用していたのだがそれが完全に裏目に出た。
「じ・・・時間がかか・・・がぁっ?!」
「今すぐだ」
その瞬間デジタの左腕が吹き飛んだ。
それを瞬時にマヤが回復魔法でその腕を復元させた。
それと共にリーゼが再び無くなった風のブレスレットを装着させる。
「ひっひぃいいいいい!!」
「早くしろ!」
「はっはぁいいいいいい!!!!」
その光景を見詰める炎の折の中の一同は絶望した。
毒の除去は不可能で自分たちはこのまま炎に焼かれて死ぬのみなのだと理解したのだ。
リーゼの怒り狂った表情、マヤの笑顔のままの怒りは一同を絶望させるだけの迫力を十分に見せていた・・・
「ん?ここは・・・?」
『ようやく帰ってきましたか』
そこは真っ白の空間であった。
そこにジョンは横たわっており、目の前には見覚えのある不細工が立っていた。
『さぁ貴方の人生は終わりました。輪廻に戻りその魂を・・・』
「えっと女神様だったよな?どういうことだ?」
『貴方に質問の権利はありません、どうしようもないステータスとスキルだけ与えて放り出したのにどうやって生き長らえたのか知りませんが・・・』
「2人を残してまだ死ぬわけにはいかないから戻して下さい」
『無理です。貴方は死にました。早く消えてもらわないと私も困るのです』
「無理です。消えたら俺が困るんです」
『・・・・・・』
「・・・・・・」
ジョンは立ち上がり女神の前に腕を組んで向かい合う。
無言の無愛想な女神は薄く目を開けてジョンを見下します。
『下種なゴミが私に意見するんじゃない!お前は予定通り死んで私の成果となるのだ!』
恐ろしい程の威圧と感情がジョンに襲い掛かり一歩ジョンは後ろへ下がった。
だがジョンは女神の言葉に違和感を覚えた。
「予定通り死んで?どういうことですか?」
『うるさいうるさい!お前等下種なゴミの命は私の予定通りに死んでくれればいいんだ!だからさっさと消えろ!』
真正面から放たれた威圧はドクロの顔になりジョンに襲い掛かる。
だがそれをジョンはスキルで石化させた。
ゴトリと地面に落ちる石の骸骨・・・
それを見て女神は固まった・・・
『あぁ?!あなた!?』
「えっ?旦那さんだったの?!」
慌てて拾い上げる不細工な女神はそれを手にしてワナワナと震えた・・・
『ゆ・・・許さない・・・よくも私の最愛の人を?!』
「えぇ?!しかもそれ人なの?!」
どうにも緊張感に欠ける二人は向かい合う。
不細工な女神とジョンの一騎打ちが何故か始まる・・・