見ろ、アソコがまるで石の様に! ジョンは異世界で新世界の神となる! 作:昆布 海胆
冒険者ギルドに戻ってきたジョンは相変わらずその中の空気に拒絶を覚えていた。
それも仕方ないだろう、時間は夕方で依頼を終えて帰って来た冒険者達が中で列を作っているのだ。
成功報告を上げて報酬を受け取り、そのまま隣接された酒場で打ち上げを行なう者達は汗で汚れたままなのだ。
そうなれば必然的に汗臭い空間が広がっていた。
「これで少しはマシになればいいが・・・」
そう言うジョンは冒険者ギルドの床を能力で石化させた。
元々石で出来ているので誰の目にもそれは分からなかったが、床が消臭石になった事で多少なりとも臭いがマシになっていた。
魚のグリル等に使われる石の上に立つと言う状況に薄ら笑いをしながらジョンは列の最後尾に並んでいた。
「あの・・・依頼はこっちじゃなくてあっちですよ」
そう声を掛けてきたのは小柄なエルフだった。
オドオドした様子の彼女はジョンのステータスを観たのであろう、冒険者登録するには一定のステータスが必要と言う事は冒険者の中では常識なのである。
なのでジョンを見た彼女は冒険者ではなく依頼を出しに来た者だと判断したのである。
そんな彼女は少し涙目であった。
きっと少し前に泣いたのだろう。
親切心からそうやって声を掛けられたジョンは彼女の様子に目が行った。
何処か痛めているのか少し辛そうにしていたのだ。
「大丈夫ですか?何処か怪我でも?」
「い、いえ・・・ちょっと胸を打っちゃって・・・」
エルフは美形という話はファンタジー物の常識と聞いた事があるが彼女を見て納得であった。
だがおっぱい星人のジョンは胸が小さいエルフと言う種族が顔が美人でもそれ程興味を持たなかった。
おっぱい+美人なら良かったのだが片方だけでは駄目なのである。
「ははっまた失敗したのかよリーゼ」
後ろから声が掛けられてその声に嫌そうに表情を曇らせるエルフの少女、どうやら名前がリーゼのようだ。
振り返ると背中に巨大な斧を背負った悪そうな顔をした男が立っていた。
「違う・・・まだ期限まで数日ある・・・」
「だからお前には無理なんだって、大人しく俺の女になれば手助けしてやるよ」
そう言って舌舐め摺りする男にジョンは嫌悪感を覚えた。
常日頃から彼女の事を狙っているのだろう、そう感じたジョンはリーゼの前に立ち男を睨む。
「あっ?なんだお前?俺とやろうってのか?言っとくけど容赦はしねーぞ?」
そう言って見下す様な視線をジョンへ向けて口にした男、その男に向かってジョンは中指を立てて告げた。
「これで許してもらえませんか?」
最後尾に並んでいた彼らの様子は当然周囲からも見られていた。
だが周りからはジョンの背中しか見えていない、当然ジョンが謝っている様にしか見えなかったのだ。
だが中指を立てられた男は当然ブチ切れる!
「ぶっ殺す!」
背中に背負っていた斧に手をかけてジョンに振り下ろそうとした時であった。
後ろからリーゼが小さく悲鳴を上げたが、気にせずにジョンは男の胸元を軽く押した。
「おっおぉっ?!」
そのまま男は背中の斧を掴んだ状態のまま後ろへ激しく倒れた。
一体何がどうなっているのか分からない様子の男の腹にジョンは告げる。
「大丈夫ですか?」
だが男は返事を返さない。
既に彼の心臓は石化させられ停止していたのだ。
そして、直ぐにジョンは石化を解いて男を自由にする。
一時的にとはいえ心臓を止められた男は苦しさから気絶してしまったのだ。
勿論後ろに倒れたのは背負っていた斧を石化で重石に変化させたからである。
「なんだこいつ?斧の重さで後ろに倒れて気絶したぜ?」
「はっ仕事で疲れていたんだよきっと」
「ほっとけほっとけ」
誰もが男の様子を見て笑いながら言葉にする。
だがリーゼだけはジョンの行動を理解していた。
そして、ジョンがステータス以外の特殊な力で男を圧倒したと言う事を理解していたのだ。
「あ、あの・・・」
「あ~なんか勝手に倒れて気絶しちゃいましたね」
ジョンのその言葉にリーゼは驚きつつもそう言う事にしたいのだと理解し、今まで見せなかった微笑をジョンへ向けた。
その後、職員の手で運ばれた男を放置して順番がやってき、ジョンは受付で小さく告げる。
「ここのトップに伝言を頼みます。冒険者登録をしに明日また来るのでその時に拒否したら・・・そうなる」
「ひっ?!」
ジョンの前に座っていた受付嬢は自身の両手足が石化して足元に置かれていた防犯用の短剣が砂に変わるのを目の当たりにしていた。
だが直ぐにジョンはその石化を解いて笑顔で告げる。
「あと、俺の事は青いショートカットの受付嬢に聞けば分かります。石化と言っといて下さい」
そう言ってジョンは冒険者ギルドを後にした。
翌日に来た時にどう出るか楽しみにするその内心は凶悪な笑みで包まれていたがそれは表情には出さない。
ただ受けていた簡単な依頼の現状報告に来ただけにしか回りには見えていないだろう。
奪い取った金を手に今夜は何処の宿に泊まろうかと考えてギルドを出た所で彼女が声を掛けてきたのにジョンは気付かなかった。
「あ、あの!」
「ひぇあ?!っあぁ・・・さっきの・・・」
「先程はありがとうございました」
リーゼと言うエルフの少女だ。
礼儀正しく頭を下げる様子に好感度が鰻上りだがやはりおっぱいが残念なのだ。
「すみません、お礼に食事でもご馳走させてもらえませんか?」
その言葉にジョンは反応した。
女性からの食事のお誘い、それはジョンにとって警戒以外の何物でもないのである。
美人局とは言わないが、変な壺や絵を紹介されたり怪しい宗教を進められたり・・・
前世での記憶が蘇る中、ジョンはその様子を見ていた何人かの視線が嫌になり返事を返す。
「ま、まぁそこまで言うのなら・・・」
礼儀正しい相手に対してはヘタレなジョンであった。