見ろ、アソコがまるで石の様に! ジョンは異世界で新世界の神となる! 作:昆布 海胆
夕暮れのボッタ栗亭。
名前は酷いが料理は安くて美味い、その店に案内されたジョンはリーゼに続いて店に入った。
「いらっしゃい!おや?彼氏かい?」
「ち、ちちちち違いますよ!」
「はははっ、とりあえずそこ空いてるから座るといいよ」
店員にからかわれたリーゼを見て常連なのだろうと理解したジョンは勧められた席にリーゼと共に座った。
壁にメニュー表の様な物が飾ってあり、不思議とそれが読めるジョンはそれを眺める。
「へぇ・・・思ったより安いんだな」
「でしょ?ここ私のお勧めなんだぁ」
料理名値段を見て他の客が食べている料理の量を見れば、それがどのくらいの量でどのくらいの値段なのか分かったジョンは素直に感心した。
適当にリーゼの注文に合わせて自分も注文した。
「暫くお待ち下さいませ~」
そう言って去って行った店員は先程の店員で、ウィンクでリーゼにだけ合図を送っていたのに真っ赤になるリーゼ。
デートだと完全に勘違いされている様で嬉しくも恥ずかしいリーゼはまともにジョンの顔を見れなくなっていた。
そんなリーゼにジョンは疑問に思いながらも適当に話をして場を繋げようとする・・・
「そういえば、受けてる依頼苦労しているみたいだね」
「えっ?あ・・・はい、私魔法は得意なんですが・・・採掘は苦手で」
「採掘の依頼なんだ?」
誘導尋問の必要すら無いガードの甘いリーゼに小さく笑いながらジョンは話を続ける。
「そうなんです・・・期限が明後日までなんですが、採掘場所まで行くまでに魔物と戦うと魔力が無くなって・・・」
話しながらどんどん落ち込むリーゼに小動物のイメージを抱いたジョンは少し考えて口にする。
「そこって遠いの?」
「いえ、町から徒歩で15分くらいの洞窟なんですが・・・」
「そっか、なら明日でも一緒に行くかい?」
「えっ?」
優しく同行を申し出たジョンに驚きながらも困惑するリーゼ。
基本的に冒険者ギルドの依頼は受けた時の人数が増減しても問題は無い、ただ報酬額は変化しない場合が多いのだ。
少し悩みながらも自身の持ち物や金銭でお礼が出来る筈も無いリーゼは自分の胸に手を当てて悩む。
即ち、手伝ってもらうのならば自分の体を差し出すしかないのだ。
そう考えてジョンの顔をチラリと見て顔を真っ赤にして俯く。
「でっでも・・・報酬で支払える物が・・・あの・・・私のから・・・」
「あぁ、それでいいよ。それじゃ明日早速一緒に行こうか」
「ふぇぇ?!」
ジョンは彼女が大した物しか出せないと言っていたと勘違いしていた。
既にジョンは結構な金額の金銭を所持しており、自分のスキルを使えば更に儲ける事が出来る方法に気が付いていた。
「ハイよ!お待ち!」
その時に丁度料理が運ばれてきて話が無事に決まったと勘違いしたジョンはそれを食べ始める。
リーゼもそれを見て仕方なく食事を味が分からないまま食べ始めるのであった・・・
「ふぅ・・・美味かった」
「・・・ですね!」
途中から食べることに夢中になるくらい空腹だったのであろう、リーゼは完食しすっかりさっきの事を忘れていた。
そして、その時であった。
「おい、お前がジョンってやつだな?」
椅子に座るジョンの肩を掴んだ男が問いかける。
目をそちらに向けてジョンはその男を見た。
ガッチリとした体格に肩に置かれた手の感触からかなり強いと感じたその男に対してジョンは返す。
「いえ、人違いじゃないですか?」
「・・・」
完全にとぼけたのだ。
だがそれが気に喰わなかったのは男だけではなかった。
エルフと言うのは美人である、当然この店の常連である近くに座っていた客が声を上げた。
彼は前からリーゼの事を狙っていた男の1人なのだが近くに座っていて2人の話を聞いていたのだ。
その中で彼がジョンである事、そして愛しのリーゼの体を報酬に何かを手伝うと言う話を聞いていたのだ。
「お前!さっきジョンって呼ばれていたじゃないか!」
突然立ち上がった隣の男がジョンを指差して叫ぶ!
それをチラリと見た肩を掴んだ男は名乗った。
「ふざけたヤツだ、俺はガーランド。冒険者ギルドのギルドマスターからの依頼でな、死なない程度に痛めつけてお前を連れて来いって事だ。悪く思うなよ」
そう言って男の拳がジョンの顔面を捉えた!
椅子から転げ落ちるジョン。
慌てて止めようとしたリーゼは隣の席の男に捕まってしまう。
「いっいきなり何をするんですか?!いやっ離して!」
「リーゼちゃん、危ないから近寄っちゃ駄目だよ」
役得とばりに男はリーゼの体を抱きしめてジョンから離す。
店の中で喧嘩が始まったという事で店の従業員も止めようとするのだが、ガーランドの顔を見てその足を止める。
それがガーランドの実力を知っている者の本来の行動なのだから仕方ないだろう。
そして、ステータスの通りならあの一発でジョンは瀕死になっている・・・筈であった。
「いきなり何をするんですか?」
殴られた部分を擦りながら立ち上がったジョンを睨め付けるガーランド。
誰もそれに気付かない、ガーランドの右拳は殴った瞬間に粉砕骨折していたのだ。
あの一瞬でジョンはガーランドの右拳の骨を石化スキルで滑石に変えていたのである。
滑石の硬度は1、爪の硬度が2.5と言えばそれがどれ程柔らかいか理解できると思う。
チョーク等にも使われる物で、それで人を殴れば砕けるのは当然と言えるだろう。
「お前・・・くっ」
ガーランドはそれ以上攻撃を続けるのを躊躇した。
ジョンの異常性に直ぐに気付いたからだ。
既に彼の両腕は滑石に変えられており攻撃を仕掛ければ直ぐに粉砕骨折することになるのは明白。
更にジョンは殴られる瞬間にその部分を一瞬だけ石化させダメージを殆ど受けていなかったのだ。
「きょ・・・今日の所は勘弁してやる」
そう言ってガーランドは立ち去る。
意味が分からないとばかりにリーゼを捕まえていた男はそれを見送るのだが・・・
「おい、お前何してるんだ?」
「えっ・・・」
リーゼを抱きつくような形で捕まえている男の前にジョンが立っていた。
その顔を見て男は顔色を悪くする。
ジョンが怒っているのもそうなのだが、ガーランドの拳を顔面に受けて全くダメージを負っていないのに驚いたのだ。
「あっ」
ジョンはリーゼの手を取り男から引き剥がした。
リーゼが小さな声を上げると共にジョンの胸の中へ移される。
まるで演劇のワンシーンの様な光景に誰もがそれを唖然と見詰めていた。
「おっ俺は・・・」
男が何かを言おうとするのだがジョンはその前に男に石化スキルを使用した。
突如自分のお腹を押さえて痛みを訴えだす男・・・
「えっ?あれっ?腹が・・・やべぇ・・・なんだってんだ・・・いでででで・・・」
まるで食事をしたせいで腹痛を訴え始めたと思われてもおかしくない光景であったが誰もがそうは思わない。
一連の流れからどう見ても仮病にしか見えないからだ。
そんな男にジョンは一言・・・
「失せろ!」
「ひっひぃいいいい」
男は痛む腹を押さえながら店から逃げるように出て行く・・・
勿論食い逃げである。
そんな男を追いかけようと店員が動いた時であった。
「すまないな、騒がせてしまった。今店に居る全員分は俺が奢るから勘弁してくれ」
そう言ってジョンが店員に渡したのは緑に輝くエメラルドであった。
それを目を丸くして見るリーゼ。
ジョンのステータスを観る事が出来る彼女はガーランドとの事もその目で見て信じられなかったし、ジョンが手にしているその宝石にも驚いていた。
彼女は観ていたのだ。
ジョンがコップの中に在った水を宝石に変えているのを。
「凄い・・・」
リーゼ、容姿は子供だが長寿のエルフと言うことでそれなりの年齢を生きているのだが初恋の瞬間であった。
そして、リーゼの呟きと共に店の中から歓声が沸き上がるのであった。
ジョンは気付かなかったがリーゼはこの時、既にその身を今夜ジョンに捧げようと覚悟を決めて居た。
下腹部に熱を持ったリーゼ、初恋から初めての発情で戸惑いつつも彼の心臓の鼓動に安らぎを感じる乙女であった。