---------登場人物---------
秋月 暁人:主人公
秋月 唯子:暁人の母
秋月 暁年:暁人の父(M商事・開発部・課長←オリジナル設定)
三好 満司:調教師・主人公の遠縁(暁年の母方の従祖母の孫娘の夫)
三好 聖満:満司の子
鈴木一之介:鈴木貫太郎探偵事務所・所長・探偵 (オリジナルキャラ)
パタンジャリ・プールナーナンダ:ヨーガ修行僧 (オリジナルキャラ)
金井由美:**市児童養護施設・非常勤職員、三好満司のマゾ奴隷11号(オリジナルキャラ)
金井真美:M商事・企画開発本部長付秘書、三好満司のマゾ奴隷12号(オリジナルキャラ)
星山真由:A〇Cテレビ・キャスター、アイドル女優(オリジナルキャラ)
鬼童和虎:調教師(オリジナルキャラ)
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「お前が逃げ出す前に、この女の本当の姿を見せてやるよ」
唯子の唾液が混じった涎を滴らせながら、蔑みの笑みを浮かべた満司の口から地獄のような一言が発せられる。
「何だって?」
必死の思いでプールナーナンダを介抱していた暁人が驚いて満司に振り返る。
(どういうことだ?)
タオルを投げ入れる機会をうかがっていた一之介も暁人に向き直る。暁人は訳も分からず暁年に困惑の表情を向ける。
居ても立ってもいられず暁年がステージに上がり、そのまま満司を睨みつけるように対峙する。チャンピオンサイドのターン・・・もし、満司や唯子に触れればルール違反になる。レフリーが満司と暁年の間に割って入る。
「まだ分からないのか?暁年?えっ・・・」
不敵な笑いを浮かべた満司はそう言いながら、唯子の両乳首にぶら下がったピアスを捻るように引き上げ始める。
「あああぁん♡満司様♡」
唯子は濃厚なキスの余韻に浸りながら、満司に後ろから抱きすくめられ、その身は暁年に向いているにもかかわらず、顔を満司の方に向けて、満司に熱い視線を送り続けるだけであった。そして目の前に暁年が居ないかのように、愛おしそうに満司の首筋に唇を這わせ始める。
(記憶を無くしたように・・・・)
先ほどの疑念が再び暁年に蘇る。
「記憶をなくしたのか?・・・私が誰だかわからないのか?・・・唯子・・・そろそろ正気を取り戻してくれ・・・」
だが唯子の動きは一瞬も揺らぐような気配がない。夫と息子を明らかに認識し、はっきりと意識している。すべて記憶がある・・・その女の中に・・・。
「へへっ・・・無駄だよ。ここに居るのは唯子であり、唯子でない女なんだよ・・・息子に聞いてみろよ・・・」
乳房をもみ上げる力が強まり、唯子を名乗った女が「ああっっ」と喘ぎ声を上げる。その声はやはりまぎれもない唯子であった。
「けへへっ・・・やっと出来たんだよ。人間の魂からの解放・・・この女で実現したんだよ。全く魂を失った人間・・・何の束縛もない自由な存在・・・これこそが究極の俺様の作品・・・貞淑で、清々しく、清楚な女ほど変わる。お前の息子が、暁人が教えてくれたんだよ。そう、この女は何色でも染まる。どんなものにでも変われる。だから気が付いたんだよ・・・魂を無くすようにも変えられるってことにな」
「ハッ」とした表情を浮かべて暁人が満司を睨みつける。その言葉の真意を理解し始めた途端、じわじわと恐怖が襲ってくる。
「な・・・何を言っている?魂を無くすことなど出来るはずが・・・」
自らの死を掛けて訴え、ギリギリの思いでレッスンを続けてくれた洋子の言葉が脳裏をよぎる。
【身体が淫らに変えられても・・・心が邪に変えられても・・・魂だけは絶対に変えられない!】
プールナーナンダの意識を戻そうと必死になっていた暁人が、決然とそう言い返す。その言葉を嘲笑う様に、満司は唯子の乳房と、股間を見せつけるように後ろから揉み上げ、勝ち誇った態度は変わらない。
「そうさ・・・今まで、どんな淫らな女を調教しても、魂を無くすことは出来なかった。セックス依存にさせることは出来ても、悪に依存させることは出来なかった。悪に加担することの快感を植え付け・・・神聖さや清らかなものを穢す背徳の快感に溺れさせ、邪淫のスパイラルに落ち込ませ、抜け出せなくさせるのがせいぜいだった。邪悪の快感が肉體を支配し続ける間だけしか魂を失わせることが出来なかった。だが今のこの女は違う。魂がないんだよ。悪に染まる快感などなくても、何の良心の呵責なく自然に悪事が出来るように変えてやったんだよ」
「魂を無くすことなどできない!洋子さんはそう断言していた・・・そんな事が出来るはずが・・・」
それは満司に向けられてはいなかった。暁人が食って掛かるようにそう叫んでいるのは・・・唯子だった。母親の良心に訴えるように・・・。負けることを知らない青年は、逃亡することなど頭から忘れている。
「洋魔子もそう言っていたか?」
満司がニヤリと意地悪くそう問いかける。不意をつかれた暁人が愕然とした表情を浮かべる。
「お前も感じただろ。洋魔子には魂が全く無いと。すべてサタン様に捧げ渡したように、嬉々として悪魔の手先になっている。洋魔子はだから洋子が必要なんだよ。魂を洋子に持たせておけば洋魔子は魂を持つ必要がない。何の良心の呵責もなく悪を行うことが出来る・・・究極の悪になれるのさ」
「それって・・・まさか母さんにも」
暁人が満司の真意を理解し始める。
「そうだよ・・・唯子をそうしてやったんだよ。洋子のようにな・・・ここに居るのは、唯子の肉體を持った魔女・・・唯魔子なんだよ」
「満司お前・・・唯子を・・・わざと二重人格に・・・」
真相を理解した暁年は怒りのあまり言葉を途中で途切らせてしまう。
「そうさ・・・無理やり二重人格を発症させてやったんだよ。強制的に、徹底的に植え付けてやったんだよ。地獄のような精神的苦痛と、底なし沼のような肉体的快感を同時に与え続けてな・・・。可哀そうに・・・お前たちに申し訳が無いと、何度も泣き叫けびながら謝り続けていたよ。オマンコからドロドロのマン汁をたらし、お漏らしをしたように股間をビチョビチョにしながらな・・・。だから徹底的に罪悪感を煽り続け、徹底的にセックス中毒を拗(こじ)らせ、徹底的に悪の種を植え付けてやったのさ・・・」
「人でなし!」
暁人が怒りのあまり喚き始める。だが、満司の次のことばに思わず絶句する。
「違うぜ・・・これこそが人間なんだよ。なぜだか分かるか?人間の本質は悪だからだよ。洋子がそうだろ?結局、洋魔子に人格を乗っ取られ、今では完全な悪魔の手先だ。この女は洋子とそっくりだ。外観だけでなく、心も、魂も、何もかもな・・・へへへっ・・・悪に堕ちる運命だったんだよ」
「そんな事はない!人間の本質は善のはずだ!母さんを絶対に取り戻す!洋子さんのように・・・」
「けひひっ・・・無理なんだよ・・・」
「な・・・何を言っている?」
「以前の唯子は良心の呵責に堪えながら、逆らいきれぬ邪悪の快感を満たすために悪事に手を染めているだけだった。お前達への憎悪や不信を植え付けても、あっさりとひっくり返されてしまった。だからお前にしてやられた。お前の言うとおりだ。魂を無くすことは出来ねえ」
「だったらもうこんな事はやめろ!」
暁人がステージサイドで最後の訴えを、心からの願いを、満司にぶつける。だが、ふてぶてしい満司の笑いがそれでやむはずもなかった。
「キヒヒヒツ・・・残念でした・・・魂は一つだけなんだよ!」
「それでも魂はあり続ける!」
「違うな・・・もし魂を持っていない人格が魂を持った人格を殺してしまったら? 唯魔子が完全に唯子人格を殺してしまったとしたら・・・?」
満司が意地悪く暁人を見据えながら嘲笑を浮かべている。
「そっ・・・そんな馬鹿な・・・そんな事を母さんがする訳が・・・第一まだ洋子さんは、洋魔子の中に・・・」
「そうだ、洋魔子すらできなかった。自分で自分の分身を殺すことなどな。だが、この女は殺してしまったんだよ。お前たちを餌にすれば・・・暁人・・・最後はお前だったんだよ。お前を生かしておいてやると、お前だけは洗脳せずにしておいてやると言った途端に、唯子は喜んで自我の死を選んだよ。お前のせいなんだよ・・・」
「そつ・・・そんな・・・」
「全ておまえのせいなんだよ。お前が俺様に気づかせ、お前のためにこうなったんだよ。暁人・・・すべてお前なんだよ」
「そ・・・そんなことが出来る訳が・・・」
暁人が満司を睨みつけながらそう言った時、満司が一本の真っ黒な短剣を後ろ手から取り出したことに気が付く。酷くオドロオドロシイ雰囲気を湛えていることが、暁人にも伝わってくる。
「この呪いの剣ならできるんだよ・・・この「漆黒の短剣」ならな」
それが何であるか、暁人にはすぐに察しがついた。
「あの時、洋魔子が母さんに渡したものだ・・・母さんがそれでお前を殺そうとしたとき手にしたものだ・・・母さんはそれを使って・・・」
「そう・・・「漆黒の短剣」は刺し貫かれた者から、その者が一番大事にしているものを奪う。ほとんどの人間にとってそれは命だ。この剣によって何人もの人間が暗殺され、自殺させられてきた。だが、命よりも大事なものがある者はどうなると思う?天才バレリーナにとって死よりも大事なものは?燃えるような正義の心を持ったヒーローにとって死よりも大事なものは?純真な心を持った一途な女にとって大事なものは・・・有るんだよ。一握りの人間には・・・命よりも大事なものが・・・」
「まさかその剣は・・・・」
「そう・・・そんな人間には死を与えず「魂」だけを奪ってしまうんだよ。美しく純粋で燃えるような魂がこの剣の大好物なんだよ。人間から奪い去り、抜け殻にしてしまう事がな・・・」
「お前たちは全人類の死を望んでいるんじゃないのか?」
「サタン様はな・・正義の心を失ったヒーロー、神聖さを失った宗教家、純真な心を失った一途な女・・・そんな人間どもの方がより邪悪になり、より効果的にこの世を悪に染めることを良く知ってらっしゃるんだよ・・・」
「・・・・・・・・・」
「なぜだか分かるか?」
「・・・・・・・・・」
「その方が残酷だからだよ。より多くの人間を不幸にできるからだよ。この短剣を刺された者だけでなく、周りの人間にも絶対的な絶望を与える。暁人・・・今のお前のようにな・・・。サタン様に逆らうことの愚かしさと無意味さを徹底的に植え付ける。それがサタン様のご意思。個人の死より、より広範囲の悪影響と穢れをサタン様が喜ばれるからだよ」
「そ・・・そんな・・・それじゃ母さんは・・・」
「その通り。唯子にとって一番大事だったものはお前達だった・・・。お前たちへの思い、お前たちへの愛・・・だからお前らが言う美しい魂をこの剣がずたずたに引き裂きさき、この女から永久に奪い去ったんだよ」
「・・・・・・・・・・・」
「その結果が・・・お前達への憎悪・・・お前達への殺意・・・皮肉じゃないか、お前を殺したくない一心で自殺したのに・・・その本人が今お前達を殺したがっているんだからな!」
絶対的な絶望が・・・暁人に・・・チーム「MRO」に重くのしかかる。
「き・・・貴様・・・」
今にも満司に殴りかかろうとする暁年をレフリーが抑える。
「時間は巻き戻せないんだよ。この短剣が刺さったとき、この女から唯子は居なくなった。死んだんだよ。この女はその抜け殻にしか過ぎない・・・」
そう言った満司の顔を見た暁年は、振り上げた拳を思わず下げてしまう。その表情には明らかに悲しみが現れていたのだ。
「お前・・・お前もその短剣を渡したことを後悔しているんだな」
満司が自嘲気味に力なく笑っていた。今までに見せたことのない悲しげな表情。
「まだ・・・まだ間に合うかもしれない・・・」
だが暁年がそう言いかけた途端、満司の目の奥には別の光が宿り始める。
「そんな事はない。この女こそは究極の作品・・・今までこの剣を渡して何人の女が死んでしまったことか。みんな命の方が大事だったんだよ。この女と思っても、この剣を使うような女は二人しかいなかった。そして・・・ここまで美しい魂を持った女は・・・魂だけを持っていかれた女は・・・唯子だけだった。やっと出会えたんだよ。こんな女に・・・」
「同時にお前はその女を・・・唯子を失ったんだぞ」
暁年が責めるように満司を睨みつける。だが、満司にもう迷いの表情は消えている。
「そんなこと・・・どうでも良い。この女こそ究極の悪。理想の人間なんだよ・・・魂を持たない人類・・・手の付けられない絶対的な悪・・・それが雌豚奴隷・13号なんだよ・・・さあ、俺様の作品を見せてやるよ」
満司はそう言いながら、唯子の股間に装着したクリキャップを握りつぶすように押しつぶしていた。
ピキピキッピキピキピキッ・・・
「けひひひっ・・・さあ、お前の身体を見せてやれよ・・・“唯魔子”」
「はい・・・ご主人様・・・仰せのままに」
一心に満司を見つめていた女は、観客の前で両足を大きく開いて向き直る。そして、真っ黒なボディスーツの背面に取り付けられたジッパーに手を掛けると、首から臀部に向かって引き下ろし、あっさりと全て脱ぎ棄て、その裸体をすべての観衆の前にさらけ出していた。
「おおおっ!」
「・・・・・・・」
その身体には・・・消すことのできない邪悪な刺青が・・・全身至るところに彫りこまれていた。
「こ・・これは・・・良枝さんや洋子さんと同じ紋様・・・タトゥーシールだよね・・・刺青じゃないよね・・・一之介さん」
暁人が絶望の声を上げる。
「その通り。あの紋様は悪魔サタンの紋章だ・・・多分、金賢姫の仕業だ・・・3人とも共通している・・・だがシールなんかじゃない。本物の刺青だ!暗黒の赤い光を放っているのが分からないか・・・淫紋だ」
唯子の刺青一つ一つが、まるで生き物のように蠢いているように感じられる。そして、赤黒い暗黒の光をボゥッとその周辺に放射しているのが暁人にも感じられる。
「そ・・・そんな・・・」
一之介は一連の捜査から、それが何であるか、どういった意味があるか、既に見当がつき始めていた。そしてそれがどれほど絶望的なのかも・・・。だが、嘲笑を浮かべたその女・・・唯魔子は驚愕した親子に向かって挑みかかる様に宣言する。
「何を馬鹿な事を言っているの?ただの淫紋の訳がないじゃない。私が満司様の所有物で肉奴隷であることを、はっきりと示し、植え付け続けるものよ。牝豚奴隷・13号であり、サタン様の下僕であることの・・・」
そう言うと、観客に向かって胸を突き出し、股間をさらに開き始める。それに合わせて満司が揉みしだいている乳房を左右に押し広げ、胸の谷間に隠れていた邪悪な淫紋を露にする。洋子が「魂の在り処」と言っていた直ぐその上の皮膚に
”Manji’s Slave No.13”
とクッキリと書かれた赤黒い光を放つ漆黒の刺青が浮かび上がる。よく見ると開かれた股間・・・恥骨上部、子宮のすぐ上にも異なった意匠で”Manji’s Slave No.13”とクッキリと赤黒い色の刺青が彫られている。唯魔子はまるで金賢姫が乗り移ったかのように、悪魔的なオーラを強烈に発散し、見るものすべてに邪悪な影響を与えていく。観客はそのオーラに魅入られた様に、ゾクゾクとする邪悪な快感を感じながら唯魔子の裸体を固唾を飲んで見つめ続ける。
「キヒヒヒツッ・・・ただの淫紋だと思うなよ・・・邪淫紋・・・常に発情しているように肉体を変え続け、邪悪な悪行をすればするほど幸福を感じるように心を変える悪魔の刺青・・・サタン様の偉大な紋章を象った淫紋なのさ。魂をなくしたこの女はこれが全てなのさ。何の良心の咎めも、何の心の疼きもないまま、完璧な悪になれる。抜け殻だったこの女は今や全てを真っ黒に塗りつぶされて洋魔子以上の魔女・・・賢姫様の人格が転写された完璧な魔女になったんだよ!」
唯魔子が観客の向ける淫らで邪な熱い視線を受け止め、ゾクゾクとその身を打ち震わせながら邪悪なパワーを身に纏っていく。
「ハイルサタン!」
「ハイルサタン!」
観客が狂ったように片腕を掲げ、そう叫び始める。邪悪な気が会場中に溢れ、オドロオドロしいオーラが暗黒の渦となってチーム「MRO」に襲い掛かる。
ガタッ・・・ガシャガシャンンッ・・・
暁人が不吉な音を聞いてセコンド席を振り返ると、プールナーナンダが椅子から崩れ落ち、そのまま床に倒れ伏すと全く動かなくなってしまう。
「そ・・・そんな・・・」
(僕が・・・唯魔子に気をとられている間に・・・プールナーナンダさんの世話を忘れて・・・また、僕のせいだ・・・・)
その息はすでに虫の息で、ほとんど鼓動が感じられない。
「そんなにもここは穢れているのか・・・人々の邪悪な心は、唯魔子の邪悪なオーラはこの仙人をも殺そうとしているのか?」
万策尽きた一之介も絶望の声を上げる。そして当の暁年はステージ上で唯魔子の目の前に愕然と立ち尽くすだけだった。あまりにも残酷な仕打ちに、心が付いていかない・・・。
「タオルを投げる!暁年さん・・・許してくれ・・・」
もはやこれまでと、一之介がタオルに手を掛けた時、ゴングが鳴った。
「カーン」