※この作品はR-18です。

続・続・月下香の檻 セックスバトルロワイヤル   作:シン之助

6 / 18
秋月暁年は三好家全員を立ち直らせるMRO(三好家再生作戦)を実現しない限り、自分たちからセックストーションの怯えを無くす道はないと悟る。そのためには、妻・唯子を寝取られ奴隷化させられたSMショーに殴り込みをかけ、三好満司を打ち負かし、すべての記録や契約を破棄させるほかない。
しかし、満司は三好聖満を迎えに行った唯子を金井由美・真美姉妹を使って拉致し、唯子と共に姿をくらましてしまう。金田興産の悪事を暴き、楡の木の保存に成功した暁年だったが、唯子を奪還することもバトルの特訓も行えないまま、満司との決戦の日を迎える。
だが、バトルのステージに現れた唯子は、排卵誘発剤を嬉々として注射し、平然と秋月親子を罵倒する「唯魔子」・・・魂を悪魔に売り渡した魔女になっていた。その上プールナーナンダは意識を失い、一之介の計画はすべて潰されていた。セックスバトルはAJK団の巧妙な罠だったのだ。秋月家全員の抹殺をもくろむ邪悪が進行する中、唯魔子に調教を受けた暁年は次第にマゾ性癖に目覚めていく。そして、意識を失っていたプールナーナンダがセコンド席で倒れ込んでしまった・・・。


第41話 ラウンド5(1/2)

---------登場人物---------

秋月 暁人:主人公

秋月 唯子:暁人の母

唯魔子:唯子の別人格(ダークサイト)

秋月 暁年:暁人の父(M商事・開発部・課長←オリジナル設定)

三好 満司:調教師・主人公の遠縁(暁年の母方の従祖母の孫娘の夫)

三好 聖満:満司の子

三好 良枝:満司の元妻

藤原 綾乃:暁人の恋人(オリジナルキャラ)

鈴木一之介:鈴木貫太郎探偵事務所・所長・探偵 (オリジナルキャラ)

及川:鈴木貫太郎探偵事務所・探偵、一之介の部下 (オリジナルキャラ)

パタンジャリ・プールナーナンダ:ヨーガ修行僧 (オリジナルキャラ)

金井由美:**市児童養護施設・非常勤職員、三好満司のマゾ奴隷11号(オリジナルキャラ)

金井真美:M商事・企画開発本部長付秘書、三好満司のマゾ奴隷12号(オリジナルキャラ)

星山真由:A〇Cテレビ・キャスター、アイドル女優(オリジナルキャラ)

鬼童和虎:調教師

-----------------------------

 

「ガタッ・・・ガシャガシャンンッ・・・」

 

プールナーナンダが椅子から崩れ落ち、そのまま床に倒れ伏すと全く動かなくなってしまう。その息はすでに虫の息で、ほとんど鼓動が感じられない。もはやこれまでと、一之介がタオルに手を掛けた時、ゴングが鳴った。

 

「カーン」

 

あまりにもオドロオドロしい雰囲気が溢れる会場にゴングが鳴り響く。

 

-----------------

「挑戦者側のセコンド席でなんかあったなにゃん・・・」

「これはいけませんね。早くあの老人を医者に見せなければ・・・」

星山真由も鬼童和虎も形の上では殊勝な事を言っている。だが、その口の端は醜く持ち上がり、二人とも嘲りの笑いを浮かべていた。まるで唯魔子の毒気に当てられたように、MCの心も観客の心も荒んでいたのだ。

「でもそんな事はバトルには関係ないにゃん。これは挑戦者側が選んだTKOなしのバトルロワイヤル・・・タオルか死かどちらかだにゃん・・・」

「そうですね。試合の流れが中断されるようなことがあってはなりません」

星山真由がアニメ声で残酷なことを平然と言ってのける。鬼童も既に老人の事を気遣った素振りすら見せない。そして、二人はマイクが拾わないように小声で付け足す。

(汚いものは早くこの世から無くなれば良いのニャン。消え失せろ糞爺!早く死ね!)

(役立たずのゴミは早く摘まみだせ)

そしてしれっとした顔で解説を続け始める。

「それにしても唯魔子さんの妖しい美しさは、すごいオーラだニャン」

「まさに悪の華・・・妖しい色香がプンプン匂ってくるようですね。ぜひ一度お手合わせ願いたい」

「さあ、挑戦者側のセコンドはどう出るのでしょうね?・・・おや・・・どうやらタオルに手がかかった!」

「賢明な判断ですね。これから行われる満司さんの公開種付けセックスが見ものですね」

 

------------------

「僕のせいだ・・・母さんに・・・いや・・唯魔子に気をとられて・・・プールナーナンダ師匠をほったらかしに・・・お願いだ・・・死なないで!」

 

暁人がプールナーナンダに縋り付く。だが、床に倒れ伏したプールナーナンダはすでに虫の息だった。一之介は振り返って暁年を見る。暁年も、変わり果てた妻にショックを受け、ステージ上でひざを折り、ガックリと跪いたかと思うと、その場に尻餅をつく様にへたり込んでいる。

 

「暁年さん・・・完敗だ・・・許してくれ・・・」

 

一之介はステージサイドから暁年にそう声をかけると、無念そうにタオルをステージに向かって投げ入れた。

 

「な・・何やってんだ?・・・あのバイト・・・」

 

ところが、ステージ袖でビールを提供していたバニーガールが、ステージの床に落ちる前にタオルを奪う様にキャッチしてしまう。

 

 

【挿絵表示】

 

-----------------

「挑戦者側・・・ついにタオルを投げ入れました・・・・ありゃありゃ?」

「売り子のバニーが間違ってタオルをもぎ取ってしまいましたね」

「あのバイト何やってるニャン?」

「ルールではステージの床にタオルが落ちない限り続行ですが・・・」

「あらあら・・・あのバニーガール・・・勝手にタオルを戻して・・・続行が決まったニャン・・・私は早く、満司様と洋魔子さんの公開種付けセックスが見たかったですニャン」

「挑戦者には早くマゾ堕ちするか、居なくなって欲しいですね」

「唯魔子さんが殺ってくれるかもニャン」

「早く挑戦者が死ぬことを期待しましょう」

「そうそう・・・早く死ね!・・・ニャン」

 

-----------------

「おい何をやっている!」

 

ビールを注文していた酔客の一人が怒鳴りつけるのを無視して、真っ赤な衣装を着けたバニーガールが叫ぶ。

 

「何とかしなさいよ!変態暁人!!」

「あっ・・・綾乃?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

真っ赤なレオタードに真っ赤なハイヒール、真っ赤なアイマスクとウサギ耳のカチューシャをしているものの、その声は紛うことなき綾乃の声だった。

 

「な・・・なんで綾乃がここに・・・」

「そんな事より、なに勝手に負けようとしているのよ!」

「えっ?プールナーナンダ師匠が大変なんだよ。一刻の猶予もないんだ」

「暁パパはまだ負けていない!暁パパは必ず勝つわ。正義は必ず勝つのよ!」

 

そう言うと、一之介にタオルを突き返してしまう。

 

「そんな無茶苦茶な・・・一之介さん、どうするんです?」

「・・・・・・・・・・・ウーム」

あっけにとられて、一之介も返す言葉が出ない。

 

「暁パパ!お願い!助けて!唯ママを助けて!」

 

その一言が、必死に叫ぶ綾乃の一言が、暁年に変化をもたらす。絶望に打ちひしがれた顔に、微かな変化の兆しが表れる。

「師匠・・・?」

そして、その顔にニコリとした微笑みが浮かびあがる・・・。焦点を失っていた目に再び理性の光が灯り始める。

「そうだね・・・綾ちゃんの言うとおりだ・・・まだ負けていない・・・」

「何を言ってるんだ暁年さん・・・このままではプールナーナンダ博士が・・・・」

「シー」

暁年はそう言って口元に人差し指を立て、一之介の言葉を遮る。

「グチは言わない。決して挫けない」

(そうだよな・・・唯子)

 

そしてステージの床から立ち上がり、セコンドにフラフラと近づいてくる。

 

「お父さん・・・師匠を見殺しにする気ですか!」

 

暁人が真っ赤な目で暁年を睨みつける。自責の念で押しつぶされそうなほどその目は痛々しい。

 

「大丈夫だ・・・そのプールナーナンダ師匠がそう言っているんだから」

「えっ?」

「この姿勢が一番、波動が伝わり、体力を消耗しないと」

 

暁年はそう言いながらプールナーナンダを助け起こそうとしている暁人を制して、自分はそのままプールナーナンダが横臥している傍らに腰を下ろすと、座禅を始めてしまう。

 

「綾ちゃん・・・有難う・・・君はやはり素晴らしい女性だね。勝利の女神だ」

 

唖然としている暁人と一之介を尻目に、期待に目を輝かせている綾乃の頭をグリグリと撫でる。そして、その場に倒れ伏しているプールナーナンダに再び向き直る。

 

「やはり大地は良いですね。師匠・・・。師匠が床に倒れた途端に声が聞こえてきました・・・やはり・・・師匠もこの状態が一番いいんですね」

「師匠の声が聞こえるんですか?」

「大地に近く接するほど良く聞こえる。君達も寝そべってみたまえ・・・そのうち聞こえるようになる。ここ数日、楡の木と琵琶の木の間で、父さんたちは意志を交換し合っていた。そしてチャクラを扱う訓練も」

 

そう言うと、倒れ伏しているプールナーナンダに手をかざし、チャクラを唱える。

 

「喝!邪淫退散!! チャクラ_ダッシュ5 ヴィシュッダ・チャクラ」

 

そして少しづつ、翳す手を全身にわたって移動し始める。

 

「なるほど・・・」

 

そう言って、半眼に開いた眼を満司の方に向ける。

 

「カーン」

 

その時、挑戦者側のターン・・・第5ラウンドが始まるゴングが鳴った。暁年はゆっくりと立ち上がると、後ろ向きになりながら暁人と綾乃、一之介に話し始める。

 

「腹減ってるそうだ」

「はぁ?」

 

「腹が減って動けないんだそうだ」

「えええええええっ」

 

「素材重視でオーガニックで、心のこもった食事が食べたいそうだ」

「そつ・・・それって・・・」

 

「ああっ魔法のクッキー・・・綾乃ちゃんの真心を上げてくれ」

「でも・・・師匠は食事が必要無いのでは・・・」

 

「それを説明している時間はない。AHF・・・アンチ波動フィールド(Anti-Harmonic Field)が張られているそうだ。それも相当強力だ。プールナーナンダ師匠はそれによって波動エネルギーを絶たれている。それを破らない限り、私のチャクラでは今の唯魔子に敵わない。出来るだけ早くAHFを発見して取り除いて欲しい。私はその間、何とか時間を稼ぐ。あとは頼む・・・私が唯魔子の魔に完全に取り込まれてしまう前にAHFを取り除いてくれ・・・」

 

そう言い残すと、暁年はレフリーに急かされるままにステージに上がっていった。タオルを投げる直前には見られなかった「希望」がそこにはっきりと見て取れた。

 

「これは何とかなるかもしれんぞ・・・」

 

綾乃の無邪気な熱意で、絶望を知らない集団と化したチーム「MRO」のメンバーに再び、希望が灯り始める。暁人と綾乃は急いで床に落ちていたクッキーの袋と散らばったクッキーを拾い集める。

 

「希望をかき集める」

「勝利をかき集める」

「真心のクッキーでナーちゃんを助ける」

「正義の心で師匠を蘇らせる」

 

そう言いながら・・・。

かき集めたクッキーは唯魔子によってぐちゃぐちゃに踏みつぶされ、粉々に打ち砕かれていた。

 

「酷いわ・・・唯ママ・・・暁パパは大丈夫かしら」

「いや・・・これって・・・かえって食べさせやすいじゃないか!」

 

「もしかして・・・わざとこんな風に?」

 

暁人が訝し気に邪悪な表情しか浮かべていない唯魔子を振り返る。

 

(そんな訳はないか・・・)

 

暁人は気を取り直して粉々のクッキーをプールナーナンダの口元にもっていくと、無理やり口の中に押し込む様にねじ込んでいた。

 

「元気になってくれ・・・師匠」

「ううう、うむむむ」

 

どうやら咀嚼することはできなくとも、嚥下することは出来るようだ。綾乃が慌てて、売り物のミネラルウォータを勝手に開けてプールナーナンダに飲ませる。こうして二人は、粉々のクッキーをプールナーナンダの口の中に放り込みながら、ペットボトルの水で流し込み空腹を癒していく。心なしかプールナーナンダの顔色が良くなり、呼吸も落ち着きはじめる。

 

(僕にも師匠の声が聞こえれば・・・)

 

無念の思いで暁人はプールナーナンダを見つめる他なかった。だが、そう言った暁人の耳に

 

「バキッ」

 

と言う骨の折れるような不吉な音が入ってくる。急いでステージを振り返った暁人の目が驚きで大きく見開かれる・・・。

 

「か・・・母さん!」

 

驚いて振り返った暁人が、絶叫に近い悲痛な叫び声をあげていた・・・・。

 

--------------------

その5分前・・・セコンド席に長居した注意をレフリーに受けながら、暁年はステージに上がると、驚いた顔の満司を無視して、全く感情が伺えない唯魔子に向かって叫んでいた。

 

「唯子!?」

 

だが、暁年の必死の呼びかけに唯魔子は何も答えない。全く関心がないように暁年を無視しながら情熱的な視線を満司を見つめるだけだった。

 

「へへっ・・・面白れえじゃねえか。とっとタオルを投げ込んで逃げ出すかと思ったが、まさかあの老いぼれを見殺しにするとはな・・・。さあ唯魔子、もう一度お相手してやれ・・・あの男の正義面の下の本性を暴いてやれ。マゾ豚の本性を徹底的に裸に剥いてやれ。さっきまでのような生ぬるい方法じゃなくて徹底的にやってこい!」

 

満司がそう言って唯魔子を送り出す。だが、送り出す直前にその耳元では暁年に聞こえないほどの小声で邪悪な指示を囁いていた。

 

「マゾ豚にしっかりと堕としたら・・・マゾ逝きさせながら嬲り殺せ。契約ではプレー中の事故死は免責される契約だ。プレー中の事故死・・・合法的に殺人ができるんだぜ。どうせ数日のうちに秋月家の関係者は、牝豚奴隷14号にする予定の綾乃以外は全て殺す計画だから・・・。夫と息子ぐらいはお前の手で殺してやったらどうだ?・・へへっ」

 

無表情のまま暁年と対峙した洋魔子は、その囁き声を後ろから聴くと一転して邪悪な笑みを浮かび上がらせていった。

 

「なんて素晴らしい・・・ゾクゾクしますわ・・・満司様・・・ご主人様のお望みのままに・・・」

 

そう答えた唯魔子は目が吊り上がり、口元に嘲笑を浮かべ、目は暗黒の光でらんらんと輝く、魔女の顔に変わっていた。邪悪な行為に対する背徳の快感・・・魂を悪魔に売り渡すゾクゾクとした快感・・・大事な人の人生を全て捧げる快感・・・賢姫の人格がその快感にうっとりと酔いしれながら、最悪の魔女に変わっていく・・・。

 

「ハイルサタン!」

「ハイルサタン!」

 

観客の真っ黒な熱狂はいまだに冷めやらず、片腕を掲げながら上げる邪悪な叫び声はますます強くなっていく。観客が放つ暗黒の力が全て唯魔子に注ぎ込まれていくようだった。洋魔子は淫らで邪な熱い視線と声援を全身で受け止めながら、ゾクゾクとその身を打ち震わせ、邪悪なパワーを身に纏っていく。身体じゅうの淫紋が赤黒い暗黒の光が放たれ始める。暁年の目の前まで来た時には、唯魔子は満司から渡された鞭をもう隠そうともしなくなっていた。

 

「あら、あなた・・・何を構えているのかしら?・・・私がこの鞭であなたを打つと思って?・・・ねえ・・私を信頼していないの?・・・そんなに私を信じていないの?」

 

また鞭打ちを食らったら再びマゾの快感に堕ちてしまう・・・そんな気持ちがどうしても暁年の行動を束縛し、身構えさせていた。そんな暁年の様子を見透かしたように洋魔子が挑発する。蔑むような薄ら笑いを浮かべた唯魔子は、暁年に向かってスウッと手を差し伸べる。

 

「さあ、あなた・・・私の手を握りたいのでしょ?私とキスをしたいのでしょう?良いわよ・・・さあ、あなた」

「唯子・・・なのか?」

 

暁年が唯子の誘惑に逆らえるはずはなかった。まるで魔法にかかったように、痴呆のように何度でもその誘惑に負けてしまう・・・身構えてしまった自分を恥じるように、最愛の妻を信じられなかった自分を責めるように・・・暁年はその手を取ろうと手を差し出してしまう。

 

「パシッ」

 

強烈な痛みが手の甲を襲う・・・そして洋魔子に植え付けられたマゾの快感が、あっという間に心の闇を支配し始める。

 

「あら・・・ゴメンなさい。間違えたわ。ほら、あなた・・・手を出して・・・今度こそ本当に・・・」

 

申し訳なさそうな顔で唯子が言う。いや、目の前にいるのは唯子ではない・・・唯魔子だ。しかし、そう思っているのにまるで催眠術にかかってしまったように暁年はその言葉に従ってしまう。唯子だと信じていない自分を責めるように・・・。

 

パシッ

 

ジーンと痺れるような快感で、「ピクン」と一物が勃起し始めるのを感じる。心の暗部が全身をじわじわと浸食し始めるのを感じる。

 

「ほらあなた・・・私を・・唯子を信じて・・・」

 

パシッ パシッ パシッ

 

「あははっ・・・本当に信じちゃうんだ・・・唯子の顔で言われると・・・あなたは信じちゃうんだ・・・本当にチョロいわね・・・あ・な・た・・・あははっ」

 

すでに暁年が、鞭打ちの快感から逃れなくなったのを見届けると、唯魔子は公然と暁年を打ち付け始める。

 

パシッ パシッ パシッ パシッ

 

強烈な痛みが手の甲から全身に伝わっていく・・・。自分の一物が痛いほど勃起し始めるのが感じられる。

 

「うふふふっ・・・あなた・・・良い顔になってきたわよ・・・マゾ豚の顔に・・・もっと最低のド変態になる様にタップリと調教してあげるわ・・・あたなに・・・ううん、もうお前で十分ね」

 

パシッ パシッ パシッ パシッ パシッ

 

愛していたものを傷つける快感が・・・邪悪なものに捧げる快感が唯魔子の全身を覆いつくす。悪い心が止まらない。賢姫の転写人格が目くるめく快感で打ち震えている。

愛する者から与えられる屈辱が・・・自分自身を貶めてしまうマゾの背徳感が、暁年の心を支配し、邪悪な唯子に嬉々として従ってしまう。悪い心が止まらない。賢姫の転写人格すらも受け入れ快感に浸ってしまう。

魂の暗部がえぐり出され、目の前に突き付けられる残酷・・・・勃起した一物を鎮めることなどできない。手を差し伸べられるたびに痴呆のように手を出し、打たれてしまう。

 

「あはははっ・・・バーカ!・・・誰がお前なんかの手を握るのよ・・・触られるのも嫌だわ・・・」

 

パシッ パシッ パシッ

 

既に手の甲には蚯蚓腫れが何十もつき、真っ赤になった手のひらは腫れ上がって何倍にも膨れ上がっていく。

 

パシッ パシッ パシッ パシッ

 

サドとマゾの快感が元夫婦だった男女を真っ黒に支配する。ジンジンと脳の中が麻痺したようになり、暁年のすべての理性が失われ、何も考えられなくなっていく。

 

パシッ パシッ パシッ パシッ パシッ

 

唯魔子は暁年の変化を目ざとく見つけると、ピンヒールの尖った足先でその勃起し始めた一物をこれ見よがしにつつき始める。

 

「うふふっ・・・お前の極小ミニチンポが痛いほど起ってきたわよ。もうすっかりマゾね。ほら、足でなら擦ってあげるわ。ほら・・・足で逝っちゃいなさいよ!マゾ亭主!」

 

唯魔子はそう言いながら、被虐の快感にすっかり目覚めてしまった暁年の一物を、真っ黒なピンヒールで踏みつけ始める。その踏みつけ方は愛情のかけらも感じさせないほど容赦がなかった。

 

「ほら、ほら・・・あははっ・・・満司様のオチンポ様とは大違い。小さくて見えないくらいだわ。ピンヒールの靴底ですべて隠れてしまうじゃない。なっさけないへなちょこチンポ。今までよくこんなのとセックスしていたわ。反吐が出るわ」

 

そう言うと「ペツッ」と満司の精液交じりのつばを暁年の顔に吐き掛ける。

 

「あっう・・・唯子・・・だっ・・・あっ」

 

まるでゴミ屑のように足蹴にされているというのに、暁年の一物は天を突く様にそそり立っている。「擦る」のではなく「刺し込まれる」ように尖ったヒールの先がグリグリと一物に深く食い込んでいく。

 

「がっぎゃっ・・・」

 

快感には程遠い、刺すような傷みが暁年を襲う。だが、足蹴にされているというのに、暁年の一物は小さくなるどころかますます怒張し、先から滲み始めたカウパー腺液がつま先にネットリと付着し始める。

 

「うわ~・・・汚い・・・こんなんで先走り汁を出しちゃうんだ・・・マゾ・・・変態も良いところね・・・この変態亭主!・・・早く死ね!」

 

蔑みの視線が痛いほど暁年に注がれたかと思うと、いきなりピンヒールの尖った先が股間を蹴り上げる。

 

「ひぎゃっ」

 

暁年は股間を抑えながら、前かがみに膝をついてしまう。しかし、暁年の一物は萎えるどころかまずますその怒張の度合いを大きくしている。

 

「うふふっ・・・もうすっかりマゾね。」

 

暁年の反応を満足そうに見つめていた唯魔子は、邪悪な薄ら笑いを浮かべながら満司の方を振り返る。唯魔子の目にいよいよ残酷な光が帯びている。

 

「唯魔子・・・そろそろ引導を渡してやったらどうだ?」

 

その邪悪な光に誘われるように満司は嘲笑を浮かべながら冷酷に唆かす。

 

「ええっ・・そろそろ頃合いですわね!・・・処刑を始める・・・」

 

そう言うが早いか、膝まづいて無防備になった暁年の胸に、唯魔子の強烈なローキックが炸裂する。

 

バキツ

 

「あぎゃっ!」

 

薄ら笑いを浮かべた唯魔子の口の端は極端に歪められ、妖しいまでに壮絶な表情を浮かべている。

 

「か・・・母さん!」

 

驚いて振り返った暁人が、絶叫に近い悲痛な叫び声をあげていた・・・・。

 

---------

「うわー凄い音にゃん・・・これは肋骨が折れたにゃん?」

「いえ、ぎりぎり折れてませんね。せいぜいひびが入っている程度です。でも、苦痛は最大限になる様に調整されていますよ。これからは胸をちょっと撫でられただけでも、激痛が挑戦者に走ります。唯魔子さん・・・・プロ並み、いえ超一流の女王様テクニックです。素人では到底出来ない芸当ですね。満司さんの普段の奴隷教育の賜物ですね」

「これは反則にはならないのかニャン?」」

「何を言っているんですか・・・これは立派なSMですよ。SMの世界では定番メニューと言っても過言ではありません」

「でも肋骨が折れて肺に突き刺さったりしたら・・・反則ニャン?」

「SM中なら例え死んでも文句は言えないですよ。バトルに際して書かれた同意書の中でSMプレー中の事故は自己責任で済ませることになっていますから・・・唯魔子さんのやっていることは挑戦者の自分勝手な快感のためのご奉仕に過ぎないのですよ」

「それじゃあ「自殺」扱いニャン・・・何でも有り有りだニャン」

「そうです。それこそがSMなんですよ。いえ、究極のSMプレーは殺人とまで言えるでしょう」

「おおおっ・・・!殺せにゃ~!」

 

====================

バキッ

 

「あぎゃっ!」

 

と言う骨の折れるような音と暁年の唸り声を聞きつけ、プールナーナンダを介抱する暁人の動きが止まる。

 

「か・・・母さん!」

 

驚いて振り返った暁人が、絶叫に近い悲痛な叫び声をあげていた・・・・。

信じられない絶望的な状況が、実の母親と父親の間で演じられていることに愕然とする。二人の状況をよく理解できていない綾乃が、ポツリと言い足す。

 

「唯ママ・・・酷すぎる・・・見てられない」

「あれは・・・お母さんじゃない・・・唯魔子なんだ・・・賢姫とかいう魔女の人格が転写されたコピー人格・・・・」

 

それで合点が行ったのか、綾乃が暁人に聞き返す。

 

「ねえ・・・暁人・・さっき暁パパは「唯魔子の魔に取り込まれる前にAHFを取り除いてくれ・・・」って言ってたけど・・・それってもたもたしていると暁パパが負けちゃうってこと?・・・満司に・・・ううん・・・唯ママ・・・いえ、今は唯魔子ね・・・唯魔子にマゾ調教されて負けてしまうって事?」

 

必死でプールナーナンダにクッキーの粉を食べさせていた暁人が、悲しそうに頷く。

 

「そう・・・さらにまずい状態だよ・・・この会場の雰囲気・・・完全に賢姫人格の邪悪な影響下に陥っている。寝取られマゾ調教どころかこれじゃ・・・公開のサバト・・・悪魔主義者達の生贄の儀式に他ならない・・・このままじゃ父さんがマゾ堕ちして魔に取り込まれ・・・悪の手先になってしまうって事だ!」

 

暁人の絶望的な言葉を聞いて、綾乃が顔を悲しげに歪める。

 

「何とかしなさいよ!」

「・・・・・・」

 

「それを何とかするのがあなたでしょ?」

「おいおい・・・」

 

綾乃の暁人への絶対的な信頼・・・ハチャメチャな一途の信頼・・・を感じて一之介が絶望の中で、ふと微笑んでいる自分に気が付く。

 

(AHFなどと言われても俺にはどうすることも出来ん。だから、こんな時は常識にとらわれない自由でハチャメチャな発想が出来る奴じゃないと・・・)

 

若い二人・・・洋魔子の陰謀を見事に乗り切った二人・・・。

 

(この二人なら・・・こいつらなら・・・何とかしちゃうのかもしれない)

 

こんな時のために親父や、爺さんに教わったことが一つだけあった。逃げるに逃げられない最後の最後・・・死ぬほかないと思った時に取るプラン・・・プランZ・・・鈴木貫太郎事務所の伝家の宝刀を振るう時が来たようだ。

 

「無手勝流」

 

思わずそう独り言ちていた。これしかない。暁人が不思議そうに一之介を振り返る。

 

「何か名案があるんですね?」

「ああっ・・・鈴木貫太郎事務所に伝わる最後の究極の一手さ」

 

「何なんです?」

 

暁人がその言葉に期待を膨らませる。

 

「君だ!」

「なっ・・・なっ・・・何ですって?」

 

「もう君しかこの状況を解決できる人間がいない」

「はぁ?」

 

いきなりそう言われて暁人があきれたように一之介を見つめる。

 

「ハッキリ言って万策尽きた。一介の探偵には「AHF」なんてさっぱりわからん。」

「だから何で僕が?僕だってさっぱり・・・」

 

「こんな時、何も知らない頭のいい馬鹿がとんでもない解決をしてくれるものだ」

「はぁ?????」

 

「なんでもいい。パッて凄いアイディアを考えてくれ・・・無手勝流って言うんだ」

 

だが、その目は絶対的な絶望に溢れ、期待などしていないことがよく分かる。絶対的な絶望・・・それが一回りして希望に輝いている。そして綾乃は、無条件に暁人にキラキラとした目を向けている。

 

「でも、お前・・・悪あがきがすごいじゃないか?」

「そうよ!暁人なら何とか出来る!」

 

だが、そう言っている一之介自身になんの展望もない。ただ力なく微笑んでいるだけだった。だが確かにそこには、人間を信じる希望が混じっていた。そして綾乃は・・・心から暁人を信じている。

 

「いや・・・無手勝流って言われても・・・」

 

自暴自棄になる一歩手前だった。巨大な敵に果敢に挑んで、踏みつぶされる一歩手前の状況・・・。

 

「そんな都合の良い事は起きない。勝利の女神にも見放された・・・」

 

その時だった・・・・

 

「勝利の女神はここに居るの。さっき暁パパが言ったでしょ・・・何とかしなさいよ、変態暁人・・・」

 

勝利の女神の檄が飛んだ!目の前に真っ赤なバニーガールの衣装とアイマスクを着けた藤原綾乃の顔が迫る。目元を隠していても、その表情は丸わかりだった。綾乃の唇が、いきなり暁人の唇に重ねられる。

 

「えぅ?」

「おまじない!」

 

ラウンド終了まで5分を切っていた。




今回は挿絵入りです。第1イメージの綾乃ちゃんの顔を採用しました。
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