※この作品はR-18です。

老いてますますお盛ん   作:赤坂見附

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第6話 肛差の結末

 

 

 

 

 こうしてこの手紙をキミが読んでるということは――。

 

 ……なんというありきたりな。

 

 あの状況でそんなことにイチイチ労力を割くのも馬鹿々々しいが、それにつけてもセンスというかデリカシーのない文章の冒頭だった。

 

 懐かしいくらい。

 

 1185年。

 

 アドラステア帝国皇帝エーデルガルド=フォン=フレスベルグによって、ガルグ=マクが陥落してから5年ぶりの帰還だった。

 

 修道院内はセイロス聖教会のシンボルや、正当性を象徴する歴史と権威ある遺物、弓砲台などの防御施設は徹底的に周到に破壊されてるものの、理性なき暴力の欲求に任せただけの、意味なき蛮行はどうやらなかったらしい。

 

 とはいえ戦禍の生々しい傷跡は、あちらこちらに見て取れる。

 

 宝物殿は当然のように荒らされていた。

 

 残った財貨も帝国軍が撤収したのを見計らって、湧いて出た盗賊に奪われそうになったが、同窓会の約束が守られて回収できたのは僥倖であろう。

 

 ケホッ。

 

 だがハンネマンの部屋が埃っぽくカビ臭かったが、あの頃と変わらないのはおそらく別の理由に拠るものだ。

 

 貴重な専門古書や精密な実験器具は、素人には到底その価値がわかるものではない。

 

 おかげで帝国軍にも盗賊にも見向きもされなかった。

 

 もし我輩にナニかあれば。

 

 あらかじめ教えられてたリシテアだからこそ、巧妙に隠された秘密の倉庫を発見することができた。

 

 そこにあった几帳面な字で書かれてる手紙にも。

 

 執務机のイスに腰かけながら師匠の、遺言となる文章を読み込んでいく。

 

 生死は定かでない。

 

 5年前のガルグ=マク攻防戦の際、ハンネマンもセイロス騎士団として参戦してるが、落城してからというものの消息は一切不明だ。

 

 討たれたという話もなければ、敵に投降したとかいう話もない。

 

 異名はフォドラ全土に知れ渡ってた。

 

 大司教や灰色の悪魔ほどではないにせよ、紋章学の父の処遇を公表することは、それなりの意味が発生するはずなのにである。

 

 あるいはもう義理は果たしたとばかり、野に下ったのかもしれないが、なんにせよハンネマンの姿は、合流したセイロス騎士団の中になかった。

 

 やはりナニかあったのだと、考えるよりほかにないだろう。

 

 この5年をリシテアは悠々自適に過ごしてたわけでなく、常に戦いの渦中に身を置いてきたといっても過言ではない。

 

 5年も音沙汰がなければ死んでるものと、割り切るしかない哀しい思考が身についていた。

 

 就いてからの年月だけであれば、彼女はすでに新任の教師ではない。

 

 眠ってた。

 

 などと真顔で口にするベレス=アイスナーのような存在こそが稀有なのである。

 

 手紙は何枚にも渡っていた。

 

 それっぽいことが書いてあるのは出だしだけで、その内容はというとほとんど実験についてのことだけだ。

 

 ……有り難い。

 

 リシテアにしてもあまりハンネマンの心情を、つらつら文章にされたところで対処に困ってしまう。

 

 経過と成果を簡潔に記してくれた方がいい。

 

 生涯を懸けた紋章を熱く語ってるときのハンネマンの心情ほど、読み取りやすいモノなんてこの世にそうはないのだから。

 

 なので容易にわかる。

 

 あのときの実験やこのときの実験を思い出すだけで、紋章によって結ばれた師弟の絆をリシテアは感じられた。

 

 講義中に学友の目を盗んで、怪しげな玩具で悪戯されたときも。

 

 使い込まれた荒縄で縛られたときも。

 

 貸し切りにした浴場で泡姫なる儀式を伝授されたときも。

 

 わかる。

 

 ハンネマンの冷静ぶり抑え込もうとするたび、より興奮し滾っていく欲望の激しさが、業の深さがリシテアは自分のことのようにわかった。

 

 しかし当然であるがどれだけ才媛の弟子であっても、残念ながら師匠の学者としての思想のすべてを見通せてるわけではない。

 

 うずらの卵みたいな小さなボール状の、小刻みにぶるぶる震えるだけの器具が、まさか後の魔導具の原型になるとまではわからなかった。

 

 官能に感応し反応する淫具は、特定の魔力による遠隔操作が可能で、隙を見ては下着の中で蠢き処女粘膜を掻きまわす。

 

 いかにも寝不足というふりをして、級友に起こすなオーラを発しつつ机に突っ伏し、

 

「リシテア君、この問題を解いてみたまえ」

 

 いかにも居眠りを見つけたふりをして、指名してくるハンネマンを、恨みがましくジト目で睨みつけたものだ。

 

 紋章の文様からインスピレーションを得て、そこから独自に考案した緊縛方法だということも知らない。

 

 黒ずんだ縄がまるで獲物を締め殺さんとする蛇のように絡みつく。

 

 両腕は背中でひとまとめにくくられ、膝からふくらはぎのあたりを、雁字搦めにされて、リシテアは羞恥のM字開脚をしいられた。

 

 ボリュームに欠ける小さなふくらみの質感を、少しでも補填しようとするみたいに、縄がクロスして這わされ引き絞られる。

 

 ほんのささやかであるが、バストのカップ数が上がったが、視覚的に受ける印象や見た目はほとんど変わってない。

 

 けれど無毛の恥丘を裂いて、過敏に敏感な部分には、結び目でできたコブがフィットして、荒縄をさらにいかがわしく黒ずませながら、朝露のようなぬめりを帯びさせる。

 

 言うなれば被虐美とでも呼ぶべき、心の眼でしか感じられない媚があった。

 

 妖精のように可憐で白い未成熟な肢体に、計算され尽くした絶妙のコントラストとなってよく映える。

 

「ややっ」

 

 もっともそのすべてがハンネマンの、計算通りに事が進んだわけではないらしい。

 

 傷にはならなかったが肌があまりにもデリケート過ぎて、うっすら赤い痕が数日間消えずに残ってしまったのはミスらしかった。

 

 同性であり級友であってもおいそれと、他人の目に触れさせるわけにはいかないだろう。

 

 憶測だけで誰彼構わず闇雲に醜聞を広げるほど、ゴネリル家のご令嬢は分別のない人間ではないが、女のコの典型であり姦しいのは否定できない。

 

 男子の耳に入らないようにしてくれるのは疑いないが、街を徘徊する死神よりもホットな噂が、心配という体で女子内に流れる恐れがある。

 

 おかで大浴場を使用できなくなってしまったのを、ハンネマンにはこちらが申し訳なくなるくらいの謝罪を受けた。

 

 受けたが、

 

「今日の実験はここで行うとしよう」

 

 ナニも告げられず深夜の大浴場に連れて来られたとき、罪悪感なんてものはいらなかったのだと思い知らされ後悔した。

 

 一糸まとわぬ姿でイスに腰を下ろしてるリシテアの小さな背中を、やはり全裸になってるハンネマンの手が石鹸のぬるぬるを優しく塗り広げる。

 

 クリーム色のねっとりした液体はすぐに泡立ち、幾重にも赤い蛇を這わせた白い肌は瞬く間に白く覆われた。

 

「……あ」

 

 いや、そうなるだろう。

 

 これだけ実験をくり返せば予測できないわけがない。

 

 一部のコアな層からはホッとされた。

 

 5年後。

 

 リシテアの平凡な少女としての期待に応えたのは、12センチ伸びてくれた身長だけである。

 

 腋の下からぬるりと廻り込んできた手が、だ~れだをするイチャイチャカップルみたいに、発育途上だと信じてた薄いふくらみに宛がわれた。

 

 乳房と名乗るだけで羞恥心を掻き立ててくる、ささやか過ぎるバストをねっとり、ゆるやかに円を描きながら粘っこく揉みしだく。

 

 ハァハァハァハァ……。

 

 ともすればじれったいくらいのソフトタッチにも、感応し官能することに馴染んだ少女の息はスムーズに弾んだ。

 

 腰のあたりに押し当てられている熱さと硬さでさらに呼吸を乱される。

 

 無駄な肉の一切ない腹部を滑り降り、右手で恥丘のまるみを撫でながら、やや内側に曲げた中指をシンプルなスリットに喰い込ませた。

 

 繊細でデリケートな粘膜を擦られると、これまたすぐに裂け目の奥からシロップが滲み出てくる。

 

 師匠の手のひらを濡らす粘液は、火照った人肌よりもなお温かく、弟子の体内での昂ぶりをナニよりも如実に表していた。

 

「ンふぁ……」

 

 湯殿に響く少女の切なげな声。

 

 ぬれそぼつ粘膜の狭間に中指を深々と挿し入れられ、抱きすくめられたリシテアは媚びたように鼻にかかった喘ぎを漏らした。

 

 もう若くはないとはいえ、未だ現役であり引き締まってる。

 

 ハンネマンの胸板とリシテアの背中が密着し、急角度でそそり立つ勃起の裏側の形状が、詳細なディティールまでハッキリわかるほどだった。

 

 牡に荒らされたことのない少女の粘膜は、無遠慮な振る舞いをする侵入者にも寛容で、ぬめらかな襞が太い指を歓待するみたいに絡みつく。

 

 聞かないことにはできないクチュクチュという、卑猥でしかない音はリシテアの羞恥心と興奮を否応なく煽った。

 

 そしてそれはハンネマンも遠からずで、前者はともかく後者に関しては一緒らしい。

 

「あッ……ン……、や……あンッ!?」

 

 可愛く囀るリシテアのうなじに熱すぎる吐息を吹きかけながら、股間のこわばりを火照った白い肌にしきりに擦りつけていた。

 

 すると師匠の牡の獣性に応えるかのように、牝の本能に従って弟子もお尻をもじもじさせて挑発する。

 

 もっともっと激しくクチュクチュして欲しい。

 

 すっかり理性を蕩かせてるリシテアは、理性がまともであれば考えもしない想いを願った。

 

「あンッ」

 

 けれどハンネマンの中指はキュキュッとしつこく吸いついて、未練がましく引きとめようとする媚粘膜からあっさり引き抜かれる。

 

 思わず振り返り唇からすがるような、悲しげな声を零してしまったリシテアは、はしたなく浅ましい自分を恥じて真っ赤になった顔を背けた。

 

 ハンネマンの理性を燃やし尽くさんとする欲望の炎に、またしても新たな燃料が投下されたのは言うまでもない。

 

 人生を破裂させる恐れのある幼い魅惑の身体から離れた。

 

 ごろんっと仰向けになる。

 

 気にはなってた。

 

 こんなマットあったかしら?

 

 あってもとくにおかしくはない気もするが、完全には納得し切れない不思議な違和感がある。

 

 とはいえそんなモノは今のリシテアにとって、些細なモノでありもはやどうでもいいことだった。

 

 泡だけでは説明できないヌメリを帯びた勃起が、力強く隆々とそびえ立っており、心と身体を疼かせてる少女の視線を釘づけにしてる。

 

「よかったら次は、我輩を洗ってくれんかね」

 

 ――ぬるるるるぅ~。

 

 ソープだけでない色んな液体が師弟ふたりの肌と肌で練り込まれ、よりねっとりとした蕩ける卑猥な肌触りをもたらした。

 

 先端を硬く尖らせシコらせた幼い双つのふくらみが、ハンネマンの胸元から腹にかけてを何度も何度も往復する。

 

 乳首と乳首が擦れる感触が、くすぐったくって恥ずかしくって……どうしょもなく気持ちよくって堪らない。

 

 思春期らしく素直になるのが苦手な、お年頃の少女を問答無用で素直にさせた。

 

「や、ヤダ……ああッ……こんなの……はぁンッ、ぅ、あッああッ……ダメ、ン、こんなの、ば、馬鹿に、馬鹿になっちゃうッ!!」

 

 秘裂にめり込み喰い込む勃起の裏スジの感触と相まって、感応が官能を連鎖させて少女に棲む淫らなケダモノを焚きつける。

 

 命じられてもいないのに師匠の首筋に甘噛みして歯形を刻み、ぬっちりした媚粘膜でドクドク脈打つ肉のカタマリを舐めるみたいに磨きあげた。

 

 ハァ……。

 

 ため息。

 

 美しいのかどうなのかはともかくとして、ナニもかもが忘れられない鮮明な思い出である。

 

 淡々と手紙を読みながらもリシテアの脳裏には、ひとつひとつの恥の実験が、決して消えない記憶としてフラッシュバックしていった。

 

 お尻がむずむずする。

 

 アドラステア帝国からセイロス聖教会に宣戦布告が為された日、修道院内が右往左往する中でついには最期となる実験が行われた。

 

 大司教の従者であり雑用係も担うパルミラ人の少年に、悪いとは思ったが掃除道具一式は断りなく勝手に拝借してる。

 

 換気のために窓も開け放たれていた。

 

 イスに座るハンネマンに裸身を抱えられながら、白く長い髪を梳かれ脂汗でぬめる背中を撫でられる。

 

「ぐぅううッ、ふぅううッ」

 

 そっとしておいてほしかった。

 

 髪を梳かれるのも背中を撫でられるのも、抱えられるのも嫌いではないが、ナニ事も時と場合があって今は時と場合ではない。

 

 さっきからご満悦のネコの喉みたいにゴロゴロ鳴ってる。

 

 お腹が苦しい、

 

 腸がねじ切れんばかりに痛かった。

 

 たっぷり注入された牛乳が激しく流動してる。

 

 桃色の肛門がくしゃみでもするみたいに内圧で何度もひくつき、便意という名の凶器が傍若無人に直腸を掻きまわしてた。

 

 リシテアには乙女としての矜持を守るため、まさに死ぬほどの努力が要求されてる。

 

 耐えれば耐えるだけ腹腔を駆けめぐる欲求は高まっていき、排泄器官らしからぬ可憐なアナルにかかる重圧は増していくばかりだった。

 

 このままなら最後には恥を掻き、決壊するしかない未来しか見えない。

 

「うぐッ」

 

 だが歯を喰いしばった鬼の形相でさえも、可愛らしく映るリシテアはまだ諦めてなかった。

 

 ハンネマンは少女が肉人形と化して絶望に沈んでしまわぬよう、人として抗うために脆く儚く意地悪い希望もちゃんと提示してる。

 

 三時の鐘が鳴るまで。

 

 そこまで耐えればこの特殊が過ぎる変態的な実験を終了して、リシテアが限界を迎えるより前に花を摘みに行かせてくれると約束してくれた。

 

 無気力からではナニも感応できず、紋章のチカラを引き出す官能も生まれない。

 

 ……つまりそういうことだろう。

 

 リシテアはまだ日が浅いが弟子として、師匠であるハンネマンの理論を、このフォドラで誰よりも熟知してる自信があった。

 

 堪えることに意味がある。

 

 苦痛と羞恥に顔を歪め体温を熱くさせながら、雨に濡れたみたいに少女はカタカタと身体を震わせ続けた。

 

 甘いお菓子と甘いお茶の時間はいつだって待ち遠しい。

 

 そわそわする。

 

「ふぐぅううッ!!」

 

 しかしこれほどまでに三時の鐘が、鳴り響くのを待ちわびたことはなかった。

 

 実験が開始されたのはいつだったろう?

 

 浣腸器のガラスの嘴にツプッと肛門を挿され、牛乳を流し込まれたのは、いったい何時何分何秒だっただろうか?

 

 早く早く早く早く早く……ッ!!

 

 すっかり時間の感覚は失われており、まるでこの拷問みたいな責め苦が、永遠に終わらないかのような錯覚に襲われる。

 

「リシテア君は意外に汗っかきであるな」

 

 もはやデリカシーのなさは気にもならない。

 

 期待するだけ無駄。

 

 なのでそれはもうどうでもいいが、

 

「くひッ!?」

 

 爪の先で刷くようにしながら、汗の浮いた脇腹をそっと撫でる。

 

 どころかハンネマンはくすぐるみたいに、リシテアの濡れた身体のあちこちに刺激を這わせた。

 

 括約筋をさらに締める必要に迫られる。

 

 それでもやや色素の沈着したピンクの肛門からぴゅるっと、漏れたのはほんの僅かであったものの白い飛沫が零れた。

 

 ここまでくればナニがきっかけで、少女がどうなってしまってもおかしくない。

 

「……どうやら限界のようだね。鐘が鳴るまでにはまだ時間がある。よし、では、これで栓をしておくとしよう」

 

 ビンのフタ。

 

 フォドラの内と外を固く閉ざし分け隔てる、堅牢な首飾りよりもタチが悪く始末に終えない。

 

 スラックスの裾が汚れてしまったが、そのようなことには頓着なく、ハンネマンは落ち着いてるがだからこそ怖い声で、手にしていたモノを危険な収縮をするアナルに押し当てた。

 

「ひィッ!?」

 

 ひんやりした感触にリシテアは身体を跳ねさせる。

 

 改良は日々くり返され発展さえしてた。

 

 小さな卵型の物体。

 

 以前講義中に散々悪戯してきた魔導具の雛型は、いくつものボールが血のように赤く細い紐で連結されている。

 

「いひやぁッ!! ま、待って、お願い、そんなの無理ですから、ま、待ってく、ひッ、ひいいッ!!」

 

 衣服の汚れにも頓着しなかったが、切羽詰まった弟子の声にも頓着しない。

 

 丸い先端は花の蕾のように窄まった肛門を押し広げ、それまでの抵抗が嘘みたいにあっさりニュルッと体内に呑み込まれる。

 

 もっともあっさりという如何にも軽い表現は、あまりにもデリカシーがないのかもしれない。

 

「ぎいッ!!」

 

 激烈な衝撃が脳天から爪先に突き抜けて、リシテアは乙女らしからぬ悲鳴を上げていた。

 

 視界が赤く染まっていく。

 

 本来なら出すために設計された器官に、

 

「がぁああああッ!!」

 

 いくつもいくつも異物を挿入されて、狂わんばかりにケダモノの叫び声を響かせる。

 

 ふたりは知る由もないことであるが窓の外では、大修道院の敷地内では耳慣れない雄叫びに、びくっとなり慌てて周囲を見回す者も居たりした。

 

 しかし持たれてるキャラのイメージとかけ離れ過ぎており、まさかその正体を隠れて甘いお菓子を食べる少女と紐付ける者は皆無である

 

 合計で三つもの魔導具を埋没させ、アナルから赤い紐を生やしたリシテアを、想像できてしまうようなアレな奴はそうそう居ない。

 

 そんなアレな紋章学の父から、流れるように魔力が発動される。

 

「ぐひぃッ!?」

 

 魔導具のオリジンは即座に振動を開始して、直腸の粘膜を削り取るかのような勢いで暴れ出した。

 

 ご丁寧にも三つが三つとも異なる蠢きを魅せている。

 

 ゴロゴロゴロ……。

 

 ネコの喉などという可愛いモノではない。

 

 雷のような音がする。

 

「うぐぅううッ!!」

 

 排泄欲が爆発的に膨れあがった。

 

 直腸内の濁流が出口を求め、少女を破滅させそうな勢いで渦を巻く。

 

 もしも粘膜を嬲る魔導具で栓がされてなければ、リシテアはここで楽になってしまったかもしれない。

 

「ひィ、ぅ、ひッ、うがァ、あぐぅああああッ!!」

 

 しかし少女が乙女の矜持を守るための、地獄のような魔悦の時間は終わらない。

 

 そこに魔道の天才と称された面影は微塵もなく、大粒の涙を零し唇の端から涎を垂れ流しながら、仕立てのいい上質なシャツを掻きむしる。

 

 紋章にしか興味がないと思われることもしばしばだが、ハンネマンの身に着けてる物はほぼすべてオーダーメイドだ。

 

 帝都の職人の手によるもので、それなりでは利かない高級品だったりするが、そのようなことは些事も些事でハンネマンは気にしない。

 

 どれだけ汚されても、咎めはしないだろう。

 

 むしろ名誉だ。

 

 この聖なる穢れを忌む感覚はハンネマンに存在しない。

 

 クンッ。

 

「あ?」

 

 ストッパーになってる淫具が少しだけ内側の世界から、外へと引っ張り出されようとする感覚に、ふいに表情が抜け落ちたみたいになったリシテアは、敬虔な信徒が主を仰ぐようにハンネマンを見上げた。

 

 そこにあるのは相反するモノだった。

 

 その瞳には溢れんばかりの慈愛が……その口元には無慈悲な嗜虐の笑みが浮かんでる。

 

 ピンクに染まってる小ぶりな弟子のヒップが、師匠の心情を反映するみたいに、尻たぶを小刻みにぷるぷる震わせてた。

 

 時間は計ってたらしい。

 

 ずりゅりゅッ。

 

 濁流を堰き止めていたストッパーを一気に引き抜き決壊させた破裂音、

 

「はッ……ひッ……ひぐうぅぅぅぅッ!!」

 

 少女の憐れで淫靡な愉悦に塗れた牝の叫び声、

 

 ――きぃーん・こぉーん・かぁーん・こぉーん……きぃーん・こぉーん・かぁーん・こぉーん……。

 

 鐘の音の三重奏は見事な調和を魅せた。

 

 背徳に満ちた魔的な解放感。

 

 リシテアはすでに自分は恥辱の頂を極めたとばかり思い込んでたが、上には上があるということを心と身体に叩き込まれ思い知らされる。

 

 ドクンドクンとスラックスを内側からも激しく濡らす、ハンネマンの牡の力強さにに抱きすくめられながら、

 

 その感覚は――。

 

 薄れゆく意識のなかでイクというモノだと教えられたのを思い出していた。

 

 手紙の終盤には謝罪が書かれてる。

 

 大変すまない。

 

 そんなつもりはなかったが前よりも後ろの開発に、我輩の嗜好が影響したのか少々アプローチが傾いていたやもしれぬ。

 

 ハァ……。

 

 格別にしょうもない。

 

 ハンネマンの傾向にはリシテアも勘付いてたが、そのあえて目を背けてた事実というか真実を、この期に及んで頼んでもないのに告白してきた。

 

 ああーもうッ!!

 

 意識してしまうではないか。

 

 こうして5年前の実験を思い出すだけでむずむずしてくる。

 

 独りでも感応し官能を高められる訓練法――オナニーは自己嫌悪に陥るくらいの頻度で行ってた。

 

 紋章の謎を解明するためなんだから、だからわたしはクチュクチュしてるんだから……。

 

 そう教えられたから……ハンネマン先生にそう教えられたから……こんなこと……こんないやらしいこと……してるんですからね……。

 

 師匠に責任転嫁しつつ疼く身体を虐める日々。

 

 ハンネマンの教えを忠実に再現してる。

 

 5年の間にほんのちょっぴり成長、したかもしれないささやかな胸のふくらみを。

 

 ツンと硬く尖りしこる相変わらず生意気な乳首を。

 

 しようとするだけで条件反射みたいにじゅんっと潤んで、恥ずかしいほど濡れてしまう可憐なままのスリットを。

 

 すっかり皮が剥けるのにも慣れ、ぴんぴんに勃起する淫らなクリトリスを。

 

 ――そして指先を柔らかく呑み込み、キツく締め付ける蕩けるようなお尻の穴を慰めるのに、戦乱のストレスもあってリシテアは耽溺していた。

 

 目的のための手段なのか、手段のための目的なのか、わからなくなるくらいどっぷりハマってる。

 

 逸楽の底なし沼に。

 

 そのおかげなのかそのせいなのか、少女の身体はあどけなく未熟なままではあるが、それでも牝として最終実験に挑む合格基準に達してる。

 

 手紙はこう締めくくられてた。

 

 灯台下暗し。

 

 まったく自然な人の営みというモノは、理論を積み上げ学者がようやく到達した神秘に、理屈抜きで辿り着いてしまうのだから侮れん。

 

 宿った紋章を消す方法とは、子を孕み子に受け継がせる。

 

 紋章学の父が長年の研究の末に出した結論は、凡人であれば拍子抜けするようなものだった。

 

 感応し官能してる状態で受精すれば、摂理を捻じ曲げて宿った歪なモノは、おのずと消化されあるがままの存在に昇華していく。

 

 それが才ある者だからこその遠回りをして、ハンネマンが導き解き明かした答えだ。

 

 ハァ……。

 

 もの凄く深いため息。

 

 ハンネマンにしても帝国からコーデリア領に来た魔道師集団にしても、ロジックをこねくり過ぎて一周したというかナニやってるんだかだ。

 

 努力の方向性。

 

 重要だ。

 

 馬鹿と天才は紙一重なのがよくわかる。

 

 短命だなんだと脅されまくり、びびり散らかした自分が恥ずかしい。

 

 いや、放って置いたらその通りになってたのかもしれないが、あれこれ悩まず普通に当たり前の青春を謳歌してればそれで万事解決だったのだ。

 

 卒業まで約1年の仕官学校。

 

 もっと甘酸っぱいのを想像してたんだけどなぁ。

 

 級友であるゴネリル家のご令嬢が、事あるたびにそんなことを口にしてた。

 

 ……そんな学園ライフを送ってれば、より感応しより官能するために、深遠を覗き込まずとも良かったのである。

 

 リシテア君、子を成せ。

 

 キミのような可憐でキュートな美少女であるならば、きっと愛する伴侶と愛の証を創造できるであろう。

 

 ほんっとにデリカシーがない。

 

 子を成す。

 

 なるほど確かにそうなのだろう。

 

 鋭く隙のない考察と疑いようのない数値が、師匠であるハンネマンの解答が正答なのを、弟子であるリシテアに一切の反論を許さず理解させた。

 

 紋章学の父が構築した理論を、真っ向から否定する代案はない。

 

 しかし、だ。

 

 さらに深いため息をついて机に突っ伏す。

 

 理解はできても、納得はできてない。

 

 ハンネマンとの約一年にも及ぶ恥の実験は遠回りではあったものの、そのも甲斐あって紋章の呪縛から解放される方法はわかった。

 

 が。

 

 とりあえずそうするためには一点、紋章の申し子は難問があることを、恥の実験で産み落とされたのを気づいてしまった。

 

 感応し官能して受精する。

 

 つまりそれは、

 

 ハァ……。

 

 アブノーマルな趣味を持つ男に染め上げられた最高傑作、リシテア=フォン=コーデリアをイカせるという工程が必須で存在してる。

 

 この5年でそれなりに見聞を広め、師匠の嗜好があまり常識的でなく、どころか変態的なのを弟子は学習した。

 

 孤独な指戯に耽る際にはどうしても触れてしまう。

 

 お尻の穴を虐めてしまうのは、一般的なオナニーの作法ではないらしい。

 

 むずむずしてくる。

 

 ひさしぶりにデリカシーのないこの部屋に、恥辱の記憶の詰まった実験室に帰ってきたからだろうか。

 

 ふせてた顔をチラッと盗み見るみたいに上げて、ちゃんと扉に鍵がかかってないのを確認する。

 

 ……かかってないのを……確認する……。

 

 先生が……ハンネマン先生が……いけないんですからね……、わたしにイッパイ……イッパイ……いけないこと教えるから……。

 

 衣服の隙間に手がゆっくり、忍び込もうとしていた。

 

 紋章を二つ宿してると告げるよりも、ある意味で難易度は高いかもしれない。

 

 自分が変態であると、子を成そうとする相手に打ち明けるのは。

 

 死ぬほどの努力が必要だ。

 

 格別の。

 

 時のよすがに誰かが手繰り寄せられるのを願いながら、

 

「ン」

 

 扉が今にも開くのではないかというドキドキと、帰ってくるのではという希望にリシテアは胸躍らせた。

 

 

 

 

 THE END.

 

 

 

 

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