翌日。娼婦達とアツい一夜を過ごした私は、お風呂を借りてサッパリしてから、彼女達に別れを告げた。
空を見上げると、いつの間にか日は殆ど中央になっていた。何故かやたらめったら抱きつかれたりキスをせがまれたりで、帰るのが結構遅くなってしまったからであった。
「だが良い売春宿だったな…また次も出来れば行きたい」
尚財布の中身はスッカラカンである。ついでに性欲もスッカラカンであった。今なら私は神の使いにすらなれるだろう。流石に冗談だが。
「さて、とりあえずは帰るか」
そうして私は駐屯地へと戻った。
駐屯地へと戻ると、数人の少女達がワラワラと寄ってきた。最初は少しの緊張と媚を売るような顔でこちらへとやってこようとしてきたが、ある一定の距離になると全員がえっ?とした表情になって、こちらへと駆け寄ってきたのである。
「む?どうしたどうした、何か可笑しなものでも着けていたか?」
「いえ、そうじゃ無いんですけど…えぇー?」
寄ってきた少女達全員が、フレーメン反応を起こした猫みたいにポカーンと口を開けて私を見上げてきた。愛嬌があって可愛いがその姿は少し間抜けだった。
「なんだ?もしかして臭かったか?」
「あ…いえ、そんな事はないです…よ?」
「そうか」
そんな事ないと言いながらずっと口をポカンと開けてるのはちょっとどうかと思うぞ。
まぁ彼女達の反応は何となく分かってた。多分だが私の服からあの店の香水が香ってたのだろう。良い娼婦が良く付ける様な、甘ったるくけどもくどくないあの香りが。意識して服を嗅いでみればすぐに分かるものだ。
私はそのまま口を開けたままの彼女達を置いて家へと戻った。だがその戻る途中でも少女と出くわすと皆してポカーンと口を開けて見上げてきていた。ちょっと間抜けで、だけど愛らしい少女達だった。
まぁ、それはそれとして。
「…そんなに香ってたか?すん…うーん…分からん」
執務室の隣にある仮眠室に入ると私は早速自分の服の匂いを嗅いでみた。だが正直な所鼻が慣れてしまっていたので、さっぱり分からなかったのだった。
ーーー
それからまた翌日。二日間の休暇が終わり、今日から本格的に我が隊は始動だ。日が昇る直前に目を覚まし、服を軍服に着替えてラッパを握って外へ出る。
「…すぅ…ーーーっ!!」
そして息を吸い、ラッパを吹いた。起床ラッパである。普通起床ラッパとはその担当がやる事なのだが、ここはまだ設立一週間の部隊。勿論起床ラッパの担当なんて居なかった。
「わ!?何々!?敵襲!?」
「いや違うわ!?新しく来た隊長が外で吹いてる!!」
「え?え?え?」
私が外で吹いてるのが見えていたからか、彼女達は着の身着のままでドタバタドンガラガッシャンと音を立てながら集まってきた。
「た、隊長?こんな朝早くから召集なのですか?」
「…先ずは点呼だ。意見具申はその後にしてくれ」
「あ、は、はい!!点呼します!!」
その後、二回ほど番号を間違えて言う者がいたが初回なので不問にした。そうでなければいつまで経っても話が進まないからでもあったが。
「て、点呼終わりました!!」
「よろしい…さて、諸君。朝早くから召集を掛けてすまない。だが軍隊では日の出と共に朝礼を行う事が恒例だ。よって今日以降、休日以外全て日の出と共に朝礼となる。遅れた者には連帯責任として腕立て伏せ…(身体も出来上がっていない少女に、あまり負担はかけられない…となると、これくらいが限度か?)20回にする。肝に銘じて置くように」
「「「さ、サーイエッサー!!!」」」
あからさまに嫌げな顔をした娘が数人いたが、他はまぁそうだよねみたいな表情をしている。なんとか朝礼は出来そうだ。一安心である。
「ではこれより朝礼を行う。三日前まで諸君らは自主的に訓練をしていたようだが、今日からは私の指示の元訓練をして貰う事になる。この朝礼後、部屋の整理整頓と朝食を食べ終え次第、この場所に集合だ。では解散!!」
「敬礼!!」
寝巻きの少女達ばかりの締まらない敬礼に返礼しながら、私は家へと戻ったのだった。