朝礼を終えた後、彼女達の兵舎を検査し合格を出された者から朝食を食べる事にした。これからの日課だ。
「どうでしょうか?隊長!」
「…うむ、問題はない様だな。今後も綺麗に使いなさい」
「はい!」
「では行って良し」
「「「やったーー!」」」
ドタドタと少女達が私の横を擦り抜けて通っていく。その行き先は勿論食堂。その光景はまるで軍隊らしく無いが、まぁそこまで厳しくしてもしょうがないだろう。彼女達はまだうら若き乙女達なのだから。
さて、全員確認したのだし、朝食としよう。昨日の夜にマークの親父さんから物資を送って貰えたから、あんな塩っ辛い糧食とはオサラバだ。
そう考えて食堂に向かうと、そこからは良い匂いがしていた。新鮮な食材と香り豊かな調味料だけが醸し出す匂いだ。そんな香り豊かな匂いに鼻腔を擽られながら食堂前に着くと、そこに少女が二人待っていた。
「あ、隊長!お供致します!!」
「ん?あぁ、ありがとう」
「えへへ、今日から美味しいご飯になるって聞いて皆楽しみにしてましたよ、隊長!」
「ほう、それはよかった。態々取り寄せた甲斐があったよ」
そんな世間話をしながら食堂へ入ると、そこでは少女達がごった返すかの様に我先と朝食を食べていた。街から搬入された出来立ての食パン二切れに、目玉焼きと小ぶりなハッシュブラウンが三枚、そして彩り豊かなサラダと牛乳にデザートのチョコレート一枚が今日の朝食だからだろう。新鮮な食べ物に少女達の食欲が促進されていた様だ。
「おおーー!隊長すごいです!!」
「わぁ!!ちゃんとした朝ごはんだぁ!!」
横にいた少女達がザッと我先に厨房へと向かうのを微笑みながら着いていき、朝食を受け取った。因みに私の場合は少し足りないので二つ分のプレートを受け取っている。男なのでな、これくらいでないと足りないのだ。
「隊長隊長!ここで食べましょう!!ささ!!」
「あぁ、分かったよ」
そうして席に着いた私達は朝の朝食を頂いた。
ーーー
朝食を食べ終えたなら、次は訓練だ。朝礼の時と同じ様に集合して来た彼女達に、先ずはという事で行進訓練をさせる事にした。どこが良くて何処が駄目なのかを見る為だ。
「よし、全員揃ったな」
「「「はいっ!!」」」
「では訓練だ。先ずは行進訓練をする!全員隊列を組んで行進!!」
「は、はい!」
私の号令に歪ながらも答えて行進していく少女達に、取り敢えずグラウンドを一周させてみた。
「行進やめ!!」
「こ、行進やめー!!」
不規則な軍靴の音が止み、私の方へと向き直る少女達。まぁ予想していた事だが、あまりにも酷いものだった。なんと言えばいいのか、協調性のある娘とそうでない娘でなんとも言えない不協和音を醸し出していたのだ。ザッザッザッと普通であれば後半辺りからこの音に近くなる筈なのだが、彼女達は最後の最後まで不協和音だった。
これはちょっと、考えないといけない。
「ふむ、もう一度!行進始め!!」
「は、はい!行進始めー!」
あと復唱する娘にはもっとハキハキ全力で迷わず復唱して貰わないとだな。一回迷う癖をどうにかしないと。
そう思いつつ、今度は私も同行して行進を確認した。やはりというか、数人が明らかに感覚が違う。皆の足が地に着く頃に足を上げているのだ。
うぅむ、矯正が必要か。
「レベッカ!リオン!貴様らそのズレた行進はなんだ!?周りと足を合わせろ!!」
「は、はいぃ!」
「イ、イエッサー!」
感覚がズレてる者を名指しで矯正しつつ、行進させる。それをざっと4時間程やらせて、お昼休憩とした。
「よし、午前の訓練はここまでとする!一時間の昼休憩後、ここに再集合だ」
「「「サーイエッサー!!!」」」
「はぁ…疲れた」
「行進するだけでこんなに大変だなんて…」
「もう動きたくなーい!」
そんな少女達の姦しい声を背にしつつ、私は一足先に食堂へと向かっていた。その理由はなんと言っても昼食の時間だからだ。あの四時間の行進訓練で腹が減ったからという事でもあるが。
今日の昼食は朝の内に作られていたオニオンスープと少し冷えたパン、そしてカリカリに焼き上げたベーコンとナッツだ。中々に素晴らしい献立ではなかろうか?
「おー!こんなに食べられるならいっぱい訓練しても大丈夫ですね!」
「お肉なんて保存食以外だといつぶりだろう…?美味しい」
「オニオンスープだー!!わーい!!」
「教会にいた頃を、思い出してしまいますね…」
…正直訓練では厳しい事を言っていたから、早々に嫌われるものだと思っていたのだが、少女達は全くそんな事もなく私の周りでワイワイと昼食を食べている。
女は強いというのは、こういう事なのかもしれないな。よく分からんが。
その後、かといってそれで訓練を甘くする訳にもいかないので午後の訓練も厳しく矯正したのだった。