---------登場人物---------
春日 悠人(はると):主人公
春日 諾子(なぎこ):悠人の母
春日 悠年(はるとし):悠人の父(M商事・開発部・課長)
加木 充司(じゅうじ):主人公の遠縁(悠年の母方の従祖母の孫娘(はとこ)の婿養子の夫)
加木 清充(きよみつ):充司の子
-----------------------------
「おいおい・・・まさか本当にこれで作るつもりじゃねえだろうな?」
私は床に這いつくばってボウルから零れた小便を嘗めとりながら、そのまま意識を飛ばしていた。充司さんにそう言われて私は初めて我に返っていた。理性を取り戻してみれば、目の前に汚物まみれの食材が広がっている・・・。きっと徐々に正常な意識を取り戻し始め、理性を回復していったに違いない。私はと言えば、そうすれば汚物が消えてなくなるとでも思っていたのかのように、一生懸命に小便で満たされたボウルの中身をかき回し、必死でオムレツを作ろうとしていのだ。
「こっ・・・これは・・・」
ボウルの中の生卵はすっかり小便の中に混ざり込み、泡立った黄色い液体に変わり果てていた。アンモニアの刺激臭がツーンと立ち込めて、思わず吐き気を催してしまうほどだった・・・。
「これじゃあ流石にバレちまうんだよ・・・」
わびる様に一心に卵入りの小便をかき回していた私を、あきれ顔で充司さんが見つめている。
「コイツは捨ててきていいぜ・・・それに顔も洗っておけよ・・・小便臭くてたまらねえからな・・・」
悪臭を放つキッチンボウルを前にして途方に暮れている私に、充司さんはそう言ってくれた。
(なんて優しい方なのかしら・・・)
充司のせいでこうなったにもかかわらず、淫欲に溺れ、常識を失い、快感の虜になった私は、充司さんにどんなに酷い事をされても充司さんに忠誠を誓い続けてしまうのだ。まるで悪魔を崇拝するように・・・。
もう悠人がお風呂から上がってきてもおかしくない時間になっていた。食材を買い直している時間はもともと無い。
ホッとしながら、ボウルの中身をトイレに捨てに行こうとした私を、充司さんが呼び止める。
「そのかわり・・・これを悠人に飲ませるんだ・・・悠人の夕食に混ぜてこっそり飲ませればいい」
その手には、数粒のカプセル錠が入ったビニール袋が握られていた。
「いったい?・・・これは何?」
私の声は一気に怯えた低い声になっていた。頭の中で警告音が鳴り響いていた。
「安心しろ・・・ただの睡眠薬だ。お前へのお仕置きは今夜も続ける・・・可愛い息子にお前の助平すぎる痴態を見せたくないだろ?」
これは嘘だと直感していた。それは私を納得させるためのウソ・・・単なる言い訳、逃げ道にすぎなかった。そう言えば私の理性は納得する・・・その言葉を信じその理由に逃げ込めば、良心の呵責を感ぜずにすむ・・・。充司さんは私の不安げな表情を見透かしたように、都合のいいウソをでっち上げ、私を唆(そそのか)すのだ。私を信じ込ませる気など毛頭ない。私に残った理性を弱らせながら、剥ぎ取るように、その逃げ込む先を用意しているだけなのだ。
充司さんの節くれだった指が服地の上にハッキリと浮かび上がっている勃起した乳首をこすり始める。パールロータが貼り付けられた乳首は乳首吸引機によってすっかり肥大化し、感じ易く変えられてしまっている。パールロータの淫らな振動によって痛いほど固く凝っている乳首が、グリグリと擦り上げられる度に再び意識が遠のき始める。
「あっ・・・いやっ・・」
このまま言われるままに流されてしまうのは嫌だった。理性が失われまいと抗議の声を上げ始める。
(充司さんがこんな風にする時はきっと良く無い事をしようとしている時・・・)
私は疑いを持ち続けようとした。しかし、それを嘲笑うように、清充君がスカートをまくり上げ、充司さんに加勢するようにエロ下着しか履いていない私の股間を嬲り始める。次第に、頭に霞がかかり始め、疑念があいまいになっていく。私の抵抗が次第に弱まり始めるのを「しめしめ」とほくそ笑みながら、充司さんはダメを押すように耳元でそっと囁く。
「明日の朝までぐっすりと眠らせておくだけだよ・・・。息子が居ると思うとかえって燃えるだろ?たっぷりと可愛がってやるよ」
いつの間にか私はその薬が入ったビニールを受け取ってしまっていた。だが、その袋を手にした途端・・・何か悪寒のような震えが背筋を走った。よく見るとそのカプセル錠の中身は顆粒ではなく、まるで何百匹もの線虫が絡み合って乾燥したような縮れた短い繊維が封入されていた。
「なーに、飲み物に入れればすぐ溶け込んで分からなくなる。無味無臭だから、誰にも分かりはしねぇ。どんなにお前の息子の勘が良くたってな・・・」
乳首はすでに痛いほどしこり、充司さんの愛撫をキュンキュンと受け入れ、股間を摩り上げる清光君の指を痛いほど締め付けていた。
「・・・・・・・・」
何かひどく嫌な予感がして、私はその言葉をすぐに信じることは出来なかった。邪悪な快感に押し流されそうになりながらも、私は何とか怪訝な顔を浮かべ疑念を持ち続けていた。理性がぎりぎりの抵抗をまだしていた・・・。
「これってまさか・・・最初の夜に・・・お酒に混ぜて・・・」
それは感情や理性の範疇を超えた私の直観だった。思わず充司さんを睨みつけていた。きっとこれは・・・単なる睡眠薬などではない・・・その薬を受け取った瞬間からそれが分かってしまう程だった。
「ほっーう」
充司さんが感心したように私を見直し始める。それは怯えているような目にも見えた。まるで恐れていたものを見るような怯えた目・・・しかしそれも一瞬ことだった。その目の奥に別な生き物のような冷徹な光が宿り、ニヤリと醜悪な表情が口の端に浮かびあがっていた。
(さすが・・・悠年が見初めた女ね・・・でももう手遅れなのよ・・・今さら気がついても・・・お前の心はもう食い荒らされて捻じ曲げられているのだから・・・寄生した悪魔の淫虫たちに・・・家族への愛も、母性も・・・捻じ曲げられてほとんど残っていないのだから)
充司さんの中にすくった邪悪なものに突き動かされるように、充司さんは冷徹な光を帯びた目でさらに私を唆(そそのか)すように囁(ささや)き始めた。罠に追い込む猟犬のように・・・。
「そんな事はねえさ。ただの睡眠薬だって・・・深く考えるな。その代わりウンコまみれになった胡瓜や茄子は、綺麗に洗ってから料理しても良いぜ。臭いでバレたりするといけないからな。表面にしかついてないんだ・・・しっかりと洗剤を使って洗えば食っても大丈夫だろ?そうすれば、いくら勘のいいお前の息子でも気づきはしねぇよ」
「そ・・それは・・・・・」
充司さんの言う通りだった。悠人が気づけば私の今までの努力が水の泡になってしまう・・・。変わり果てた今の私を知られてしまう・・・。私は悠人に気づかれさえしなければそれで良いと、いつの間にか考えるようになっていた。充司さんはそれをしっかりと見透かしている。愛を無くし理性だけで考えるようになった私は、そんな手前勝手な事しか考えられなくなっていた。一度でも小便を入れたことのあるコップなど、例えどんなにきれいに洗っても使う人などいない。ましてや排泄物まみれだった食材を息子に食べさせる母親など、決して許されることのない非常識で最低な母親に違いない。
しかし、悠人への愛情を清充君へすっかり掏り替えられている私は、疑心暗鬼に堕ちりながらも充司さんの言葉に従っていた。悲鳴を上げ続ける私の理性はその言葉に逃げ込むほかなかった。悪辣な充司さんは巧みに私を追い込み、雁字搦めにしながら悪に堕としていくのだ。私は実の息子を侮辱する充司さんの陰湿な嫌がらせに、マゾ的な快感を一層強く感じながら、悲鳴を上げる理性を無理に押さえつける様に充司さんに言われるままに行動してしまうのだった。まさに充司さんの思う壺だった。
(きっとそれでなんとかなる・・・あと6回ショーに出れば・・・あと1月半耐えれば・・・すべて元に戻る・・・)
私はそう思い込むことでしか、心の安定を得ることが出来なくなっていた。それはもう儚い希望でしかないとしても、私はそれに縋っていた。ニヤニヤと邪悪な薄ら笑いを浮かべながら、充司さんは私の背中を押すように、そっと耳元で囁く・・・。
「それに忘れるんじゃねえぜ・・・もう食材はそこにあるもの以外もうねえんだ。せっかく母親の手料理を楽しみにしていた息子を悲しませるなよ。しっかり体裁を取り繕って分からないようにしてやれよ。お前の息子のために・・・」
それは今の私にとって、まさに殺し文句、キラーワードだった。愛情を捻じ曲げられ、理性だけで保っていた母性をたもつための悪魔の囁きだった。
(悠人のため・・・・)
私はそう思い込むことによってでしか、息子に汚物まみれだった食材を食べさせる行為を正当化することが出来なかった。悪事が露見し、事態が明るみに出ることを恐れていただけの卑劣な行為を、「悠人のため」などと思い込もうとしていた。決して快感のために正常な判断を失っていたわけではなかった。悪魔のような男が唆す言葉尻に乗って、巧みに、狡猾に、都合よく、事態をすり替えて行ったのは私だったのだ。愛情を捻じ曲げられ、理性だけになった私の心が逃げ込むにはちょうど良い言い訳だった。
だが私は知り様もなかった・・・不安げな表情を浮かべながらも次第に意思を固めていく私を見て、充司さんの目の奥に宿る別の魂が嬉々としながら妖しい光を放ち始めたことを・・・。充司さんに取り憑いた邪悪な魔女のあまりにも恐ろしい呪いを・・・。
(そうそう・・・それで良いのよ。お前は誓ったのよ。ウンコとマン汁まみれになった胡瓜と茄子を息子に食べさせると、確かにそう誓ったのよ・・・充司とそのカメラの前で。そう・・・言霊に乗せてしまったの。もう手遅れなのよ・・・その胡瓜と茄子は呪われているの・・・とりもなおさずお前自身、実の母親の肉體によって呪われてしまったの。そして、実の母親の呪いほど強く、恐ろしいものは無い。継母などでは比べ物にならない。いくら洗っても落ちはしないのよ。さあその胡瓜と茄子を息子に食べさせなさい!お前が作り出した最悪の毒リンゴを、お前自身の手で食べさせてあげなさい!小便風呂に浸かって悠人は既に外側が呪われている。今度は中からしっかりと呪いをかけてあげなさい。実の母親の最凶の呪いを外と内で完成させるのよ・・・あははははっ!)
---------------
こうして私は、トイレにボウルの中身を捨てると、何食わぬ顔で再びキッチンに戻り、お尻の穴と秘部に突き入れた食材を使って、料理を作り始めていた。実の息子のために、洗剤を使って何度も、まるで磨き上げる様に徹底的に洗っていた。理性がそれで少しでも納得するように・・・。もうこれで汚れていないのだと自分に言い聞かせるように・・・。時間はほとんどなかった。母親としての義務を果たすため・・・私は、愛を捻じ曲げられてしまった心の中で何度も詫びながら、もろ胡と茄子のおひたしを誠心誠意、真心を込めて作っていった。
全くのお笑い種だった・・・。私の行いは義務だけの行為のはずなのに・・・愛をすっかり失ったはずなのに・・・私は悠人に心から詫び、一心に料理を作り続けていたのだ。きっと・・・理性と心の折り合いを付けようとしていただけの欺瞞に過ぎない。きっと・・・捻じ曲げられた心では、それがどんなに酷い行為なのか思い至ることなど出来なかったに過ぎない。きっと・・・自分の事しか考えていなかったのだ。
出来栄えは悪くなかった。それがどんな扱いを受けた食材だったのか知らなければ・・・
「オマンコきゅうりとウンコナスだな」
「ひっ・・・酷い・・・」
充司さんが私の心を意地悪く掻きむしり始める。私はと言えば屈辱を感じても良いはずなのに・・・充司さんから加えられる言葉責めによって、かえって快感が深くなってしまうのだった。充司さんが私の罪を責めれば責める程、私は理性と良心を深く傷つけながら、邪悪な快感に染まっていった・・・。
「さあ・・・オマンコきゅうりとウンコナスを悠人の目の前の席に並べてやれよ・・・小便風呂で穢れた身体ですぐ食べられるように・・・」
「ああっッ・・・」
私は快感に身もだえしながら、充司さんの意地悪すぎる言葉に従うほかなかった・・・。そうする外なかった・・・しかし・・・私は中々動くことが出来なかった。私の身体がなぜか言う事を聞かないのだ。充司さんの言葉に理性は納得しているはずだった。肉體はすべてマゾ豚に変えられている・・・でも私の中の何かが・・・私の中に残った愛の欠片が私の中で蠢く悪にギリギリの抵抗をしているのだ。あまりにも冷酷で無慈悲な行為に、私の中のとても貴重な何かが「悠人のため」などと言うお為ごかしに流されないように必死で抵抗しているのだ。凍り付いたように動かなくなった私を充司さんが嘲笑する。何人もの女を牝豚に変えてきた卑劣な男が、さらに屈辱を与えながら私をマゾの快楽の沼に突き落としていく・・・。
「早くも命令無視か?・・・へっ・・・それで抵抗しているつもりか?・・・なら、もっと与えてやるよ・・・お前の理性が抵抗できないようにもっと酷いお仕置きをよ。嬉しいだろ?言い訳を作ってやるんだから。お前の理性が弱り苦しむ究極の心の痛みを与えてやるよ・・・」
最悪の選択に心を病み、躊躇し、狼狽える女の背中をそっと抱きながら、この悪魔のような男は冷酷に地獄の底に突き飛ばそうとするのだ。
「オラこいつを咥え込みながら・・・久しぶりに息子との家族団らんってやつを味わってみろ・・・ケケッ・・・息子の愛情を嘲笑うように、母親を演じながらタップリとマゾの快感を味わってみろよ・・・」
充司さんは耳元で意地悪くそう言うと、再び私の中にディルドとアナル拡張プラグを差し込んで、T字ベルトで固定してしまうのだった。
「はあうっ・・・・・」
ブブブブッ・・・と言う振動音と共に股間に埋め込まれた淫具が強烈な振動で威力を発揮し始めた途端・・・妖しい快感が肉體を貫き、理性の声が小さくなり始める。
「ホレホレ・・・悶え狂えば良いのさ・・・息子の愛情を感じながらせせら笑ってやれよ・・・ホレ「最強」の振動にしておいてやったぜ」
牝豚に変えられた肉體が恨めしかった・・・。こんな機械の振動ですら、私はあっさりと絶頂を極めるように躾けられていた。無機質なジンジンとする快感が股間から全身に伝わり、理性が次々に剥ぎ取られ良心が次第にボケ始めていった・・・。
「ほら・・・息子を失望させるなよ。これは悠人のためなんだよ・・・牝豚」
小馬鹿にしたように充司さんがほくそ笑みながら私の耳元で囁く。だが私にとってそれは理性と良心を蕩かす最後の囁きだった。そんな自分勝手な言い訳に、弱り始めた私の理性がマゾの快感に負けながら逃げ込んでいく・・・。
「そう・・・これは悠人の・・ためだったのよ・・・」
私は股間に埋め込まれた淫具の振動に耐えながら、・・・意識が遠くなりかけるのを何とか堪えながら、「悠人のため・・・」という言葉にあっさりと縋っていた。妖しい感覚が胸いっぱいに広がり、母親としての理性は蕩けるように失われていった。私の意識は股間に加えられる地獄の様な快感に集中して何も考えられなくなっていった。
私は充司さんに言われるままに、オマンコきゅうりとウンコナスを悠人の目の前の席に並べていった。実の息子を呪うマゾの快感に溺れ乍ら、悪魔の食卓を作り出していた。
------------------
「えっ?・・・ぁれっ?・・・」
フト・・・気が付くと、私はいつの間にか意識をなくして、ぼうっとキッチンに佇んでいた。どのくらいそうしていたのだろう・・・充司さんに淫具で責められていたという漠然とした記憶しか残っていなかった。痺れるような感覚はまだはっきりと肉體に残っているのでそんなに長い間ではないはずだ・・・。すでに充司さんは近くに居らず、バイブの振動は収まっていた。ジワジワと恐怖を感じ始める・・・。
(意識がなかった時、いったい私は何をしていたの?・・・)
そんな事がもう何度も続いていた。特に2回目のショーから帰った後はほとんど意識を飛ばし続け、何も覚えていない事が多かった。立ったまま意識を飛ばしていたのでそんなに長くはないはずだった。きっとキッチンに立ったまま充司さんにバイブ責めにあい、強烈な快感を貪っていたに違いない。
(意識を飛ばして・・・私は悠人の料理をどうしたのかしら?あの食材は・・・)
自分の置かれた状況を少しづつ思いだし始めた時、
ピンポーン
リビングに玄関のドアチャイムが鳴りわたった。
「毎度有難うございます・・・〇△○屋です・・・」
出前が到着したようだった・・・同時に悠人が浴室から出てくる音も聞こえていた。もう手料理を作る時間も、作り直す事も出来なくなっていた。股間にディルドとアナル拡張プラグを埋め込まれていたもののバイブの振動は止められ、何とか歩くことが出来た。私は急いでキッチンからリビングを抜け、玄関のカギを開けていた。その時になって私は初めて、リビングを抜けた際に目にした光景を思い出し、驚愕しながらリビングを振り返っていた。いつの間にかダイニングテーブルの悠人が座る席にだけ、汚れた食材で作られたもろ胡と茄子のおひたしが並べられていたのだ。
(わたしが並べたの?それとも充司さん?)
答えは明白だった・・・悠人がいつも座る席を知っているのは私だけなのだ・・・。これは私が無意識のうちに並べたものに違いなかった。理性を飛ばした私が、きっと唯魔子のように暗黒の感情に支配されながら、嬉々としてもろ胡と茄子のおひたしを並べていったに違いない。股間を擦り合わせるように快感を貪りながら、悠人の席に汚(けが)れた料理を運んでいる記憶が次第に蘇り始めていた・・・。
(私なんてことを・・・悠人・・・・)
悔恨に浸る間もなく、目の前のドアが開けられた。配達に来たのは鰻屋店主の源蔵さんだった。源蔵さんはニヤニヤといやらしい嘲笑を浮かべながら、私に無遠慮な視線を送って憚らなかった。
私はきっと源蔵さんが来るに違いないと思っていた。ネットリと刺すようないやらしい視線が私に向けられていると思うだけで股間がじゅくじゅくと濡れ始める・・・
「あれ?・・・奥さん、今日はいつもより随分と大人し目の格好で・・・お客さんですかい?」
源蔵さんが残念そうに、恨みがましい目を私に向ける。私はなぜか済まない気持ちになりながら、つま先から頭のてっぺんまで嘗め回すような源蔵さんの視線に、早くも妖しい快感を覚え始めていた。顔が紅潮していくのが分かった。源蔵さんの顔に人を見透かすようなニヤニヤとした笑いが浮かび上がる。
「じゃぁこれお釣り・・・」
そう言って、時間をかけながらベタベタと私の手を撫でまわすようにお釣りを返してきた。もう片方の手が私の乳房を押し付けられる。汗でべったりと濡れた手で触られると、虫唾が走る様な嫌悪感が背筋を這いあがっていく。でも私はその手を受け入れるように、かえって乳房を強く押し付けてしまう。その感覚が、露出の快感の記憶と結びつき、私はゾクゾクとしたマゾ的な快感を覚えてしまう。乳房に押し当てられた手がいやらしく弧を描き始めたころには、私は思わず口を半開きにしながら吐息を漏らしそうになっていた。気が付くと上唇をなめながら、私は熱い視線をその嫌悪すべき男に・・・源蔵さんに向けているのだ。
源蔵さんの節くれだった指が私の乳首を触り始め、擦り上げようとした丁度その時・・・非難する様な咳払いと激しい視線に気が付く。悠人だった。風呂上がりの悠人が、居間を通り抜け自分の部屋に行こうと、ちょうど玄関を通りかかったところだった。非常識なモノへの非難・・・、不正なモノへの憎悪・・・、その痛いほどの正義の視線が、私の良心をえぐり始める。
「あら・・・いつもと同じ格好でしょ・・・もう、何を言っているのよ・・・」
わざと悠人に聞かせる様に、私はそう言いながら立ち上がっていた。喉がかさつき、声が裏返っている事が自分でもわかった。牝の顔を浮かべてしまった自分を恥じながら、取り繕うようにそう言っていた。幸い乳房を嬲られているところは見えない位置だった。せいぜい手を握られているところしか見えないはず・・・そう願いながらも顔の紅潮はますます酷くなっていくばかりだった。息子に非難を受ける居たたまれなさが・・・、夫を顧みない非常識な行いが・・・私の中で快感に変わっていく・・・。私は、悠人の非難の眼差しを感じて、かえってゾクゾクする妖しい快感を強めていったのだ。
(悠人・・・そんな目で見ないで・・・お願い・・・はると・・・その非難の目が・・・かえって昂らせてしまうの・・・)
私はそう考えてしまっていた・・・。
「母さん・・・いったいどう言う事?・・・毎度って・・・よく〇△○屋から出前を取るの?」
軽く咳ばらいをしながら、悠人が避難がましく私に詰め寄った。源治さんが驚いた様に私から離れ、そそくさと玄関から消えていく。未練がましい視線を送りながら、しぶしぶと帰っていくのを悠人が睨みつけている。
「しょうがないでしょ・・・充司さんは鰻がたいそうお好きなのよ・・・」
私は思わず語気を強めてそう言ってしまって初めて、自分の異常さを再び感じていた。充司さんの言う通り、私は悠人の正しさが・・・悠人の真っすぐな正義感が・・・疎ましくなっていた。そればかりか悠人に怒りや憎しみを覚え始めていた。
(・・・・・・・・・)
私はそう思ってしまった自分にショックを受けて思わず口元を抑えていた。悠人の刺すようなモノ問いたげな視線が・・・悠人の正義の心が・・・私を苛み、苦痛を与え、マゾの快感を嫌と言うほど高めていく・・・。私は何も言うことが出来ずに俯いているほかなかった。気まずい沈黙が訪れようとした時、
「ほら・・・冷めないうちに食べようぜ!」
充司さんが助け舟を出してくれていた。私達の間に割って入る様に割り込んで、二人の沈黙を破ってくれたのだ。
「そっ・・・そうね。菜の物を作ったから・・・」
私はこれ幸いにそう言うと、悠人の視線から逃れるようにその場を後にしていた。気が付くと、呪われた料理のある台所に逃げるように向かっていた。邪悪な快感を覚えながら、自分から悠人に罠を引き入れようとしていたのだ・・・。そのことに気が付いて、私は唖然としていた・・・でももうどうすることもできなかった。すべてはもう手遅れ・・・私はさらに唯魔子に近くなっていた。
-----------------------------
「さあ・・・悠人君もお風呂から上がったことだし、そろそろメシにしようぜ」
充司さんがそう言って、悠人を食卓に呼び寄せる。食卓には鰻重が4つと、悠人の前にだけもろ胡と茄子のおひたしが並べられていた。きっと無意識下で私が並べたものだった。邪淫に溺れながら充司さんに唆されるまま、私がやってしまったのだ。私は実の息子に、洗ったとはいえウンコとマン汁に汚れた食材を食べさせようとしているのだ・・・。残りの食材は「きたねえモノを食わせるな」と言って捨てさせられたことを今ではハッキリと思い出していた。悠人の席の前にだけ・・・実の母親が作った特性の毒リンゴが置かれている・・・
(白雪姫の継母よりも酷いわ・・・)
私の腕によりをかけた手料理を期待していただろう悠人は、その拍子抜けするほど手のかかっていない手抜き料理に、一瞬がっかりとした表情を浮かべていた。
(ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・)
それでも暁人は、私の事を詰(なじ)ることもなく、かえって気遣う様に微笑を私に向けながら席についていた・・・。
(こんな良い子を・・・私は・・・私は・・・食べないで・・・ごめんなさい・・・それは食べてはいけないものなの・・・)
義務を果たさなかった私を、不浄なものを食べさせる私を、良心と理性がキリキリと私を責め苛む。それと同時に・・・私の肉體に植え付けられたマゾ性癖が淫汁を股間から吹き上げ、ダラダラと太ももにまで滴らせていく。私は悠人を直接見る事など出来なかった。変わり果て、何もできない私はただ俯いて、下を見つめ続けるだけだった・・・。
(こんなものは食べさせてはいけない・・・止めなければいけないの・・・)
私の良心と理性は心の中で何度もそう念ずるものの、私には結局、何も言うことが出来なかった。私が何か言おうと顔を上げる度に、リモコンバイブが微妙に振動して、私の機先を制するように行動を腰砕けにしてしまう。充司さんが私を脅す様に牽制しているのだ。
「いいか?少しでもおかしな真似をしてみろ・・・童貞の悠人君が失神する様な、お母様の赤裸々なモロ出し写真をタップリと見せてやるぜ・・・それともお母様と〇学生とのショタコンセックスやアナル処女喪失シーンの方が効くかもな?」
玄関からリビングに向かう私の耳元で、充司さんはそう何度も私に釘を刺していたのだ。バイブレータのリモコンを後ろ手に隠しながら、充司さんは意地の悪い嘲笑を浮かべて、悠人がもろ胡か茄子のおひたしに手をつけようとするのを、手薬煉(てぐすね)引いて見つめている。
そして私は充司さんの調教が、悠人の帰郷を利用して今この時にも行われていることに思い至った。私はいつも以上に・・・バイブの振動に感じているのだ・・・いつもよりも遥かに・・・バイブの振動がなかった時からずっと深く強烈に・・・
(これは、悠人を穢すための罠だけでなく、私への邪悪な調教の一環でもあるのね。悠人の前でも、いつでも感じてしまうように躾けるための・・・)
充司さんは私の悠人への愛情をすら変質させようとしている。私の心の拠り所である悠人と暁年さんへの愛すらも、この人は差し出させようとしている・・・。あまりにも邪悪で、卑劣な考えに、私は目の前の男の空恐ろしさを思い知っていた。
(この男は私の総てを・・・・この肉體だけではなく、心すらも所有しようとしている・・・だから、この家にずっと居座って・・・家族への愛ごと奪おうとしている。そしてその仕上げとして・・・私を使って悠人をその毒牙に掛けようとしている・・・)
滑稽(こっけい)にも私の理性は、私がもう悠人への愛情をすっかり失ってしまった後に、初めて充司さんの邪悪な意図に気が付いたのだ・・・。自分が既に悠人への愛を全て清充君への愛に変えられてしまった後に、家族よりも目の前の凌辱者親子が愛おしくなってしまった後に・・・その意図に気が付いたのだ・・・。もう手遅れになってしまった後に・・・やっと気が付いたのだ・・・。
私の肉體が理性を嘲笑う様に、私は充司さんに何も抵抗できずに、ズルズルとその命令に従ってしまっていた。悠人がすぐ近くにいるというだけで・・・ディルドから与えられる振動が、強烈な快感に変わっていた。すでに慣れ始めているはずの振動が、信じられないほど気持ちいい。悠人に音を気づかれぬよう、弱い振動しか加えられていないはずなのに、私は悠人の目の前で淫らすぎる快感に軽く逝きそうになっていた。悠人が居ると思うだけで、かえって興奮している自分を、今日は嫌と言うほど味わいながら、充司さんの恐るべき調教の意図を思い知らされていた。
「おや・・・お茶が出てないようだな・・・」
充司さんがそう言って、私に目配せをする。それが意味するところは明確だった。私は先ほど充司さんに渡された睡眠薬をポケットの中で握りしめていた。充司さんの唆(そそのか)すような文句が私の脳裏を去来する。
【安心しろ・・・ただの睡眠薬だ。お前へのお仕置きは今夜も続ける・・・可愛い息子にお前の助平すぎる痴態を見せたくないだろ?】
(この薬は悠人のためなの・・・悠人を悲しませないための・・・ごめんなさい・・・あと6回・・・あと少しで解放されるの・・・これはあなたの為でもあるの・・・)
愛を無くした私は、充司さんの言い訳に縋って理性を無理やり納得させていた。まるで理性を・・・自分自身を騙すように「悠人のため」という言葉に縋っていった。私は股間に加えられる弱い振動にあえて痴れながら、少しでも罪悪感を紛らわせようとしていたのかもしれない。股間から溢れ出した淫汁は、すでに太腿をつたって膝頭までを滴り始めていた。悪魔の命令を実行に移すことを、快感に変えてしまうように完全に調教されている事など、この時気づきもしなかった。もうすでに私は魔女に・・・白雪姫の継母以下の存在になっていたのだ・・・
私は悠人に痴れた感覚を悟られぬように平静を装いながら、悠人のために・・・いいえ・・・悠人を貶めるために、悪魔のお茶を用意していた。私の手はきっと少し震えていたに違いない。あまりにも大それたことをしているというまともな感覚が、その時はまだ確かに残っていたのだ。
(これは悠人を眠らせるためだけ・・・私たちの夜の行為を悠人に気づかせないため・・・それだけ・・・)
そう思い込もうとしていた。しかし、そのカプセル錠をお茶の中に入れた途端、それが気休めでしか過ぎないことを悟った。溶け出したカプセルから細かな繊維状の内容物が弾ける様にお茶の中に広がっていく様子は、ゾッとするような不気味な光景だったのだ。まるで細長い小さな線虫が水分を吸って息をぶり返していくように、その繊維はウネウネと蠢きながら、お茶の中に透明になりながら無数の線虫のように広がっていったのだ。直ぐに溶け込むように見えなくなってしまって、それが錯覚なのかどうかすら分からなかった。しかし、確かに・・・気味の悪い小さな何千もの半透明なウジ虫が、蠢き広がりながら湯呑みの中全体に溶け込んで見えなくなっていくように見えたのだ。
「これは単なる睡眠薬・・・生きているように見えたのは気のせい・・・気のせいなの・・・」
やがて悠人の善良な心に食らいつき、邪悪な粘液を浴びせながら全てを食いつくし真っ黒に染めてしまう悪魔の寄生虫かもしれないのに・・・。すでに私の母性も家族への慈愛も捻じ曲げながら全てをムシャブリ尽くしてしまった恐ろしい淫虫と同じものに違いないのに・・・。私はそれを実の息子に植え付けようとしているのだ・・・。邪悪な快感が肉體を駆け巡る。息子をダメにする究極の心の痛みが・・・強烈な快感にとなって私に襲い掛かっていた。
そして私は、充司さんが用意した踏み絵を、この時確かに踏んでしまっていた。将来を嘱望されている有望な若者を・・・愛していたはずの実の息子を・・・悠人を・・・罠にかける片棒を私は確かに担いでしまったのだ。どんな事が有ってももう私は許されない・・・許されてはならない。息子への愛を失った私は、もう・・・この男(ひと)・・・充司さんから離れる事など出来ないのだ・・・。私にはこの人と清充君しかいない・・・。私は確かにこの時、心の中の悠人を殺そうとしていたのだ・・・。
「は・・悠人・・・ハッ・ハイお茶・・・」
何も知らない悠人は席に着いたときから爽やかな笑顔を浮かべながら、嬉しそうにお茶を受け取ってくれていた。出前の料理と私の作った手抜きの総菜しか上がっていない食卓に悠人は明らかに落胆しているはずなのに・・・それでも落胆を感じさせないように自分を律する努力をしているのだ。
【大人にはね・・・人の為にしなければならない事がいっぱいあるの。自分の欲望やその場の感情に流されてはいけない事が沢山ね・・・。そのためには自分を律して行動しなければならないの。昔お父さんに教わった事だわ・・・】
とりもなおさず・・・私が悠人に教えてきたことだった。そして、悠年さんの行動を通じて、私が教えられたことだった。この子はその教えをきっちりと今でも守っているのだ。
(さっきもそうだった・・・こんなに良い子なのに・・・こんなに素晴らしい子に育っているのに・・・)
私の悲痛な考えなどお構いなしに、残酷な充司さんと清光君の目が、悠人の目の前の総菜とお茶に注がれていた。早く食えと・・・、早く呑み干してしまえと・・・純真な心が汚れていく様を、邪悪な喜びを感じながら見つめているのだ。
(食べてはダメ・・・呑んではダメ・・・)
私は心の中でそう叫びながらも、股間から溢れ出し膝頭まで滴っていたマン汁が、ついにポタポタと床に垂れだしていくのを感じていた。その時バイブはもう止まっているというのに・・・私は今まで以上に強烈な快感に浸っていたのだ。ただ黙って何もせずに、悠人の行動を凝視しているだけだった。充司さんに植え付けられた邪悪な暗黒の喜びが私の心と肉體を支配しようとしていた・・・。
●ぜひ感想をお寄せください。
(匿名で感想を投稿できる設定にしています)
●本作品はPixiv(会員登録が必要)においても掲載しております。
https://www.pixiv.net/novel/series/8506983
(Pixivは予約投稿機能が有料のため不定期で遅れてアップしています)