---------登場人物---------
春日 悠人(はると):主人公
春日 諾子(なぎこ):悠人の母
春日 悠年(はるとし):悠人の父(M商事・開発部・課長)
加木 充司(じゅうじ):主人公の遠縁(悠年の母方の従祖母の孫娘(はとこ)の婿養子の夫)
加木 清充(きよみつ):充司の子
唯魔子:蛇童和鬼の牝豚奴隷・パートナー
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時が止まった様に・・・一瞬の静寂が広がった。全ての視線が、その食卓に注がれていた。悠人が汚れてしまうのは、もう時間の問題だった・・・。
(ごめんんさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・)
(悠人・・・はると・・・はりゅっ・・・っっぅっ・・・・)
理性が絶叫を上げていた・・・肉體が絶頂を感じていた・・・私は肉體を硬直させ、心を凍り付かせながら、俯いたまま絶頂を味わっていた・・・。悪鬼2人と鬼母の3人が悠人にただならぬ注目をしていた・・・
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
だが、その異様な雰囲気に、カンの良い悠人が何かを感じ取ったようだった。
「あれ?・・・お茶は僕だけ?」
熱気を帯びた異常な視線をひしひしと感じながら、悠人は不思議そうに食卓を見回した。
「それに・・・お惣菜が付くのも僕だけ?」
何も答えられずにただ俯いていた私から、悠人の視線はその横に座っていた充司さんに移って行った。
「それがお母さんの心ばかりの歓迎なんだよ。それがお母さんの「本心」なんだよ。誰を一番愛しているのか良く分かるよね?さあ遠慮せずに、みんな食えよ」
何食わぬ顔で充司さんが念を押す。しかし、その口の端は吊り上がり、ほくそ笑みが隠せない・・・。私はと言えば、邪悪な心と理性のせめぎあいに苛まれ、ただ俯いているだけだった。その私に充司さんの鞭が撃ち込まれる・・・突然強烈な振動が股間を襲ったのだ。私に念を押すように、充司さんが目配せしている・・・股間から立ち上る快感に身を捩りながら、私はそれ以上に・・・背徳感と罪悪感に酔い痴れる・・・邪悪の魅力と快感に抗することが出来なくなっていた。振動はすぐに止んだと言うのに、私は悠人を罠に掛けることに加担していた。
「充司さんと、清充君にはこれから入れ直すわ・・・。まずは、旅に疲れた悠人からね・・・」
(これは悠人を眠らせるためだけ・・・私たちの夜の行為を悠人に気づかせないため・・・それだけ・・・)
何とか声を震わせることなく、そして悠人に気が付かれぬことなく、そう言う事が出来た。・・・吐き気がしそうだった。私は平静を装い、優しさを装って、酷いことをしようとしている・・・私は白雪姫の継母以下だった・・・。
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(それを食べてはいけない・・・ダメなの・・・今の私の言う事を聞かないで・・・前の心に・・・人間の心に・・・戻らなければ・・・)
その時・・・私の目の端に輝く何かが飛び込んできていた・・・。悠人の胸ポケットに差されていたボールペンだった。悠人がSSHに合格した時に、然(さ)る神社で私が授かったボールペンだった。それは「学業成就」と彫り込まれているご神木の廃材を利用して作られた木製のボールペンだった。その文字が異常に輝いて、私の目を奪ったのだ。
【大人にはね・・・人の為にしなければならない事がいっぱいあるの。自分の欲望やその場の感情に流されてはいけない事が沢山ね・・・。そのためには自分を律して行動しなければならないの。昔お父さんに教わった事だわ・・・】
その言葉が再び私の脳裏に木霊していた。私の理性が最後の力を振り絞っていた・・・勇気を奮いたたせて、悠人に何かを伝えようとしていた。多分それは理性だけの力ではなかった。肉體と心がもうすっかり邪淫に靡(なび)いているというのに・・・私の中の何かがそれを許さなかった。
「それを呑んではだめ・・ダメなの!・・・」
私は我を忘れて立ち上がり、思わずそう言っていたのだ。充司さんが驚愕の目で私を見つめる。驚きと恐怖がその目に浮かんでいるのが分かる・・・そして、悠人が怪訝な眼で私を見つめる。
「えっ?・・・何だって?母さん・・・」
私は言葉を続けようとして口を開いた・・・しかし、それ以上の言葉は続かなかった。
ブビビビビッ・・・・
いきなり、くぐもったバイブ音が股間から響き始める・・・悠人にも聞こえるほどの音だった。充司さんがなりふり構わずバイブのリモコンを最強に合わせていたのだ。股間の強烈な刺激に・・・私は立っていられなくなり言葉を飲み込んだまま快感の波を耐える他なかった。腰を砕かせて倒れそうになるのを何とかこらえるのが精いっぱいだった。もうそれ以上何も言う事が出来なくなっていた・・・。
「・・・くうっ・・・・・・・・・・」
悪魔に私は屈服しそうになっていた。
「・・・・・・・・・・・・・」
しかし・・・この子は違っていた・・・言葉を詰まらせた私の反応に悠人が何かを悟ったようだ。正義の子は、こんな私にも気を遣う・・・思いやる・・・その言葉の意味を正確にとらえようとする
「そうだね・・・このお惣菜やお茶を僕だけで頂くのは気が引けるよ・・・僕だけ食べてはいけないね・・・母さんその通りだね・・・そうだ・・・良いものがある!ちょっと待ってて・・・」
悠人はそう言うと、席を立っていきなり部屋の外に飛び出して行った。呆気にとられていた充司さんが、気を取り直したように凶暴な顔をしながら私を睨みつけた。最強になったままのバイブの振動は止められることはなく、私はついに腰砕けになり床に崩れ落ちるようにその場にしゃがみ込んでしまっていた。腰を小刻みに痙攣させながら、立ち上がることすら出来なかった。
「いいか!今度こんな事をしてみろ、悠人に写真を晒すだけでは済まなくしてやるぞ!」
そう言いながら、いきなり私の唇を奪った・・・。俺を忘れるなよ、と言わんばかりの熱い口づけに、痺れるような感覚を味わっていた。すでにバイブの振動は弱められていたにもかかわらず、私は充司さんの肩に手をまわし、その身体をきつく抱きしめていた。悠人が戻ってくる間、バイブの振動に身を蕩けさせながら私は充司さんをきつく抱擁し、熱い口づけを交わし続けていた。それに加わる様に、清充君が私の乳房を揉み始める・・・。淫らな気持ちが心地よく私の全身を包み込んでいった。私は自分の中の何かがもう既に変えられている事を実感していた。
(例え神器でも・・・神社のお守りでも・・・もう戻れないの・・・もう駄目なの・・・悠人・・・はると・・・ごめんなさい・・・私はこの方々なしでは生きられない・・・お父さん以上に愛して・・・しまったの・・・)
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しばらくして悠人が戻ってくる間に、私は何とか居住まい正すことが出来た。バイブの振動は既に止められていたが、強烈な振動と熱烈な口づけとの余韻で股間は小刻みに震えたままだった。
「ここから牝の臭いがダダ洩れだぜ」
そう言いながら充司さんは股間からまだ溢れ続けている淫汁をティッシュで拭ってくれていた。
「早く食いたい・・・」
鰻重の美味しそうな香りを嗅ぎながら、清充君が不平を漏らした時、悠人がやっと戻ってきた。
戻ってきた悠人の手には3つばかりの枇杷の実が乗っていた。
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「今、採ってきたんだ・・・僕が庭に植えた枇杷の木の実だよ。ほとんどカラスや野鳥に食べられてしまっていたんだけど、この三つだけ食べられずに済んだみたい。まるで奇跡だよね。丁度三つ・・・充司さんと清充君、それに母さん・・・これを食べてよ。ねっ!」
そう言って、汚れた手と顔をしながらニコニコと私たちの前に差し出したのだ。
「☆♡☆♡☆♡☆♡☆♡☆♡☆♡・・・」
輝いていた。
とても輝き、美しい光を放っていた。
眩しかった。
眩しくて・・・直視できない程だった。
私にはその枇杷の実が巨大な星のように見えていた。それは神社のお守りとは桁違いの強烈な光の輝きだった・・・。悠人は私たちが抱擁を交わし、彼の事など全く気にも留めていなかった時、私たちのためにそれを取ろうと悪戦苦闘してくれていたのだ。
私は悠人の顔をまともに見る事など出来なかった・・・その枇杷の実が眩しすぎて、何も言えなかった。
(この子は・・・本当に悠年さんにそっくりだ・・・。呪われた食材と、怪しげな薬が盛られたお茶を差し出している私に比べて・・・そして、それを指示している充司さんに比べて・・・この子は何という素晴らしい子なんだろう・・・。自分のためではなく、心から人のために尽くそうとしている・・・この子のなんと優しく強い事だろう)
その枇杷の実を持った悠人は、枇杷の実とボールペンと共に確かに輝いていた。枇杷の実を中心に清らかで優しさに溢れた強い光が、まるで神器のようにお守りのボールペンや悠人自身から溢れ出てきているようだった。そしてその光の粒子が私の周りを漂いながら心と肉體の闇を照らし出し、巣食っている魔を炙りだしてくれるようだった・・・。
私は充司さんを振り替ることなく、心から悠人に向き合っていた。
そして、私の心にぽっかりと空いた穴に、慈愛を伴った光の粒子が降り注がれはじめるのを感じていた。その粒子が照らし出した心の穴の奥底にまだ悠人への愛が確かに在ると・・・私は初めて感じていた。理性だけではなく・・・義務や責務からではなく・・・まだ心のどこかに・・・悠人を愛おしく感じることが出来るのだと・・・初めて気が付いた。そして悠人への愛が奪われて、強引に押し込められた清充君への愛が、まやかしの偽物であることを、心を照らし出す光の粒子はハッキリと映しだしてくれていた。真っ暗闇の中で、愛を見失った私にそのまがい物の愛などでは、悠人の代わりになどには少しもならない事をクッキリと照らし出してくれたのだ。
「悠人!」
私は今日初めて悠人に会っていた。
そう・・・私は今日初めて悠人に・・・初めて心から悠人に相対することが出来たのだ。
清充君へ間違って向けられていた愛が次第に悠人に向かい始めていた。淫具を取り付けられている卑猥な胸の谷間にも、まだ清く暖かなものが息づいていた。愚かな私にはその正体が何かさっぱりと分からないのに・・・その存在は確かにまだ私の中で息づいている。それは私たちをずっと見守り続け、悠人と共に育ってきた枇杷の実のささやかな記憶の断片だったのかもしれない。悪辣なものによって奪われてしまった大事なもの埋める程ではないにしろ、愚かな私を正気に戻し、元気づけるには十分だった。
「悠人・・・ありがとう・・・素晴らしい枇杷の実だわ・・・真心こもった本物の食材ね。そこにある胡瓜や茄子とは比べ物にならない・・・」
私がいきなり、悠人の手を握りながら枇杷の実を大事そうに受け取ると、悠人が驚いた様に見返す。はにかむような、それでいて心から嬉しそうな笑顔が、その整った顔立ちに浮かんでいた。とても愛しいかった・・・。清充君への愛では埋められない、埋めようもない愛が・・・ずっと尊く、崇高なものが、確かにこの子に対して感じられた。
「そうね・・・枇杷の実のコンポート・・・たった三個だけど・・・ワインもお砂糖もあるから、何とか一人前ぐらいは作れるわ! あなたの大好物よね!」
私は充司さんに何と言われようと、そうしようと決意していた。そう言ってしまって初めて私は充司さんを振り返っていた。でも、充司さんはまるでフリーズしたように、目を見開いて何も言わなかった。まるで、枇杷の実の光に心を奪われてしまったように・・・惚けたように全く動かない・・・。
「えっ?・・・僕だけで食べるわけにはいかないよ・・・みんなで分けて食べよう。この胡瓜と茄子もみんな一緒に食べよう!」
そう言って清充君の前に、穢れていたその胡瓜と茄子の皿を回していた。鳩が豆鉄砲を食らったような、恐怖とも驚きともつかぬ表情が清充君に浮かび上がる。
「あはははっ!」
私は久しぶりに心から笑っていた。ゴールデンウィークに悠年さんや悠人がこの家を去った時以来・・・初めて心から笑っていた。充司さんに犯されて以来・・・私は初めて笑っていた・・・。
「本当は最初からこれでコンポートを作ってもらいたかったんでしょ?」
私はそう言いながら思わず微笑みがこぼれていた。元気が出てきていた。久しぶりの事だった。そう・・・悠年さんと悠人が家を離れて以来感じたことのない、清々しく、そしてとても幸せな気分だった。
「えっ?!でも1時間近くかかっちゃうんじゃないの?良いの?・・・久しぶりだな・・・母さんの枇杷の実のコンポート!・・・充司さん、とっても美味しいんだよ!すごく甘くて、枇杷の実の香りがとっても引きたつんだ!」
悠人は満面の笑みを浮かべ・・・天使のような微笑を充司さんに投げかけている。悠人に声を掛けてもらって充司さんは、やっと意識を取り戻したようだった。事の成り行きについていけなくて、生返事しかできない・・・
「ああっ・・・あん?・・・」
私は充司さんが惚けているうちに行動を起こしていた。
「急いで作っても30分はかかるわ・・・いったんお料理はひっこめましょうね」
おいしそうな匂いがする鰻重を目の前にして、恨みがましい目を浮かべた清充君をしり目に、私はこれ幸いにモロ胡と茄子のおひたしをお盆の上に乗せてキッチンに向かっていた。
「僕も何か手伝うよ」
そう言って暁人が枇杷の実の皮をむき始めた。
久しぶりの悠人との団欒だった。私は先ほどまで・・・その家族を裏切るような行動をしていたことをすっかりと忘れていた。いや・・・忘れようとしていた。股間とアヌスに打ち込まれた淫具を意識しないようにしていた。このワンピースの下はエロ下着だけの淫らな格好であることを、考えないようにしていた。まだ枇杷の実が放った光の粒子が、心の隙間を満たしてくれていた。
(あと6回SMショーに出れば解放されるの・・・あと2か月かからない・・・母さん絶対に耐えてみせるわ)
私は何度も心の中で悠人に詫びながら、このしあわせなひと時を味わっていた。本当に優しくて良い子だと、楽しそうに私の手伝いをする悠人を見ながら心からそう感じていた。そう・・・私は確かに悠人への愛を思い出していた。取り戻す事など出来ないにしても、肉の疼きを忘れ、その思いに持ち続けることは出来ていた。
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本当に幸せな時間だった。それは脆く儚い貴重な時間だからこそ意識できる、幸せの瞬間だったのかもかもしれない。例え奪われてしまった愛が元に戻らなくとも・・・例え直ぐに淫欲に溺れ、何もかも台無しにしてしまう事になってしまっても・・・今この瞬間の幸せを大事にしたかった。逃れられない運命がやがて破滅に向かってしまうのだとしても・・・
私は今の幸せのありがたさを強く感じていた。私はどんなことが有ろうとこの幸せの瞬間を忘れないようにしようと心に強く刻んでいた。やがてすぐに薄なってしまうかのように・・・すぐに薄汚れて行ってしまうかのように・・・私の中の何かがそれを予感しているように・・・
「あとは15分ぐらい煮詰めるだけよ。悠人・・・枇杷の実・・・本当にありがとう」
私はそう言って、悠人の手をギュっと握り締めていた。悠人が驚いた様にその手を握り返しながら私を見つめ返した。
「母さん・・・本当に大丈夫?・・・僕は明日SSHに帰っちゃうけど、本当にこれで大丈夫?もっと何かする事が有ったら言ってね」
私は涙が頬を伝って落ちていくのを感じていた。この子は私のために嫌々この家に帰ってきたのではない・・・。私の事を心から心配して帰ってきているのだ。この子は私が充司さんに言われるまま理不尽な呼び出しをしても、嫌な顔一つせずに私の求めに応じ、私の事をずっと慮(おもんぱか)ってくれているのだ。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・悠人」
私はポロポロと涙を流しながら、悠人を抱きしめていた。私の淫臭を嗅ぎつかれても、まともな下着をつけていない事が知れてもどうでもよかった。一瞬驚いたように身体をこわばらせた悠人は、ゆっくりと私を強く抱き返してくれていた。悠人の温かな身体の温もりが優しく心の中にまで伝わってきた。
「やっとハグしてくれた!」
悠人は顔を綻ばせながら、安心したようにそう言った。心が洗われていくようだった。涙をぬぐいながら、私は悪い心が浄化されていくような不思議な感覚を味わっていた。私は確かにその時、股間の淫具も、エロ下着の事も忘れ、かつての母親の心を取り戻していた。
「ありがとう悠人・・・来てくれて本当にありがとう・・・大好きよ、悠人!」
私は胸に当たるお守りのボールペンの感触を感じながら、再び悠人を抱きしめていた。
多分それが、私の春日家における最後のしあわせの瞬間だった・・・。悪に堕ちていく私に手向(たむ)けられた最後のささやかな幸せだった・・・。だが、その幸せなひと時は長くは続かなかった。
煮詰まっていく枇杷の実はやがてその生気を失い、輝きはどんどんと失われていった。充司さんの目に再び、邪な怪しい輝きが戻り始め、口の端が醜いほくそ笑みに変わっていった・・・。
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