セックス次元のTSデュエリスト 作:エロデュエル良い
今回登場するオリジナルキャラクターの「弐月理奈」とテーマ「フタナリンク」はKATUUさんから許可をいただいて使用させてもらっています。ありがとうございました!
初めてエロデュエルをプレイしたあの日から、実に一週間が経とうとしていた。
結論から言えば、僕は今もセックス次元に残っている。
当然、元の世界、次元に帰りたいという思いは微塵も揺らいでいない。
しかし多少面影はあると言っても、性別が違うのだ。これが元に戻るまでは帰ろうにも帰れない。幸い青羽さんも僕が元に戻れるように尽力してくれると約束してくれた。それを信じて、それまではここに留まることにした。
これが理由の一つ。
そしてもう一つ。
もちろん、エロデュエルなんて真っ平御免だ。どこに自ら好んで痴態を晒したがる男がいるのか。
……だけど、デュエルは悪くない。この次元の革新的、先進的な技術で繰り広げられるカードゲームの枠組みを超えたリアルなデュエルと、デュエルが一大エンターテインメントとして浸透しているこの次元だからこその真剣になれる環境。
僕にとって、これ以上なく都合が良いのも事実であった。
……後は、まあ、うん。
一度死んだような命だ。それをこうして性転換という余計なおまけはあれど生きながらえさせてくれたことに、多少なりとも恩を感じていないと言えば嘘になる。
性的な目で見られるのも、ましてやそういう扱いを受けて陵辱されるのは絶対に嫌だが、この次元を憂う青羽さんの事情に少しくらい助力するのは吝かじゃない。我ながら馬鹿でお人好しだとは思うが。
これらが、僕を未だにこのセックス次元に留めている理由だった。
そして今日、僕はわくわくと不安を心に秘めてとある場所に訪れていた。
【工藤遊戯店】。こじんまりとしたカードショップを見上げれば、そう書かれた看板が目に入る。
僕の認識からすればなかなか珍しい、個人経営のカードショップ。穴場という感じがして少しだけ楽しみだが、僕は今それ以上の不安を覚えていた。
ちなみに格好は白のシャツワンピースに紺のジーンズという極めてシンプルなものだ。
しかし、今のムチムチしたグラマー体型のせいでなんとも暴力的に仕上がってしまっている。ここに来る道中でも道行く老若男女からゾワゾワする視線を受けた。女性が視線に敏感というのは本当だったらしい。中身は男だが。
閑話休題。
「お邪魔します……」
「おお、いらっしゃい」
店内に入れば、優しげな老人が朗らかに笑って出迎えてくれる。
多分、彼が青羽さんの言う友人
「えっと、青羽さんからここに行くように言われたんですけど……」
「ああ、君がルイナくんだね。琉ちゃんに頼まれとったものはちゃんとできとるぞい」
「……っ!」
琉ちゃん、という呼び方からは彼と青羽さんが親しい間柄であることが伺えた。
だが、そんなことよりも僕には気を逸らせるに足るだけの理由があった。
「少し待ってておくれ」と言って店の奥へ行った工藤さんは、しばらくして手に1つのデッキケースを持って出てきた。
「ほれ、これが君の
「これが……ボクの新しいデッキ……!」
手渡された実質以上に重みのあるソレを受け取って、僕は内心感極まっていた。
何度目でも、新しいデッキというのはデュエリストの心を躍らせる。
あの日、バスターブレイダーデッキで初勝利を飾った後。
僕のバスターブレイダーデッキは出禁の憂き目に合っていた。青羽さん曰くこの世界での水準として、あのデッキはそれこそプロとして活躍するレベルのデッキパワーがあるとか云々。
正直、もっと強いデッキをいくらでも知っている僕からすれば信じ難いし、納得しがたい裁定なのだが、新しいデッキを用意してくれるとのことで一応納得してやることにしたのだ。
「正直、悩んだ。君にどんなデッキがふさわしいのか、かなり測りかねていたからのう。じゃが、君のその様子を見るに悪くはない出来じゃと思うぞい」
「……ありがとうございます。大切にしますね」
「うむ、そうしてくれると儂も嬉しいのう」
新たなデッキを胸に抱き(むにゅっと形を変えた自らの巨乳に内心顔を顰めながら)、僕は工藤さんに礼を述べる。
はてさて。こうして新しいデッキを受領したなら、次にやりたいこと、やるべきことは自ずと決まってくるわけだが。
「ほっほ! その様子を見るからに、デュエルがしたいみたいじゃな! 結構結構!」
「分かりますか?」
「うむ、分かるぞい。儂もそうじゃからな」
お見通しとばかりに笑う工藤さんは、やはりカードショップを営んでいるだけある。
「しかし……生憎と今日は閑古鳥が鳴いておってのう」
工藤さんは寂しげに眉を歪めて店内を見渡した。
たしかに今、この店には僕以外にお客さんがいない。相手がいなければデュエルは始まらないが、流石に店主である彼にデュエルの相手を頼むのは気が引ける。
さてどうしたものか。頭を悩ませる僕達の耳に、明るく溌剌とした声が届いた。
「こんにちはー!」
「おお、
現れたのは、今の僕くらい大きな胸とお尻が目立つ女の子。綺麗系、というよりかは可愛い系といった顔立ちの明るいセミロングの美少女だ。歳も僕と同じほどに見える。
工藤さんの反応から見るにこのお店の常連さんだろう。
「あ、こんにちは! 初めましての方ですよね!」
「え、あ、うん。そうだけど」
「もしかして、エロデュエル始めたばかりとかですか!?」
「う、うん」
「おー! 私もエロデュエルしてるんです! よろしくお願いしますね!」
おっと、押せ押せ系か。
大きな身振り手振りに合わせてぶるんぶるんと揺れる大きな胸に、目のやり場に困りながら答える。
「ちょいちょい、理奈くん、落ち着いて。ルイナくんが慌てとる」
「あ、ごめんなさい、つい……えっと、私、
「ボクはルイナ。よろしく。多分同い年くらいだと思うから、敬語は大丈夫」
「あ、そうかな? じゃあ、よろしくねルイナちゃん! 私のことは理奈で良いよ!」
陽の者の気配……! ナチュラルに距離を詰めてくるな。しかもちゃん付け……。
まあ、うん。何も言うまい。未だに女の子扱いに慣れるはずもないが、初対面の彼女に僕の事情を理解してくれというのはそれこそ酷だろう。
それに僕は確かに男だが、この世界の人間相手にはなるべく女であることを通すようにとも言われているのだ。僕自身、たしかにその方が不都合は少ないと思う。
「ところでなんだけど。もしかしてルイナちゃん、それ初めてのエロデュエル用のデッキだったりする?」
「うん、そうだよ」
そう言って理奈は僕のデッキケースに目を遣った。
雰囲気こそ変わらないが、どこか闘志のようなものを垣間見せる弐月さんに僕はどこか納得する。
エロデュエリストとはいえ、やはりデュエリストというわけか。それでこそ、この世界に残った甲斐があるというもの。
その闘志の理由にアタリをつけながら肯定すると、理奈は声を弾ませた。
「じゃあさ、じゃあさ! 私とデュエル、してみない?」
「あ、良いの?」
「もちろん!」
「良かったのう、ちょうどデュエルできる相手を探しとったんじゃ」
工藤さんの言う通り、その提案は渡りに船というものだ。
新しいデッキを一人で回してみるというのもそれはそれで乙なものだが、やはりデュエルは誰かとやるのが一番。
僕は闘志を燃やしながら、理奈を見据える。
「よーし! 私も張り切っちゃうぞ!」
そして彼女もまた鼓舞するように大振りな身振りをしながら、同じように闘志に満ちた眼で僕を見つめ返した。
互いに気合い十分。あとはデュエルで全てを決めるだけのこと。
きっと、僕は今獰猛な笑みを浮かべているのだろう。
上がる口角を自覚しながら、僕は新しいデッキケースを撫ぜた。
――次回予告――
弐月理奈、この世界に来て初めての同年代の知り合いになるのかな。
彼女がどんなデッキを用い、どんなタクティクスで戦うのか今から楽しみだ。でも、見るからに女の子だしきっとゴブリン小島とやった時みたいにはならないはず……。
え、なんで女の子にちんぽが? は? ふたなり? 女デュエリスト相手にはふたなりちんぽで戦うテーマ? く、この世界なんでもありか……!
しかも僕のデッキもアレ過ぎるし! でもデュエルを受けた以上はやるしかない……!
次回「ルイナVS弐月理奈! フタナリンクの脅威!」
女の子相手でも警戒しなきゃいけないのか……セックス次元、なんで恐ろしい……!