タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
少し話のまとまりがありませんが、とりあえず話を進めてみます。文化祭の翌週の火曜日、紫藤視点です。
文化祭が終わった次の週明けの月曜日(昨日)は、帰宅時間が遅くなってしまって千里を日蔭谷の本当のお父さんに会わせに連れていくことはできなかった。
ただ、千里はお父さんが生きてて、会えるってだけですごく気力を持ち直した感じだ。よかった。
自分のベッドで昔の、お母さんたちが離婚する前のアルバムをめくって、食い入るように見てた。
昔のこと。お父さんのいたころのことを思い出そうとしてたんだろうな。
―まさかわたしの昔の恥ずかしい写真とかみてたわけじゃないよね?
昨夜も夜中すぎに一度、起き上がって洗面台で吐いてたみたいだ。
朝も、起きてきてないのでわたしがしかたなく起こしに行ったけど、びくっ!とすごい反応で目覚めた。
脂汗っていうんだっけ。すごく汗もかいてた。
確かに最近、夜も熱帯夜で暑いのもあったかもしれないけど、――絶対それだけじゃない。
何かあったんだ。
何か、心をおびやかすようなことが。
羽立毛から帰ってきてから。
今までみたいに、わたしにちょっかいをだすこともなくなった代わりに、あまり話もしなくなった。
なんか鬱々としてるんだ。お酒も飲んでるけど、あまり美味しそうじゃない。
今朝も、
とてもじゃないけど、奨学生の採否の結果なんて、聞けそうな感じじゃない。
もしかして、うまく行かなかった?
ただ、これはわたしたちには悪いこととはかならずしもいえない。平和だ。
あの脂肪女も来てない。
羽立毛からの帰りに事故にでも遭いかけたのだろうか。
あるいは、伯父さんが厳しく咎めたとか?
事故の線は、ないか。運転手さんのクマモトさんも、伯父さんもとくに何もなかったような普通の感じだったし。
わたしは、伯父さんが何か厳しいことを言ったんじゃないか、って思ってる。
伯父さんは、たしかに腕力はなさそうだった。
でも、妙な迫力があった。
伯父さんも反対側から肩を貸そうとしてたけど、
自分の巨体が伯父さんを潰さないように、っていうんじゃなくて。今思うと、なんか怖がってたようにも思える。
どんだけ厳しいことを言ったら、ああぺしゃんこになるんだろう。
それはさておき。
今日こそは早帰りして、千里を連れていくことにしたい。
千里にも、今日は定期のあるいつものルートで駅でバスに乗り換えって帰ってくるんじゃなくて、ラディスラウス学園の最寄りの電車の駅から、直接に日蔭谷の最寄り駅に行くように、指示した。
時間も、一応指定した。
大丈夫かな?
千里、行先とか方向とか見ずに、とにかくホームに先に来た電車に乗っちゃうからな。
ちょっと心配だ。
まあ、電車はあの時間帯なら15分に1本ある。大丈夫だろう。
あ。でも、間違えて急行に乗ったりしないよね。急行は、瓜生口駅、――日蔭谷のあの家の最寄り駅には、とまらないんだけど。
釘をさしとけばよかったな。
―――――
朝、登校するとクラスのさとみんグループじゃない女の子たちに親しげに声を掛けられる。
わたしも元気に返事する。
もちろん、いつも顔を合わせるとあいさつしたり、おしゃべりしたりするけど、いままでは友達グループが違うと少し遠慮があった。
でもなんか、今はそんな感じもなく、「仲間」って感じ。
同じシフトに入っていろいろ頑張ったからね。
女の子みんなで終業式の日、カラオケかどっかまた遊びにいこーよ、とかいう話が持ち上がってる。
さとみんグループの子たちも混ざって、青山くんたち誘う?えーやだ、女の子で行こうよ、みたいに、何人かでさざめきあってる。
平和だ。
うーん。わたしだったらちょっと男子の前で歌ったりするのは恥ずかしいな。
それに。
誘ってくれるのはうれしいけど、今回参加はしないだろう。お金も節約しないといけない。
今の我が家は、収入がない。
お母さんの預金通帳を預かってるけど、数か月分のローンや学費の引き落としを考えるとほとんど残らない。
生活費は、わたしのバイト代っていうか。実質志野くんの寄付で成り立ってる。
バイクのため、大事に貯めてたお金。
そのお金で遊びにいくなんて。
それは、やっぱりよくないと思うんだ。
大変だけど、すこしでも働いて自分の足で立たなきゃ。
まあ、つきあいってものはあるよね。
最初から行かない宣言するようなことはしないけど。誘ってくれたんだし。
でも、具体的になってきたらそれとなくやんわり断ろう。
そう思って、適当にその場は調子を合わせておいた。
まあ、後で決めればいいや。さとみんとも相談かな。
午前中の授業が終わって。
今日は志野くんとさとみんは、昼休みに実行委員関係での残務処理があるとかでいなくなってしまった。
さとみんグループの子たちと食べてもいいけど、今日はちょっと用事があるということにして、わたしは仮部室に向かった。
仮部室で窓を開け、風の通る部屋で、一人でお昼を食べる。
みんなでわいわい食べるのも楽しいけど、これはこれでいい。気楽だ。
でも、ちょっと寂しい。一人だと、お弁当もあまり美味しく感じない。
食べる手を止めて、手元の薄い数冊の冊子に目をやる。
節約だけじゃだめだ。稼ぐことも考えないといけない。
そう思って、今日、登校するときに駅をつっきる通路で、無料配布されてる求人雑誌をいくつかもらってきたんだ。
首都圏だと有料雑誌もあるって聞く。「デ○リーアン」や「フ○ムエー」とか、志野くんが一度言ってたかな?(志野くんは東京にお姉さんがいるから、知ってるらしい。)
お金を稼ぐのにお金を払って情報を買うって、なんか本末転倒な気もするけど、いい情報も多いんだろうな。
東京とかだと、時給もすごく高いんだろうし。
でも恵まれてる方をみてもしかたないよ。わたしはわたしのできることをやるんだ。
今こうしてパラパラみていると、いくつか気になる求人がある。
未経験でも大丈夫なのが、いいよね。あともちろん給料は高いのが、いい。
でもそうなると警備員さんとか宅配便の仕分け業務みたいに、結構体力勝負だったりするのが多い感じだ。
そして明示はしてないけど、男の人向けな感じが漂う。
わたしみたいな非力な女の子で出来る仕事で、高い単価だと、――
あ!この一画がそうだ。すごい、時給2000円台とか!3000円台もある!
けど、テレクラとかキャバクラとかになっちゃうのかー。
うーん。
ちょっとお金の匂いにくらっとしたけど、これはない。ないない。
だいたい、わたしにこんなのがちゃんとつとまるはずがないよ。
まず、何をする仕事なのかわからない。
わたしのイメージだと、電話で甘い声でおせじをいったり、お客さんにお酒を作って持って行ったりって感じなのかなと思うけど、それでこんなにもらえるのはへんだ。
なにか、すごいことを求められるんじゃないかな。変な、恥ずかしいことを電話でいわされたり、お店だと相手の膝の上に座らされたりとか。
考えただけで顔が赤くなる。
あいてが志野くんなら、いいんだけどな。実際には、
それにこういうのは。
そう、外見がよくて、おしゃべりが上手でないと。相手をひきつけながら、ひらひらかわさないといけないんだろうし。
美人で口が達者なハルカちゃんの顔が浮かんで、おもわずぶんぶんと頭を振った。
ハルカちゃんは弁がたつし、いかにも今風の女子高生の外見だけど、本当はまじめな子だ。
こうしたバイトに適任だ、なんて考えちゃいけない。
でもハルカちゃんならできそうだな。猫被ったりするの、うまいし。
あ。というかわたしたちは年齢でだめなのか。そうだよね。
うん、安くてもいい。ちゃんとした仕事がしたいな。
事務とかは、わたしにはまだ無理だろうな。パソコンとか、使わないといけないんだろうし。
調理補助とか、かなあ?
いやこれ、いわゆるマ○クとかファミレスのバイトみたいなものか。
ポテトフライとか揚げたり、ハンバーガー作ったりするのかな。
あの手の制服ってかわいいから、ちょっと気になる。
でも、あのバイトって制服に負けず、すごいかわいい、自分に自信のありそうな子が多い印象だ。
自分に自信がないわたしが、うまくやっていけるかな。
いや、そこそこやっては行けると思うんだけど。なんか人間関係で気疲れしそう、って感じ。
もうちょっと、目立たない地味な仕事。清掃とかでもいいんだけどな。
掃除だったらそこそこできると思うんだ。うん、いいよ、トイレ掃除でも。
いくつか、目についたページの肩を折っておく。
だけどなー。
奨学生に採用されるとしたら、いつからだろう?
それで住所が羽立毛にうつっちゃったら、やめないといけなくなっちゃう。
ここに出てるバイト、一回だけのバイトじゃなくて、ある程度続けて働くやつなんだよね。
すぐ辞めるかもしれませんがいいですか、じゃ採用されないだろうしなー。
やっぱりイベント補助とかになっちゃうかな。
それからしばらく、わたしはアルバイト雑誌を目を皿のようにして眺めまわしていた。
カラカラ、と音がして、引き戸が開けられて、思索にふけっていたわたしは顔を上げた。
「あー、ハルカちゃん!元気?」
「やっほー、みなりん。おや、今日は一人なのかい?」
ハルカちゃんだ。少し疲れてるのかな。きれいな形をした目の下に、うすーくくまができてる。
髪の毛も、少しだけだけどつんつん飛び出てる毛がある。
生徒会活動とかが、忙しいんだろうな。
ハルカちゃんは、わたしのとなりの机のいすにすわって、ふわー、つかれたよ、といってわたしにしなだれかかってきた。
もっとも、重たく全体重をかけたりはしない。あくまでじゃれあいでそうしてるだけ。
こういうところ、やっぱりハルカちゃんは養殖なんだよね。迷惑にならないよう、気を使ってるんだ。
「おーよしよし。」
そう言って、しなだれかかり、やがてわたしのひざにぽて、と頭をのせたハルカちゃんの髪の毛をなでてあげる。
うーん、この世の天国!って、なんかおじさんみたいなことを言ってる。ハルカちゃんはおもしろい。
ハルカちゃんの髪をととのえてあげる。お風呂上りに乾かさず、すぐ寝てしまった感じかな。
「ねえ、みなりん。」
ようやくハルカちゃんが起き上がった。
ハルカちゃんは、肌が透き通るように薄いから、くまがちょっと目立つ。
あまり眠れなかったのかな?
「みなりんは、志野とつきあってるんだよね?」
「え?――う、うん。そうだけど。」
自分の頬が、上気してくるのを感じる。
あまり交際してるのなんだのって、クラスには言わないよにしようって決めてた。
だけど、もうバレバレなんだろうし。
少なくともハルカちゃんは、いまさらだよね。
「彼は、――どうなの?ひどいこと、されてないかい?」
「うん、優しいよ!」
ひどいことなんか、ないよ。
今回も、こんなに頑張ってくれたんだよ。ハルカちゃんも、知ってるよね?
ときどきわざといじわるなことをすることもあるけど。
ほんとうにわたしがいやなことは、絶対にしないよ!
いじわるなことって?
うーん。それはちょっと。
ハルカちゃんだけだからね。ほかの人に、ぜったい言っちゃだめだよ?
動けないようにして。
うーん、その、いろいろと。
ほら、さわったり、たたいたり。もっとたくさん何かしたりとか。いっぱい。
そんなときは、嫌じゃないか、気持ち悪くないかって?
うん、くすぐったくて。自分が自分でない感じがしてくるよ!
いたくないかって?
あー、なるほど。勘違いかな。でも、その、あの、ふわふわして気持ちいいよ。
だからハルカちゃんも、きっと心配しなくて大丈夫だよ!
そう、言う。
言っているうちに、自分が何を言おうとしてるのかわからなくなってきた。
親友のハルカちゃんに、うそはつかない。つけない。
でも直截的なことをいうのは恥ずかしいから、ぼかしてしゃべってたら。
支離滅裂になって、かえって余計なことまでしゃべってしまった気がする。途中で一度かんじゃったよ、痛たた。何だろう
要は、ハルカちゃんも信頼できる彼氏ができたら(多分いないと思う)、きっとこちょこちょされたり、いろいろされたりするだろうけど、大丈夫になるよって言いたかったんだ。
ほら、
ただそんなことをいうわけにいかないから、すごく遠回しな、変な感じになってしまった。
いいきった後。
顔がいっそう赤らんでほてってくるのを感じる。
きっと熟したトマトみたいになってるだろう。
「そ、そうなのか――。」
ハルカちゃんは、ちょっと引き気味だ。
いや、どこかわたしをみる目に畏怖がある、気がする――。
わたしが赤くなったのと反比例して、青くなってる、気がする――。
え?わたし、何か変なことを言ったっけ?
いや、誤解はあとで解けばいいんだ。
誤解があったとしても、それが他に流れなければ、いい。
だから今はとにかく。この口の軽いハルカちゃんに口止めしなきゃ。
「言わないでよ?」
「いや、でも、まさかそんな!そんなことが、――」
計算ちがいだ、どうしよう。
とか何とか。ハルカちゃんは口の中でぶつぶつ言ってる。
なにか心臓が痛くなったかのように、胸を押さえながら。
人の話を聞いてない。もう!
「ハルカちゃん!絶!対!言わないでよ!?」
さとみんにも、だよ?
そう、強く強く念押しする。
もし言ったら。約束を破ったら、針千本(飲ます)!
いや、千本はかわいそうだから、10本。5本ずつ(まとめて)でいいよ。
これ、冗談じゃないよ。もし、もしもほかの人に言ったら。
本当に、してもらうからね?
家庭科室の、待ち針。あの白とかピンクの丸いのがついてるやつで。
そういうと、ハルカちゃんはいっそう青ざめてコクコク頷いた。
口の軽いハルカちゃんも、これぐらい言っておけば大丈夫だろう。
―――――
その後、ちょっと脅しすぎたかな?と思ったわたしは、ほかの話に話題を転じた。
ほら、現代文の俳句とか短歌とのかの授業の話とか(あれ、先生がまとめて講評するって言ってた。ちょっと楽しみだ)。
ジュリエット役をしてた、ESSの部長さんの話とか。
ハルカちゃんもほっとしたようにそうした話に追随してきた。
空気が緩んで、ハルカちゃんは購買で買ったらしいサンドイッチを取り出して食べて、わたしもお昼ごはんを再開した。
ふと思いついて、アルバイトのこととかを相談してみた。
「そういうわけで、このえんぴつでまる印をつけたのが、気になってるんだよ。」
わたしは折り目をつけたページを示す。
「ふんふん、いろんなお仕事があるんだねー。」
ハルカちゃんは折り目をつけたところの、わたしのマークしてた求人広告を興味ぶかげにみてたけど、一つの広告を見て、顔を曇らせた。
「みなりん、これはやめといた方がいいと思うよ。」
ハルカちゃんは、「契約案内スタッフ」という広告を示す。
なになに。
画廊か。絵画を買いたい人との契約の案内?
「え?これ、未経験でもいいし、案内して書類を記入する補助だって書いてあるよ。」
未経験からでも、着実に成長できます!ってコピーがついてる。
契約案内ってよくわからないし、「成長」ってなんかいい響きだよね。
わたしもいろいろなところで成長したい。特に身長。
ハルカちゃん、このバイト知ってるの?と聞いてみる。
「い、いや、よく知らないよ。でもそうだね、人間関係とか?ほら、リーダーが変な人だったり、さ。」
「ふうん?」
契約書を書いてもらったりする仕事だと思うけど、人間関係がどうめんどくさいんだろう。
なんだろう。何か知ってて、隠してる?
ハルカちゃんの目が少しだけ揺れてる。普通の人なら気づかないだろうけど。
まあ、いいや。無理に聞き出すのは悪いよね。
でもかえって気になってきたじゃないか。
候補のひとつに残しておこう。
「じゃあこれかな?」
こんどはあまりやる気はなかったけど、すごく珍しいと思われるものを示してみる。
ハルカちゃんは、話がそれてほっとしたようだ。
「なになに。え?こんなのあるんだ。」
「だよねー。」
ちょっと変わったアルバイトだ。
でもなー、これもちょっと無理だろうな。
簡単にいえば、絵のモデルさんだ。もちろん裸じゃないよ。着衣だよ!
でもな。美術っていうくらいだから、それこそ美しい、きれいな人を描くんだろうし、わたしじゃ無理かな。
ハルカちゃん、いいんじゃないかな。
あー、さっきのファミレスバイトといい、ハルカちゃんのほうがいろいろバイトに向いてる!
うらやましいな。
「このページ、変わったバイトが多いね。これも。」
ほうほう。
山林監視員か。山林監視員ねえ。
中身をみると、自然公園とかの見回りや監視の補助みたいだ。
あまり自然のことには詳しくないけど、なんか自然を守る、エコな感じがいい。
ゴミ拾いとかだったら、清掃バイトの一種だよね。
どちらかというとトイレを磨くより、森や川を歩き回ってゴミを拾う方が楽しそうだな。
ダメ元で、聞いてみてもいいな。
「みなりん、ボク、これも気になるな。」
水槽、飼育槽等の清掃でしょ?わたしが折ってたやつだよ。
場所が多賀島大学。
そう、あの美人先輩とかの理学部なんだよ。
時間も、調整して決められるっぽい。継続的なバイトじゃないってのもポイント高い。
これ、いいかもしれないよね!候補だな。
「いいね。ボクも申し込もうかなー。」
でもね、今は無理なんだ。
ちょっとげっそりしてみせてる。
かわいそうに。生徒会が忙しいんだろうな。
でも、たぶん文化祭の後片付けが終わると変わるよね。ハルカちゃん頑張れ。
ふたりできゅわきゅわと求人をあげつらいながら(途中から、まじめな候補を考えるっていうより、これあやしいよ!ってのにツッコミを入れる感じになっちゃった。たのしかったけど)、ごはんを食べおわる。
やっぱり誰かといっしょのごはんは、楽しい。
「さてと。そろそろ行こうかな。」
ハルカちゃんが、あくびしながら握りこぶしをつくった腕を頭上にのばし、体をねじって胸を反らした。
うん、ハルカちゃんは胸とかはあまりないけど、こうしたなにげない動作がかっこいい美人さんだよね。
ちょっとどきどきしてしまう。
「じゃあね、ハルカちゃん!」
「うん、またね。みなりん。」
ハルカちゃんも、少し元気になったみたいだ。
よかったよかった。
まだ時間を見計らって、アルバイトの申込みの電話かけてみよう。
親切なことに、履歴書はとじ込みでこのフリーペーパーの冊子についてるし。これも書いとかなきゃね。
―――――
午後の授業が終わる。
ホームルームで、成績一覧表の交付があった。クラス10位以内は名前が出てる。
そこかしこで、上がる悲鳴。
やったー!
わたしはクラスで2位だ!全体でも4位!
連絡したら奨学生の選考上、有利にならないかな?
さとみんがクラス1位、全体2位。志野くんは3位の烏丸さんの次、1点下でクラス4位。でも全体で7位だ。
文系コースは5クラスあるんだけど、うちのクラスが10位以内の半分くらいを占めてる感じなんだな。
クラスの人たちの名前しか載ってないから、志野くんとハルカちゃんの勝負の行方はわからない。
いろいろさとみんや志野くんと話したいけど。
今日は、わたしは急いで帰ることにする。千里を日蔭谷の家につれていくことになってるんだ。
わたしはお母さんの病院に寄って、そのままそこから電車で瓜生口駅まで行く。直接学校から瓜生口駅に行く千里と、だいたい同じ時間を見計らって。
志野くんも一緒に行くと最初は言ってたけど、急用が入ってしまったとか。
1時間くらいで切り上げて行けると思うけど、悪いから先に行ってて、と言われた。
わたしは千里も一緒だから安心だし、先に千里といっしょに行っておくことにした。
それにね。千里には、志野くんの前では言えない話もあるかもしれないし。
聞くと、今日は志野くんは自転車で登校してきてるみたいだ。わたしを乗せていくつもりだったみたいなんだ。
でも別々にいくなら、生鮮食品とかの買い物、志野くんが途中でして日蔭谷の家まで運んできてくれると言っている。
さとみんも来たがってたけど、今日は何やら用事があるらしい。
早く終わったら行きたいわね、でも無理かも。と。
なんだろう。何か補助バッグがいつもより膨らんでるのと関係あるのかな。美術部の用事とかなのかもしれない。