タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
彼らは、一応は市内の高校。底辺校と言われてる学校に在籍している。
先生にはときどき勉強しろと言われたりするけど、勉強なんて就職したら意味ないって先輩が言ってた。上の人、先輩たちと上手くやって行けるかだけが大事だと。中退した元同級生も似たようなことを言ってる。
高卒だという点では進学校の奴らと同じだし、勉強せず高卒の資格が手に入るならむしろこっちが得だ。
学校にいる間は普通に先生の話を聞くふりをしてれば問題はない。昔はうるさかった親も、こっちが大きくなり、殴り返してやれるようになると何も言わなくなった。
センコーもうるさくないし、机でガリ勉してる進学校の奴らより、ずっと自由だ。
そういうわけで。
昼は机で惰眠を貪ったりおしゃべりをしながらも、社会に出たら無意味(と彼らが信じている)授業にも出てやり。
適当に自分たちより弱っちい同級生にタカって昼食代を出させ。
放課後は、いろいろだが。
ごく時たまだが、イケてる知り合いから話が回ってきて、彼らが飼ってる家出女への輪姦に参加させてもらい、金がないので対価に酒屋の裏手からくすねた焼酎や塗装店からくすねたシンナーを提供したり。
それらを自分たちでたしなんでみたり、借りパクしたバイクを飛ばしてみたりして日々過ごしている。
家にはあまり帰らない。夜遅く帰って、ババアを殴って飯を出させたりする程度。
残念ながら特筆できるくらい喧嘩が強いわけでも頭が切れるわけでも人望があるわけでもないから、モテるわけもなく、女には飢えてる。
自分たちと釣り合うレベルのクラスの女は、はっきりいってデブスなくせに靡かないし、食えてもクソ不味いもので腹を満たした感じしかしない。
しかも顔つながりがあるので、妊娠させたりするとさすがにまずい。
そんなある一日、たまり場の一つにしてる公園で彼らはその女を見つけた。
うまい獲物を見つけたと、彼らは思った。
明らかに飲み過ぎてフラフラしてる馬鹿な女子大生。そう見えた。
女は足元がおぼつかない。慣れてなさげな高いヒールの靴のせいもあるのだろう。
すごい、ふるいつきたくなるようないい体をしてる。
手足は決して細くないが、グラビアの無筋肉女や同級生のデブ女のぶよぶよした体とは、全然違う。
上質な筋肉がしっかりついてる、締まった体だ。
胸なんかオリンピックの外国人アスリートみたいに持ち上がってる。
時間的にまだ早いところから推測すると、体育会系の運動部の飲み会か何かで酔いすぎ、先に一人で帰ることになった新入生って感じだろうか。
顔は少し冷たく整っており。いつもはキリッとした感じなのだろう。
でも今は困って眉を寄せてる。こっちをちらっと見たときの怯えた表情がそそる。
俺たちがまだ何も悪いことしてないのに、嫌がるなんてな、失礼だよなー?
大学にいけるくらい頭が良くて金があっても、何にもならないってこと。
わからせてやらないとな、俺たちが。
彼らは衆議一決、その女を狩ることにした。
知り合いの中には家出女を家に入れたり単純に攫ったりして、飼ってる奴らがいる。
好き放題にヤったりできるし、飽きたら売り先もあるそうだ。ヤバい筋だけど、どんなにボロボロでも買ってくれる、かなりの高額で。あとくされもない、と。
話を聞いてうらやましく思ってたが、彼ら自身はサバンナでいえば腐肉あさりのハイエナ程度の序列。
イケてる奴らが美味な肉を貪ってるのを、指を咥えて遠目に眺めるだけ。
ごくときたま、ズタボロに使い古された後で、高い対価を払って無反応な汚れた体をガッつける程度。
ところがどうだ。目の前に、まさにうってつけの獲物がいるのだ。
とりあえずつかまえて、適当な場所を見つけて飼ってはどうだろうか。
考えるだけで興奮する。
それに。
彼らはもっと収入が欲しいと考えてた。ときどき置き引きしたりカツアゲしたりして稼いではいるが、あまりやりすぎると目を付けられる。
このくらいの上玉なら、この女をイケてる奴らに貸し出して貸出料金で稼ぐのもありかもしれない。
売るのは、ちょっと惜しいレベルだが。
問題は、飼う場所だ。彼らの家は無理だ。
まあ、庭に倉庫とかがある奴に場所を借り、対価にこいつをヤらせてやるってのでもいい。
ただ、すぐに手配できるかどうか。
この公園の市街地側の斜面の法面は、法枠工で保護されており、フェンスで立ち入れないようになっている。
法枠は全面モルタル吹き付けではなく、ススキや小さな灌木が茂っている。一部緩斜面のところもある。
彼らは公園側からフェンスを切り破り、この法面に基地を作っていた。
もちろん簡単にブルーシートで屋根と床を付け、蚊よけに捨ててあった蚊帳を吊ったくらい。
一度ホームレスが勝手に入り込んでたので、ライターの中身をかけて火をつけて遊んだ。
小学生とかも入ってきたことがあってウザかったので、殺した猫を吊るして人除けにしてる。
最悪の場合は、そこにこの女を縛って置いておいてもいい。もちろん見張りを付けて。
今は彼ら以外、誰もみていない。
さっきまでは、女がグズグズ泣きながら電話していた電話ボックスの空き待ちと思しき男がいたが、にらみつけると気まずそうにどこかに行ってしまった。
女はふらふらしながら、女子トイレに向かった。途中でまた一度、こちらを恐怖を抱いた顔で見た。
好都合なことに、人目はない。道から見通しの悪い公園に入ってくる人はいない。
狩りの時間だ。
―――――
まずは女に迎えがきたり、酔いが醒めて逃げ出されないうちに、手を打たねばなるまい。
まず体が小さくて、彼らの間では使い走り役のサブに女を追わせた。
女子トイレの個室に入られる前に押さえたい。
身長180を越える巨体なのだが、腹が少し出ているタカこと、
背は低いがガッチリして非常に筋肉質な喧嘩の強いカツこと、
サブが、個室に入られた、と帰ってきた。トロいな、マジ使えん。
まあこれで女は個室に閉じ込められたということだ。
後は脅してカギを開けさせるか、タカのマイナスドライバーで錠を壊すか、敏捷なカツあたりがドアの上から個室の中に入るかだな。
それに、難癖をつけるネタも増えた。
タカとカツは、顔を見合わせてにんまり頷きあった。
タカとカツとで、女の入った女子トイレの個室をがんがん、と叩く。
入ってます、と息をきらしてるような女の声が返ってきた。
分かってるっちゅーの。大学生なのにそんなのもわからねえのかよ。
だから俺らに今から
出てこい、と脅す。できればそちらから開けさせたい。
後で
ドアの隙間はあまり広くないが、やるか。
タカが、大型のマイナスドライバーをポケットから出す。
マイドラはナイフと違って見つかっても学校で使うんですと言えるし、喧嘩やヤキ入れのときには威力を発揮する。
隙間からグイっと突き出し、動かして見せる。
「開けぇや。こんなちゃっちぃ錠前、2分で壊せんやぞ。」
わかっとろうな?
俺等に手間かけさせんなら、ガッツリ埋め合わせばしてもらうとよ。
そう、脅す。
しかし女は、出てこない。
タカに肩車してもらい、坊主頭のカツが上から覗き込む。
美しいが、怯えて瞳孔の開いた目が見上げる。ゾクッと、快感の予感がカツの背筋を走る。
柑橘系の香水の香りが、鼻をうった。
「開けぇや、開けんだら、後で顔も腹も打ったくっぞ?」
女は、しおらしく頷いて、何か言った。
「何やと?」
喉の調子が悪いようだ。少しかすれた聞き取りにくい声。
――ごめんなさい。乱暴しないでください。
口なら、いいから。
そう、言ってる。
馬鹿が!
口だけで済まそうなんち、いまさら。
そう思ったが、顔は笑って安心させてやる。
もっともカツの顔は、笑うとたいてい怯えられるのだが。
――分かったから、はよ開けぇや。
今なら1人1発。時間かけたら2発よ?
仕切りにへその辺りまで乗り出し、カツが顔を近づけ、脅す。
女は身をのけぞらせ、コクコクと頷く。女の目に恐怖心が浮かんでるのを見て、カツは満足感を覚えた。
このまま手を伸ばしてスライド式の錠前を開けられそうだが、面倒だし、女が自分で出てきたんです、と言い訳できなくなってしまう。
だから一度、体を引き、戻ってやる。
開けぇや、と再度声をかけると、鍵が開けられた。
扉を押し開けて、立っていた女の腕を掴み、引きずり出す。
女のバッグもトイレの台の上にあったが、放置しておく。どうせしばらく人は来ない。
女は背が高い。170以上ある。150台のカツや160のサブより高い。
だが体はすごい。手を伸ばしてカツが胸を掴み確かめると、ビクッと身をすくませた。経験も少なそうだ。
両側を二人で挟み、サブに露払いさせ、まず公園の端に連行する。
ときどき立ち止まり、振り返ろうとする女を小突きながら進ませる。
「わかっとろうな。」
伸びすぎた植え込みに隠され、人目につかない一角。
斜面へのフェンスの破れ目に近いあたりで、いちど突き飛ばす。
女はよろけて地面に手をつき、横座りみたいな姿勢で、こちらを見上げた。
マイナスドライバーを取り出し、言い聞かせる。
ガンつけしてきたのは、そっち。
介抱してやろうとサブが行ったのに女はドアを閉めてサブにぶつけた。
だからサブは怪我をした。骨折してるかもしれない。
最後に、俺らが話をしに行ったのに、無視しただろ。
謝れよ?
あと、賠償。誠意だ。ヤらせろよ。
そう言う。
見上げる、涙で濡れた頬をマイドラで軽くピタピタ叩く。
ここでですか。
そう、女が聞く。
泣き叫ばない。かすれて声が出ないようだ。好都合だ、喉を潰す手間が省ける。
カツがちらっとタカを見た。
ここにいる3人の中では一番頭が回るタカは、考える。
ここでアオカンもいいが、サツが来ると困る。
斜面にある彼らのたまり場で、この女を剥いて食うこともできなくはない。
そしてタカとカツが食ってる間、サブに電話させて幽閉場所を探させてもいい。
だが屋外は暑いし、蚊が出る。
この女の鞄を漁って金かクレカを見つけ、その金でラブホに入る手もある。
この公園の崖下の細い通りには、ちょうどそういうホテルが数軒ある。
斜面を伝って行けば、もう一つの金網の穴からその通りに抜けられる。人目にもつきにくい。
制服を着てるけど変形ズボンだけだ。この下のホテルは監視が緩いし、複数で入っても咎められない。
出入りさえ気を付ければ、カギは自販機で取るシステム。これまでも数回制服で使ったことがある。
そうして。
酔いが冷めないよう、無理やりまたアルコールを女に再注入し。
女を味わう間に、いろいろ手配しよう。
酒はホテルの自販機で買える。
責め道具のある部屋もあったはずだ、ちょっと高いが変態プレイ用の拘束具も買えた気がする。
そっちのがいいか。
まず女の金を探そう。そう言って、サブに鞄を取りに行かせる。
そして、カツにタカが考えたことを伝える。
下のホテルがいい。特にホテル・ミニマスは、チェック甘い。
入っていろいろしよう。こいつの金でな。空いてるはずだ。
崖下のフェンスの穴から、下の道に行けるんよ。そっからすぐ。
そういうと、どっちかというと武闘派で色事は疎いカツも、一も二もなく賛成した。
こいつはすぐ女を殴るからな。モテないんだ。
さて、サブが戻ってくるまでの間、ちょっとだけお楽しみしよう。
長い髪を掴み、女の顔をあおむかせる。
頬を軽く叩き、謝れよ、と言う。
ごめんなさい、と女が言いかけるのに被せて、そんなんじゃねぇ、と揺さぶる。
カツが、岩の裂け目のような目に喜悦を浮かべて寄ってきて、声を重ねる。
――おら、口でいうだけかよ。
サブは、鼻折れてるかもしれんで?おお?
お前も鼻、折ってもらおか?
指で女のあごを上げさせ、恐怖に閉じかける目を覗きこんで恫喝する。
――こんなんいい加減な謝り方じゃだめやろがい。ああ?
女は両手を地面につけて、土下座のように頭をさげる。
下げられた形のよい頭の後頭部に、足を乗せて押さえつけようとした。
女はかろうじて横を向き、顔を真正面から潰されることは避けたが、体が回転して横倒しに倒れた。
やはり女は、体調が万全でないようだ。
タカは足を改めてその白い横顔に乗せ、ぐいっと半分くらいの力で踏みつけた。
――勘違いしとるんじゃねえの?
まだサブが来てなかろうが。
まず練習。謝る練習、させてやるんよ。
一発で許して貰えなんだら、増えてくで?
ほら、だから感謝せいや。
うぐうぐ、とカツが喜びの声をもらす。
カツも便乗して、女の脇腹を脚で踏みつける。
上等そうな女のワンピースが、泥に汚れ。
踏まれて乱れたせいで、裾が上がって女の白い腿が露わになる。
カツはこういうのが、好きなのだ。暴力を振るって相手を痛めつけるのが。
俺は普通にヤるのが好きだけどな、とタカは思う。
だが、もちろん痛めつけるのも嫌いじゃない。
知り合いの飼ってた家出女にも、好きにしていいと言われたからいろいろやった。
あの子は、死んだから埋めたって噂も聞いたな。
指の端とか、最後は腐ってたみたいになってたし。
頭から足を上げ、軽く脇腹を蹴り飛ばす。女がうぐっ、と苦痛の声を漏らした。
おら、もういっちょいってみるか?と、問う。
サブは遅いな。あいつ何やってんだ。鞄もってくるだけの仕事だろう。
あいつにはヤらせてやんねえぞ。ったく。
女が、はい、と言い、頭を上げた。
さっきまでと違い、目に少しだけ生気が戻ってきてる気がする。
ぎらっと、大きな目がタカを見返して、タカは思わず気圧されるものを感じた。
この女、鍛えたいい体をしてるが、空手部とか柔道部じゃねえだろうな?
体調が戻ったら。まずいかもしれない。
まあ関係ない、今のうちに叩きのめして上下関係を刷り込んでやろう。
酒に弱いみたいだから、まず飲ませねえとな。
尻から入れてやってもいいな。
そう思ったとき、足元ににじり寄っていた女が、いきなりタカのズボンの裾をつかんで引いた。
「うおっ!」
タカは思わず、後ろに転んでしまう。
女もそれが精いっぱいだったのか、また倒れ伏した。
タカは頭に血が昇り、怒鳴ろうとする。
ぶち殺すぞ!
指の爪をマイナスドライバーで何枚か剥いでやる!
だが、同時に不思議に思う。
となりにいたはずの、カツはどうした?
起き上がろうとして横を見ると、カツがいつのまにか倒れている。体に力感がない。
いったいどうしてだ?女が何をした?
いや、何もしていない。ただ、タカの足をすくっただけ。では誰が、――
そう思った一瞬後、起き上がりかけの後頭部を結構な強さで蹴り飛ばされ。
脳を揺らされたタカの意識は途絶えた。
―――――
「調布、悪い。遅かったか?」
二人が意識を失ったことを確認した後、やってきた青年が、女に声を掛ける。
今、リーゼントの巨漢と逞しい小男を制圧した青年だ。黒っぽいシャツとズボンで、濃紺のハンカチを顔の下半分に巻きつけ、闇の中に溶け込んでいる。
さきほどこのヤンキー少年らの意識を刈り取った青年は、調布と呼ばれる女の電話を受けて、曲がった鉄砲玉のように家を飛び出し、自動車を追い越す勢いで自転車を飛ばしてきたのだ。
「いい。ごめん、志野。」
観察している者がもしいれば、分かっただろう。青年の股間が持ち上がっている。
抱き起した時に、調布と呼ばれた女の胸に接触したのであろう。
こういうときでありながら、彼の股間は非常に独立心旺盛であった。
「調布のバッグは、これだろう?これ持ってたもう一人のチンピラも、話を聞いて追い払った。
多分、そのうち戻ってきてあいつらを回収するだろう。
――帰るか?タクシーを呼んでもいい。それとも、医療機関なら、救急車を――」
「ダメ。着替える。」
女は彼の腕を軽くたたいて起き上がらせてもらい、そして改めてどこかぎらぎらした視線を、至近距離から彼に向けた。
彼はこの女のことをとても大事に、いとおしくも思ってもいたが。
女の、弱っていながらもまるで肉食獣を思わせるまなざしを浴びて、獲物になってしまったような悪寒を感じた。
「いいこと、聞いた。――付き合って?」
彼には全然いいことのような気はしなかったが、残念ながら彼はこの女にとても弱かった。
振り回されているとも、言う。
青年は、結局。
女のバッグの肩掛け紐で、近くに持ってきて置いておいたバッグを背中に背負い直し。
女を襲おうとしていたヤンキー少年らの持ち物を軽く物色し、その素性を確かめ。
そして女に肩を貸し、その指示通りに、公園のフェンスの穴を超え、慎重に斜面を下り。
下のフェンスの穴を再度くぐり、うらぶれた通りに出た。
そして渋ったものの、強く女に促され。
一見するとそれとわからない連れ込み宿の一つに、青年は女を連れて入っていった。
昇りつつある月以外には、その二人の姿を見ているものはいなかった。