タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
全然進められてませんが、次回から、もう少し話を進めていきたいと思います。
(紫藤みなり視点)
あ、あのことを切り出すのかな。
さとみんがハルカちゃんに問いかけるのを聞いて、わたしはそう思った。
さとみんが聞こうとしてるのは、さっきの話。
ハルカちゃんが家で何かトラブルに直面してるんじゃないかって話じゃないか、って思ったんだ。
今はもう薄れてきたけど、ハルカちゃんの白い頬には叩かれた赤い痕がある。
ハルカちゃんのお父さんか誰かに、叩かれたんじゃないかって、最初は私も思ったんだけど、――。
「ねえ、ハルカ。わたしが今聞きたいのは、あなたと志野との間にあったことについて。」
「ぐふぉ、げほっ、――し、しのりん!?ボクとの間、って?」
ちがった。志野くんのことか。
なんかおかしいくらい、ハルカちゃんが動揺してる。
これは?
やっぱりハルカちゃん、抜け駆けしようとしてたんじゃないかな!
わたしは少しじとっと湿った視線を、ハルカちゃんに投げる。
だけどハルカちゃんは、それどころでないあわてっぷりだ。
でもさとみんは、冷静に話をつづける。
「ごめんなさい、しつこいわよね。
でも、あの裁判のときは、単に何があったかってことしか聞けなくて。」
「う、うん、そうだよね。ごめんね、その、ボクなんかが――」
わたしたちに対して、わっるいなー、って思ってるみたいだ。
バツの悪そうな顔をして、なんかもごもご謝ってる。
わたしは、ハルカちゃんだったら別にいいよ、って思ってる。
実はまださとみんにも言ってないけど。その方がいい、って思いはじめてる。
でもさとみん的にはもしかして、違うのかな?
そういえば、さとみんにそれをちゃんと確かめたことはない。
わたしはちょっと心配になって、そっとさとみんの顔をうかがう。
「誤解のないように言っておくと、あたしは。
――あなたと志野がその状況で、そういうことをしたことは仕方ないと思ってる。
志野だって、悩んだうえでそうしたんだろうし。
正確な理由はわからないけど、おそらくそれであなたは死なずに済んだ。
あたしたちにも、あなたが無事、生きて戻ってきてくれたことが、すごくうれしい。
ただ。昨日も言ったとおりなの。あたしたちは取り残された気分。
だからあなたに、少しでも追いつきたいの。」
さとみんは、そう言う。これは、裁判のときにもいったとおりだ。
特に怒っている感じじゃ、ない。
「追いつきたい、って――?」
ハルカちゃんには、よくわからなかったみたいだ。
んもう。ハルカちゃんらしくないよ。にぶいなあ。
「正直なところ、あなたは私たちに先行してるのよ。
だってあなたは、志野のそれを受け入れて。
――そしてあいつは、この上なく満足した、すごく気持ちよかった、って証言してた。」
「いや、それは社交辞令――」
「そんなわけ、ないじゃない。」
なぜかハルカちゃんは、ここでしゃっくりを一つした。ひぅっ、と。
さとみんは、それに構わず、ちょっと自分の考えに沈み込むような様子で。
でもしんぼうづよく、説明をつづける。
「あなたと彼の関係は、もはや普通でない高みにまで至ってる。
それが、あたしたちの認識。」
そう言ったけど、たぶんハルカちゃんはまだよくわからない、って顔をしたんだろう。
(わたしはあおむけになったハルカちゃんの横からひっついてるけど、ハルカちゃんの顔はむこう側のさとみんの方を向いてて、のぞきこまないとハルカちゃんの表情がよくわからないんだ)。
さとみんは、例を出して説明し始めた。
「手をつなぐ。腕を組む。
――それは、ちょっと好意があれば。
そう、友人であれば、できるくらいのハードルの低い行為。」
そうだよね。わたしはうんうんとうなずく。
さとみんとわたしも、腕を組んであるいたりするよ。
暑苦しいって振り払われたりすることもあるけど。あれ?
「キスをする。ペッティングする。
――それは、普通に恋人ならしてもおかしくない行為。
家族でも、するわよね?」
これも、そのとおりだ。わたしはうむうむとさらに深くうなずく。
志野くんとは、キスしたよ、してるよ!えへへ。
ペッティングってなんだろう。よくわからないけど、ペットのなでなで、みたいなことかな?
それなら、志野くんはわたしをなでなでしてくれる。
ということは、志野くんとわたしはやっぱり恋人でいいんだ!
家族?うん、家族もするよね。外国のファミリー映画とか、家族でキスしてる。
千里も今はしないけど、かつてはしつこくキスしてこようとしてて、全部拒否したけど。
さとみんの言葉からすれば、日本でも家族間でキスする家庭は多いんだ!
じゃあ千里を、そんなに意固地に拒否しなくてよかったのかな?ほっぺたくらいなら。
「セ○クスする。
――それも、まあ真剣な恋人たちなら婚前交渉もありうることでしょうし。
相手が恋人でなくてもする、ユルい人たち。
そう、いわゆる『やりち○くん』『させ子さん』もいるし。
結婚したカップルなら、普通はやってるであろう行為よね?」
ほほう。そうなんだ?
わたしは、親友の意外な側面を知って、目をみはった。
婚前交渉、さとみん的にはアリと思ってるんだ!
でも「真剣な」ってのがポイントかな。必ず結婚するなら、いいと思ってるのかもしれない。
ゆるい人って、「ぱ○子さん」のことだよね?
わたしは、語彙の違いにちょっと首をかしげたけど。
まあでも誤差だ、誤差。
これはよくわかっただろうと、わたしはにこにこと、ハルカちゃんの顔をのぞき込んだ。
あれ?すこしハルカちゃんの表情が、かたい気がする。
「でも。
あなたが、この度なし遂げた、―――」
なにかさとみんが言っているけど、わたしは心配になって、ハルカちゃんの表情を観察しつづけた。
なんだかさとみんの声を聞くごとに、だんだんハルカちゃんの顔色がわるくなってる。
どうしたんだろう。
小学校のころの親友のチカちゃんが、貧血起こしたときに似てる。
「だいたい、―――。
信頼しあう恋人たち、――――。
つまりあなたたちの間のきずなは、―――――。
――論理的には、そう、考えることになるんじゃ、ないかしら。」
ここもところどころさとみんの言葉を聞き流しちゃったけど、そんなおかしなことを言ってはいない。
きっと志野くんはハルカちゃんのことをちゃんと気に入ってる、二人の間にちゃんと絆があるよ、とかいうことだった気がする。ちょっと悔しいけど、そのとおりだよね。
でも、さとみんがおだやかに、同意をもとめるように。
ハルカちゃんの顔を覗き込むと、白くなった顔でハルカちゃんがコクコクとうなずいた。
顔が白いのは、きっとあのときのこと。命の危機にさらされたことを思い出しちゃったのかもな。
大丈夫、いまは安全だよ。わたしたちというか、さとみんがいるよ!
わたしはそういうつもりで、ハルカちゃんに笑いかけた。
それにしても。
わたしはあらためて、ハルカちゃんのことがうらやましくなってきた。
わたしと志野くんは、ちょっとだけ。
こすこす、擦りあっただけなんだよ。
ハルカちゃんのような濃厚な行為まで、まだ至っていない。
はやくわたしも、志野くんと密接な関係を構築したいんだ。
「そしてもちろん、本当に注目すべき、特筆すべきなのは、―――――。」
さとみんの声に、熱がこもる。
さっきからさとみんが少し考えに沈んでいたせいもあって、声が少し小さくなってしまって、いくつか聞き逃しちゃったけど。
内容としては、やっぱり何か自信のないハルカちゃんのことを褒めてたみたいだった。
そうだよ、ハルカちゃんはこんなにきれいでかっこいいんだよ。
志野くんだって気に入ってるよ、きっと。
ちょっと悔しいけど、わたしだってがんばるんだ。
「これはあたしの、邪推なんだけど。
あいつは昨日も、――――――。」
身に覚えは、ない?と、さとみんが尋ねると、ハルカちゃんはコクコクうなずいた。
ようやく自分が志野くんに熱愛(?)されていることに、納得したようだ。
だから、わたしたちもおいつきたいんだよ。やっとわかったかな。
「だから。わたしたちは、あなたに含むところはない。
ただ、あいつのことを知りたい。あいつの嗜好を知りたい、ってだけなの。
さしさわりのない範囲で、教えてくれるかしら?」
さとみんのもっともな言葉に、ハルカちゃんは頷いて。
ちょっと最初は小さい声で。
だんだん、熱がこもって微に入り、小を穿って。
あの時の経験を、はなしはじめてくれた。
――――――
――――――
(第三者(国領ハルカ)視点)
2人の仲間との、子供に戻ったような無邪気な戯れを経て、ふかふかにほぐれ。
今は心穏やかに、その場にあった客用ふとんに横たわっていた。
あの飯場襲撃、そして竜神の洞窟での冒険、そして今日の小さな脱出劇を経て。
はなれがたい、温かな親しみを覚えていた。
国領ハルカは、顔が広いし友人も多い。
話題は豊富だし容貌も優れてるし、気さくに話に乗ってくれる、クラスの人気者なのだ。
ただ、心の本当の暗い奥底、核心までみせられる友人はあまりいなかった。
実情を打ち明けたら本当に損得抜きで助けてくれるだろう、と頼れる友人も、家族も。
娘のようにかわいがってくれる伯父伯母はいるけど、本当の家族ってわけじゃない。たぶん実の息子と彼女のどちらか一人を選べと言われたら、やっぱり息子を選ぶだろう。
それはしかたない、と思うのだけれど、でも。
――さびしい。
級友や家族から離れてひとりのとき、国領ハルカはどす黒い孤独と悲哀を感じることがある。
この世に自分だけ、ただひとり、ひとりぼっちで取り残されたような。
たとえば、自分が死んでも。
少しの間は騒がれて、でも結局は誰の心からも忘れ去られていく。
今もてはやされてはいても、本当は誰からも必要とされていない。
そんな、いうにいわれぬ絶望感を覚えたりするのだ。
人気者を演じる
しかしそんな彼女は、彼女らや志野とのいくつかの冒険を通じて。
心から信頼できる、また一緒にいて心やすらぐ親友を得たと感じていた。
一人は言うまでもなく、以前からも親しかった、この小さくほわほわとかわいい生き物。
まるでひな鳥のように彼女を慕ってきてくれる小さな少女、紫藤みなりだ。
この子の前では、不思議に自分を飾らず、孤独な自分の内面を見せることもできると感じる。
(覆い隠してる奥底の陰鬱な自分をあからさまに見せたことは、まだないのだが。)
もう一人が、この目の前に転がって彼女に慈愛の目を向けている、調布智美。
知り合って、まだ長くない。
ただその名は、以前からよく耳にしていた。学校の有名人の一人だ。
正直に言って、最初はそこまで親しくなれる気はしなかった。
男女問わず全方位外交で敵を作らず、薄く広く支持を集める国領ハルカと違い。
調布智美はそのカリスマでかなり先鋭的というか、熱狂的で団結力の強い一団を率いている。
また男子と女子とでの態度の違いから、もしかするとあっちの人かも、などという口さがない陰口も聞いていた。
あんまり性格というか方向性があわないだろうなー、と思っていた。
だけれども実際に接した
男嫌いという噂もあったが、聞くほど顕著なわけでもない。
また、外見・内実ともに優れた人物であることは、認めざるを得ない。
容姿端麗・頭脳明晰というにふさわしいだろう。
明眸皓歯というのだろうか、くっきりした眉と涼しげな目、明朗に笑うときにみせる、並びの良い白い歯。
長くつややかなストレートの黒髪、校則にきちんと合わせた服装(ただしスカートは長めぎりぎりだ)。
流行に浮かないようにスカートを短くしたり、かばんを薄く潰し飾りをつけたりしてる自分が子供に思えてしまう。
少年・少女漫画に出てくる「かっこいい生徒会(長)の先輩」みたい、とでも言えばいいのだろうか(ただ品行方正というわけでなく、それよりもう少し野性的な感じだが)。
そして、ギリシャ神話の女神のように堂々とした、均整の取れた、起伏に富んだ体つき。
下を向けばそのまま足先が見える
頭脳も優秀だ。成績ではまだ一度も勝てたことがないだろう。
もちろん国領ハルカも自分にはそこそこの自信と自負はあるのだが、ときどきは自分の完全上位互換じゃないか、と凹む。
でもそういったことで、単に尊敬に値するというだけじゃなく。
今回、親身になって
いくつかのイベントや冒険を通じてはぐくまれた、強い精神的な紐帯を
そう、
その調布智美は、
「それで、ハルカ。――ちょっと立ち入ったこと聞いても、いいかしら。」
と、問いかけをしてきた。
――あ、きたぞ。
調布智美から問いかけられた、
何についての質問か、だいたい予想はつく。
――さっきの話。ボクが家で何かトラブルに直面してる、ってことについての話じゃ、なさそうだ。
さっき聞かれたばっかりだし、まだその時でないって
そう、彼女は思った。だとしたら。
そして次の言葉で、その推測が正しいことが証明された。
「ねえ、ハルカ。わたしが今聞きたいのは、あなたと志野との間にあったことについて。」
「ぐふぉ、げほっ、――し、しのりん!?ボクとの間、って?」
もっとも、予測しているということと、心の動揺が抑えられるかということは、また別の話なのだが。
思ったとおりとはいえ、志野の名前を聞いて、思わず動揺した国領ハルカはせき込んだ。
「ごめんなさい、しつこいわよね。
でも、あの裁判のときは、単に何があったかってことしか聞けなくて。」
「う、うん、そうだよね。ごめんね、その、ボクなんかが――」
ただ、
異常な状況下でのことではあるが、ある意味調布智美と紫藤みなりに対しては、裏切り行為だ。
それだけのことをしてしまった、という自覚があり。負い目で、彼女は眉を八の字にする。
しかも彼女は、今後志野にちょっかいを出すこともあるかもしれない。っていうか、そのつもり。
易々と体の関係を許したりするつもりはない。ただ、このまま終わらせるつもりはない。
だとしたら志野のことについては、やっぱり話合いは避けて通れないだろう。
断罪されるとしても、寛容で調停役の
だから、思わずひしひしと感じる重圧に視線が落ちそうになるのをこらえて、調布智美の表面上は穏やかにみえる目を見返した。
「誤解のないように言っておくと、あたしは。
――あなたと志野がその状況で、そういうことをしたことは仕方ないと思ってる。
志野だって、悩んだうえでそうしたんだろうし。
正確な理由はわからないけど、おそらくそれであなたは死なずに済んだ。
あたしたちには、あなたが無事、生きて戻ってきてくれたことが、すごくうれしい。
ただ。昨日も言ったとおりなの。あたしたちは取り残された気分。
だからあなたに少しでも追いつきたいの。」
切り出された内容は、たしかに想定していたように、志野との関係についてのことだったが。
その切り口というか方向性は、ちょっと予想外で。
「追いつきたい、って――?」
一瞬、理解が及ばず、目を瞬かせた。
――君たち志野と、よろしくヤっちゃってるんでしょ?みなりんなんて、全線開通だし。
追いつくって、いったい何に?
泥棒猫のボクを罰するって話じゃ、ないの?
その困惑を見て取ったらしい調布智美が、説明する。
「正直なところ、あなたは私たちに先行してるのよ。
だってあなたは、志野のそれを受け入れて。
――そしてあいつは、この上なく満足した、すごく気持ちよかった、って証言してた。」
「いや、それは社交辞令かも「――違うわよ。」ひうっ!」
澄んだ低い声。美しいが凄みのある声に、国領ハルカは怯えて口をつぐんだ。
調布智美の黒い目は、いつのまにか何かの考え、想念に沈み込んでしまっていて、彼女の動揺っぷりにあまり気付いていないように思えた。
心掛けて穏やかな口調で、補足しようとしてくれているのだが。
だが、その穏やかな口調、凪いだまなざしには、少しずつ。
黒々とした狂気が、にじみ出てくるように
「あなたと彼は、もはや普通でない高みにまで至ってる。
それが、あたしたちの認識。」
調布智美は、
身近な性行動を引き合いに、説明しはじめた。
瞳孔の開いた黒い目が、
「手をつなぐ。腕を組む。
――それは、ちょっと好意があれば。
そう、友人であれば、できるくらいのハードルの低い行為。」
そんなわけないやんユルすぎやで男友達と腕組むんかアンタ、と国領ハルカはツッコみたかったが。
穏やかな口調にもかかわらず、調布智美のうつろな目がマジで怖かったので思いとどまった。
「キスをする。ペッティングする。
――それは、普通に恋人ならしてもおかしくない行為。
家族でも、するわよね?」
家族と、ペッティングするのか?
国領ハルカは自分の耳を疑いながら、そっと横目で彼女を覗き込んできた紫藤みなりの様子をみたが、普通に頷いているのをみて、そっと心のなかでマコトさんと千里君、そしてまだ見ぬ
「セ○クスする。
――それも、まあ真剣な恋人たちなら婚前交渉もありうることでしょうし。
相手が恋人でなくてもする、ユルい人たち。
そう、いわゆる『やりち○くん』『させこさん』もいるし。
結婚したカップルなら、普通はやってるであろう行為よね?」
調布智美は、ちょっと天井の方を見上げるように、視線を上げた。
視線の圧力が減って少し胸をなでおろした国領ハルカは、これは内容にもまあまあ同意できると思った。
だが、ちょっと身を乗り出してきた紫藤みなりを横目で見ると、どういうわけか首をかしげていたのをみて、さらに紫藤家の男どもに対する警戒度を高めた。
「でも。
あなたが、この度なし遂げた所業。
――お尻に男性のアレを受け入れる。もちろんナマで。
そして、イかせる。
しかも、3回も。連続で。おそらく3、40分で、立て続けに。
常人の、なしうるわざではない。」
瞳孔の拡がった、美しいけど恐怖をかきたてる目が、
怖い。はっきり言って、すごく怖い。
断罪された方が、マシかもしれない。
「だいたい、そんなプレイ。
信頼しあう恋人たち、結婚したカップルの間でも普通にはされないわよね。
つまりあなたたちの間のきずなは。
普通レベルの信頼しあった恋人よりも、夫婦よりも強い。
――論理的には、そう、考えることになるんじゃないかしら。」
精神的にあやういものを感じる調布智美を刺激しないように、ほうほうとからくり人形のように首を頷かせながら聞いていた国領ハルカは。
なんでやねん、と心で泣いていた。
さっきまでピローファイトしてたから、体がぽかぽかして温まってたのに。
なんだか寒い。顔がすーすーする感覚を覚えていた。
「そしてもちろん、本当に注目すべき、特筆すべきなのは。
そこからうかがえる、あなたに対する志野のサカりっぷりね?
いかにあの変態野郎といえども、並の興奮ぶりではない。
あたしたちだってないわよ。3連発なんて、――。
志野の言葉が社交辞令でないという、何よりの動かぬ証拠ね。」
調布智美の言葉に、熱がこもる。
何人も逆らえないほどの重圧を感じ、国領ハルカは愛想笑いを浮かべようとしたが、失敗した。
「これはあたしの、邪推なんだけど。
あいつは昨日も、未練たらたらであなたをねっとり見てたんじゃないかしら。
今日熱を出したのも、もしかするとあなたに限界を超えて注ぎこんで、――。
身に覚えは、ない?」
そう説明され。
底光る目をひたと据えられた。
「だから。わたしたちは、あなたに含むところはないけど。
ただ、あいつのことを知りたい。あいつの嗜好を知りたい、ってだけなの。
教えてくれるかしら?」
――とにかく。
彼女らの考えによれば。要約すると。
国領ハルカは、その美麗な体と洗練された性技で、志野をきわめて高レベルの快楽へと、いざない。
普通人の思いに及ばぬ部位を用い、性獣を彼女に夢中にさせて3連発発射に成功し。
あげくの果てに熱を出すくらいに絞り取ってしまった。
圧倒的に先行ランナーだ。
――ということに、なっているらしい。
そう、紫藤みなりと調布智美の共通認識として。
ふたりは顔を見合わせて、うんうんと頷きあっている。
国領ハルカは、恐怖とともに頭痛を覚えはじめた。
ただ、情報開示を求める調布智美の言葉に、
頷くよりほかに、選択肢はなかった。
さとみんの性行動についての感覚っておかしいよ、とか。
自分に向けられてはいないけど、怒気がこわいよ、とか。
あーやっぱり君たちヤってるんだね2連発までは、とか。
みなりんは全線開通だけど、
いろいろ言いたいことはあるが。
身の安全を優先して、彼女はそれらの感想を心に押し込め。
記憶を探り、小さい声で志野とのいきさつの詳細を伝え始めたのだった。