タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
後半部、後で少し修整するかもしれません。
(紫藤みなり視点)
「そうなんだよ!たぶん。だからなんとかペットボトルの口も入ったんだよね。
だからさ、たぶんあの触手の粘液、なにかの作用があってさ、――」
「筋弛緩作用かしら。
末梢性で、しかも経皮吸収で効果を表すタイプなんて、あまり聞かない気がするわ。詳しくは知らないけど。」*1
さとみんがハルカちゃんに求めた、一昨日の夜の情報開示。
最初はちいさな声で、伏し目がちに、遠慮がちに話しだした、ハルカちゃんだったけれど。
なにしろわたしはまったくの未経験だから、目も口もぽかんと開けてただただ聞き入ってしまい。
そしてもちろん、さとみんは聞き上手だから。
そうなの!?とか感心したように合いの手を入れながら、とても興味ぶかげに聞きいってみせる。
ハルカちゃんはハルカちゃんで、もともとすごく話好きなんだ。
ことがことだけに、だれにもうちあけられず(まあ、そうだよね)、悶々としていたところだったみたいで。
そこに、わたしたちのような質の高い(?)聴衆たちを得て。
もうノリノリで、微に入り細を穿って詳細に描写し、感想を述べてくれる。
さいしょは蚊の鳴くようだった声も、だんだん大きくなり。
そして内容を聞いてると、それはもう。
顔に血が上って、あつあつになっちゃうようなすごい、恥ずかしいことまでも。
つまり。
志野くんの性癖が、それはもう盛大に暴露されていた。
――――――
――そう、たとえば。
志野くんのあれを入れやすくするためにハルカちゃんがとった、とても恥ずかしい姿勢のこととか。
それをみた志野くんのあれの、反応とか。
志野くんのあれを挿し込まれたときの、角度のこととか。
「もう、あんな姿勢、あのときだからとれたんだよ!
今?無理!
誰かにみられたら、舌噛んで自害するっ!
だって、さ?
ほらこんな感じに、膝を胸につけるような気持ちで、まげて。
お尻が、そうお尻の穴が空に向く気持ちで、背中をそらして腰を出したんだ。こんな感じ?
うん、足はこう。ひざも広げて、しのりんが入りやすくしたよ。
しのりんのアレ?うん、すごくそり返ってた。一瞬みただけだから分からないけど、目も血走ってて、――」
「なるほどね。その姿勢だったら。
志野は真上からに近い角度で、のしかかるように挿しこんできた、ってことになるかしら?
重くはなかったの?それに、いきなり刺すなんて、――」
「ほぁー」
そうか。そういう姿勢なんてとったことないけど、志野くんがそんなに興奮したってことは。
志野くん的には、アリなんだ。
覚えとこう。
――――――
――あるいは、また。
志野くんがなぜか用意周到に準備してくれてた、謎のローションかオイルみたいなもののこと。
入らなくなったときに志野くんが取った、行動のこと。
「うん、だからいきなりズブってしたんじゃなくて、さ。
指でぬりぬり、ってしてくれて、挿れてくれたんだ。――。
しのりんのアレ。知ってるよね?
太くて長くて、野球のバットみたいだよね?
みたときは、絶対無理無理!って思ったんだけどさ。
なぜか『ぬるり』って、入っちゃって。」
「うわー」
「痛くはなかったのね?羨ましいわ。」
「うん、しのりんは、そういうところはやさしかったよ。
まあもしかするとさ。あのさっき言った、触手のブンピツ液のおかげかもしれないんだけど、さ。
でも、その後も。
一度しのりんのあれを挿し込まれて。
やっぱりお尻に力、入っちゃったんだ。ギュッ、って、お尻の筋肉が締まって。
だから一度、途中から先にはいらなくなっちゃったんだ。
そしたらやわらかくするよう、お尻のそこらへんを、もみもみしてくれて。
ヌルヌルしたそれも、塗りたしてくれたんだ!」
「うへぁー」
もみもみって。ちょっと恥ずかしすぎるけど。
でも、ひとごとじゃない。
わたしよりハルカちゃんは大きい。そのハルカちゃんがはいらなくなるなら、わたしはもちろんそうなる可能性が高い。
ローションともみもみだな、ポイントは。
うん、おぼえた。
――――――
――そしてまた、たとえば。
ハルカちゃんが志野くんのバット(ハルカちゃんはおおげさだよ。そこまでじゃない、でも陸上のバトンくらいの大きさはあった)をお尻にさしこまれてから。
ハルカちゃんのあそこに志野くんの手がのびてきて、あの敏感なところを、ものなれた手つきで刺激されたこと。
お尻に入れられた志野くんのあれの太い感触がよびさます、いけないことをしてる快感。それに加えて。
とろかすようにやさしい、前のぽちへの刺激にどうにかなりそうになって。
本能的にからだをねじってにげようとしたのに、がっちり手足を固定されて、許してもらえなかったこと。
「うん、ボクは痛くはなかったんだよ。
だけどさ、なんかつるつるした斜面を果てしなく、すべりおちていきそうで。
わかるよね?
ボクのはほんとうのセ○クスじゃなかったけれど、たぶんこの不安感は同じなんだ。
なんだか、どきどきして。
すごく、気持ちがいいけど。
でも、自分が自分でいられなくなるような。
自分の理性が、溶けていってしまいそうな。
なんかもう、もとには戻れなさそうな、不安な感じ。」
「ふぅーん」
「わかる、わかるわ。
あの、ゆで卵が自分の殻を剥がされていくような、そんな気分よね。
すごく敏感な、やわらかい、生の神経が表に剥きだされていくような。
痛みと快感とが、なぜか境目をなくしていく――」
アダルトな会話だ。
わたしもいろいろ開発されたけど、そこまでじゃなかった。
帰ってこれないくらいの快感、か。
期待と不安が入りまじり。
わたしはほうっ、とため息をついた。
――――――
――あるいは、さらに。
ハルカちゃんのなかで跳ねる志野くんの、あれ。
そして、そこから噴き出した熱いなにかのこと。
「うん、どのくらいの量かは、正確にはわからないよ。そりゃね?
でもさ。
その、しのりんに突き刺される前に、ボクは500ミリのペットボトルで水を注がれたんだけどさ?
あのときの、お腹の感じ。あの圧迫感。
あれと、さ。
しのりんが2回目を噴射しおわったときまでの感じが、たぶん同じくらいで、――」
「ほぇー」
「大丈夫だったのかしら。
いえ、2リットル以上は危険と聞いたことがあって。
水だけなら、いいんでしょうけど。
その、志野の本体と竜神の胚も同時に入ってたわけでしょう?」
「さとみん、志野くんの本体はそっちじゃないよ!」
「あはは、どっちが本体でどっちが付属物なんだろうね?
それはともかくさ。不思議なんだよ。
しのりんのそれがぶしゅわー、って。いや音はしないよ、だから想像なんだけど、さ。
しのりんの熱いのがぶしゅうって噴き出ると、なんかボクの中のその、竜神の胎児だか胚だかは、一瞬はビクンビクンしてたけど。
なんか動きを止めて。存在感、なくなったっていうか。
破砕されたか、溶解されたか、って感じだったよ。」
そんなにたくさん出るのか。あ、たしかにすごくたくさん出てはいた。お腹の上に出されたとき。
でも、ペットボトルの半分も出たっけ?そこまでじゃなかった。
そんなに出させたのは、ハルカちゃんの実力だよ。
わたしは熱弁をふるうハルカちゃんに、あらためて畏敬のまなざしを向けた。
――――――
わたしたちは、元気をとりもどしたハルカちゃんから、あらためて志野くんの所業をヒアリングし。
志野くんの、性に関する嗜癖を深く学んだ。
また、さとみんも。
たぶんハルカちゃんが話してくれたことへの、お礼の意味があるんだろうけど、小出しながら志野くんの性癖(←さっきも出たこの言葉。ただしい用法じゃないけどこの文脈にぴったりだから使うよ)に関する情報を提供してくれる。
「ええ、這いつくばらせて、背中に乗るの。そうすると、ーー」
そうか。志野くんをお馬さんにして乗っかると、アレが元気になるんだね?
でもたっくんが乗ってるときは、べつに元気になった気配はなかったけど。
志野くんは、さとみんのお尻に興奮してるだけじゃないかな?そういう性癖、っていうより。
わたしが志野くんに乗ったら、どうなのかな。なにも変わらなかったら、つまりたっくん側だったら、なんかショックかもしれない。
でもこれはチェックに使える。有益な情報だ。
「あと、正座させた腿を踏んだり、床に付けさせた頭をーー」
なに。志野くんを正座させて腿や下げさせた頭を踏み踏みしても、元気になるんだ。
そんな発想、浮かばなかったよ!
あたらしい手法。有益な情報だ。
だけど、うーん、わたしだけぽかーんって聞いてるだけで貢献があまりない。
でもわたしも、この3人の中ではたぶん、志野くんといっしょにいた時間はいちばん長いからね。
せめてそこから得た情報を、すこしだけふたりと共有してあげようかな。志野くんの服の好みとかくらいならいいよね。
おお、ふたりが目をみはっておどろいてる。
なんだかすこし、きもちがいい。
そんななんやで、時間が流れ。
起きてきたたっくんとまた遊んであげて、休みをとるマコトお父さんと最近の学校でのこととか、お話して。
でもあまり雨や風がすごくならないうちに帰ろう、という話になって、さとみんハルカちゃんが、わたしをざくろが丘の家まで送ってくれた。
今日の夜半くらいに台風は通過するだろう、って話を、日蔭谷の家のラジオで聞いた。学校、明日は大丈夫そうだ。
家の戸口でさとみんたちに手を振って、見送った。
家の雨戸をしめないといけない。
もうすぐ千里も帰ってくるはずだ。家の中の電気を消してまっくらにして、ちょっとびっくりさせてみようかな。
それにしても、今日は充実した一日だった。
でも、わたしだってもうすこしさとみんやハルカちゃんみたいなどきどき情報を提供したいよ。
よし、今度の週末は、志野くんが元気になってたら、がんばって色仕掛けをしかけてみて。
少しでもさとみんたちとも共有できる情報を獲得するんだ。
そう、台風に備えて戸締りをしながら、わたしは心に決めていた。
――――――
――――――
(第三者視点)
「
日蔭谷で三馬鹿たちが顔を赤らめながら猥談をくりひろげ。
志野の性癖が気前よく暴露されまくっていた頃と、だいたい同時刻。風雨の強まってきた午後。
多賀島市内の閑静な高級住宅街の一角の、落ち着いた門構えの家の玄関口に、黒ぶち眼鏡に三つ編みの髪の彼女、
彼女を迎えて、彼女と姉妹のように仲の良い、一歳年上の従姉が笑いかける。
――絵に描きたいな。
そんなことが頭に浮かんで、思わずぼうっと見とれかけた彼女だが、なんとか意識を戻して返事をする。
「そんなことないですよ、私もちょうど、都合よかったんです。」
「もう!敬語、やめてよー。」
前みたいに話してよ!他人行儀は嫌、と彼女の従姉は言う。
――きれいな人っていうのは、こんな風に頬を膨らませてもすごくきれいでかわいいんだ。
そう、桜は。
ぷうっと膨れてみせた、彼女の美しい従姉に思わず見とれながら、そう思った。
この従姉は桜と同じ高校に通っている。1学年上だ。
この従姉、その美貌であまりに有名であり。
学校やこの地域ではなかば、神格化された存在になっているのだ。
本人としてはそんなふうに外見に注目されて、崇拝されたり、逆にちょっかい出されたりするのが嫌みたいだ。
友達もできにくいし。幼少の頃から、困っているらしい。
小学校の頃など、男の子は好きな女の子の注意をひくために意地悪してくるし。
中学生になればなったで、なれなれしくアプローチしてくる。
彼女は、そういった身の程知らずの男子の標的になったことも多いみたいだ。
比較的要領がいいタイプなので、ひらひら躱してきたみたいだけど、躱せるからといって不快じゃないという訳ではないらしい。
他方で彼女の好みの男の子は気後れするのか、さぁーっと退いてしまったり、なんか距離をおいて崇拝する信者モードになってしまったり。
女の子からはやっかまれやすく、気をつけないとハブられてしまう。
そんな悩みを、聞いたことがある。
――だからみーちゃんは、男の子とはあんまり話さないようにしてる、って言ってた時期もあったな。
私も、そんな気持ちはわからなくもないけど。
でも、1日だけなら。
あんなに注目をあびてちやほやされる経験、してみたいな。
おしゃれには関心がなくて適当にしているせいでひたすら地味な外見である彼女、中河原桜はそう思う。
もっとも、実のところ
磨けば光る素材なのだが、本人は気づいていない。
ただこの美しい従姉から最近、部活(ESSという英会話や英米文化に触れることを目的とする文化系の部だ)の後輩の男の子の話をよく聞く。
信者ムーブもちょっかいムーブもせず、普通に後輩として接してくれてると言ってご満悦だった。しかも素朴なのに、ほどよくかっこよくて好みだ、って。
男女交際には興味はないので聞き流してたけど、よく考えたら同じ学年だ。誰なんだろう。
さてここは、その美しい従姉の家。
五葉松も植えられた広い庭、落ち着いた数寄屋門の門構えなどからもわかるように、この従姉の家は裕福だ。それはこの従姉の母が、地元の企業グループの経営者一族の出身だからでもある。
その夫である従姉の父はあまり野心的なタイプでない。妻の一族で経営する企業グループに取り立てられてはいるが、決して主流派ではない。ただ能力はそこそこあると評価されており、それなりに責任あるポジションにいる。
もちろん高収入でもあるが、それに相応して多忙であり、今日も泊まりでの出張が入ってしまって不在である。
折悪しくこの従姉の母は、結婚話が具体化してきた長男(この従姉の兄で、すでに東京で就職している)の許嫁の母たちと海外へ親善旅行中。前々からの約束で、変えるに変えられなかったらしい。
そういうわけで、この美しい従姉は台風の中、この広い屋敷に一人ポツンと残されている状態。
普通、このくらいの広さの家なら使用人が常駐していてもおかしくないのだろうけれど。
この従姉の両親は上流階級ともいうべき一族の一端に属してはいるはずなのに、とても庶民的というかリベラルな感覚を持っており。
家の中に上下関係のある使用人がいることに抵抗感を持っているのか、ピアノ教師や幼少時のベビーシッターを雇ったり、週に数日家事代行を頼んでいたりすることを除けば、そうした外の人を家庭に入れたがらなかった。
夫婦とも性格は温厚であり、あえていえばお人好しである。
能力的にはともかく、厳しいビジネス界には自分は性格的に向いてないと従姉の父は思っているらしい。
従姉の母も控えめで、傍流、分家扱いされてそれに甘んじている。
でもこの家の人々は、この一族の本家筋の人々より一般人に近くてつきあいやすく、善良で温かいと桜はつねづね感じていた。
――子供のころから、遊びに行っていちばん落ち着く親戚の家は、このみーちゃんの家だったな。
この、みーちゃんとカズ兄さんがいたから、ってのもあるけど。ふたりのパパやママが優しいんだ。
そう、彼女は思う。
桜の母もこの一族の縁戚の出身である。ただ、桜の母は、先年グループ企業のトップから引退した一族の長老からみると他家に嫁いだ妹の外孫つまり又姪孫であり、そこまで一族とのつながりが強くない。
しかもこの桜の母、一度駆け落ちのようにして多賀島を離れ、後に出戻ってきたという経緯があるため、一族の他の家とは付き合いがなくなってしまっている。簡単に言えば血縁関係はあるけど、運命をともにする一族だとは思われていないのだ。
だから親の仕事も一族の企業グループとはほとんどつながりがなく、はっきり言って桜の家は全然裕福でない。
だけど、桜の母はこの従姉の母とはとても仲良しであり、家族ぐるみの付き合いがずっと続いていたのだった。
そういうわけで、子供のころから彼女は、このいとこの家に遊びに来ることが多かった。
彼女が中学生だったころに、彼女の父の仕事の都合で市外に転出していたことがあり、行き来が途絶えた一時期もあったが。
結局、桜が父の赴任先に馴染めず多賀島の高校を受験することになり、母と彼女は多賀島に戻ってきて。
この従姉の家とも、また親密な交流が復活している。
その、長い付き合いがあるために。
この美しい従姉が外見からは想像もできないくらいブラコンでさみしがりやなことまで、彼女は知っている。
だから昔から、こんなとき。
つまりこの従姉の両親が不在になってしまうときには、この従姉を自分の家に迎えてお泊まり会をしたり。
あるいは逆に桜の父母が不在にするときは、桜がこの従姉の家に泊まりに来たりすることが多かった。
今日はふたりの親たちはいずれも不在。だからこの従姉の家に、桜が泊まりに来たのだ。
「上がって、上がって!ほら、荷物こっち頂戴。
バスタオル、これね。いろいろ拭いて?」
桜は、そうして招じ入れられ。
服や濡れた荷物を拭かれ、応接室に通される。
温かい紅茶を淹れてもらい、ほうっとため息をつく。
落ち着いた調度や欄間や柱は、あめ色に磨きあげられている。
この家は、一族のもので。
御隠居さまの企業グループの会社から社宅かなにかとして借りてる、って建前なんじゃなかったかな、と桜はぼんやり思う。
恵まれた境遇の従姉を妬んだりすることはないものの、ママも、もう少し甘えたりしてうまく立ち回ればいいのに、と思ってしまう。
同じ外孫、傍系の家なのだが、この従姉の家とは境遇が雲泥の差だ。
ただ、一族とは認識されてないのかもしれないが、血縁者ではあるとは思われていて、一族の他家は桜たちに友好的だ。一族扱いでないから経済的な援助もない代わりに、一族の掟みたいなものも適用されない。
この前、おそらくは十年以上ぶりくらいに新年のあいさつでご隠居さまの山荘に行ったときも、一族はあたたかく迎えてくれた。
「ねえさっちゃん、小母様はお元気?
小母様も台風で大変だったり、さみしがってたりしてない?」
「ううん、今日は宿直が入っちゃっててさ。ぶつくさ言いながら出ちゃったよ。」
明日はふたりとも学校の補習がある。だから、お泊りセットだけでなく制服や学校のかばんも大きなボストンバッグに入れてきた。
あしたはふたりで登校だ。
制服、すこし雨がバッグに滲みて濡れてないかな。あとで取り出してハンガーにかけとかないとな、と思いながら。
桜は、この従姉。