※この作品はR-18です。

タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。   作:Marchhatter

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 日付け上は、今回が2回目の投稿になりますのでご注意ください(1回目は前日夜に投稿しました)。

 今回、前回の志野視点で省略されていた、イ○マの後のナギさんと挑戦者との絡みの部分の補足です。
 話、進んでないです。

 微グロ描写、微胸糞展開、NTR系不快な描写があります。今回もぬるいのですが、苦手な方はスキップ推奨です。

(前回のあらすじ)
 挑戦者(チャレンジャー)はナギさんに、様々ないかがわしいことをして、チャレンジを成功させる。
 ナギさんは挑戦者(チャレンジャー)に心服してしまった様子。
 複雑な思いを志野は抱くものの、志野の憑依した虫は飛び立って行ってしまう。



169 月の裏側(6)(志)★(前話省略部分)

(※以下、前話で簡略化した部分です。前話の該当部を読んでいる場合は、内容は同じで少し詳しいだけです。)

 

 ――――――

 

 虫は僕の決心には頓着なく、またぷいーんと飛び。

 こともあろうにクソ若造の肩あたりにとまった。

 

 若者は、ナギさんをまだまだしゃぶり尽くすつもりらしい。

 ナギさんは、馬の背ブリッジ磔状態からいったん解放された。まだ目隠し、手錠足錠はつけられてる。

 ナギさんの様子が変だ。紅潮がひききらずピンク色に上気した頬、なんか笑みをたたえてるような口元。あの若造野郎が係員に指示してる声に耳を澄ませてる風情。まさか心を壊されたか、あるいは心まで拉がれ、屈服したのか。

 

 観衆はいまの一幕にかなりの感銘を受けてるみたいだが。

 まだ時間があるし、続きがあると知って期待してる模様。

 いつの間にか客も増えてる。立ち見客がわさわさと。

 

 若造は係員に木馬の真上の天井のフックを指差し、行李のなかの何かを指差し、床の木馬固定用の金属輪を指差し、何かを伝えている。

 係員が頷くと、若造は行李からいくつか道具を取り出す。

 

 ごく普通にみえるロープ。

 拘束用と思われる大小の黒い革ベルト。もちろんロープとかに繋ぐためのリング付き。

 相当に強力そうなコイルスプリング。小学校の実験とかで使う、引張コイルばねの強力版だ。両端にロープとか付けられるフックがある。

 あと、踏むとすごく痛そうなトゲトゲの突起つきの小さな木板。細長いカマボコ板に、木の杭の先端が2列に並んで植わってる感じ。

 

 木馬のすぐ横に移動させられたナギさんに、革ベルトが着けられる。

 両腕は、後ろ手に、伸ばした状態で拘束された。今まで前で拘束してた手首の革手錠は一度連結を外され、後ろ手に変えて改めて再連結される。

 そして手首だけでなく、二の腕(上膊部、上腕部)に2か所、革ベルトがつけられた。この二の腕の革ベルトは左右別々に独立したものではなく、両腕をセットで束縛するもので、それがひじ近くと肩近くの2セットつけられた。両腕の間は、ギュッと近づけるよう締めあげられる。 

 ナギさんはこのひじ上、肩近くの2か所で両腕をぎゅっと絞られたので、胸をすごく張るような姿勢になった。

 すごくキツめにアームバインダーを付けられた感じ。

 盛り上がった白い胸とぴんと立っている乳首が強調される。

 

 右足のハイヒールを脱がされ、その「親指だけ」に、革ベルトがしっかりと締めつけられた。

 そしてこの親指の革ベルトに付けられたリングと、ナギさんの伸ばした後ろ手を拘束する手首の革手錠に付いてるリングが、接続具で連結された。

 カチリ、と金属の接続具を嵌める音が響く。

 

 つまり、ナギさんは両腕と右足(右足指)を背中側にまとめて拘束された状態。

 かろうじて左脚一本で立つわけだが、バランスは取りにくい。木馬に寄りかかりながら立たされてる状態。

 

 そしてナギさんを後ろ手に拘束している革ベルト状の拘束具のうち、上腕部の肩近くの方のやつの連結部中央のリングに、スプリングの一端のフックがはずれないよう固定され。

 そしてスプリングのもう一端のフックにはロープが固定された。

 そしとそのロープは、木馬の上の天井のフックに引っ掛けられ、そしてそれを屈強な係員が引っ張り。

 ナギさんは、ずりずり、と宙に吊り上げられる。

 肩に恐ろしい痛みが走ったのだろう、体が浮きかけたころに、あのがまん強いナギさんが耐えかねて悲痛な声をあげた。

 すかさず、ナギさんの左脚を抱きあげ痛みを軽減する、スカしたツラ(想像)の若造。

 ついでに、片腕で抱き上げながら、もう片手ではナギさんの左足のハイヒールを外して軽く邪魔にならないところに投げ落とす。

 それにしても、だ。

 お前がナギさんを苦しめることやらせてんだろ、なに助けに来た王子様づらしてるんだ。

 虫は止まり木であるこの若造が急に動いたので、ぶいーんと飛んでまた最前列の見やすい場所にいる紳士のシルクハットにとまった。

 

 マッチポンプ野郎は後ろ手に吊るされたナギさんを、木馬の鞍に座らせるのでなく、左足一本で鐙に立たせた。

 気がつくと鐙のもう一方は、ナギさんが左足だけ鐙にのってもバランスが崩れたりしないよう、床の木馬固定用のリングにロープを張って固定されていた。余計なところで用意周到だ。

 ただ、天井からのロープは短めで、ナギさんはつま先立ちで鐙に乗ってる。

 肩をねじきるようにぎりぎりと吊り上げるロープへの負荷を避けたいが、左足でのつま先立ちじゃ体を支えきれなくて辛いのだろう、ナギさんが堪えるように口を噛み締め、眉を寄せている。

 

 そして若造も服を脱ぎ。全裸になる。

 色白でやや細身だが、結構鍛えられたしなやかな筋肉がまだなめらかな皮膚の下に潜んでる。いい身体だ。

 モテるだろうな、きっと。爆発しろ。

 

 若造も馬に登り。馬の背の首側に、ナギさんと対面になるよう座る。

 馬の首に軽くもたれ、リラックスした風情で、半分吊るされた状態のナギさんを見つめている。

 ナギさんは手足を後ろに拘束されて吊るされてるので、若造の目の前にはナギさんの白いトルソーがある。丸い乳房が、眩しい。

 ナギさんは鐙に片脚立ち。若造は尻を鞍につけて座ってる。

 だから若造が長身なのを加味しても、ナギさんの方が高い位置にいる。

 ナギさんの胸が、ちょうど若造の目の高さあたりにある。

 

 若造が、ナギさんの腰のあたりに手を回し、抱き寄せた。

 クソ、呪われやがれ。箪笥に小指をぶつけますように!

 

 ナギさんは瞬時、ビクッとしたが。

 なぜか体の力を抜き、若造に体を委ねる。

 その表情に、嫌悪を見つけられなかったことが、僕の心を波立たせる。

 他の男に抱かれてるナギさんを見るのが、辛い。

 

 若造の指示で、ナギさんを天井に吊すロープが少し緩められた(ちなみにナギさんを吊すロープのもう一端は、今は係員の一人が握って調整役になっている)。

 

 ナギさんは若造に抱きかかえられ、そのガイドで、こわごわ膝を曲げ。

 膝というか、ボンボン若造マッチポンプ王子野郎の腿の上に座った。

 ちくしょう、ナギさんも今度、想像の中で犯す。すごくいやらしく。イラマさせて、エグい責めで喘がせる。

 

 若造は、ナギさんのまだ紅潮がほんのり残る頬に唇をつけ(ナギさんは拒まない。熱が引いたら絶対オナペにしてやる)、意味深に観客席に向かって笑った。

 あ、たぶんコイツ。ナギさんをヤった一人目の客がナギさんにキスしたのに対抗心持ってるな。

 嫉妬深いな。あ~、やだやだ。心のせまいやつはこれだから。

 

 若造は顔を引き締めると、ナギさんの左足を鐙から上げさせ、係員のもう一人が鐙の踏み面にあの痛い杭先のついた板を取り付けた。

 ナギさんはまた、足を鐙に置くよう促され。

 鐙の踏み板に新たに設置された、足裏を苛む拷問具(責め板と呼んでおこう)に気づき、――なぜか微笑んだ。

 子供のいたずらをみつけた母親のように。どこか、諦観を湛えて。

 

 またクソ(略)の指示で、ナギさんを拘束するロープが引き上げられていく。

 ナギさんは再び痛みに顔を歪めながら、足の裏に食い込む板と、後ろ手の上腕を吊り上げて肩関節に鋭い痛みを与えるロープで体重を支える。

 これから先、どちらに体重をかけるかの選択を迫られることになるが。

 ナギさんにはもう、苦痛からの逃げ道はない。時間がナギさんを追い詰めていくだろう。

 

 しかもその間、クソ野郎の若造は。

 ナギさんが吊り上げられ、鞍というかクソ野郎の腿から腰を上げることになったので。

 木馬の背にすこしねそべり、ナギさんのちょうど下に腰の位置を微調整して。

 自分のグロいくらいに固く血管を浮き上がらせるペニスを屹立させ、ナギさんの下にスタンバイさせ。

 ナギさんに、第三の選択肢を用意した。

 

 つまり。

 ナギさんの後ろ手を肩近くで吊ってる、それに体重をかけると肩を外さんばかりの痛みを与えることが確実な、ロープか。

 鐙の踏み板に取り付けられた、ナギさんの柔らかい足裏に確実に食い込み、じわじわ苛む杭先の植わった板か。

 ナギさんの嫋やかな体が納められるとは思えない、ナギさんを串刺しにするためセットされた肉の槍か。

 どれかを、選ばされることになる(3番目は、1番目と必然的に重なるが)。

 

 口元は変わらない、マスクで目元の表情もわからないが、ナギさんを見上げる若造の目には。

 きっと嗜虐的な光があるはずだ。

 この若造、絶対に性格が悪い。いや、僕も同じようなものだけれども。

 同類嫌悪なのかもしれない。

 

 ナギさんは、第三の選択肢に気づき。

 係員がロープをわずかにゆるめると、抵抗せずに。

 むしろ窮屈な姿勢から束縛された右脚を開き、自らを突き刺す肉の槍を受け入れた。

 

 ちなみにナギさんの右脚、親指だけで吊っている。指締め金具で締められてるようなものだ。

 我慢強いナギさんでも、これだけの苦痛てんこ盛りだと、長くは持つまい。

 

 だが肉の槍を受け容れようとするナギさんの頬には、絶望は浮かばない。

 不思議に透明な諦念が、そこにあった。

 すべての咎人を赦す、聖女の微笑が。

 

 だがクソ野郎は、そんな聖女のようなナギさんの白い大腿を片腕のひじでさらに押し上げて、股間を広げ。

 観客に見せつけるように、禍々しい肉の槍をナギさんの下の唇、切れ目にあてがう。

 

 観衆がおそろしいほど静かに見守る中、強心臓にも。

 じらすように、若造は悠々とナギさんの裂け目に棒をねちっこくまとわりつかせ、なぶる。

 気がつくと、ひじでナギさんの右腿を押し上げている、その腕の片手では器用に肉の棒を操作しつつ、他方の掌では、先ほどからナギさんの白い胸を下からすくい上げるようにあてがって。

 親指人差し指が乳首を強弱をつけながらつまみ、残りの指が丸い膨らみに食い込んで、別の生き物のように蠕動し、丸く形のよい胸をさまざまに変形させていた。

 

 耐えていたナギさんが、顔を歪めてのけぞらせたとき。

 

 ぬるり、と巨大な杭がナギさんの裂け目に、飲み込まれた。

 はぁ、というため息が、人々の息しか聞こえない静かな部屋に響く。

 肉の銛(もり)の「かえし」。凶器の先端の巨大な亀の頭の部分が、かろうじてナギさんの裂け目を押し広げながら侵入した。

 それだけで、もうナギさんの中はいっぱいに思えるが。

 若造の手がナギさんの細い腰に移動し、その体を下に引く。

 ナギさんの後ろ手上腕の縛めとロープの間の強力なスプリングが伸び、肉の杭のくい込み、刺さり込みがいっそう深くなる。

 手を離すと、スプリングの伸び縮みによって、ぬよんぬよんとしとどに濡れた谷は、赤い肉の杭をはさみながら上下し。

 快感が伝わったのだろう若造の頬に、(たぶん)鬼畜な笑みが浮かんだ。

 対して、ナギさんの表情は、――とナギさんの顔を見上げて、僕は不吉な予感を強めた。

 

 ナギさんのひそめた眉には、たしかに苦渋の色がある。

 眉の上の額や頬に、汗の粒が浮かびはじめているのも、苦痛のためだろう。

 何しろナギさんが足を置く責め板に重心をかけると、足に杭先が食い込み、その刺激が脳を軋ませるし。

 ナギさんがその苦痛に耐えかねて、鐙の責め板から足を浮かせると、後ろ手のロープ(とスプリング)を伝って、無理な形に肩がねじられ、関節が外れるような痛みが生じるのだ。

 

 しかし、これは僕の勘違いかもしれないのだが。

 ナギさんの、口元。

 激しい苦痛に歪み、かみしめられ、白い糸切り歯が下唇をかんで、――わずかに噛み破られた唇が出血しているが。

 しかし、なぜかその歪められた唇の端が持ち上がっていて、笑みを湛えているように、感じられる。

 そして、なぜか。

 ナギさんは責め板を踏む左足に体重を置くのと離す(足を浮かせる)のとを、どこかせわしなく繰り返しはじめた。

 

 責め板から足を離す、あるいはかける体重を減らすと。

 後ろ手に吊るスプリングとロープに体重がかかる。そのためスプリングが伸び、赤く凶暴な肉の杭がぐい、とさらに深く、ナギさんの股間の裂け目(ちなみに無理気味に裂け目は引き伸ばされて、ようやく肉の杭を納めている)に食い込んでいく。槍の半ばくらいまでが、のみ込まれる。

 

 逆に責め板を踏む足に体重を戻し、力をいれてひざを伸ばすと。

 裂け目から肉の杭が抜き出される。膝を伸ばして直立すると、震える左脚の腿と、背中側に親指一本で釣り上げられ、男のひじで押し上げられてる右腿との間の股間の裂け目から、男の肉の杭の亀頭のへりが覗く。そして肉杭にめくられて、ナギさんの裂け目内側の、透くように赤い充血した粘膜がみえる。

 

 それを、ややせわしなく繰り返す、ナギさん。

 肉の槍が刺さっていくときの、どこか困ったような、しかし嬉しそうな気配。

 要するに。

 明らかにナギさんは、自分を刺し貫く肉の杭を求め、それから快感を感じているようにみえた。

 

 覆面に隠れた男の目は、ナギさんが拷問の苦痛と、感じてはいけないはずの快感の板挟みになっていく、その表情を。

 爬虫類のように、瞬きもせず舐めるように見守っている。

 そして両手では、ナギさんの胸(乳房はまだ白いが、少しずつ乳房以外の部分、体全体はピンク色を増している)を揉みしだいたりして、ねっとりといじり続けている。

 ときどきは、あきらかに力をいれてつまんでいる。

 

 クソ、クソ、クソッ。

 この若造は、サディストのクソ野郎だ、間違いない。

 

 ――――――― 

 

 静まる部屋に、荒い、切羽詰まったナギさんの喘ぎが響く。やがて、隠しようもなく、苦痛と言うより喜悦の声が漏れた。

 若造は巧みに、スプリングの伸縮を利用し、抜き差しの摩擦によって。

 ナギさんの苦痛と、それに入り混じって高まっていく快感を引き出し。

 係員に合図し、天井からナギさんを吊るロープを少しずつ、緩めさせ。

 自分の肉の槍をすこしずつ、すこしずつ押し込んでいく。

 そして。

 

 いままでナギさんの自律的な動きに任せ、自分はしきりにナギさんの乳首をいじっていた男が。

 突然、降りてきたナギさんの腰を指が食い込むほどの力でつかみ。

 ぐい、と下に、つまり肉の槍が刺さる方向に引き下ろした。

 そしてそれでついに、ナギさんの最奥の壁に槍先が触れたのだろう。

 槍がこれまでになく深く差し込まれて。

 ああーっ、とナギさんの声が高く大きく裏返り、響いた。

 

 はっきりと、若造が残忍な笑みを浮かべた。

 しばらく押し当てたあと、若造は手を離し、ナギさんがスプリングでまた上下に揺れ、体内の肉杭を擦る。

 観客たちは、しわぶき一つせず、この推移を見守っている。

 

 さっきの「一人目の客」で、おそらく戦略を学習していたのだろう。

 一度は奥の壁に肉の杭をつき当て、その感覚を味あわせておきながら。

 それ以降は同じことはせず、奥の壁に触れるか触れないか、というストロークを続けて、若造はナギさんを追い詰めていく。

 おそらくは、天性のすごく繊細な感覚があるのだろう。僕の「超感覚」ほどでないとしても。

 微妙な深さの調整で、最奥には軽くしか当てないようにして、ナギさんをじらしているのだ。

 上を向いたナギさんの頬を、涙か汗かが伝う。

 

 ナギさんが、あるターンのとき、踏板につま先立ちになった。

 距離を稼ごうとしてるんだ、と頭の悪い虫状態の僕が一拍遅れでわかったとき。

 ナギさんが、つま先立ちの状態から急に足を責め板から外して、若造の肉の槍に自分をふかぶかと貫かせようとする。

 しかし、若造は腰をずらし、肉の槍の刺さる角度をななめにして、ナギさんの最深奥を衝くのを避けた。

 ナギさんが、どうして!?というように激しく頭を振る。

 

 さっきの、一人目の客の逆だ。

 ナギさんは、貫かれたがってる。痛みがあってもいいから、もっと深く刺されたがってるのだろう。

 ほら、ナギさんが思いを果たせず、かんしゃくを起こした子供のように、頭と体を狂乱的に振ってる。

 体を狂ったように強くねじって揺らしている。肩もすごく痛いだろうに!

 左足は、もう踏板を離れてぶらん、としてる。

 それでも、わずかに最奥に肉槍はとどかない。この若造が、わざととどかないように調節してる。

 

 何か、ナギさんの口元が動き、何かを言ったように見えた。

 最前列の客にとまってた僕にも、何を言ってたかはわからなかった。

 しかしその言葉に、目元を隠す黒覆面の奥の若造の目が動揺したように見えた。

 なにかナギさんが繰り返す。

 男は、目隠しされたナギさんから見えるはずもないのに頷いて。

 ロープの長さの調節役の係員にロープを緩めるよう指示し、もう一人の係員に、別の何かを指示した。

 

 ナギさんは、もう踏板を踏んでいない。外したまま、ぶらっと垂らされてる。

 杭は足裏の皮膚を、突き破っていないようだが、杭の痕が見える。

 ロープが緩められたので、肉の杭はめり込んでいくが。

 男はもっと馬の背に寝た体勢になり、腕を伸ばしてナギさんの脇の下を持ち、串刺しを避けた。

 

 係員の一人が、ナギさんの背からスプリングを外し、役目が終わったロープ調節係の方の係員が、ロープを撤去する。

 係員は、さらにナギさんの右足指と後ろ手の手首を縛める革手錠の連結を外した。ナギさんは、両足を伸ばして男に跨る体勢に。

 さらに、係員はナギさんの両手首、上腕の2か所(ひじの近く、肩の近く)の拘束具も外した。

 ナギさんは、自由になった。肉の杭が刺されている以外には。

 

 ちょっと窮屈な木馬の上で、男が軽く膝を曲げて下になり、ナギさんを下から突き上げる。

 ナギさんは、騎乗位のように直立するのでなく、自由になった両腕を男の首にまわして、頬を男の頬に擦りつけた。

 ナギさんはやわらかく背中をそらして、男にしなだれかかってる。

 姿勢を変えて男の胸にキスし、横を向いて頭をつけたときに。

 すごく幸せそうな、透明な喜びが溢れ出てるような口元の笑みがみえた。

 

 男は、ちょっとバツが悪そうだったが。

 ナギさんを突き上げる動きを再開。

 ナギさんも、弓なりに反って声を上げながらそれに応じて。

 最後に、男が達したときに、股をきゅうっと締めて。

 一滴のこらず搾り取ろうとする様子が、みえた。うん、ほぼすべての観客にも。

 拍手が、巻き起こった。

 

 

 そして僕は思った。

 うん、心ならずも、よかった。

 ナギさんよかったね、幸せそうで。クソ野郎には思うところはあるけど。

 娘への結婚申し込みを受けた、父親の気分に近いのかな。

 そうだ悪いことじゃない、ナギさんも林間学校無限地獄から救われたし、よかった。

 虫の身ながらすごい僕は興奮したし、観客みんな、なぜか喜んでたけど。だけど。

 なんだよこの、不条理NTRハートフル大団円劇場。

 

 ―――――――

 

 その後観客たちは、もちろんこの若造の挑戦(チャレンジ)を成功と判定。

 判定がおわり、木馬の上に一度ナギさんを座らせ、そして先に木馬から下りてから。

 若造男は慎重に、ナギさんを抱きおろす。

 ナギさんを大事に思ってるのが、伝わってくるようだ。

 

 抱き上げられたナギさんの裸身が、美しい。

 なんか気のせいか、肌つやがすごくいいようにみえる。このショーの始まりの時よりも。

 赤い鞭痕はすこしまだ残ってるけど、もう消えかけてる気がする。

 もともとショーの始まりのときも、肌をみて20台半ばか前半って判定しちゃうくらい、しっとりした感じだったんだけどね。

 今はそれにまして輝いてる感じ。精神的な好調さっていうか幸せさが、体にも作用してる?

 

 いわゆるお姫様だっこで佇む二人に、判定時と同様、また観客から大拍手。いったいなんなんだ。

 

 そして判定が終わると、それがルールなのかまではわからないが、男はナギさんの目隠しをとる。

 男をはじめてみたことになるナギさんは、全く驚きをみせない。

 覆面があるのに、なにか親し気に言葉を発してる。もしかすると、知ってる間柄なのか?

 男は、先に脱いでおいてあった自分のローブを回収し、裸のナギさんの肩にかけながら。

 なにかもごもご、言い訳をしてる。頭掻いてる。なんか頼りない若造だなあ、ショーの間は悪魔みたいだがある意味頼もしくみえたのに。

 ナギさんは、幸せそうに微笑み、イタズラした子供の言い訳を聞くようにそれを聞きながら頷いてる。

 あ、ナギさんが若造になにかねだったぞ。

 見ない方が精神衛生上いいのは分かってても、みてしまう。

 

 男がすごくきまりわるそうに、そしてきょろきょろあたりを見回してから、ナギさんにキスをした。

 体の力を抜いて目を閉じて男に抱かれ、少し上を向いてキスを受けいれるナギさん。

 目元には、真珠みたいな涙の光。

 

 

 あー、爆発しないかな。あの若造。

 それにしても、あいつは誰なんだろう。

 それに、さっきあたりをきょろきょろしてたのは、どうしてだろう。

 まだ客はたくさんいるから、客にみられたくないってわけじゃなさそうだ。

 だれか特定の人間にみつかるのを、恐れてた感じだった。不倶戴天の敵がいるのかもしれない。

 

 興奮したように口々に何か言い合いながら、三々五々部屋を出て行く客たちに同調したのか。

 まだ語り合う二人のことを見ていたい僕の思いをよそに、部屋を離れてふぃーんと飛んでいく虫の視点で。

 あたりを観察しながら、僕はそんなことを考えていた。

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