タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
後で細かいところを修正するかもしれません。
紫藤が懐(僕の推測では、ブラの内側)から取り出した、一見すると菓子の個包装パックみたいなもの。
その扁平なプラスチックの袋を、しげしげとみると。
個包装の(当たり前だ)コ○ドームだということがわかった。
わかったとたん。
その衝撃に思わず、僕は固まってしまった。
いや、だってさ。ヤりたいのは事実、すごく。
でも、本当にヤるってことが実感でわかってなかった。いや、いろいろヤる機会を作ろうとしててお前なんなのって言われると、そのとおりなんだけど。
だいたい、さっきホテルにしけこもうとした僕。
まったく僕は考えなしのどアホウだどうやって避妊するつもりだったんだろうかそういえば僕が今まで使ったことのあるホテルならふつう備え付けのがあったなでも大学時代にバイトしてた先輩があれイタズラされて穴があけてある場合があるから注意しろって言ってたしゴムの厚さも指サックみたいに厚い場合があるとかないとかいってたけれども大丈夫かもわからないのに僕は紫藤を誘ってたわけでいやまて調布がたしか紫藤はまだアレが来てないって言ってたよなそうだとするともしかするとナマでやっても理論上は大丈夫ということではないかしかしそれはあくまで理論上の話であって──
しかしそうしてフリーズしている僕とは、対照的に。
紫藤は僕が硬直したのに怒りもせずに、くすくす笑いながら起き上がり、すまし顔で座りなおした。正座で。
帯はないけど、浴衣の合わせ目をさりげなく整えてる。
僕もようやく再起動して、正対するように座る。正座で。ごくりと生唾をのみながら。
「とりあえず、つけるだけつけてみようか。
ほら、開けてみたよ?──でもこれ、どうやって使うんだっけ。」
僕は動揺を押し隠しつつ、得意げにコ○ドームの袋を手に持ってフリフリしている紫藤に、その薄いラテックスに表と裏があることを教える。
いや、余裕なんてないっすよ。中身おっさんのはずなのに、情けないことに声がいつもと違ってる気がする。心臓ばくばく。
紫藤は感心したように、ほうほう、あそこのお帽子なんだね、と言いながら頷いてる。内心はともあれ、外には動揺はまるで見えない。僕なんかより、よほど大物だ。
「これを、志野くんの志野くんにつけるんだね。──いい?」
あー、もちろんいいけれど。でも。
紫藤も、わかってるはずだけど。その、時間が──。
僕は動揺を押し隠しつつ。固まって回りにくい口で、紫藤に答える。
「いい。もちろん。
みなり。セ○クス、しよう。
──だけど、みなり、」
「うん、わかってる。わかってるよ、志野くん。」
──時間が、ないんだよね?
紫藤は、そう言ってさえぎった。その顔には、困ったような笑み。
笑ってるのに、どこかで泣いてるような、無理してるような、──。
ちょっと八の字になったまゆが、そう思わせたのか。
それがどんな言葉よりも、雄弁に思えて。
僕はがあんと殴られたような衝撃を受け、口をつぐんだ。
頭のいい紫藤が、わかってないはずがない。
わかってて、でも紫藤はこの行動を選択した。選択せざるを得なかったんだ。
きっと紫藤は、何かを予感してる。「時間がない」のは、マコトさんたちが帰ってくるまでに時間がない、ってことじゃなくて。
きっと、僕たちのこれからについてなんだ。
紫藤は、ホストファミリー先に転居が決まってる。僕たちと離れ離れになる、そのことに不安を持ってるに違いない。
きっと僕が、不安を抱かせてしまったんだ。僕は馬鹿だ。
紫藤、僕は、──
「だから、さ。これは、──そう、もちろん、練習なんだ。
でも、そう、脳内グルグルを始めてしまった僕をよそに、紫藤は続ける。
声に、力がこもりはじめてる。目に、輝きがやどりはじめている。
僕はどこか不吉な予感を覚えながら、そんな紫藤に目を奪われた。
紫藤は、いう。
──名選手も、ちゃんと練習は積むし、大会だって
志野くんも、もちろん名選手になるんだよ?わたしを、乗りこなしてほしいんだ。
だからさ、志野くん。これは、予行演習。
はじめてのときを、楽しめるための、さ。
言わずもがなのことで、紫藤を気落ちさせてしまったかもしれない、と。
そんな風に思って、情けなくもグルグルのマイナス思考に落ち込んだ僕の内心を、知ってか知らずか。
紫藤はそう言葉を続け、僕に笑いかけた。
さっきと違い、僕の節穴の様な目は、彼女の笑みに暗い影を見つけられない。それどころか。
「それに、さ。志野くん。考えてみてよ。
これは、運命への挑戦だよ。」
「?」
よくわからないという、僕の困惑を見て取ったのか、紫藤は続けた。
「お父さんたちは、帰ってくる。それは、誰にも止められない。
その時の流れに、わたしたちは、これから意思の
「??」
ごめん、マジで紫藤が何を言おうとしてるか僕にはわからない。
ただ、このときの紫藤には半端ない、さからいがたいオーラが漂いはじめていた。
まるで、あのドラクロワの名画*1のように。
ファンタジー小説の中に出てくる、宝剣を掲げて魔神の討伐軍の先頭に立つ聖女のように。
開封ずみのコンド○ムを手に力説する紫藤から、有無をいわせぬ圧倒的な熱量が伝わってきて。
僕は固唾をのんで、そんな紫藤にただただ視線を奪われていた。
「つまり。
この限られた時間で、わたしたちは、いけるところまでいくんだ。
そう、『タイムトライアル』だよ。」
うん?それ、タイムトライアル、っていうのかな紫藤。
タイムトライアルなら、どれだけ速く射精するのを競うってことになるけど、そうじゃないよね。
あれ、なんだっけ、ハイスコアトライアルだっけ。
ともかく、そんなどうでもいいことを思い悩む僕が、気がつくと。
西日を背にしてすこし陰になっているはずなのに、輝く光を宿した紫藤の双眸が、注意を逸らしてしまった僕の目を、射るようにみつめていて。
悪寒を覚えた僕は、思わず姿勢を正した。それをみて紫藤は、満足げに頷いた。
「だからさ。お父さんたちが、帰ってきてこのドアを開ける。
そこまでが、勝負だよ。」
──わかるよね?
絶対にバレないようにしなきゃいけない。絶対に。でもさ。
とことん、ぎりぎりまでやるんだよ。ぎりぎりまで、ね。
このタイトロープの上で、踊るんだ。踊り続けるんだ*2。
どこまで、いけるかな──?
そう、紫藤は僕の目を覗き込み、ささやきかける。
──わかった!
僕はそのとき、頭にぴぃん、と冴えた音が鳴り響いたように感じた。
──そうか、それならわかるよ。望むところだ。
それならできる、いや、ヤるんだ!
紫藤の力づよい扇動に、まるで催眠術をかけられたように。
(いや、僕の主観的な感覚としてはその逆。まるで迷いの霧がサアーって晴れた気がしたんだけどね。)
水面に墨汁を垂らしたように、ピンク色の妄想がすごい勢いでしゅわあっと拡がり、僕の脳の色を染め変えはじめた。
そして、この限られた時間のなかで、紫藤に対してやってみたい、それはもう様々ないかがわしい行為の候補が浮かび始める。
僕は、なぜかいつもよりすこし黒く美しい笑みを浮かべてる、そのせいでいっそう妖しく魅力的に思える紫藤をみつめる。
紫藤がえへん、と笑みを深め、胸を張る。つつましいけれど、浴衣を押し上げる胸元のふくらみに、僕は目を奪われる。
──うん、最低でも、この胸の先、乳首を口に含む!
その胸のふくらみに、ごくり、と喉が鳴るのを僕は感じる。あれが、僕の次の戦略目標。
たしか4月には、まだほとんど起伏がなかったように思う、その胸には。
今では、気がつくとたしかに小さいけれど、確かな隆起があり、それは胸を張ったせいで強調されてて。
もちろん、今までにも僕、紫藤の胸を口に含ませてもらったことがあるよ?
でも、さ。今回は、それを超えて──。
「だから、さ。志野くん、これをつけてみようか。」
紫藤が軽く膝立ちになった姿勢から、正座に近い感じに戻り。
やわらかく、僕のひざに上半身を寄せてくる。
つまりそれは、お尻を突き出すような恰好で、僕のひざにしなだれかかってきたということなのだが。
その体をつつむ浴衣に現れてるなめらかな背中から腰の曲線に、僕は瞠目する。
その姿勢のせいか、思ったよりも女性らしくエロい、その腰のカーブに。
──そうだ。ゴムつけるってことは、さ。
あきらかに、もう一歩、大人への階段を上がるわけだ。
単に
そんなことですむなら、
もっと近い距離の、より親密な魂の交流を可能とするために。
逆説的に、彼我を分かつ
つまり、僕のアレを紫藤のそれに突入させはしないまでも、少なくともゼロ距離での艦砲射撃は、アリで、──
よしっ。何を僕はグルグルぐずぐず考えてたんだ。やるべきことは明白じゃないか。
「ああ、もちろんさ。──みなり、覚悟はできてるね?」
「もちろんだよ、志野くん!」
見交わす、目と目。
紫藤のどこか黒く輝く瞳と、僕の欲望に濁った目が合って、ぱち、と火花が飛び、脳が軽くゆらされただように感じた。
愚かな僕は、俄然、ヤる気が、ゴゴゴゴゴォと音を立てて燃えさかりはじめているのを実感する。
そうなると。現金なことに。
一瞬、紫藤を傷つけたかもしれない、と思ってしゅんとしかけた、僕のアレは。
すごく近い距離にいる紫藤に反応し、モコココココォ、と怒りを貯めて硬化しはじめたのだった。
──────
紫藤のいざないに、応じて。
膝立ちになって、トランクスの裾から(脱ぐか、せめてトランクスの前のスリットから出せばよかったと思うけど、そのときはそうするのがいちばん早く思えたんだ)
ひどく大きく凶暴に見えた。うすく紫に、充血してる。
そして恥ずかしいことには、尿道口に透明ながまん汁が出てる。トランクスの生地にも吸われたはずなのだが、今も、先端部にこぼれ落ちそうな涙のように。
ふわぁー、この前も思ったけど、こんなに大きいんだあ、と感心した声を出した紫藤は。
おそるおそるそれの頭ちかくにさわって、よろしくね、と挨拶してる。
僕のアレも、ビクンビクンと紫藤のちいさな手の刺激の快感に応えた。
「ゴム、表はこっちなんだよね?さあ、かぶってみようか。
ふふふ、志野くんのお帽子、ソンブレロみたいだね。」
紫藤がそんなことを口走りながら、それを僕のアレの頭に押し当て、かいがいしく巻きをひろげて包んでいく。
あー、その刺激だけでもう
「志野くん。その。──どうぞ?こっちがいいかな?」
嵌め終わった紫藤が、最後に上目づかいに僕に微笑みかけ。
またさっきみたいに、べたあっとうつ伏せの姿勢になってみせ、横顔をみせて微笑みかけてきた。
片方はだけてた白い肩は浴衣を直したときに隠されてしまってるけれど、小さい体を包む浴衣の線に、僕は惹きつけられてしまう。
ええい、ままよ。
僕は再び、紫藤にのしかかった。うつぶせに突っ伏した紫藤の背中側、そのお尻のあたりに、自分のあそこをあてるようにして、おおいかぶさる。
荒々しく、無理な姿勢なのに背中側から紫藤の唇を求めた。紫藤も体をやわらかくねじって、応えてくれる。
手を紫藤の腋の下から差し入れ、紫藤の胸を求める。
浴衣の上から、まだ小さいが実りつつあるふくらみを掌で覆う。2、3回、もよもよと揉んでみたけど。
たぶんせっけんの残り香だとは思うんだけど、漂う紫藤のかすかな甘い匂いにがまんできなくて。
せっかく紫藤が整えた浴衣を乱しながら、胸元をはだけさせつつ片手を入れ、ブラの下に手を差しこみ、じかに撫でまわす。ひとさし指と中指とで、ぽちを挟んでごくごく軽くひっぱって離す。
「ふわあ、志野くん、志野くん、──」
やっぱり、がまんできない。
上半身だけ紫藤の体を軽くねじらせ、僕は横から頭をその胸に近づけ、はだけさせた紫藤の胸の片方の先端を口に含んだ。変態的にれろれろ、レロレロとなぶると、気のせいか口に最初に含んだときはやわらかかった乳首が、固くなっていく気がした。
口を離すと、こんどはまた、べたっと紫藤を床に押しつけて、上から組み敷く。
紫藤の手首を、肩のちょっと外側あたりにもってこさせて、上からその手首を掴み自由を奪う。
紫藤は、ちょっと頭を横向きにした状態で頬をたたみにつけ、体から力を抜いてる。
僕のアレは、たぶん紫藤のお尻の割れ目にまた挟まってる。パンに挟まるフランクフルトソーセージ(ポークビ○ツじゃないつもりだよ)。
腰を擦りつける。僕のアレの先端、どこに当たってるんだろう。
薄い浴衣越しに、お尻の割れ目のくぼみのどこかに突き当たってる。
紫藤が身動きするたびに、いや僕がそれを押し当てようと腰を突き出すたびに、ぴりぴり、びりびり、と紫色の快感が僕に生じる。
「志野くん、──わたし、お尻をこう、もっと持ち上げようか?」
わたしだって予習したんだよ。志野くん、ひざを立ててお尻を出す姿勢が好きなんだよね。お見とおしだよ。
紫藤がそんなことを言っているようだ。気のせいか、ちょっと裏返りそうな声。
だけどその声は僕の耳にはクリアに入ったけど、意味は半分も取れなかった。
わかったのは、紫藤がこんなことをされてても、嫌がってないってことくらい。
だから紫藤の言葉は無視する形で(紫藤も空気を読んだのか、結局はうつ伏せ寝の姿勢を変えなかった)。
浴衣の上からアレを紫藤のお尻の割れ目に押し当てる。
快感が走る。強く先端を割れ目の奥に当てようと動かすと、紫藤も寝た姿勢のままで腰をくいっと反らした。
僕のソレが当たりやすくしようとしてくれたのだと思うけど、僕ら二人が同時にそうしたので、目算がズレてずるっと外れてしまった。
「志野くん、ほら」
僕が片手をつかって、僕のアレを紫藤のお尻にあてがい直そうとすると。
紫藤は僕が放した側の手を背中に回してきて、器用に浴衣の腰のあたりの上をひっぱり、裾を上げた。
ぴっちりとお尻を覆う、紫藤の下着がごくわずかに見えるくらいにまで。
「ここ。ほら。」
紫藤がさらに今度は、自分の下着をずらして降ろす。
下着の後ろ側が、ずりずり、と下ろされ。腿の上側、お尻のすぐ下くらいにまで下げられた結果、浴衣の裾から、桃の実のような柔らかなお尻の谷がわずかにみえる。
僕は気づかいもできないままに、浴衣をさらに引き上げる。
こんどは、生のお尻の割れ目が完全にみえた。まだ脂肪の乗り切ってない、固めのお尻が。
理性が半分消えた僕は、その左右の尻たぶの合わせ目の割れ目に、ゴムを付けた僕のそれを当てがって、お腹側にぐぐっと通し、べたっと紫藤の背中にまた張りつく。
紫藤の下着、伸びてしまうかもな、とちらっと思ったけど、止まれなかった。
「入る、かな、ん、んんっ、ああっ、」
紫藤が苦労しておそらくは紫藤のあそこに入れようと調整してくれてるが、──いきなりは、無理だろう。
僕のアレを持って苦心する紫藤の手を軽くぽんぽんと叩いてやめてもらい。
そのかわり、両の尻たぶと閉じられてる股の間に挟まれた状態でアレを、そのままずりずりと動かす。
たぶん、僕のアレのカリ部分が、紫藤のあそこの割れ目のあたりに当たってる。
いきなり挿れちゃダメだ。ゆっくり、トロトロにほぐして、そしてあばれないようしっかり押さえつけて、一気につらぬく。
そのときは痛がるけど、結局いちばん痛みが少なくてすむ。──そう、僕の頭の隅の、奇妙に冷静な部分が判断する。
だから、まずは紫藤をとろかそう。デロデロ、トロトロに。乳首もまた、なぶり足りない。
僕は、ゆっくり腰を動かす。あぁんっ、ああっ、と紫藤が声を漏らす。
僕のアレは、ゴムのジェル(とおそらくは紫藤から出てる液)で、ぬるぬるした状態であり。
それが、紫藤の
くらくらするような、背徳的な快感が走る。
また紫藤の両手首を、握る。握って、そしてぎゅうっと紫藤の肩を抱くように、挟むように締めつける。
腰を動かすと、くぅ、ふぅっ、と紫藤が乱れた声を漏らした。
僕は少し紫藤を突き上げられるように、紫藤より低い位置(紫藤の足元の方)に体をずらし。
自分の先端を、紫藤のあそこの入り口あたりに当たるように調節して、とつ、とつと当ててみる。
紫藤が腰を振ったので少しずれてしまい、おそらくは恥骨かその周辺の敏感な部分に当たってしまったのだと思う、めずらしく紫藤があぁんっ、と小さく声を上げて身をくねらせ、腰をいっそう反らせた。
紫藤が逃れられないように、肩を押えてしつこく棒の先端をそこに押し当てる。汗が散った。
たぶん、今はちょうど入り口に僕のアレが当たってる。このまま押し込めば、入るだろうか?
紫藤が体をねじってこっちをみようとする、僕も覗き込んで目を合わせた。紫藤の顔は赤く、目をまたたいてて、なんだか泣きそうな表情。僕はその目を冷徹にじっと見返しながら、ぐい、と紫藤のそこの入り口に押し当てる。
紫藤はそれに耐えられないように腕をくずし、顔を伏せた。まだ入ってないけれど、亀の先端はおそらく外陰部を割ってる。だってそこのくぼみが感じ取れて、ほらこんな風に前後左右にゆすってみても外れないし──。
くんくん、くんくん、と
入らないのか、入らせてくれないのか。
僕は腰を引き、当てる、少し強めに、ぐいぐい、ぐいぐい、と。
紫藤の腰を持ち、生の紫藤の裂け目に、執拗に僕のアレを押し当て、緩め、押し当て、緩めて、──
汗ばんだ紫藤の体が、僕の下で悶える。しかし。
限界だ。
急激な快感が腰から発するのを感じた。ぞくぞくとする、ちょっと寒気に似た何かが背骨を走る。
そして紫藤が押しつぶされた状態にもかかわらず、また足を開きかげんに、腰を僕のアレに押し当てるように突き上げる。もう少しで、入る、いや、先端は入ったんじゃないか?
僕はその刺激に、出してしまった。どぎゅうっ、どぎゅんっとしゃっくりのような、自分では抑えきれない律動と目のくらむ快感が弾けた。
背中側から、細い紫藤の体を力いっぱいに抱きしめる。
「みなり、好きだ。」
「好き、大好き!志野くん、志野くんっ」
紫藤が体を震わせ、拘束が甘くなった上半身をねじってこっちに向けたので。
僕は紫藤の口に、唇をまた押し当てる。にゅるりにゅるりと舌を絡ませる。
僕が不器用に紫藤の肩を抱く手に、力がこもった。
今は紫藤はうつぶせに、平らに寝てて、僕はそのお尻側からあそこに棒を挟み込ませてる(多分先端がもう少しで処女膜に接触する、あるいは接触した?)状態だけど。
僕のソレを挟む紫藤の股とお尻に、力がはいった。ぎゅうっと、挟み込むように。
ややあって。
ゆっくり、僕はアレを引き抜こうとするが、一度弛緩した紫藤の尻たぶに、ソレがきゅっと挟まれているのを発見する。
振り向いた紫藤の、上気した顔にどこか不敵な表情が浮かんでる。
「ふふふ。志野くん。にげられるかな?」
ぬうっ。
ピンク色に顔を染めてる紫藤は、肢をぎっちりと締めて、僕のアレを逃がさない気配。
このまま抜くと、僕のアレにかぶせられた風船に溜まった液体が破れてぶちまけられそうなおそれも。
僕のアレはちゃんとしっかり楽しんだはずなのに、まだダウンサイジングしてないんだよ。
しかたがないな、と僕はおもむろに片手を紫藤の脇に滑り込ませた。
「うわっ!志野くん、それ、反則、反則だからね!」
何とでも言え。
僕の指先は紫藤の脇をつつき、紫藤の脚の拘束が緩んだ。
うまく脱出。
「志野くん!卑怯者!
いざ、出会え出会えっ!」
そう騒ぐ紫藤を仰向けにころがし、僕はまたぎゅうっと抱きしめた。紫藤も抱き返してくる。
紫藤は口を閉じる。
額を額に当てたまま、しばらくのたゆたい。
そのなかで、紫藤がほわあん、とした口調で僕に言う。
「──そういえば、志野くん。
今なら言える、ってわかるよ。だから、いま言うね」
夢の中のように、意識レベルが低下した状態。それは、たぶん紫藤も同じ。
ふわふわした口調で、紫藤は僕に何かとても大事なことが含まれているような気がする情報を伝える。
あの館は、おかしい。あのおじいさんは、帽子をつけてるときは、残酷なことをする。塔のなかに女の子が、閉じ込められてる。まいらさんは、胸が大きい──
僕は半分自動操縦状態。どこかズレた、寝言に近い相槌をする。
それを受けた紫藤が何がおかしいのかくすくす笑って、やっぱりよくわからないことを言う。
残照の、部屋の中。
汗を浮かべ、あられもなく乱れた浴衣の紫藤と僕には、夏の夕方のぬるい空気を押し分ける、首振りモードにしてあるナシ○ナル扇風機の風が、たとえようもなく心地よかった。
──────
意識が軽く希薄になってきたころ、僕の冷静な部分が警告を発する。
さく、さく、というごくごくかすかな音。まだ遠い、柵の外の道路だけれど。
僕は紫藤を再度ぎゅっとして、耳元にささやく。
「帰ってきてる!ナギさんたち」
「あっ」
うっとりと目を閉じてた紫藤が、目を開け、狼狽の色を浮かべた。
さく、さく。
さっきよりも、足音が近い。もうすぐ家の敷地だ。
一人は重ため、一人は軽く、もう一人はとたとたとしている。
間違いない。
「ええと、──志野くん?」
超感覚さんの力で、遅くなり行く世界の中で。
紫藤の背中を軽くぽむぽむとたたいて体を離し、身を起こした僕は。
すばやくアレの先端の袋をはずし、軽く口を縛ってゴミ箱に捨て、たんすの横のポケットティッシュでぬぐい。
恐ろしい勢いで、しかし軋り音を読み取りながら最小限の音でなめらかに窓を開け、そのまま吹きすぎる風で換気し。
六尺棒と三尺棒は、それぞれ元の場所に掛け。
紫藤を優しく抱き上げて、姿見の前に置き、髪と浴衣の乱れを直してもらう。
(紫藤はびっくりしてたけど、やるべきことが分かったのか微笑んで浴衣を整え、帯を締め、手櫛で髪を整えてる。)
表の足音が、玄関に入った。とすとすと歩く足音。
もうすぐ、こっちに来るに違いない。
紫藤を縛ってた細帯や手拭いがたたまれてタンスにしまい込まれる。タンス開け閉めするのに、少し手間取ったけど、大丈夫。
吹き抜ける風に、換気OKとみてとって、慎重に網戸を閉める。
段ボール箱にあった、将棋盤と駒を引っ張り出す。
なぜか駒がいくつか足りないのが分かったけれど、気にしない。全部は使わない。
廊下に入った足音。余裕っすね。原状回復、ほぼ終わってるし。
あとは将棋の駒を並べ始める。紫藤が教室の扉の上に黒板拭きを挟みおわった小学生みたいな、きらきらした笑顔を僕に向けた。
──────
──────
(紫藤マコト(紫藤みなりの実父)視点)
まったく、失敗したなあ、とマコトは思いながら、表の道路から家へのスロープを上がった。
失敗したというのは、買い物の話ではない。
買い物では、最近見つけた八百屋さんで破格に安い良質の野菜を買い込むことができ。
駄菓子屋では、たっくんがおみくじアイスのあたりを引き当てた上に、チ◇ルチョコのおまけをもらい。
ほくほくと帰ってきたところだったのだ。
そう、失敗というのは、それではなく。
たぶん娘の恋人である、志野青年のことだ。
志野青年は、午後遅めに帰ってきたが。
なにやら涼しげな、すこし裾の短めな浴衣に着替えた娘と、こそこそと少し離れた部屋に閉じこもる様子で。
もちろんマコトはぴんと来た。
──うーん、志野青年は好青年だし、恩義もあるけどな。
でもこれはまた、話が別だ。
きっと親に言えないようなことを、するつもりなんだろう。
わかるけどさ。あのころは僕も、性欲の塊だったし。
そう考えた彼は、頃合いを見計らって離れにあゆみよってみた。
「ありがとう。すごく気持ちよかったよ。」
そんな志野青年の言葉に、彼は。
何をやってるんだ!?
まさか、──本番とかいうことはないだろうが、口で、とか!?
ちょっと叱ってやらねば。節度ある交際をしなさい、と。
そう、自分のことを棚に上げて思っていたのだが。
「うん、いつもお父さんにしてたからね。
お仕事から帰ってきたら、やってあげてたんだよ。」
という言葉に、自分の勘違いに気がついた。
そういえば、みなりはいつも自分(マコト)が帰ってきたときに、肩をもんでくれたりしたな。
たしかに、あの飯場近くに行ったと言っていたし。
すごく大変だっただろうから、そういうことか。
戻ろうとしたが、遅かったようだ。
案の定、顔を出してきた娘のみなりは、恋人との逢瀬を妨げられて、非常にご機嫌ななめであり。
おかしいんじゃない?そんなこと(?)するわけないでしょ、という態度。
ぺしょんぺしょんにやっつけられた
女同士で気も合うのか、二人がそのまま楽しげに話しているのをよそに、意気消沈して座敷に帰る。
まあ、我が娘は高校生だというけれども、到底、そうは見えないしな。
娘はあの青年のことが好きみたいだし、青年も娘のことを多分好いてくれているのだろうけれど。
もしかすると妹に対するような気持ちなのかもしれないしな。娘の外見はせいぜい中学生、下手すると小学生っぽいしな。
そう、自分の勘違いを恥ずかしく思いながら。
ただ、そうは言いながらも、買い物に出るとき、二人を置いていくのはすこし不安だった。
しかし彼の懸念をよそに、ナギは(そして何も知らないたっくんはもちろん)悠揚迫らぬ態度であり。
2時間くらいかけて、夕日が沈みかけるころにやっと家に帰って来たのだった。
ただ帰りに、彼が心急きながら帰ってきたのは事実だったが。
どうやら、全く心配はなかったようだとふたたび思い知らされた。
「志野くん!卑怯者!
いざ、出会え出会えっ!」
山の迫ってるカーブを超えて、家が見えてきたころ。
そんな娘の声が、ごくごくかすかに聞こえてきた。
くすり、とナギが笑みをこぼし、たっくんが、
──どう考えても、あのみなりの声は、淫靡な雰囲気とはほど遠い。
そう、マコトは安心して自分の心配性を笑いたくなったのだった。
帰宅してみると、ふたりはあの部屋でのんびりと将棋盤をはさんで対局していたようだった。
さすがに西日が暑いのか、扇風機が回っていたとはいえ二人は汗ばんでいたけれど、それ以外にまったく変わったところはみられない。にこにこ笑う娘の顔にも、不審な影はない。
ふたりは思った以上に、まだ子供なのだろう。
さっきの声、おそらく志野青年が嵌め業でみなりを詰ませたということらしい、と盤面を見て彼は納得した。
仲むつましげだが、いかがわしい雰囲気は欠片もない二人の様子に、
──それに、な。
たとえ、みなりに手を付けたとしても、だよ。
志野青年だったら、別にいいよな。
そう、志野が帰宅してから、マコトはナギとたっくんと食卓を囲みながら、思い返す。
朴訥そうであんまり世渡りは上手くなさそうだけれども、誠実そうな志野青年。
家族にするには、悪くない。なんとなく同類感がある。
まあそれに、全く
たとえば、あの背の高い、才色兼備な感じの子、調布さんだったかな。あっちに気がある可能性も高いし。
あのいかにも今風だけど、礼儀正しい女の子、国領ハルカちゃんとくっつく可能性もある。
まあ、分かることは一つ。
もし志野青年が、うちの娘とくっつくことになるというのなら。
たぶん確実に、尻に敷かれることになるだろうけどな。
だいたい志野青年、浮気や二股なんて、とてもできそうにない人柄だしな。
そんな事情があったらきっと盛大に目が泳ぎ回って、即バレだろう。
そしてみなりは、結構厳しい。そんなところは
彼はぶるっと、身を震わせた。
妻のことが、また恋しくなる。
とりあえずは、明日明後日の人間ドックだけれども。
その後、時期をみはからって、妻のお見舞いにも行きたい。これは、志野青年たちとも相談だな。
そんなことを思い、
骨を取った魚の肉をたっくんのせがみに応じて分けてあげながら。
覚えず、ほろ苦い笑いを浮かべたのだった。