タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
禁断症状を感じて話の流れを戻して書きましたが、少々満足いきませんでした。なにか要素が足りないですが、また改めて再挑戦します。
話の順番的にもここだと変なので、改稿して、後で位置も変えるかもしれません。
──なんとか、猿には許されたみたいだ。
猿に命じられ、岩にしがみつき。
腰を突き出す、煽情的かつ屈辱的な姿勢を取らされながらも、彼女はそう思う。
家族と親友の桜、そして彼(思い出すと、ちくりと胸が痛む)に累が及ぶ心配は、なさそうだ。
猿の嗜虐的な視線を、背後から感じながら。
彼女は、ここに至る経過を思い返してみる。
──────
その日、従妹であり親友である桜にまとわりつき、彼女なりに別れを告げ。
猿の残したメッセージ(人間が代筆したのだろうか)に従い、また砦山に誘い出された彼女、吉祥寺美鷹は。
猿の投げる石による誘導に従い、金網フェンスの破れ目をくぐって、砦山の立ち入り禁止区域に分け入り。
雨の降った時に水が流れる、枯れ谷を苦労してたどり。
そして、枯れた滝つぼのような場所で、あの猿に遭遇した。
ずっと、どこからか観察されていたのは、分かっていた。
猿と、その(おそらくは人間の)仲間だろう。
ちりちりと、首の後ろが軽く逆立つ感覚がしていたから。
ただ、おそらく追跡をあばきたてても、良いことはない。
何かのときのために、自分の能力を低く見積もらせるべきだ、と彼女の直感は告げていた。
「──猿さま。」
猿からは、恐ろしい血臭が吹きつけてくる。
何人、殺したのだろう、という匂いだ。
おそらく、自分もその殺された中の一人になるのだろうな、と彼女は益体もないことを考える。
「お召しくださり、ありがとうございます。」
あくまで優雅に、しかし真摯に頭を下げて、そのまま止める。
姿勢は卑屈なくらいに
あれは自分のやったことではないから。それは、はっきりさせなければならない。
「eO-Ma-Eo, Tzü-GhUi-Nha-Eo」
『お前、償え』か。
猿は、この前のことを自分の
「この前のことは、大変残念なことでした。お怪我は、大丈夫だったでしょうか。
しかしあれは、私のなしたことでは、ありません。」
「──」
猿は、何も言わない。
その視線を感じながら、彼女は続ける。頭を下げたまま。
「ただ、あのナイフを投げた者は、私を救おうと考えて投げたのでしょう。
だから、どうぞ、お心のままに。
そして、一歩下がり、頭を垂れたまま。
両膝立ちの姿勢を取り、手を後ろに回して目を閉じた。
あの萩原守衛の、有名なブロンズ像にも似た姿勢で。
「──っ、」
ざわり、ざわり、と礫を踏んで接近する音に恐怖を覚え、息を飲む。
アドレナリンの増加、脈拍数の上昇。だが、まだもう一人の彼女は出てこない。
猿の手を、顎に感じた。少し荒く不穏な、猿の呼吸音。
顎を持たれ、顔を上げさせられ。
彼女は目を開き、猿の虚無の瞳孔を覗く。
「TzUi-GhUi-Nha-Eo. 」
「償え」、という言葉は同じだが、気勢は緩んだ気もする。
有罪だが、ただ幾分かの情状酌量を得たか?
まるで人間のように、それも恋人のように。
猿の武骨な毛の生えた手が、桃のように透く彼女の頬を撫で上げるのを彼女は感じた。
そして、そろそろと唇を撫でる指。
「あっ、」
肩を猿の手に衝かれ、彼女は横に崩れ落ちた。
しかし猿の手には、彼女に危害を加えようとするような意図は感じられない。
むしろ、傷つけまいという手心がある。
そういえば、あの占い師のみせてくれた、予見のなかでも。
爪を剥がされ、手足を拉がれて生きたまま丹念に先から焼かれて炭にされても。
最後まで胸から上は傷つけないでいてくれたな、と彼女は思いだす。
死んだあと、剥製か胸像にでもするためだろうか。
枯れ谷の、滝つぼのような場所だからだろう。
周囲の地面は、よく粒の揃った、ごく小さい玉砂利のような砂礫で、彼女にダメージはない。
その砂礫を、ざく、ざく、と踏みしめながら、猿がまた近づく。
「Tzü-GhUi-Nha-Eo. 」
スカートの裾が乱れ、彼女の白い脚が片方、なめらかな太腿の半ばまで露になってしまっている。
しかしそれを直すこともせず、彼女は猿を見上げる。
彼女の直感が間違っていなければ、──猿は、彼女に性的な欲望を抱いている。
──それを、利用しなければならない。
猿は倒れた彼女の頭の近くに、近づく。むせ返る、獣臭。
猿は、足を上げ、──見上げる美鷹の頭を、踏みつけた。
「──猿、さま?」
彼女の頭を踏む、猿の足。
重さが加わり、砂礫に押し付けられ、頭が沈む。
奴隷のように踏みにじられることに、屈辱の思いが湧き上がってくるが。
──ああ、これが「彼」だったらな。
ふと、とてつもなく不謹慎な思いが頭に浮かび。
美鷹は、心中狼狽と動悸の高鳴りを覚えた。
彼、とは。
昨日、美鷹自身が突き放した、
プライドをざくっと削られ、きっと彼女に怒りを抱いているだろう、彼。
彼を傷つけたことに、彼女は罪悪感を抱いていた。
彼の身を救うためとは、いえ。
そしてまた、客観的にはたいした罵詈を述べたわけではない、とはいえ。
彼が傷つくような言葉を、意図して、計算して放ったのは事実。
恋に恋する少女でもある、この美少女は、
「金色夜叉」の貫一とお宮のようなシチュエーションに、どきどきと惹きつけられることが実はあって。
だからたとえば、昨日の夜。
ちょうど、飴玉を口中に転がすように。
眠れぬ彼女が、脳裏に転がした夢想のひとつ。
──数奇な運命で、彼女は彼にふたたびめぐりあうのだ。
目の前には、彼女自身を恨む、突き刺すような彼の双眸。
彼女はしかし、自分の非を正面から認めることなく、説明を拒み。
かえって彼の憎悪をかきたてるように、謎めく笑みを浮かべてみせて。
そして、虜囚としてとらわれた彼女は。
ねちねちと、執拗に、彼の手で残酷な責めを受けるのだ。
どういうことを、されるのかというと。
もちろん、言葉でさまざまに辱められるのは、もちろんのこと。
頬を打たれたり、足蹴にされたり。
(ちなみに昨日、後輩君を突き放したとき。
蹴っても殴ってもいい、と言ったのは、本心だった。)
あるいは、セーラーナ○トが敵に捕まったときのように、鎖につながれ。
そして、──
(その先、淑女の考えることではないさまざまなことが、彼女の脳裏に浮かんでは消えた。)
とにかく。
贖罪の苦痛。それが与えられる機会を、彼女はどこかで恐れつつ待ち受けていて。
そして、今。
まさに、その彼女が望む苦痛と恥辱が与えられているわけで、──。
「猿さま、──どうか、お許しください」
そう、言いながら。
心の中では、「猿さま」を、
ざりざりと猿に頭を踏まれながら、彼女は。
あの後輩くんに踏まれている状況に、それを変換し。
脳の芯が、ぐらぐらと揺れるような快感を覚えた。
「TzUi-ghUi-Nha-Eo. 」
猿は、彼女になおも折檻を続けるつもりのようだ。
猿の足は、ちょうど人間の手のように親指が他の指と離れて正対しており、ものをつかめる。
彼女は、彼女の頭を踏みにじる猿の足指が曲がり、彼女の顎を突き、喉を軽く絞め。
自分の息が止められるのを感じ、酸素不足の苦痛に身が震えるのを感じた。
──次は、何だろう?
もっと恥ずかしく、苦しいことを!
そう、彼女は願う。
下から猿に流し目をくれる、誰もが魅了される彼女の瞳。
その目の下の白く透きとおる頬に、わずかに赤みがさしそめる。
「eO-Ma-Eo. KhUi-RhUi-ShuI-MhEo」
お前、苦しめ、と猿は言う。
もちろん彼女は、抵抗しない。それこそは、彼女自身が望む報酬。
猿の目的は、彼女に苦痛と屈辱を与えて罰すること。
彼女の目的は、苦痛と屈辱を与えられて贖罪すること。
何ら、問題ない。
猿は、彼女の頭にを地に擦りつけさせたが、体重をかけることはなく。
ひとしきり、彼女の頭をその汚らわしい足で嬲った後。
髪を掴み、引き起こす。
乱暴に、がくがくとゆさぶる。
掴まれ、引きずられる髪の痛み。
彼女は半ば陶然と、それを味わった。
──────
そして、冒頭に時間は戻る。
猿は、彼女に償いを求め、苦痛を予告し。
さらに、彼女を甚振るつもりのようだ。
「猿さま。
私の、家族と友人は、──?」
乱暴に引き起こされた彼女は、従順に猿の暴力を受け入れつつも、猿に尋ねる。
「Kha-ZheO-KhUi, TheO-MeO, UI-KhuI-RhUi.」
猿は、家族と友の生存を約束してくれた。
前回と異なり、猿が「死ぬ友がいること」を口にしなかったことに、彼女は気づく。
つまり、おそらくは?
「KheO-KheO-NhIu, ThEo-eO-TziU-KhEo.」
ここに手を突け、と猿は彼女の痛む腕を乱暴に引っ張り、大岩に突き飛ばす。
彼女は猿の意を組み、やはり従順に。
そっと、おどおどと怯えた上目遣いをしてみせ、猿を観察しながら。
岩に両手を突く。
猿は、いたくご満悦の模様だ。
キュヒキュヒキュヒ、と嗤う。
機嫌がいい。今の間に、ダメ押しで確認しよう。
「猿さま。
──私の友人はすべて、生きられるんですね?男も女も。」
「KhUi-DheO-uI.TheO-MeO, MhuI-Nha, UI-KhuI-RhUi.」
友はみな生きる、と猿は言う。
──彼の命は、救われた!
彼女は、達成感と安堵感とで、胸が温かくなるのを感じた。
彼女は、未来を変えたのだ。
あとは、彼女自身のことだが。
おそらく、──彼女の運命は変わるまい。
かつてあの占い師の力でかいまみた、あの運命のように。
この猿に、ボロボロになるまで犯され。
猿の上位者である何者かによる、おぞましい拷問を味わいつくして果てるのだろう。
それを、彼女も厭わないわけではない。
彼女も、死ぬのは怖い。まだ生きていたい。
思い残しは、たくさんある。でも。
──この命、もし自分の自由にすることができるなら。
身を焼き焦がすような恋をしてみたい、と願っていた。
そして。
すでにその憧憬のなかに、
そう、彼女は自分でも、気づかないうちに。
ロミオに焦がれるジュリエットのように、すでに身を滅ぼす恋をしていたのだ。
──後輩くん。君は知らないよね。
おそらくこれから先、知ることもない。
でも、私はこれから。
君のことを想って、生きて、そして死ぬ。
虫のように、殺される。
──でも私の一生には、意味があった。
君の運命を、私は変えた。
それが、この世界に私が生きたことの意味。
これから死までの、短い間。
君のために、この命を、この心を捧げるんだ。
──ああ、でも。
だったら遠慮したり、後先考えたりせずに。
あのときやっぱり、君の唇にキスしておきたかったな。
「KheO-ShIu-eO, Dha-ShEo.」
「はい。猿さま。これで?」
漫画の「みゆき」だったかな。
ヒロインが、机につかまって、腰を出す、スカートめくりを待つような姿勢になるページ。
小学生のときに
あれみたいな感じ、ってことかな。
、こう、お尻を軽く出して、岩につかまって──
「ゃんっ!」
突き出したお尻を、無遠慮に撫でられ。
思わず、はしたない声が出てしまう。
「MheO-uh-TheO, Dha-ShEo.」
もっと出せ、というのが猿の要求らしい。
──いいよ、いくらでも。
これは、猿じゃない。
これは、実はあの後輩くんなんだ。
私に復讐心を燃やす後輩君が、私を捕らえて。
黒服の部下たちの見守る中で、私に命じてるんだ*1。
そう、美鷹は自分の脳内で変換する。
どくっ、どくっ、と胸が高鳴り、口の中が乾くように感じた。
膝を少し曲げて、矯めをつくり。
腰を大きくそらして、いやらしくお尻を突き出す。
──天井に向けるくらいのつもりで、って「トパーズ」に書いてあったな。
これもこっそり、足がつかないように、県立図書館で。
借りずに開架書庫の端の、人の来ない本棚の陰で読んだ本からの知識。
猿の、嗤い声。
あれは、後輩くんが嘲笑う声だ。
そう、彼女は思いこもうとする。
──思えば、彼と初めて会ったときは。
ごく地味な、内気なのっぽの少年としか思わなかったな。
4月の、オリエンテーション。
最初の自己紹介でみた、あの朴訥で誠実そうな顔。
ちょっと揶揄うと、すぐ赤くなってた。かわいい、って思ったっけ。
5月、映画をみた。あれは「ロビン・フッド」だったかな。ケビ○・コスナーが格好良かった。
みんなで感想を、語り合ったっけ。
6月、英語劇の練習。私は2つも主役を兼任した。
彼も、あのときはまだ大根役者だったけど、真面目に台詞を覚えてきてたな、──
そう思いだして、ふと彼女は違和感を抱く。
今年のロミオの演技は、それは堂にいったものだった。
あのちょっとおどおどしながら、なんとかこなしたという1年のころとは、全く違う。
1年にしては、彼の成長ぶりは大きすぎる。
もしかすると、──
「っ、──?」
猿の手をふたたびその身に感じ、彼女の思考は中断した。
くびれた、反らした細い腰をつかみ。
まだ成熟途中だけど、それなりに張り出したお尻に、粗野な猿の手は動き。
「あっ!」
バシッ、と猿の片手が、彼女のお尻の外側に打ちおろされ。
彼女は、びくっと身を動かした。
一拍遅れて、焼けるような痛みが走る。
しかし。
「うっ!」
猿の手は、お尻の外側に数回、打ち下ろされた。
鞭のように強靭なその手に、彼女のお尻は打ち据えられ。
脳内でそれを自分の好むシチュエーションに転換した、彼女は。
切なげに眉を寄せ、額に苦痛の汗を浮かべつつも。
万人を魅する美貌の口元に、奇妙な微笑を揺らめかせた。
やがて、猿の手は止まり。
校則どおりの長さの彼女の制服のスカートを、摘まみ上げて。
上にずり上げていく。
彼女の白い脚の、猿と観察者たちの目に触れる面積が増していく。
黒い猿の手は、一度腰にスカートをかけようとしたが。
丸くふくらむ彼女のお尻の曲線は、スカートを捉えそこね。
一度、スカートは下に落ちた。
彼女は、自分のなすべきことが分かっていた。
猿より早く、しかし決して早すぎないように。
猿に代わり、みずから、自分のスカートの裾を持ち。
計算して、煽情的に、ゆっくりと引き上げていく。
今度は、さっきよりもずっと上まで、めくりあげてみせる。
突き出したお尻の、最高点を超えて、細いウエストの方まで。
繊細なレースで縁取られた彼女のお気に入りの下着の、腰の側のラインがさらけだされ。
かすかに浮く腰骨だけでなく、細身ながらバレエで鍛えた、彼女の背中がみえるまで。
キュヒキュヒキュヒキュヒ、と猿は満足そうに嗤った。
突き出した腰の上、背中にまで自分のスカートをめくり上げた、彼女は。
髪を揺らし、後ろを見ようとして振り向こうとする。
しかし。
「──くっ、
お許しください、猿さま。」
猿は、それが気に入らなかったのだろうか?
彼女の後ろ髪を掴み、背中側にぐいっと無慈悲に引いたので。
彼女の上半身は、強く反らされ。
彼女は瞬時、息を詰まらせた。
腰の上まで引き上げられたスカートは、もう落ちはしない。
そして、猿の手は、彼女の繊細な下着にかかった。
細身な体幹にくらべ、意外に大きいお尻を覆う、レースの下着。
その上の縁に猿の指が入り。
そろそろと、引き下ろす。
途中から、彼女は率先して。
スカートを念のために抑える手を、猿に前回痛めつけられた側の手に替えて。
もう一方の手で、自分で下着を引き落としていく。
白くまぶしい、やわらかいお尻の曲線が、露出していく。
下着は、足首に落ちた。
猿は、──ちょうど人間のようにしゃがみこみ。
彼女のお尻の、桃のようにきれいに別れた裂け目に顔を近づける。
彼女は、デリケートな内股に当たる猿の呼気に、少し落ち着かなかったが。
思い切って、いっそうお尻を突き出してみせる。
滑らかな背中に、かすかに背筋が浮いた。
「Ah-ShuI, Ah-GhEo-YheO」
「はい?足を、──」
「Ah-ShuI, Ah-GhEo-YheO」
脚をあげよ、ということか。犬が小便をするように?
猿は、きっと下司な人間の脳を移植されているにちがいない。
しかし。
彼女の脳は、いともたやすくその命令を、後輩くんの復讐メロドラマの台詞に変換する。
──ほらよ。上げるんだよ、その脚を。
そう、彼女の脳内では。
嘲弄のまなざしで、
暗い室内、赤いじゅうたん。
くらがりでよく見えない壁際のソファには、
ごくり、と誰かの喉が音を立てた。
彼女は、両手首に重たい手錠をはめられ。
この部屋の中央、さらし台のような器具にその両手首を固定されている。
高さは、腰とほぼ同じくらいか、ごくわずか高いくらい。
彼女はこの後輩くんに拉致され、ここに連れてこられたのだ。
涙で濡れた目で見上げる彼女を、彼はフフンと言いたげな嗜虐的な目で見おろす。
その目に、好色な光が走ったのを、彼女は見逃さなかった。
「ねえ、その娘、あんたの何なのよ。
早く剥いて、やっちまいなさいな。」
みごとな起伏をもつ、赤いドレスを着た長身の女がそんなことを言う。
彼女の頭の中の配役では、あのこの前砦山ででくわした、後輩くんの彼女である二人組の女の子の片割れだ。
脳内の彼も、その悪女っぽい子にそそのかされてその気になったらしい。
──上げろよ、脚を。どうせさんざん、開いてきたんだろう?
そんなことはない。
もちろん、開脚したポーズとか、もっとすごいポーズとか、バレエやダンスでいろいろな姿勢を取るが。
それはちゃんと衣装を着てるし、だいたい演技なのに。
まだ男の人には、見せたことなどないのに、──!
しかし彼女は、脳内の彼の命令に従い。
下着を足首に落とし、そして片足を器用にくぐらせ、その下着の足枷から自由にする。
自由にした足を、ゆっくりと上げていって見せる。
前傾した姿勢から、後ろに脚を上げていく。いわゆる「パンシェ」だ。
現実世界では、猿は、──キヒョキヒョ、といつもと違う嗤い方だったが、それを気にいったらしい。
しかし猿が彼女に行わせたいこととは、違っていたのだろう。
ぐい、と脚を掴まれ、横に回すよう誘導される。
体のやわらかい彼女は、もちろんその誘導に従う。
腰の高さくらいの大岩につかまった、彼女は、
ちょうどハードルを越えるような感じに、あるいはミドルキックを出す前のように。
片脚の膝を軽く曲げ、引き上げた姿勢をとることを求められた。
この姿勢の維持はつらいので、彼女はその足を、さらに前に回して、大岩につかまった手の横に掛けた。
猿的には、それはOKらしい。
しかし、──あらためて、彼女の頬は赤らむ。
こうすると、もはや下着を落とされた彼女の股間は。
大きく、露出してしまうのだが、──
「!」
猿の片手が、彼女の腿を強い握力でつかむ。手が腿の肉に食い込む。
猿の息が、彼女の股間のデリケートなあたりに感じられる。
指が、彼女の脚の付け根、肢と肢の間の、木の葉のような形をしたやわらかい肉たぶ。
いつもは閉じている、その貝の口。
岩につかまって足をその岩に掛けている、無理な姿勢をしてすこし緩んでいるその口を。
猿のもう片手の粗野な指が、押し広げていく。
恥ずかしさに、彼女の顔は桜色に染まる。
──そこ、自分でもみたことがないのに。自信ないよ。
子供のころ、さっちゃんと見せ合いっこしたけどさ、でも、──
猿は拡げた裂け目を覗き込んでいる。
彼女は目をぎゅっとつぶり。頭の茹りそうなこの時間が過ぎ去るのを待った。
猿は、何か望むものをチェックできたらしい。
満足げに、汚らわしい息を吹き込んで割れ目を閉じる。
彼女は、足を岩から降ろそうとしたのだが。
「?」
脚を下げることを許さず、猿は。
片脚を上げておおきく開いた股の、彼女の貝の部分に手をあてる。
そして、じわあっ、と圧力を加える。
恥骨に妙に甘やかな感覚を覚えて、彼女はとまどった。
違う、猿なんかの手に快感なんか感じちゃいけない。
でも、これが後輩くんだったら、──
「──っ!」
突然、その部分をすくいあげるように。
猿は、彼女のその股間のふくらみを手の平で打った。
ぱしっ、ばしっ、と。
「──っ、はうっ、あうっ、」
直に、その敏感な部分を打たれる苦痛。
それをふたたび、後輩くんからの折檻に変換して味わう、彼女は。
いつしか、どこか甘い悲鳴が、我知らず口から洩れ。
それと同時に。重く淫靡な歓びを体の芯に感じ始めていたのだった。
もっともうち一人は、彼女が考えているように猿の仲間ではなく、出歯亀をしている彼女の舎妹なのですが。)