タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
ちょっと伏線に書き足りないところがあり、書き足すかもしれません。
狭い地袋の中。
ぼくはしみじみと自分の選択の正しさ、判断力の正しさを自画自賛していた。
いや、だってさ。
まあ見てくれ。
さっき膝枕してもらって抱きしめてキスまでして、あとついでに同衾(この言葉って、ヤるとき以外にも使うよね?勘違いじゃないよね?)した相手を、隠れることを口実にぎゅうぎゅうの狭い空間に押し込み。
そこに自分も加わって、あの、その、JK押し寿司っていうか。
接触し放題っていうか。
さっきみたいに触れるか触れないかで後ろから張り付く、後背位みたいでありつつその先に進めない、高校生男子生殺しバージョンでなく。
仰向けになった紫藤の上からびったりとずっしりとのし掛かる。
そうこれは、まだアレが入ってないだけで。
正常位と変わらないではないか。
高校生男子願望成就バージョンと言わざるを得ない。
ほら、だって。
固く起き上がったソレが、紫藤の鼠径部に、あるいはそのすぐそばに押し付けられており。
どくどくと脈打っている。
そして、僕が身動きすると。
悩ましく、紫藤が僕の体の下で、その柔らかい体をうねらせるんだ、必死に声が出ないよう、また音を立てないよう、けなげに耐えながら。
いや、もちろんわかってるよ。
紫藤としては単に僕の体の骨ばったところ、具体的には腰骨とか肘とかが当たってしまって、痛いかくすぐったいかで、その身を動かしてるんだってことは。
でもさ、それは。
僕の、その、怒張したタクトを身に受け入れた紫藤が感じてしまって動いてるんだ、と思い込めばそうも思いこめる動きで。
もう、ヤってるっていう幻想を抱けそう。
部屋の侵入者たちの、そのやり取りが聞こえなければ、僕は、思わず情熱をぶちまけて、栗の花の匂いでバレてしまっていたかもしれない。
どうでもいいことだが。
1回目のこの頃に読んだ、村下春樹の「フィンランドの森」という小説で。
出てくる女の子が、海賊に男の子と捕まって縛り合わされる妄想を語っていたけど。
良くわかってるじゃないか、と言わざるを得ない。
ーーーーー
最初は、部屋に入ってきた先生たちの話は、聞き流していた。
部活のOBたちによるミニ同窓会にしか思えなかったし。実際そうだったし。
紫藤の脇に肘で微妙に力をかけて、それでどのような反応を紫藤が見せるか、調べることに夢中だったからだ。
我ながらクズだ。わかってるよ、このときはちょっと浮かれすぎていた。
もともと僕は注意力が1つにしか向けられない性格だ。簡単にいえば、一つのこと、たとえば僕の下に横たわる紫藤の体、に注意が向くと、その細部を感じ取ることに注意力のほとんどが向けられてしまう。
それで注意力の大半を奪われていたし、あと気取られないための注意に精神力のリソースの残りを割いていたこともあって、この和室に入ってきた浦和先生の会話のことなど、ほとんど聞き流していた。
浦和先生、この頃まだ若かったんだなー、って思ってた程度だった。
だが途中からその話が、失踪者の話になり。
さらにきなくさく、僕の関心事にも触れることになると。
僕は注意力の半分をその会話に向け、耳を澄ませた。
奇妙に多い失踪者。
その家庭に共通するある種の特徴。
福利厚生に優れ、貧窮者に優しい企業集団。
家庭状況への熟知。
(そして、保険?)
それらは、ある推論を僕にもたらした。
僕は、最後に戸袋の隙間から一瞬垣間見ることができた、ヤツザキグループ所属の男。
その名前と横顔を、脳に刻み付けた。
調べなければならないことが、また一つ増えた。
ーーーーー
なんだかんだで、そういう修羅場をかいくぐって。
ちなみに戸袋から出るときには出るときで、これはもう故意じゃないんだけど、当たってしまってですね、ーーー
楽しんでしまった。紫藤は偶然だと思ってたらしい。いや偶然だけど、必然というか、ーー
いや僕が悪いんです。ごめんなさい。
まだ日が高いことを利用し、僕と紫藤は学校を出て外にお散歩に行くことにした。
このお散歩、もちろん僕には下心がある。
紫藤の私服姿を、あのカエル男と遭遇した日曜日に見てから温めていた計画。
そう、紫藤みなり
紫藤家はおそらく、小学校高学年か中学校低学年あたりから経済的に傾いた。
あの子供部屋のようすはそれを示唆する。調度のほとんどは小学生用。
制服も高校一年から買い換えていない、こころもち短いスカートは別に見映えを気にして縮めてる訳じゃなくて、身長の伸びで生じた帰結。授業の合間に伸びをしたりすると、上着とスカートの間の下着が見える、高木と茅ヶ崎と僕がガン見してるの気づいてないだろ。チラリズムは高校生男子の劣情をこの上なく刺激するんだ、安売り反対。
まあ制服はいい。こころもち小さいとはいえ、許容範囲だ。高校一年から二年の間の成長も、それほど大きくなかったんだろう。
問題は私服だ。この前のカエル撃退時の私服、あれロリコンホイホイだろ。JS役エロ本モデルとかロリ系ビデオの女優さんを想起させるぞ、エロガエルが吸い寄せられるのもわからんでもない。幼女用だとまあまあの長さだったのだろう、甘メルヘンなスカートからまだ幼いとはいえ高校生女子の膝裏や大腿が見えてるんだもの。けしからん感じだ。
心の狭い僕は世の男子諸君と紫藤を共有する気はさらさらない。もちろん独占したい。独占したらそういうのも着てほしいし、ナース服も
ああ話が逸れた。要は、紫藤の私服を買いたいんだ。試着させてみたい。
後、もちろん、要らなくなった服は引き取って、その、匂いや手触りを、まあ、あれだ。キュロットスカートの股下部分とか、捗りそうだろ?
あ、もちろん下着も買いたい。いや、使用済みを買いたいのは
靴下もだ。白いスクール用ソックスだと、運動部の女子中学生みたいだ。まあ外見は中学生っぽいからバランスが取れてて、それほど奇異じゃないけど。
そういうわけで、僕たちは駅のトイレで私服に着替え(トイレに入るとき、銭湯で別れて入るカップルみたいな切ない気持ちになった。ちなみにちょっと狙ってたが、誰でもトイレはこの時代、あまり多くない)、少し無防備な紫藤にやきもきしながら、駅ビルの若い層向け店舗を渉猟する。
今日はあまり時間がない、だからせめて1着でも。明るいうちに紫藤を返したいし。5時くらいには解散か。送っていくかな?まあ、そこは流れで。
女の子の買い物は一般的には長い。なにあの体力、といつも姉や前の交際相手の買い物に随行していて思ってた。でも紫藤は店に入りたがらない、店員さんに声をかけられた段階でびくびくして、捕獲してないと逃げ出しそうになる。あきらかに衣料品の買い物には慣れてない、たぶんしま○らの靴下コーナー程度しか経験がない。こっちが励まして、いろいろ試着を促してあげないといけない。買わないかもしれないから店の人がかわいそうだって?買うかもしれないじゃん。
年齢を重ねたせいか、女の子に試着させるのが楽しい。いろいろ店員さんにお薦めを聞いてみたりする。値札を気にする小動物を試着室に押し込む。おずおず出てくるのがかわいい。ほめちぎってみる。赤くなってますますかわいい。
膝丈よりわずかに短い、前にリボンの飾りのついた、裾の広がるベージュのキュロットスカート、ごくふつうの白いシャツ。スカートは黒もいいな、黒だと大人っぽい、ベージュだと活発な感じ。紫藤に意見を聞く。迷ってるな、だったら両方。ベージュの方のスカート丈がショート気味なのは欲望に負けた。だって試着するとやっぱり超かわいいから。もっと短いミニ丈なんて最高、でもちょっと挑発的でハエがたかるから、もう少し抑えて。黒の方は心持ち長く膝丈にした。うん、いい買い物だ。
〆て約1万円。安い。でも紫藤は悲愴な表情。いいんだって、ほら、そのかわり試着室で着替えたその古い服もらっていい?親戚に子供がいるのかって?ああいるよ。嘘じゃない。うん。
遠く離れたところでまあ年に一回会うか会わないかで、服のお下がりなんかおろさないということは伏せる。
でも納得してないな。説明を尽くそう、ほら自信自信、空気空気。
それでもおかしい?おかしくないよ、ほら、下着も高く売れるでしょ?え!?見損なった?
いや、例え話だ、経済学の問題だよ。
僕は紫藤さんの下着をもらうって言ってないし、それにもらったとしても紫藤さんが想像してるみたいな用途で使うつもりはさらさらない(嘘)。
でも、言いたいのは、こういうもののは高く売れるってこと。
欲しい人が高く買うものなら、用途がどうあれ、客観的な市場価格は高くなるでしょ?軽トラがわりに買うとしても、ベンツが軽トラ価格にまで安くならないのと一緒。
紫藤さんの古着を、その、変な用途に使う気はないけど(嘘)、変な用途に使う人が高く買うものなら、高いお金を払うのがフェアなんだよ。
うん。
なんか頬を膨らませながら睨んでくる。
まだちょっと補足しないとな。
ーーでも今日、お弁当持ってきてくれたよ。その分のお礼って考えたらどうかな。
え?契約からすれば、それはお礼の必要がない?
ううむ、だったら耳かきしてくれたでしょ。
紫藤さんが言い出したことだって?
そうだよ、その分は契約では払わない、払えないけど、言い出しっぺは僕でしょ、その分も。
あと、耳かきをした、その後も。
と、補足説明を加えると、真っ赤になって猫ぱんちの真似されたあと背中を向けられて、そっぽを向かれた。
よし、ごまかせた。後ろ姿の紫藤もかわいい。猫耳つけたい。
いちゃつきながら、勇気を出して手を握った。紫藤は、赤くなって無口になった。
そして心外だ、僕も。
なんでだろう、多幸感がある。
取ったその手が、小さくて柔らかい。
少し荒れてるけれども、リップクリームと定番のニベアだな、必要なものは。
下のドラッグストアで買える。もちろんお土産で持たせるよ。
お土産を持たせてバスに乗せる。送らなくていい?と聞いたけど、いいらしい。まあ近所の目や家族との鉢合わせもありうるよな、残念だが仕方ない。
翌日の約束をして別れた。
ーーーーー
家に帰ると適当に部活の話をしてごまかす。せっかくの連休だから、と親はどこか行きたいらしい。紫藤が他のバイトの日に入れてもいいが、親だけ行かせて家を空けてもらうのも魅力的だな。いや、ヤりたいけど時期尚早だ、浮かれて本来の目的を見失わないようにせねば。
姉から郵便が来ている。あまり有望そうなものはないが、興味深いものも含まれてる。電話を掛けて礼を伝え、引き続きの調査を依頼した。
この日は疲れていたのか、夕食と入浴後、勉強もせず、眠りに落ちてしまった。