タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
苦手な方は、飛ばして大丈夫です(次回に今回のあらすじを付けます)。
(追記)あらすじの内容を間違えたので修正しました。
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(前話のあらすじ)
志野は、紫藤みなりと結婚したモラハラ男に憑依した夢を見続けている。
志野は、紫藤に自分がモラハラ男に憑依したことを告げて和姦しようと試みるが、彼女は志野の名前を聞くことすら拒否し、耳を貸してくれない。
本人に自覚はないが下司のきわみである志野は、方針を変え、「夫(モラハラ男)」として彼女と性交渉しようと考える。
そのなりゆきでNTR被害者ぶってみせる、志野(inモラハラ夫のガワ)は、紫藤を屈辱的な姿勢で拘束して尋問しようとしている。
(志野視点、東京の土武・紫藤宅、2010年代後半から2020年代前半の間のいつかの時点)
「さて、教えてくれるかな、──その、シノくんとかいう人のことを?」
──妻の口から、ほかの男の名前が出たら、やっぱり心配になるだろう?んん?
もっともらしく、問いかけの後に補足してみる。
「それは言えません。
ただ、──そうですね。
カスオさんが心配する理由はわかります。でも、ご心配されることは、絶対ありえません。」
紫藤の答えは、さっきの受け答えからすこし軟化する。
さっきまでは、「とりつくしまもない」という感じだったんだけどさ。
僕が、紫藤に嫉妬しているのも故なくはない、と思ってくれたみたいだ。
今の紫藤の答えは、たぶんカスオが紫藤の浮気や不倫を疑っているけど、肉体的な不倫は絶対にない、と言うことだと思う。
まあたしかに僕、この世界じゃ死んでるみたいだからね。
ただね、心の浮気もあるんだよ?(カスオの中の「僕」にとっては、紫藤が僕のことを覚えていてくれたことは、すごく嬉しかったことではあるけれど。)
「──そうか。じゃあ、すこし、みなりが話したくなるようにしてみないとな。」
下司な僕は、さわさわと紫藤の腰に這わせてた手を振り上げ、彼女のお尻を平手打ちした。ばしっ、と。
あっ、と紫藤は腰を引きかけた。
「ああ、それはいけないなあ。
これは、罰なんだ。わかるだろう?」
いや、何が「わかるだろう」だ。わかんないよ。
だが、僕が少し体の主導権を多めにこのパワハラ男にゆずってみると。
この男の口はぺらぺらと紫藤の非をあげつらいはじめた。憤った、すこしかん高い声で。
曰く、妻たるもの、貞淑に家を守っているべきなのに働きに出るとは何事か。きっと外で男どもに色目を使っているんだろう?
曰く、夫以外の男に目を向ける女の目はえぐり出すべき。シノなどという男と会ったりしたら、──わかるだろう?
曰く、間男は心のすき間にも忍び込む。そう、夫に変装したり、今、この場に忍び込んだりしてるかも。そういう警戒心を持て、──!
本性はパワハラモラハラクソ野郎なのであろう、この男に口だけ主導権を多少移して。
また打ったばかりの紫藤のお尻に手のひらを当てて、表面を撫でるように動かしてその曲線を堪能しながら。
僕は、ねちねちとモラハラの数々がカスオの口から垂れ流されるのを聞く(カスオ主導なので、その内容は僕の考えとは全然違う。でもまあ、ここは放置で)。
「はい。だから、──カスオさんの気が晴れるまで、どうぞ。」
紫藤は、カスオのモラハラ説教に対し、そう言って黙り込む。
覗き込んだ顔は目を伏せてて、今の言葉も特に挑発する意図はないようだ。
あー、まー、紫藤は自罰的なところがあるからなー。
「でも、カスオさんとわたしは、約束しました。」
「約束?」
「はい。カスオさんとわたしは、──結婚式をするときに。
お互い過去は問わない、って。そう決めましたよね。
それが、条件だったはずです。」
「ほう?」
へー。
というか、どういう経緯で結婚したんだ、この二人?
この男、独占欲は強そうだけどな。
だいたい最初から、僕は違和感を覚えていたんだ。
この男は人好きのするタイプではない。きっと、紫藤の好みなんかじゃない。
見かけはまあまあで押し出しも強い。仕事はできる。
だが、はっきり言って人間性はゴミカス。権力志向、力のある上司にだけ気を使いそれ以外には舐めた態度、部下には高圧的なパワハラ男。
(出世しやすいこの手の傲慢男を好きな女がいることは知ってるけど、紫藤は違うと思う。)
それに対して、紫藤は。
外見は、ほとんど全くあの頃のまま。
胸とか女性らしくなって色香が増して身長もすこし伸びたが、小柄なロリ美女だと言っていい。
内面も、きっと心優しいままだと思う。
心をこめて手入れされてる家。そしてこのパワハラおっさんに対してすら感謝を示す様子からみて。
モテるはずの外見に天使な内面。どうして紫藤みたいないい子が、この男を好きになって結婚したのか?
「わたしは事情があって、結婚したことにしなければなりませんでしたし。
カスオさんのおかげでそれができました。
でもカスオさんもカスオさんの事情があって、建前として結婚する必要があったんですよね。」
ほう。事情って何だろう、と僕は思う。
「かりそめにも夫婦ですし、夫婦生活をしたいと言われたら断るつもりはありませんでした。
──でも、カスオさんはわたしの体には関心はなかったはずですよね。
ほらそれに。カスオさんは、あの事故で身体的にも──」
そんなことになっていたのか!
というか、いろいろ今のみなりの言葉は、不十分だ。
この男とのなれそめとか、その「事故」とやらについても聞いてみなければ。
それに、これは未来の世界に違いないから。
僕が死んだ理由も、聞き出す必要がある。
僕が死なずに生き延びて、紫藤をこのパワハラ男に寝取られないように対策を考えないといけない。
あー、それに限らず、聞かないといけないことがたくさん出てきた!
僕はまた、カスオから主導権を取り返して、自分で尋問する。
「その、だね。仮に、僕が志野「駄目です」」
ダメだと言ったじゃないですか、とみなりは決然と言う。
みなりはどうも僕(志野)のことを、絶対に、1ミリたりとも口に出すまいとしてる。
今の状態では、とても素直に話してくれそうにない。
何を言っていいかわからず、また、いったんカスオに口の主導権を返して当座の応対をしてもらうことにして。
どう話を進めようか、と僕は考え込む。
──たとえば、だね。
とりあえずは、別のことを尋問して答えさせてみて。
そしてカスオに対して話すことへの、彼女の心理的抵抗を減らしてくのがいいかもしれない。
まずは、聞き出せる範囲からだな。今のお仕事のこととか聞いてみるかな、カスオの言葉から推測すると紫藤は仕事してるみたいだし。
と、頭の悪い僕は思う。
──ただ、ようやくまとまりかけた僕の思いをよそに、口の操作権を多めに持たせたカスオ人格が勝手に話を進めてしまう。
「そうかそうか。でもね。
話してくれる気になるまで、俺は君に痛くて苦しい思いをさせなきゃいけない。」
「──わかってます。
だから、言ったでしょう?
お好きなように、わたしにしてくださって構いません。」
──殴っても、蹴っても。
煮るなり焼くなり、カスオさんの気のすむまでやればいいじゃないですか。
紫藤はそういうと、ううん、とかすかに力を込めて。
いままで膝を床について、上半身をベッドの上面にもたせかけていただけだったのに。
縛められた両足を床につけて膝をのばして、──つまり、お尻を高く上げた。
そう、ちょうど僕が打ちやすいように、──だと思う。
僕(カスオ?)の脳のどこかが、ぴくぴくと快感を覚えはじめる。
よしっ。カスオ退場。
「みなりがそういうのなら、仕方ないなー。
──ほら、ちゃんと打てるように裾をまくらなきゃ、ね?」
その言葉を発する前、紫藤が腰を持ちあげてみせたときに。
僕はカスオ人格を完全に仮死状態にして、眠らせてしまうことにした。
いや、だってさ。紫藤のエ○い姿をこれ以上、こいつに見せたくないよ。
心が狭い?そのとおり。
体の操作とか、言葉を発するのもカスオ要素ゼロだと、ちょっと慣れないけどしかたない。
(ほら、カスオ人格を完全に眠らせて仮死状態にするとさ、彼の動きとかしゃべり方とかの癖とかがトレースできない。カスオボディで『僕』自身の動きが再現されることになってしまう。傍から見たら、僕のモノマネをしてるみたいになるのかな?
そして腕や足の長さが違うと、気をつけないと卓上のものをつかみ損ねたり、段差で足を上げるべき感覚が分からなくて階段で躓いたりしてしまうと思う。
ただ、カスオは幸いにも体格は比較的僕に近い。身長は同じくらいで体重はもっと重いけど、そこまで強い不合感は出ないかも。)
僕は僕自身100%の意志と感覚とで、紫藤の浴衣風バスローブ(?)の裾をつかみ、まくりあげていく。
僕の視線にさらされる肌の面積が増えていく。白いふくらはぎ、そして太腿、そしてお尻。
細い腰に巻かれた帯のあたりまで、完全に彼女を剥く。
小さい体だけど、しっかりした紫藤のお尻のまるみを、僕はしげしげと観察する。
ついこの前も浴衣でいちゃついたJK紫藤は、ごくシンプルなスポーツ用のショーツを着ていたと思うけど。
今の紫藤のお尻は、レースがあしらわれたエレガントな白い下着でつつみこまれている。
そのお尻は一層、魅力的に成長してる。やっぱり大人になったんだなー、と僕は感慨を深くする。
このショーツも、すごい高級品じゃないけど昔みたいな3つ千円の安物じゃない。お金には困ってないみたいだ。
「ほらほら大変だよ、みなり。この可愛い下着が、下がってきちゃうよー?」
僕は紫藤のショーツのふちに指をかけ、──くるくる丸めるようにして、おろしていく。
形のいい紫藤の生のお尻が、僕の視線にさらされる。
また鼻血が出るかな、──と思ったけど。
この僕が憑依しているカスオの体、僕と違って鼻の粘膜は強靭らしい。
運動不足ですぐ息が切れたり、体が重かったり膝が痛かったりとデメリットもあるが。
この点だけは、カスオボディの明確なメリットではないだろうか?
紫藤の腿に食い込んで、軽く変形するくらいきつく拘束している膝の上の結束バンドのあたりまで、卑猥にくるくる巻いて剥いた紫藤の下着を下ろす。
今、紫藤は大げさに言えば。
○//\_
↑こんな感じに腰を突き出す感じになってて。
上半身は、胸と肩のあたりだけがベッドの上面に接地していて、お腹とか腰は宙に上げてるのね。
だから、それなりにお腹や脚に力をいれてて。
力のこもった脚や背中のなめらかな白い肌に、わずかに筋肉が浮いてるんだ。
ひどくエ○く、ね。
「ほら、もっと腰をそらして、尻を出すんだ。」
なんだか口の中がねばねばしてて。
そうカスオ風に紫藤に命令した言葉が、喉にからんだ。
紫藤はしかし異議を申し立てることもなく、言われたとおりに背中をそらし、お尻をさらに上に突き出してみせる。
けなげにも足先をつま先立ちにしたせいで、軽くふらつく。丸くなめらかなお尻が揺れる。
立てられて緊張してるつま先から、だんだん上へと僕は視線を上げていく。
内股ぎみになっているふくらはぎの曲線を気に入った僕は、顔を近づけて視線を何往復かさせる。
そして膝の裏、健康的な太腿、そしてさらに上の丸いお尻へと、舐めるように。
その、くいっと腰を反らせて突き出したお尻の、谷間の部分。
(I)←こういう感じの、ふくらみとそれに入った割れ目の筋に、僕の目は奪われる。
「僕がみなりに痛いことをする前に、さ。
言ってよ。──ほら。」
僕は紫藤の生足の太腿からお尻にかけて、手を当てて撫で上げてみる。
紫藤の肌に、ぶわっと鳥肌が立ったのがわかった。
「ここにも、入っちゃうかもね?」
僕は中指の先で、紫藤の股間の筋をそっと撫でた。
筋の谷間に指がわずかに沈む。最上級のシルクのように、やわらかくなめらかな感触が指に伝わる。
頭の中が軽く麻痺し、霞がかかったように思考がまとまらない。
「言いません!」
紫藤の言葉に、僕は正気を取り戻す。
今、僕はこの裂け目にぐいっと指を押し込もうとしてた?
いや、それはやりたい。でも、今じゃない。
「これでも、かな?」
僕は、気をとりなおし。
2階から持ってきた、その文房具を紫藤の目の前に示して見せる。
35センチの長さで一方の長辺にミリ単位で目盛りが刻まれ、0.5センチ単位で透明な本体に格子状に目盛りが刻まれた、コケヨの透明プラスチック物差し。
紫藤は肩と胸で上半身を支えているので、首をあまり自由に動かせない。
顔を横に向け、目の端でそれをみて、そして上目で僕を見上げた。
もつれたすこし色の薄い髪が、すこし上気した顔にかかってる様子が、僕の劣情を刺激する。
「はい。言えません。──あっ!」
ぺちん!
紫藤の返事を聞いた僕は、そのプラスチックものさしで、紫藤のお尻に一撃を加えた。
痕がつくほどじゃない。軽く、しかしピリッとした痛みはあるはず。
「ほら。ほら、ほらっ」
ぱちん、ぱちん、ばちんっ、と。
僕は少しずつ場所を変えながら、プラものさしを振るった。
紫藤は最初に打たれたときだけ、声を漏らしたが。
その後は、じっと口をつぐんで耐えている。
「痛くて、恥ずかしいでしょ?
それに、こっちにも来たり?」
小ぶりながらもそれなりにみっちりした太腿に、一撃。
そして、ふくらはぎにも。
力はそれほど込めてないけど痛かったのかな。びくっ、と体が震えた。
──だいたい、紫藤が僕を信用しないのが悪いんだ。
しかも、こんなクズ男と結婚なんかしちゃって、さ。
いったい何が、あったって言うんだ。
僕のこと、好きでいてくれる、待っててくれるって言ってたじゃないか?
そんなひどく利己的な独占欲と嫉妬心が、ものさしを振るう僕の腕に次第に力をこもらせる。
「どうして、僕と結婚したの?」
「結婚してみせないと、いけなかったんです。
わたしも、──それに、カスオさんも。」
──カスオさんだって、そうだったじゃないですか。
と、紫藤は言う。
ほぉん?
ときおり紫藤の柔らかい白い肌にものさしを振るいながら、僕は尋問する。
紫藤は、この件は話してもいいと思ったのだろう、ときに痛みに体をびくっとさせながら、僕に説明する。
(僕には初耳だが、この男と紫藤との間ではおそらく了解事項だ。この話。)
この男は、権力志向の人間であると同時に。
(紫藤は「お母様を大事にしていらして」と口を濁していたが)一種のマザコンだったようだ。
そして旧来型の組織内で昇進するために「結婚した、人格円満な男」という評価が必要だったのと。
過干渉気味で、結婚を強要してくる母親の圧力を避けるため。
「いつでも離縁できる都合のいい女」と偽装結婚したいと考えていたみたいだ。
ちなみにカスオは、悪役インテリヤクザめいた外見にたがわず、性欲はしっかりあるらしく。
(2階の書斎にもちょっとだけながら、彼の性的嗜癖をうかがわせるものがあった。)
偽装結婚だと言いながら、最初は紫藤にしつこくセクハラしていたようなんだが。
途中からぱたりと関心を向けなくなった、なんなら無視し始めた、という。
(そんなこと、ありうるのか?と僕は思った。ここらへん、後でもっと詳しく尋問しなきゃ。)
「それに、──『あの事故』もあったし。だからだと思います。」
「あの事故」ってなんだろう?これも聞かなきゃ、と僕は思う。
(彼女の横目が僕の股間のあたりに向けられていたが、そのときは理由がわからなかった。)
まあ、ともかく。
紫藤の視点から、大体の事情はわかった。
紫藤の側の事情も訊きだす。もちろん、ときどき紫藤の白い肌にコケヨの定規を当てながら。
これは、なんとあの紫藤の義父の迷惑千万な置き土産のせいらしい。
あの男、一度、ガマガエル男に紫藤の処女を売ったことがあったよね。
(ほら、僕が紫藤の家にはじめていって、救い出したりしたときだ*1。)
それとだいたい同時期に、紫藤の初夜権というか紫藤を手籠めにする権利を、別の男にも二重売りしていたらしい。
その証書が妙な経緯で、紫藤のストーカーの手に渡ったという次第。
そんなもの法的に無効だと僕は思うし、周囲も同意見だったらしいが。
ただその男、ひどく頑固というか。
自分の考えと違うことを絶対に受け入れない、ねちっこくしつこい男らしく。
法的にそうなってる、と言っても、納得せず紫藤にまとわりついていたらしい。
ただこの契約書には「紫藤が他の男と結婚していなければ」という条件があったらしく。
一計を案じた紫藤とその友人たちは、紫藤が結婚すればストーカー男はあきらめるのではないかと考え。
たまたま事情があってやはり結婚してみせる必要のあった土武氏とのダミー結婚に踏み切ったらしい。
「わたしはもう、誰かと一緒になるつもりはありませんでしたし。
もちろん、結婚なんてするつもりなんかなかったので。
きっぱり断って、それで殺されても仕方ないと思ってました。
でも、断っても断ってもあの人はあきらめないし。
周りの人たちがひどく、被害を受けるようになったんです。」
紫藤をかばったり、かくまったりしてくれた友人たちへのいやがらせ。
その勤め先や取引先に対する街宣、弾劾チラシ投函。
どう考えても犯罪だと思うんだが、日本の警察ってほら、色恋沙汰って言えば様子を見守ることが多いらしくて。ましてや外国人とかだと、ね?
友人たちは紫藤のせいじゃない、そんなことまでしなくていい、と言って紫藤を守ろうとしたけれど。
紫藤自身が、自分のせいで友人たちが被害を受けるのに耐えられなくなったらしい。
「ちょうどそのころ、高木くんから。
大学の研究室にいらっしゃてた、カスオさんのことを紹介されました。」
まだ青年官僚だった土武氏が、高木が在学してた大学院の同じ研究科に派遣されていたらしく。
そこで高木と土武氏は知り合い。
そして高木に偽装結婚できそうなやつを知らんかと無茶ぶりされた高木は、紫藤のストーカー問題の解決になるのでは、と思い立ち。
そしてふたりを引き合わせ、利害が一致することが判明した土武氏と紫藤とが、結婚したことにした、というわけらしい。
(高木にはちょっと言いたいことが出てきた。今日の同窓会で彼から聞いた話も含めてちょっと戻ったらお話しよう、と僕は固く心に決めた。)
そのことで、ストーカー問題はいったん終息した。
お堅い昭和的な勤務先の人事や、義母や、念のためのストーカー男への対策もあり。
関係は冷え切っているが、今もふたりは同居している。実際は家庭内別居。
結婚生活の実体はない、昔でいう「白い結婚」だ。いままで紫藤は夫に最後まで抱かれたことはない。
でも紫藤としては、──「大事な人の遺言」もあって、結婚当初は夫に尽くすつもりでいたようだ。
ほーん。「大事な人の遺言」ねぇ?
「その『大事な人』さんとやらは、なんと言ったんだ?」
「もし、自分が死んだら。
自分のことなんか忘れて、幸せに生きてほしい。女としての幸せを求めてもいいんだ、と──」
「操を立てたりせず恋愛したり、結婚して子供を産み育てていい、ということかな?」
「わかりませんが、多分。」
けっ、虫唾が走るような理解ある彼氏くんの言葉だな、と僕は思う。
でもな。うっかり僕がカッコつけて口走ってしまいそうな言葉でもある。もしかして。
「それを言ったのは、『シノくん』なのかな?」
「──言えません。」
紫藤は、そう言って口を閉じた。
僕は、屈辱的な姿勢をとらせたままにしている紫藤の、かたちのよい後頭部に目を注ぎながら考え込む。
なっるほどねー。僕かよ。
未来の(過去の?)僕が、そんなことを紫藤に言っていたとは。
ずっと紫藤を独占したい、忘れないでくれってたぶん内心は思ってたと思うんだけどな。
だけどきっと「ええかっこしい」してしまったんだろうな。
あー、でも、まあ。
紫藤に幸せになってほしいからそう言ったってのは、わからなくもない。
今の僕も、もし自分がどうしても先に死なないといけない、ってなったら。
断腸の思いで、やっぱり同じようなことを言っちゃう気がするんだ。
だってさ、1度目の世界ではあの筋肉男に、あんなことされて、誰にも知られずに未来を絶たれた紫藤。
2回目の世界では、絶対に幸せになってほしい。
──でもまあ、このドブカス野郎はないだろうよ。
紫藤と土武氏の結婚の謎が一つ、解けた。
しかしだな、まだ聞き出すべきことがある。
「それはともかく。
どうして、僕、──カスオは、みなりに手を出さなかったんだろう?」
これが僕にとって、最大の謎だ。
「え?──それは、カスオさんが一番よく知っていることですよね?」
さすがに不満があるのか。紫藤の声が尖る。
つま先立ちをやめて(つらくなったのかな)、膝を床につける姿勢にもどり、いったん上半身もベッドにべたっと着けて。
かわいい顔を横に向けて、僕の方にきつい視線を投げている。
「うーん、でもまあ、みなり。想像してみて?」
「はい?ええ、たぶん、──」
──カスオさんが、たぶん貧相な体のわたしに興奮できなかったのでしょう。
あるいは仕事がすごく忙しくなったから、じゃないでしょうか。
俺は忙しいんだ、しょんべんくさい小娘を抱く趣味はない、って一度おっしゃいましたよねっ!!!
あとは、あの事故。──それは、ご自分でご存じでしょう?
──という答えが紫藤からは返ってきた。うぐっ。
カスオは、やっぱり舐めた言動で敵を作るタイプだな。ただ、意外に出世してもいる。
よほどうまいことやったのか。あるいは、目上の人にはすり寄れるタイプなのか。
それはともかく。
たぶんカスオが紫藤を抱けなかったのは、紫藤がいうような理由、つまり紫藤が趣味でなかったってことじゃ、ぜんぜんないと思うんだ。
純真な紫藤視点では、そう解するほかなかっただろうけど、さ。
そこからいくつか尋問して、その点を男の視点から確認する。
(ちなみに紫藤は、僕が分かり切ったことを聞いてくるので、怒るというより困惑してる気配。)
カスオは同居が始まるやいなや、紫藤に迫ってきたらしい。
それはもう強引に。強姦まがいに。
ポロっと紫藤が漏らしたエピソードを聞いて、僕が怒りにカスオへの嫌がらせを決心するくらい。
でもまあそりゃ、紫藤を抱きたいって思うのは当然だよね。
書斎にあったカスオ秘蔵のエ□DVDライブラリからみると、奴はどうも巨乳好きであり。
紫藤は、その点はちょっと奴の好みからは外れるらしいんだけど。
でも紫藤は、それはもう。
少女の透明な清潔感は全くそのまま。それに今では煩悩を刺激する色気すらも加わったロリ美女。
趣味が多少違っても、そりゃ食いつくよ。うん。
そして紫藤も、偽装結婚とはいえ、結婚した以上は夫に抱かれる覚悟をしていたらしいのだが。
なぜかそういう雰囲気になって体をまさぐられるのにもかかわらず、カスオは行為を中断する。
そういうことが、数回続き。
あるとき彼が逆ギレし、それ以降お誘いがなくなった。ということらしい。
これは、たぶん。
カスオは、──「中折れ」したんじゃないかな?
あるいは、紫藤がそれと知らずにダメ出ししてしまったのかも。アレをみて「小さくてかわいいですね」とか。
少なくとも何かの事情で、紫藤には勃たなくなったんだな、この男。
そしてプライドと他責思考が服を着てるような、この男の性格からすれば、さ。
きっと勃たなくなったって知られるのが嫌とかで、それ以降紫藤に手を出してない。
紫藤のことを「すっぱいブドウ」だと思い込もうとしてるんだろう。
全くの仮説だが、そう思う。
(ちなみに紫藤が言ってた『事故』ってなんなのか、聞くのをこのときはうっかり忘れていた。)
だってさ。
この紫藤に興奮しない、なんてことはあり得ないんだよ。
僕はそう思いながら、紫藤の打たれて赤くなってる生のお尻をさすさすと素手で撫でる。
やわらかい彼女の肌。脳を掻きまわされるような快感。
紫藤が、居心地悪そうに体をすくませた。
「まあ、ともかく。
そのシノくんというのが、きみの死別した恋人というわけだな。」
「──」
「答えないか。
──じゃあ、罰だね?」
──ほらサボるな、お尻を上げろ。そんなもんじゃない、もっとだ。ぐっと反らして、お尻が天井を向くように。
そう僕は要求して、彼女はさっきみたいにまた足先をつま先立ちさせて、腰をぐっとそらし、お尻を上げる。
そして僕は、拳を丸めて、紫藤の太腿の間に突き込んだ。
いや早まらなくていい。諸兄の期待には沿えない。
あの紫藤の割れ目にダイレクトに突き込んだんじゃない。あくまで、結束されてる紫藤の太腿の間に、だよ。
脚を閉じた状態で束ねられてる紫藤だが、左右の太腿の間にはすきまがある。
そのすきまを、拡げただけだ。
そうすることで。
ひろげられた股間にある、紫藤の「貝」は。
依然として口を閉じていて1本のすじがあるだけ、だけど。
そのすじのついたふくらみは、外からの攻撃に対し、より脆弱になり、──。
「っ!」
僕は正確に、すくうように、手にしたものさしで紫藤の「貝」をぺち、っと叩いた。
力はさほどこめてない。嬲るように、デリケートな場所にふさわしく、弱い力で。
でも紫藤は、声にならないあえぎ声を上げ。
お尻を上げてた姿勢を、思わず崩してベッドに上半身を倒れ込ませてしまう。
こうなるだろうことを、僕は知ってた。
つい一昨日、JKの紫藤に同じことを試して予習ずみだったたから。
あのときの感想、紫藤は「頭が真っ白になるくらい痛くて、でもすごくよかった」って言ってた。
今回ふたたび試してみた効果も、紫藤の証言を裏づけている。
「いけないなあ、姿勢を崩すな。足を立てて腰を出せ。
脚はもっと内股にして、打ちやすいように。」
僕が命令すると、紫藤はまた脚を震わせながら腰を上げ、さっきと同じ姿勢をとろうとしている。
でもおそれを抱いているのはあきらかだ。さっきより、お尻の突き出しが弱い。
それを咎めて、またお尻を打ちやすい姿勢にさせる。
でも今度は、紫藤の白い脚を標的にする。
腿の裏や膝の裏のくぼみを、僕は定規の角でつうっ、つうっと撫でると。
さすがに気持ち悪いのだろう、びくっ、びくっと撫でられたところを引こうとする。
それを糾弾して、ばちっ、と叩く。
そして紫藤の「貝」を観察するために、こんどは僕は両手で腿をつかんで広げることを試みる。
親指を「貝」のそばの太腿のつけ根のすきまにさしこみ、手のひらにあまる紫藤の太腿をぐいっと広げる。
柔らかく皺のない、縦に1本のすじがあるだけのぷくんとしたふくらみを僕は冷酷な目で観察する。
片手を紫藤の腿から離し、すじの長さを測定するように定規の目盛りをすじに沿わせて、定規を垂直に当てる。
そして定規を押し当てる力を強めると、定規は筋に軽くめり込む。
もう片手も腿から離して、ぴん、と定規の背をデコピンのように弾く。たまたま敏感な部分に定規が打ち当てられたのだろう、紫藤がびくっと体を震わせて頭をのけぞらせた。
「あっ、うっ、んんっ!」
「ねえ、みなり。答えて。
嫌い?憎い?──みなりにこんな痛いことをする僕のことが、さ。」
「──嫌ってなんか、いません。」
紫藤は、まあそう答えるよね。紫藤だから。
でも僕は、このけなげな紫藤の返答に、かえって。
「カスオへの忠誠」つまり「僕への裏切り」を感じて。
紫藤への怒りというか、もどかしさ、拗ねてる感覚を強めてしまった。
そんなに、このカスオが好きなのかよ!と。
(いや、紫藤は今でも僕のことを想ってくれてるみたいだし、きっとカスオを好きなわけじゃなくて義理堅いだけなんだろう、と頭ではわかってるんだけどね。感情が追いつかなかった。)
「そうか。
──じゃあ、もっとひどいこと、痛いことをされても大丈夫だね?」
ここまでの紫藤への折檻で、僕のおぞましい嫉妬まじりの劣情がかきたてられてしまったこともあって、僕は紫藤にさらなる罰を与えたいと思ってしまう。
ゆだりきった脳で次にとるべき紫藤へのお仕置き候補を考えながら。
僕は顔に歪んだ笑みを浮かべて、白い肌のところどころに定規の赤い痕を残す紫藤を見おろした。