タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
第三者視点→志野視点です。
細かい部分など、後で修正します。
(第三者視点、地下クラブ「ザンジバル」、夜)
「ラピエスタ」と呼ばれる闇の祝祭への参加者の選別会が行われている、地下クラブ「Zanzibar」。
彼は、その会場の一つで観客席の椅子に身をもたせかけ、選別会のステージを眺めていた。
彼、砂土原は自分がボディガード兼運転手という名目で傭われている主人の息子である若社長と、そのボンクラな友人の運転手として駆り出されていたが。
主人(葉良益三)が購入した玩具である小娘をエントリーさせるつもりらしい若社長が、しばしの自由時間を許したため。
若社長の出番が来るまで、適当に好みの女がいそうな会場を物色していた。
「エントリー、15番。最終となります。マスター名は、『ロミオ』」
ぼんやりと案内のアナウンスを聞きながら、手元の投票券を見る。
入場時に渡される投票券には不正防止の特殊な加工がしてあり、他会場のものは流用できないらしい。
めぼしい演者がいれば投票してみるか、と彼は考える。
若社長の振り分けられた会場は、若社長の玩具以外は彼の好みでない外国人が多かった。
その点、この会場(C会場とされている。A、Bもある)はほぼすべてが日本人である(これは、司会進行で外国語ができない者が担当するからだ、と、根掘り葉掘り運営について問いただしてきたらしい若社長が話しているのを、彼は聞き流した)。
この会場は出場者が少なく、そろそろ終盤である。最後の一組が呼び出され、ステージに上がるところだ。
ちょっとお題の紹介に時間がかかり、もたつく。どうやらお題となるべき道具に、まともなものがほとんど残っていないらしい。
そんなことがありうるのか、と思うが、演技の終わった主人たちや、前の方に座っている観客たちの様子をみるに、そうらしい。
──同情気味の失笑が漏れるくらいに。
あまりマスターは期待できそうにねえな、と砂土原は思う。
ただ、商品の女の姿がそこで目に入り、彼は目を見開く。
商品の女はいい体をしているな、と彼は驚く。
すっと伸びた背筋に凛とした風情。良家の子女のようにも思える。
たとえ本戦を生き延びたとしても、口ふさぎに殺されることも多いラピエスタに出場させられるには、どのような経緯があったのだろうか。
下着1枚に剝かれた女が、階段を昇る様子を観察する。
肩から上をみたときはその怜悧そうな様子に良家の子女と思ったが、下半身も観察するに、何かの運動選手なのかもしれない、と考えを改める。
色白で背が高いところからすれば、バレーボールなどの屋内系競技関係だろうか。
細めに締まったウエストに、大きく張り出した尻。
太腿には、滑らかな白い肌の下にみっちりと鍛えられた筋肉がある。
きっと腹筋も見ごたえがあるのだろう、と彼は思う。よく見ようと姿勢を正して座りなおす。ちょっと後半に入ってダレてきて姿勢を崩して座っていた周囲の観客たちも、似たような反応を示している。
階段を上がり、ステージでこちらに向かって立った女をさらに観察する。
胸は大きめだが、大きすぎない。日本人らしくないほどにきゅっと高く盛り上がった隆起が、印象的だ。
目もとはサングラスに隠されているが、通った鼻筋や形のいい艶めかしい唇が、その美貌をうかがわせる。
他会場も一通り見てきたが、外国人を含めても間違いなくこの女は今回のトップ層だろう。
それに比べて、──と彼は
ある程度鍛えて、細身ながらも筋肉のついた体はなかなか見事といっていい。
大きめのサングラスに、リーゼント風のヘアスタイルも、なかなか決まっている。
ただ青シャツにスラックス。舞台映えするようフォーマルを意識しつつカジュアルな服を選んだのだろうが、この会場ではやや浮き気味。どうせらきっちりフォーマルに固めるか、あるいは正反対に、さっきの組のマスターのように作務衣とかレゲエ風とかにしてしまったらよかったのではないか。
それに着慣れないせいだろうか、真面目な高校生みたいな雰囲気。「服に着られてる感」とでも言えばいいのか。
──まあ悪いとは言わないが、女と釣り合うほどのタマではない。
この若造では、きっとこの商品の女の一番いいところは引きだせない。俺なら、きっと上手くやるのに。
そう彼は、不満に思った。
観客たちもそう思ったのだろうか、一部だが不満めいたささやきが交わされている。
まあ、若干この若造が役者不足気味とはいえ、それは今までの組でもあったこと。
(逆にマスターが優秀で、商品がちょっと期待落ちというパターンもあった。)
ただ、この若造の順番が問題。くり返すようだが、若造の順番はこの会場の最後。そのため残った「お題」には、ろくなものがないようなのだ。
新規参加者は警戒されてもいるだろうし、たいてい不利な後ろの順番に回されてしまうのだろう。
結局、若造が悩んで選んだのは、使い捨てみたいな安っちい「透明ビニール傘」らしい。
まあそれ以外は「カスタネット」と「団扇」。どちらもろくなものではない。2つまで選べるとはいえ、選んだら中心的に使わないといけないが、どちらも難しい。
ビニール傘というのは、女の体を叩くプレイを考えて選んだとすれば、まあまあ堅実な選択だとは言えよう。
ただ、観客としては竹刀や金属バットでの強打をみた後であることを考えると、かなり期待外れの印象を観客に与える。どう選んでも難しい。
いよいよ、プレイを促される若造。若造がちょっとおどおどしながら、頷く。女は開始の合図に反応せずじっと姿勢よく立ったままだが、若造から何か声をかけられると、頷いた。
冷やかし交じりの口笛も発されるが、大勢は期待をはらんだ沈黙で見守る。
女は、すでに下着一枚にされている。手足には、革手錠のようなベルト。
下着は、上半身はぴっちりした薄いグレーのタンクトップを着ていたが、開始の合図とともに若造が脱がせた。女は従順に両腕を上に上げて脱がせるのに協力する。
下半身は、「∀」のような形状の、やや煽情的な紐ショーツ。
手足の革ベルトの位置は、両手首、両足首、両腿の付け根、そして二の腕の半ばほど。
そして張り出した胸のすぐ下のあたりにもつけられて胸が強調されている。
どれもかなりぎゅっと締めこまれていて、特に両腿の付け根は血が止まりかねないくらいに食い込んでいる。
──ただ、俺なら麻縄だな。あれじゃ血が止まるぞ。
中々いい趣味だなこの若造、と思いながらも、観客である砂土原はそう評する。
女の上を脱がせた、その次の若造の動きに、観客たちは視線を注ぐ。
ちょっと観客の沈黙に戸惑っていたようだった若造は、また何か女と言葉を交わし。
そして決意したように、係員に声をかけてその手から鎖を受け取り。
女の両手首の革手錠に、連結する。
静まり返った観客席に、金具の嵌るカチャッという音が響いた。
手首につないだ鎖は、若造の指示を受けた係員により天井のフックにすばやく掛けられ。
両手首を高い天井に吊られた女は、下を向いて俯く。
若造は女のサングラスを観客から見えないように外し、手拭いでの目隠しに替えた。
次いで若造は女の長い黒髪を後ろにまとめて掴み、乱暴に引き、顔を上げさせた。そしてその黒髪を荒縄で縛る。いわゆる
次に若造は女に片脚を曲げさせ、足首の革ベルトの金具と、太腿の金具を連結する。
この肢は背中側に、足をお尻につけたような恰好にひざを曲げていることになる。
よく発達した肉感的な白い太腿がスポットライトを浴び、観客の目に対して強調される。
女はその結果、片脚立ちになった。
そのもう片方の足首の革ベルトに、若造は鎖を付け。
先の手首につないだ鎖とともに、小型の巻き取り機を係員に借り受け、巻き取り始めた。
巻き取り機の構造は、釣りに使うリールに似ている。ラチェット付きで、ハンドルを巻くことで安全容易に鎖を巻き取っていくことができる。複数の鎖を同時につないで巻き取れる優れものだ。
若造が鎖を巻き取っていくと、当然のことながら片脚立ちになっていた女のいままで床についていた片脚も浮き、女は宙に浮いた。
両手首と片足首を背面側で宙に吊られる、変形獣縛りの格好。
若造は鎖を巻き取り続け、かなり高い位置、地上1メートル半くらいのあたりに女を吊る。
そこで若造はかがみこみ、女の唇に自分の唇を一度重ねた。
そして何かをささやく。女が頷く。
若造は、女の吊られていない方の脚、膝を折り曲げて腿と足首をつなげた格好になっている、そのかさねた太腿とふくらはぎの部分をまとめて荒縄で縛った。
荒縄は力の限り、ぎりぎりと食い込むように巻かれ、ボンレスハムのように肉が変形するのが、観客にもはっきり分かる。痛みか屈辱か、女が歯を食いしばるのがみえた。
若造の腕はそこまで良くないが、素材の女がいい。女が絶望したように頭を振る。
若造は腿を巻いた荒縄に、重りとしてこれまた共通素材のバーベルを付けた。
重りを付けられたので、この曲げた脚は床の側に引かれている。
もう片脚、足首吊られた脚は、天井の側に上がっている。
女の白い小さい下着に覆われている股間が、衆目にさらされることになる。張った布越しに、股間に縦の二重の筋、割れ目が浮いてみえた。
内股の肌には、薄筋もうすく浮いている。無理に上下に股を広げられ、筋肉がぴくぴく、と動くのが、最前列に座った砂土原からはみえた。
砂土原は、思わず乾いた口中を意識して湿し、前のめりになっていた姿勢を正した。いつのまにか、若造がつくりだす、この悪い酒で酔ったような世界に没入しかけている。
次に若造は、ビニール傘を手に取った。
ちゃちなつくりの、長さも短めな傘だ。
若造は、女の黒髪を握り、背中側に体と頭を反らせるようにぐいっと引き。
ビニール傘の
(もっとも若造はビニール傘の持ち手に近い場所で髪を短めに縛ったので、傘の先端が余っている)
若造は、縄目が緩まないことを確認し。
さらに乱暴に、女の髪が縛りつけられた傘を背中側に引く。女は苦しみながらも、精一杯背中と頭を反らした。
女の苦衷を示すように、熱いスポットライトに照らされたなめらかな肌に、きらきらする汗が浮いてきている。まだ女は下着を着ているが、その下着にも汗がわずかに染みてきているようだ。
若造が手を離すと、解放された女はまた頭を下げた。
若造は、女の脚の方に回り。
その白い脚の間に入り、その下半身の下着のクロッチ部分に指を入れ、横にずらした。
女が身に着けていたのは、白いレースをあしらった瀟洒な下着。
「∀」の字に似て、股間のデルタ部分を隠す以外はリボン状になっていて、豊かに張った大きく魅力的な女の尻を、隠しきれていないのだが。
その股間を覆う部分を横にずらしてしまい、若造は女の
若造が、意を決したように指をそこの裂け目に突き入れた。女の体に緊張がにわかに走り、頭を反らし、背中側に半月状に背中を反らした。
その瞬間を逃さず。若造は、女の黒髪に結わえた透明なビニール傘を掴み、ぐいっと背中側に引き。
そして、傘の持ち手の「?」型をしたフック部分を、下着をずらして露わになった股間にあてがった。
観客からは、しわぶきひとつも上がらない。
女は運動選手と思われる見事な体をしているが、体も相当に柔らかいのだろう。背中側へ、頭が精一杯に反らされる。人間の限界近くまで。
背中に浮く二筋の背筋が、緊張して盛り上がっている。
常人では無理なほどに背中をそらしたため、髪に縛った傘の持ち手と、股間との距離が近づいている。
そう、若造はこの女の髪に縛った傘の持ち手のフック部分を、股間の穴に差し込もうとしている。
それでも届かないと思われるところを、若造は無慈悲に力を込めて、フックを股間に無理やりに到達させた。
フックがあてがわれ、乱暴に押し込まれようとしたとき。
あーっ、とこれまで口をつぐんでいた女から、はじめて声があがった。女は、猿轡を噛まされていない。
うまく嵌められず、得心がいかないのだろう。あたりまえだ、何も潤滑剤になるものもないのだ。
若造は、無理な姿勢に背中に傘を結わえた黒髪をさらに容赦なく引きながら、女の股間にあてがったフックの具合を確認していたが。
係員が気を利かせて駆けつけ、ローションらしい瓶を差し出す。
若造は慣れた風にローションの瓶を開けて口に咥え、指に振りかけてなじませ。
その指を、再び女の股間の穴に沈めた。深々と。
女の背筋が苦悶にうねるが、若造は握った髪を放さず、限界まで反らした背中を伸ばすことを許さない。
さらに若造は、執拗に指を抜き差しする。根本まで。
そして再度、傘の持ち手のフックを突き入れた指と交代させるように、股間に押し込んでいく。今度は、満足がいくように挿しこめたのだろう、若造は満足したように頷く。
女は、限界まで背中を反らした姿勢で、安物の使い捨てビニール傘のフックを肛門に挿しこまれ、固定された。相当な苦しさなのだろう、首には血管が浮いている。
固唾をのんで見守っていた観客から、覚えず拍手があがる。異例なほどに、長く。
若造の手並みはどこかぎこちないところもあったが、何より舞台の上に吊るされ、スポットライトにまぶしく照らされ、汗ばむ若い女の肉体が見事で説得的なことに加え。
そのギリシャ彫刻のような均整のとれた体を、信じられないくらい異様に歪めて辱めてみせた独創性は、確かに本戦進出にふさわしいものであるように、観客たちにはみえた。
だが若造は、まだ何かをするつもりのようだ。
呼ばれて指示を受けた係員が、長めの踏み台をもってくる。台は、女の顔の方に置かれた。
女を吊るす鎖の長さを巻き取り機で調節し、女の下半身をより天井に近い位置にして、頭と首をやや低い位置に調整する。
若造は、係員の持ってきた台に乗る。おそらくは計算どおりだったのだろう、若造の股間が女の顔の前に来る位置だった。
そのまましゃぶらせるつもりだろう、と観客の多くは思った。砂土原も、そう思った。
しかし若造はいったん降りて、係員から鞭を借り。
吊り上げられ、傘のフック(どうやら、肛門に挿し入れられているようだった)でひどく不自然に体を背中側にそらした姿勢の女の、無防備になっている股間に鞭を振った。
ばちん、ばちん、とまた静まり返った客席にまで音が響く。
さらに、若造はそれ以外の場所にも鞭の雨を降らせ始めた。
白い女の肌に、赤い線が走った。あるものは股間に、あるものは白い腿に、あるものは釣られたふくらはぎやすねの部分に。
また、肌を打たず、別の場所にも鞭は及んだ。──女の肛門に挿し入れられているビニール傘に。
いずれの鞭にも、女は敏感に反応し、体を震わせ、あるいは身をよじらせて苦悶する。
特に反応が大きかったのは、ビニール傘への打ちこみだった。
やがて、客たちは意図に気がついた。
若造は、女の体が揺れ、その振り子のような
天井が高いので、大きくゆっくりと1メートルくらいの幅で振れ始めた女の体。
そこで初めて若造はむち打ちを止め、自分のスラックスの前を開け、自分のそれを取り出した。
いったん騒がしくなりかけた客席が、また静まり返る。
若造のそれが、異常に大きかったからだ。
テラテラと光り、充血しきって先は青紫に怒張している若造のそれは。
太さは3~4cm前後、長さは少なくとも30cmくらいにも達するように思われた。
女はかなり大柄である。とはいっても、とてもこれが入るとは思えない。口には、少なくとも。
せいぜいその先端、亀の頭の部分がやっと入る程度であろう。でもそれで口蓋は埋めつくされてしまうだろう。当然、棒がすべてはいるはずがない。
だが振り子のように揺れる女の顔の前に、若造は踏み台を上がって登った。
振り子となる女の顔の射程外に身を置いて、若造は自分のソレを対比して示してみせて、肩をすくめて手を広げて見せた。
あきらかに、若造のソレ、紫色に亀頭が怒張した棒は、──入らないのだ。
しかし、若造は。
水平になるように、自分の槍を手で押し下げ(それまでは、ぴんと反り返って腹につかんばかりであった)調整し、女に命令した。口を開けろ、と。
振り子のように揺れている女は、従順に口を開いた。
頃合いをみて、若造は揺れて戻ってくる女の頭の射程に入った。
女の顔が、若造の長大な槍に勢いよくぶつかるように近づいていく。
残酷なものを見慣れているはずの観客からも、恐怖、驚愕の叫び声があがった。
若造の槍は、すこしでも外れれば目につきこまれたりもするだろうし。
たとえうまく口に入っても、到底入りきるはずがない。
口だけでは到底おさまらない、喉に突き込まれても、まだたりない、下手をすると食道を超えて、胃にまで届いても不思議はない長さなのだ。
惨劇を予期した一部の客は、目を覆った。
だが惨劇は、起きなかった。
不思議なことに、すぽっ、と若造のそれはちょうど開けた女の口に収まった。長い槍が、魔法のように。
かなりの勢いで揺れ戻ってきた女の頭を上手く受け止め、その勢いをいなし、そして数十センチある若造の槍が口中に綺麗に入っている。一発で。
意識していなかったBGMが、「オリ○ブの首飾り」であることに観客たちは気づく。
この奇術のタネは、全くわからない。盛大な拍手があがった。そこで幕が下りる。
砂土原も、感心しきりで点数を記入する。人はみかけによらないものだ。あいつは、マジシャンだったわけだ。随所で披露するのでなく、大技一つだけで披露する。そんな使い方もなかなか憎いほどに素晴らしい。
もちろん、満点を記入した。
結果発表。もちろんのこと、この「ロミオ」の組の判定は最高得点。
なんなく彼らは、予備選考を突破し、シード権まで手に入れたのだった。
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(志野視点)
ふー、大変だった。
暑くてたまらないスポットライトが消え、幕が一瞬降りる。
調布には、かなりの無理をさせてしまった。悪いことをした。
僕はカサコソとすばやく、傘を髪に縛った荒縄、髪自体を縛った荒縄、そして膝を曲げさせてこれでもかと強く巻きつけた荒縄を解き、鎖を緩めて調布を降ろした。
調布は、膝を曲げて縛られてた足がしびれたようだ。軽く浮かせたりしている。
手足の、黒い革ベルトもはずす。これもがっちり締め上げてたからね、締めた先が軽く赤く色が変わってきてた。
調布の目隠しを取る前に、僕は彼女の汗ばんだ体を抱いて唇を吸う。調布も、抱き返してきた。
「(うまくいった?)」
調布がささやいてくる。僕は抱きごたえのある調布の体に、自分のソレが勃ち上がってくるのを感じながら、腕に力を込め直し、耳にささやく。
「(うまくいった。たぶんパス)」
「(良かった!)」
誰も見ていないのを確認して調布の目隠しを解き、サングラスをかけてやる。
調布はまだ足のしびれが取れていないみたいで、僕の肩に手を付いて体を支えながら、ジーンズに足を通し、シャツを羽織った。
ミステリアス美女のできあがりだ。僕はやりとげたぞ、という解放感と達成感に、深く息を吸って吐く。空気がうまい。
なにしろ、さ?僕の番には、本当に何にも残ってなかったんだ。
ビニール傘、カスタネット、うちわ。
これで、何をしろと。
この中だったら、さすがに諸兄も僕とおなじ、ビニール傘を選ぶよね?
カスタネットで、指締め金具みたいな感じに指や胸の先を締めてみるのもいいかな、とは思ったけどさ。
見世物としては地味で、ダイナミックな感じになりそうにもなかったんだ。
うちわに至っては、──ぱたぱた扇ぐ?取っ手を突き込む?そのくらいしかないよね。
傘なら、それで殴ってもいいし、フックをアナ○フック代わりにつかってもいい。
そういうわけで、傘を選び。
調布には、悪いけどお尻の穴を使わせてくれ、そして口も、と直前に言い渡し。了承を得て。
そして、超感覚さんをフル稼働させてなんとかパスった。
いや、調布には悪いことをしたと思う。本当に。
視覚的に訴えなきゃな、と思ってぐるぐる巻きに荒縄を巻いた腿なんて、みみずばれみたいに線の痕がのこってたし。
手足の革ベルトも、これでもかってきつく締めて、これも痕が残ってた。短時間決戦だからだけど、手足の先は赤く色がかわってて、もう少しすると青くなってたと思う。
すごく危険だったかもしれない。でも少しは点数アップになったかな?
そこまで回想したところで、僕たちがいた楽屋というかステージ横のスペースに、係員の黒服さんが来る。この会場は終わり、とアナウンスがなされている。
「点数出ました。94点、最高得点ですね」
「ありがとう。もう、観客席に戻らないで、このまま出ていい?」
「はい。このカードをお取りください。参加証になります。連絡先も書いてあります。絶対になくさないようにお願いします。
ラピエスタ参加の案内をしますので、8月10日までに必ずご連絡をください。いいですね?」
「了解っす。──じゃあ僕たち、もう出ます。後は、他の会場見て、適当に帰っていい?」
「大丈夫っす。お疲れ様っす」
気の利く係員の黒服さんに礼を言って、僕たちは楽屋口から外の廊下に出る。
すっと調布が体を寄せてくる。爽やかな匂いが香った。
「(ねえ志野。あんた、──まあ結果オーライだけど。背筋、攣りそう。疲れたわよ)」
「(ごめんごめん。でもあれで点数伸びたと思う)」
あー、調布にはプレイでも無理してもらった。その筋肉を使って。
ほら、お尻に傘の取手、フック代わりに挿し込んだ、──ってたぶん見えたと思う。
でも、あれ入ってないんだよ。
いや、AVとかではスポって入るけど、あれ嘘だから。ぜんぜん入らないじゃん、読み間違いだった。
僕の場合、ほら、国領とヤったときにはオリーブオイルくらいでぬるっと入れられたから、そんなものだろうと思ってたけど。
やっぱりあれ、竜神の分泌液か何かの作用で入りにくくなってたんだな。
それに、調布のそこを公衆にさらしてしまった動揺もあって。きつくて入らないし。傘の取っ手をフックにする案、頓挫かと思って焦ったよ。
結局、取っ手はお尻に挿入できなかった。だからあの割れ目に引っ掛ける感じにしてごまかした。たぶん観客にはわからないと賭けた。
途中ではずれたらと思ったけど、なんとかなった。ひとえに、調布が超人的に背筋で背中を反らし続けてくれたからでもある。あの汗、痛みとかじゃなくて運動の結果なんすよ。
「(あと、あれ何?あたしの口に何かぽよぽよしたのをいれたやつって)」
「(あー、あれはね、──僕のアレ)」
「(え!?何よそれ!?)」
最後の「落ち」。
僕は調布をスウィングさせ、その口に僕のアレを突き込む、というパフォーマンスをみせた。かなりウケたんじゃないかな?
これ、普通だったらできるわけない。僕のアレは、勃ちあがると20cmを超える。ゆっくりイラマさせるんならともかく、普通の揺れ戻る勢いで喉に突き込めば大惨事だ。
二つの要素で、僕はこれをクリアした。
一つは、当然ながら僕の超感覚さん。いやー、今回のでは世話になったよ。お尻へのごまかしフックも、当然ながら超感覚さんのなせる業。
二つめは、──これはみんなできるんじゃないかな。ほら、アレの大きさを変えたんだ。
僕たちは、ある程度ならアレの大きさ、変えられるよね?
そしてすごく勃たせてても、それが急に萎えることもあるよね。
それを使った。
まず、お客さんにみせるときには実際より大きめに顕示する。
つまりアレに力をこめて、まるで喉元の赤い砂袋をみせあう熱帯地方の繁殖期の鳥みたいに、大きくふくらませる。腰も突き出して、誇示してみせる。
次に、調布の喉に突き込むとき。ここで超感覚さんとの合わせ技をやる。
ただでさえ調布の体は視覚に飛び込むと勃起不可避。それにあえぐ声を聴覚で聞き、匂いを嗅ぎ、──と、普通に勃ってしまう。
しかし、僕は超感覚さんなら瞬時の時を長く分割できるし、目を閉じて集中力を外でなく脳内のイメージに集中させることもできる。
そこで、いかにも萎えてしまいそうなことを考えるんだ。
まだ全く手つかずの、夏休みの宿題。
親切な売店のおばあさんの、すぼめて笑ってた口元。
赤原先生の、ポマードギトギトなのにすだれ状になってる頭皮。
表紙はすごい興奮する感じのモデルさんが載っててジャケ買いしたのに、こっそり持ち帰ってどきどきしながら開けてみたら、体脂肪率60%くらいありそうなぷよぷよさんばかりが載ってたエ○本のとじ込み。
──そんなものだ。
僕は調布の口に僕の槍が到達する頃に超感覚さんをフル稼働させ、萎えさせる。
そして最小サイズになったそれを、口に含んでもらう。
それでもかなり苦しそうだったけどさ、それは仕方ないよね。
それを小声で説明すると、調布はちょっと呆れたようだった。
「(あんた、──まあいいわ、後で不完全燃焼分、埋め合わせしてもらうわよ!)」
「(了解、了解)」
調布が呆れながらも、きれいな白い糸切り歯をみせて笑ってる。許してもらえた感じだ。
それに、この後もまだちょっといちゃつけそう?
正直、僕もまだ滾ってて。ちょっと調布と、なんかしたい。調布が欲しい。もっと。
「(でもさ、せっかくだから。ダメ元でいいからちょっと他の会場、チェックさせて?
あの子、グレースを探したいの。手分けしましょう。もしいたら、あたしに教えて)」
「(3会場だったかな、僕たちの出たのがCだっけ。──じゃあ、僕はBに)」
「(あたし、Aね。終わったら、そうね、このC会場の外の廊下で待ち合わせ。──いいかしら?)」
「(OK)」
僕たちは、改めて暗い廊下で唇を吸いあった。ブラをまだしてない調布の弾力のある胸が、僕の体で押し潰される。早くこれ、味わいたい。
そんな煩悩に、悩まされながらも。
僕は調布との約束どおり、指定された会場に入る。むわっ、という熱気。こっちは、まだ終わってないみたいだな。
僕は空いている席をみつけ、そっと腰をかがめて進んで座り。
今しもパフォーマンスが終わったため起きた拍手に加わりながら。
これからの組に、僕たちの探し求める探し人がいないか、目を凝らしてみるのだった。