※この作品はR-18です。

タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。   作:Marchhatter

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 ご感想をいただきました。ありがとうございました!
 好意的なご感想、感謝申し上げます(照)。タイムリープもの、筆者も好きであらかた読みつくし、探してたりもしています。
 話自体が長くなってしまったのもあり、またここの雰囲気が好きなのもあって(使いやすいし)、なかなか外に出てみる勇気が出ないところです・・。



 志野視点です。あまり進んでいません。
(飲酒など不適切な描写が含まれますが、推奨するものではありません。)


292 異形たちの茶会(15)(志)?

(志野視点、ホテル「ミニマス」、夜)

 

「ねえ、志野。お願い。水飲ませて」

 

 調布と国領と3人でホテルに入りいろいろ(意味深)した後、門限のある国領を自転車のある公園まで送り、ホテルの部屋に戻ってきた僕は。

 調布が、ベッドにきっちり拘束したとおりのままであることをみて、胸を撫でおろした。

 国領を送りに外にでたときは半分意識を失ってた彼女だけど、その後意識をとりもどしてなんとか抜け出そうとしてたみたいだ。でも無駄におわったらしい。

 僕はぎちぎちに卑猥な姿勢で拘束されたままの彼女の姿や、下着1枚に剥かれた下半身の白い肌に赤く刻まれた鞭の痕などをみて、あらためて充足感を覚える。

 

「そうだな、水分は大事だよな、水分は」

 

 ちなみに時計は午後9時すぎ。そして最後に地下バーに突撃する前にマ○クのチーズバーガーを分けて食べた程度で、お腹も空いてるし喉も乾いてるかもしれない。

 熱中症を避けるためにも、水分補給は大事だよな。

 

「続けたかったらこのままでもいい。だから水を──志野?」

 

 調布はベッドの上に、お尻を突き出して伏せ、後ろ手に拘束された姿勢になっている。

 頭を上げられないよう、巻いた首輪に重りを付けていて、そのせいで、彼女は頬をベッドの面につけているのだが。

 僕がベッドに乗り、その頭近くに来たことに気づいて、(抜け出そうと暴れたんだろう)乱れた髪ごしに僕を見上げようとする。

 

「水分だろ?ほら、これで補給するんだ」

 

「──最悪!」

 

 僕はスラックスの前のジッパーを開け。中から固く怒張したソレを取り出してみせる。

 もちろんなすすべもない調布の姿に、すでにぎんぎんに張り詰めてる。

 調布はあきれた、といわんばかりの半目でこちらを横目に見上げるが。

 すぐ、目にどこかいたずらな光が走った。

 

「ほら、調布君。アイスキャンディ」

 

「──志野先生、口にとどきません!

 それに小さくて細いし、ぜんぜん足りないと思います!」

 

 僕の教師プレイに対し、彼女は律儀に生徒プレイで応じる。クソ生意気な態度ながらも。

 僕は彼女の頭近くに膝をついて、ソレを口元に近づけ、横頬にかるく打ち当てた。

 

「ほうら届くようになっただろう」

 

 しかし、これでは僕も辛いな。

 僕は彼女の首輪の重りを外さず、ただその首輪と重りの間の鎖を調節して長くしてやり、彼女が頭を上げられるようにした。おおむね地上3、40cmくらいまで。

 彼女はゆっくり顔をベッド面から上げる。乱れて顔にうるさくかかる彼女の髪を、僕は耳にかけようとした。

 

「志野先生。胸ポケットに髪ゴムがあります。

 髪、括ってください」

 

 彼女の言葉に従い、彼女のシャツのポケットを探り、髪ゴムを取り出す。髪ゴムのほかに、──

 

「ほうほう。不純異性交遊の証拠だな」

 

「それは新型の風船なんです!変な想像して、いやらしいです先生」

 

 髪ゴムとともになぜか彼女がいつのまにか忍ばせていた薄いゴム製品の袋を発見し、もちろん僕は押収する。

(ホテルにはいって国領と一緒に調布を嬲ってたときも、なんかあるなー、って思ってたんだ。)

 胸をさぐったときに指に触れた、スポブラ越しの弾力のある胸のふくらみが僕の煩悩を刺激する。

 

 顔にかからないように、ちょっと雑だけど手櫛でまとめ、彼女の髪を後ろで括る。はじめてだけど、まあまあ上手くいったと思う。

 調布が、鎖のゆるす精いっぱいに顔を上げた。

 

「先生、喉が渇いて死にそうなんです」

 

「ほらほら、まずこれを舐めるんだ」

 

 調布は幅広めのクイーンサイズのベッド(前にも書いたかもしれないけど、値段の割に設備は行き届いている。頭おかしい工夫がたくさんしてあるけど)の長片の縁に両足首が来るように、いわば横向きに縛られている。頭が、奥のもう1つの長辺の側に近い中央部分にある。

 その頭の前に、僕は回り込んで足を投げ出すようにして座る。足をひらいて、アレが彼女の目の前に、そそり立つように。

 

「ありがとうございます志野先生。いただきます「ぐわっ」」

 

 調布は従順に頭を下げ、僕のソレを形のよい口に含み。僕はそのゾクゾクするような感触に、いやらしい笑みを浮かべたのだが。

 いきなりかなりの強さでかぷっと甘噛みされて、思わず濁った悲鳴を上げた。

 

「何をするっ」

 

「この手のチューペ◯ト、噛んでやわらかくして食べるんですよね、志野先生?」

 

 いったん口を離して、上目遣いに僕をみあげて調布が言う。サディスティックな色が、切れ長な目に光った。

 

「う、うん、だがこれはもう半溶けだからな、やわらかく、やわらかく口で、──ふおっ」

 

「──あれ、おかしいです。出てきませんよ?

 先、切れてないのかも。噛みちぎりますねっ!」

 

「待つんだ調布君!悪かった!

 ──先だけ凍ってたかもしれない。舌で溶かしてくれ」

 

「もー、面倒ですね。──はむはむ」

 

 やべー、調布の咬合力は、蛇を食いちぎれるくらいだったはずだ。

 僕は、情けなくも降参して慈悲を乞い。

 調布は笑いながらまた僕のソレを口に含み、れろれろとアレの先を舌で嬲ってくれた。

 恐怖にやわらかくなりかけた僕のアレも、すぐ固さを復活させる。

 おかしいなー。僕が調布にすごくお仕置きをして、優位に立って、懲らしめまくるはずじゃなかったかなー、と僕は思う。

 

 しかしそれからは調布は熱心に奉仕をしてくれた。途中から僕は調子に乗って調布の胸をかるくもよもよと触り始める。

 アレに伝わる快感、手に伝わる弾力。無残に縛められた彼女の均整のとれた体のビジュアル。頭を動かし、喉近くまで挿れさせてくれる献身ぶり、いつもと違いポニーテールが弾む後頭部とうなじ。

 僕の鼠蹊部から、ふるえるような快感がこみ上げてくる。

 

「出すぞ」

 

 調布の頭を押さえつけるようにして、口の中に出した。調布はむせかけながらも、ごく、ごくと飲みくだしてくれる。

 自分でもよくこんなに出るよな、と思うくらいに出し切り、まだアフターサービスでやわらかく吸い取ってくれてる調布の肩をかるく叩いて止めさせた。

 口を離して見上げる彼女の視線が、どこか濡れてる。ぺろ、と思わせぶりに唇を舌で舐めてみせてくる。

 

「おかわり、ないですか先生。足りないです」

 

「──ちょっと待ってくれ」

 

 頭を少し雑に撫で、僕はベッドから降りて冷蔵庫をチェックした。残念ながら、中は空だ。

 

「たしか、自販機なかったかしら」

 

 調布がロールプレイから抜け、素に戻った口調で言う。首を捻ってこっちをみている。

 のどが渇いているのは、事実のようだ。暑かったしな。

 

「そうだな、──見てくるか?」

 

 館内見学も兼ねて?と、そう言うと。

 ハルカには抜け駆けね、あの子が先に抜け駆けしたんだしいいかしら。──と、彼女はすこし悪い笑顔になって言った。

 

 ──────

 

「よほど儲かるのかしら。かなりの費用、かけてるはずよね」

 

「そのわりに、部屋はそこまで埋まってなかったよな」

 

 このホテル、非常に地味な入り口。知らないと多分、普通のマンションだと見過ごしてしまうと思う。

 事実、週末夜の繁華街だと考えるとあまり流行ってない気がする。だいたい、館内で他の客にすれ違うこともない。

 

 僕は調布をいったん解放し、彼女に口をゆすいでもらい。

 なんかどきどきしながら、あらためてキスを交わしたあと。

 一緒に飲み物を買いに、室外に出ることにした。もちろん調布には服を許す。

(ちなみに彼女は気になってたらしい、僕が雑に結んだ髪をポニーテールに結わえ直した。)

 こういう用途かどうか分からないが、2人とも目元を隠すハーフマスクをつけた。いやだって、先生とかに出くわしたらまずいじゃん。

 

 僕たちのいる階は、前回と同じ。

 地下牢獄がテーマと思われる、石造りみたいな壁。

 松明を模した、赤く暗い灯り。

 アルコオブ(壁のひっこみ)には、中世騎士の鎧兜や、「鋼鉄の処女」の拷問具。

 二人で肩を寄せ合い、エレベータホールにたどりつく。自販機があり、さまざまな性具のラインナップに僕は目を惹かれる。飲み物の自販機もあるにはあるが、5、6本くらい缶ビールが売ってるだけのスリムですごく古い自販機。あまりピンとこない。

 ただ、自販機の横に「その他の飲み物と軽食は3階の娯楽室にあり〼」と張り紙がある。ルームサービスとか自販機の選択肢が限られてる代わりに娯楽室で提供する形式なのかな。

 

「ねえ志野。これ」

 

「──行ってみるか?」

 

 僕たちの部屋は半地下室の1階。

 エレベータを呼び、3階に上がった。

 

「すごいじゃない」

 

「ああ」

 

 僕たちの部屋の階が薄暗い地下牢獄だとすると、ここは亜熱帯の夜の森って感じか。

 本物みたいに思える蔦が壁を這い、ちょっと湿った暖かい空気が身を包む。

 あまりうるさすぎない、熱帯の森のサウンドトラックみたいなのがかけてある。

 巨大な極彩色の蝶や蜻蛉(正直、見たこともない大きさ)や蛇の標本が、生きたように配置されている。

 

 それだけだとテーマパークみたいで楽しいんだろうけど。ただ、やっぱり頭のおかしいオーナーによって食人族か何かのモチーフが見え隠れしている。

 壁のアルコーブには、かまゆでに使うであろう大なべや、人間を串焼きにした後のような体裁の白骨遺体の模型。

 

「娯楽室って、あれね?」

 

 光が漏れている部屋がある。もっとも、ほとんど闇に近い中では明るい、というだけで、相当に抑えた照明だ。

 ずんずんと進む調布を追って、中に入る。

 

「ようこそいらっしゃいました」

 

 バーになってる。公園側にテラスもあり、開放感を持たせた作り。

 小柄な、やはりマスクをしたバーテンダーが丁重に挨拶してくれる。あ、女性の声だ。

 

「ありがとう、──何ができるのかしら?」

 

「こちらをどうぞ」

 

 メニューを眺める。

 

「(ねえ、──もしかして、これいく?)」

 

「(いっとく)」

 

 僕はシンガポールスリングを、彼女はブルーハワイを頼む。どきどきしながら平静を装って注文したが、年齢確認はされなかった。

(まあ場所が場所だからなー。でも警察とかに、睨まれたりしないのかな。)

 

 隅っこにあるテーブルに付き、薄暗めの照明に目が慣らしながらまばらな客を観察する。

 もちろんカップルばかり、数組だけ。

 

 奥の方のビリヤード台では、ちょっと若い感じのカップルがそこだけ明るい照明のもとで玉を衝いてる。

 それ以外には、暗がりに数組。

 僕たち以外のカップルのほとんども、目元を隠すマスクをしている。それがどうやら暗黙の了解ってことみたいだ。

 カップルの中には向かい合って粛々とグラスを挙げているのもいれば、隣接するスツールに腰かけてお互いべたべた体を触りあっているのもいる。

 

 バーテンダーさんが注文したものを僕たちの席まで運んできてくれた。

 僕たちは、そっとグラスを触れ合わせる。あまり声を潜めなくても、他の客に声は聞こえないだろう。

 

「君の瞳に、乾杯」

 

「もう!キャラ考えなさい鳥肌立つわよ、──乾杯」

 

 怒られたが調布はまんざらでもなさそう。上機嫌そうにグラスを上げた。

 

「軽食も取れるみたい。取らない?」

 

「そうだなー」

 

 確かに夕方のマック以降、何も食べてない。いっとくか。

 相談して、こわごわとサンドイッチとサラダとパスタを頼む。値段は穏当。

 注文してほどなく、サンドイッチとサラダが運ばれてきた。パスタは、本格的にゆでるみたいで時間がかかるそうだ。

 

「美味しいわね、これ」

 

「ああ、悪くない」

 

 マスタードが効いたサンドイッチが美味しい。調布としばらく、無言で食べる。

 ときどき目を上げて調布を見ると、仮面越しに調布も僕を見ていて、どきっとする。

 仮面越しでもわかる、鼻筋がとおった怜悧な容貌。すごくシンプルな服の上からも分かる、アスリート系の魅力的な肢体。なんとなく彼女を伴っていることに、僕は晴れがましいような優越感を抱く。

 

「そうだ調布、家は大丈夫か?」

 

「あ、それ。ごめん、泊れないけど、日付変わるまでに帰りさえすれば大丈夫。

 カゴちゃん、ほらあのちょっとヤンキーなバイクの子のとこに行くって話してあるの。中学生のころも何回かあったし、カゴちゃんにも口裏合わせ済み」

 

「マジかよ」「ふふ」

 

 不良娘の調布を、懲らしめねばならない、と僕は決心する。

 だから僕も調布と、一緒にいたい。──日付変わるまでかー、大丈夫かな?

 

「貴方は?」

 

「うーん、遅くなってもいい、何なら泊ってもいい、って言われてはいるんだが」

 

「無理しなくていい。だって来週、外泊になるでしょう?竜神のとき。

 それに今日は、あたしも泊りは無理だし」

 

「後で電話してみるよ」

 

「室内の電話だと番号でバレたりしないかしら。清算も面倒だし、公衆電話、使う?」

 

 そんな話をしながらちびちびとカクテルを飲み、アボカドの入った、異国的な風味のコブサラダをつつく。

 パスタが来る。海老と青梗菜入りのクリームパスタだ。

 どうでもいいようなことを言い合いながらパスタを巻き取り、サラダを刺して食べる。カクテルが美味しい。

 サラダの海老がなくなったあたりで、調布が少し声を潜めて問いかけてきた。

 

「(ねえ、気になることがいくつかあるけど。部屋に戻ってからのほうがいいかしら)」

 

「(おう?秘密なことか?)」

 

「(そうじゃない。あなた、色々私たちに言ってなかったことがあるみたいじゃない)」

 

 あ、やばっ。有明りなのことがバレたかな、と思ったが、そうではないらしい。

 調布は例の「角猿」について気になっていたらしい。

 

「(角猿。角よね。それって、本当の角?)」

 

「(というと?)」

 

 彼女曰く、一度小学生のころに「鬼の研究」と称して、頭に角のある人間が存在しないのか、もっといえばなぜ霊長類に角がないのかを自由研究で調べたことがあったという。

 すごく大まかにいえば、霊長類、特に大型類人猿は脳の容量が大きいし、脳はデリケートな器官でもある。だから鹿やサイのように頭をぶつけて戦うような戦い方をしないし、解剖学的に頭部に角を持つのは非効率だし無意味だということらしいんだ。

 だから昔話の「鬼」も、仮にそのようなものがいたとしたら、角ではない何かなのではないか。髪を何かの整髪料のようなもので固めてそう見せてたのではないか、というのが小学生の彼女の結論だったそうだ。

 ──すごいな小学生調布。高校生の僕より頭いいんじゃないか。聖飢○Ⅱの某閣下のヘアスタイル、たしかに中世人が前提知識抜きで見ると鬼か悪魔だもんな、──いや閣下は本当に悪魔なんだっけ?

 

「(飾りで泥で固めてた。あるいは、──冠毛とか?)」

 

「(あとは頭部に何かが刺さった、あるいは被り物の王冠とかだな。

 それとも、──未知の寄生虫)」

 

 僕はそう答えて。ふと自分の言葉に、ひっかかりを覚えた。

 ふたたび怪老人のことを思いだしたんだ*1

 角のようなものがある猿が、本当にいたとしよう。

 その猿は、角によっておそるべき知能や邪悪さと、力と、長い寿命を備え、人喰いを行った。そして鎮西八郎為朝に討伐された。

 猿と人はともに類人猿で、共通点は多い。

 猿に角を生やすに至った、その原因。その原因が、人間にも共通して応用できるものだとしたら。

 

「(ねえ、角って、猿の知能上昇の原因?結果?

 原因なら、何か脳に影響するものなのよね。

 結果なら、正体は泥の整髪料とか王冠ってことになりそう。飾るような知恵がついたってことよね)」

 

「(角で知能が上がる原因、なんてものあるか?)」

 

「(角猿は、討伐されたのよね。死体も改めたはず。王冠とかの人工物なら、そう伝承に残るはず。

 頭に何か棒が突き刺さった?ロボトミー手術みたいな感じで、それが脳に影響した?

 ──ありえなくはない。でも可能性はかなり低いんじゃないかしら。そんなことがあれば、知能は低下するわよね。でも上がったんでしょう、その猿?

 ──とすると。)」

 

「(──寄生虫か)」

 

 僕と調布の視線が、交わる。

 

「(ねえ、ある種の寄生虫って宿主を操るって聞いたことがある。知能が上がるかどうかは知らないけど)」

 

「(調布。悪いが、今度調べたい。時間をくれ)」

 

「(あたりき車力。竜神のアレまでは、あたしもこっちに残るし、時間ある)」

 

「(助かる)」

 

 ごはん食べながら交わす話題ではないが、──調布と話せてよかったかもしれない。

 最後の数筋のパスタをくるくると巻いて、口に入れる調布。

 僕もそれに合わせて食べる。皿の上は片付いた。

 

 お互いに、またグラスを手に取る。青いカクテルの入ったグラスを傾ける調布の、白い喉の動きがひどくなまめかしい。

 僕がグラスに口を付けずにじっとみつめているのに気づいた調布が、軽く口角を上げる。

 

「どうしたのよ。──ちょっと、外を見てみない?」

 

「いいな」

 

 僕たちはバーテンダーに会釈して、テラスに出た。ふたりで、手すりにひじをかけて眺める。

 テラスは、例のアステロイドプラザの北側にある公園側に面している。目の前には、砦山の北側に続く丘。

 月の光に照らされた、いつもと違う髪型の調布にどきどきする。肩を抱き寄せるが、調布は拒まない。──キスをする。調布も応えて、目を閉じて舌を絡ませてくる。調布が欲しい。もっと、いろいろ。──続きをしたい。

 唇を放す。

 声を潜めて、アルコールで少し赤くなってる形のよい耳にささやく。

 

「(なあ、調布。ちょっと続き、いいか?)」

 

「(あら、お話の続きじゃなさそうね?)」

 

 身を離すと調布が、ニヤッと笑った。OKってことだよな?よしっ。

 

 ──────

 

 しばらく調布の肩を抱いててアレを勃ててしまった僕は、席に戻って調布とグラスを干し、清算をする。

 ごく穏当な値段だが、調布は僕に払わせて悪いと思ってるみたいだ。

 

「(後で清算する)」

 

「(後で、体で清算してほしい)」

 

「(馬鹿!──いいわよ)」

 

 頭が茹ってまさしく馬鹿ップルそのものの会話を交わしながら、僕たちは階段を降りる。

 1階のフロント近くにある公衆電話で僕は家に電話し、少し遅くなると告げた。ちょっと怒られたが、泊まらず帰るというと許してもらえた。

 

 中世の地下牢獄を思わせる僕たちの階まで、階段を降りて戻る。それまでの各階を軽く調布と覗いてみたが、テーマがそれぞれ違うみたいだ。

 純和風なフロアとか、中華風のフロアとか、近未来ディストピアSF風なフロアとか。一種のテーマパークだな。

 ただしどの階も、しっかりと頭のおかしいオーナーの趣味が反映されている。

 3階にはバーがあったが、他の階にも特色ある設備があるみたいだ。2階には図書ルームみたいなのがあり、それはそれは多様な艶本があった。

 1階にはコインランドリーとともに、下着やコスプレ衣装の販売所みたいなものも。

 地下1階にはそういったものがないのも、このフロアが安い一つの要因だろうか。

 

 いったん客室に戻り、分厚い防音扉を閉める。

 調布はベッドに腰かけ、少しそわそわした風情。マスクはもうはずしてる。

 僕はマスクをつけたまま前に立って、その調布を見下ろした。

 

「ねえ、志野。先にお風呂入る?」

 

「後でいい。いや、後がいい」

 

「結構、汗かいてるかもしれないんだけど」

 

「それがいい。舐めたい」

 

「変態。──まあ、あたしはあんたの玩具だし。好きにすれば?

 それで。志野先生、最初はどうすればいいんですか?」

 

 調布がジト目になりつつ、僕を見上げてまたロールプレイをしかけてきた。

 

「そうだな。──まず、調布君にはちょっといろいろ清算したり、償ってもらわないといけないな」

 

 僕はこの部屋の設備に目を向ける。

 この前、調布と一緒に入ったときの部屋とは別の部屋。設備も違う。

 

 部屋の居室はL字型というのだろうか、「L」の字の右上の空白部分が広めのバスルームになっている。

(部屋自体は四角い形だけど、右上部分がトイレとお風呂のユニットってことね。)

 「L」の字の一方の枝にベッドや小さい設備があり、他方の少し長い枝に本格的な拷問具が設置された活動スペース(?)。

 だからこの客室、一般的なその目的のホテルより面積も広いしメンテとかの手間もかかるはず。採算採れるんだろうか。

 

「あの梯子。きっと括りつけて色々するのよね。──やってみたい?」

 

 調布の言葉に、活動スペースの奥の壁に、梯子のようなものがあるのに気づいた。

 いわゆる園芸三脚に近い形状で、上の幅は細く、下の幅が広い。全体に三角形。

 今は壁沿いにぴたっと寄せてあるが、梯子の上の方が壁に固定されていて、下の方はずるずる引き出して任意の傾斜がつけられるみたいだ。

 もちろん、調布をくくりつけて色々やってみたい。

 

「それと。その台は、──台よね。仰向けかしら、うつ伏せかしら」

 

 腰よりすこし低いくらいの頑丈そうな木の台。高さは、調節できるみたいだ。

 よく磨き込まれて、鈍く黒光りしている。

 丸い金属の円環や金属の補強がついていて、おそらくはそこに手足を縛りつけたり付属装置を付けたりできるのだろう。

 ただそうした拘束用金具や付属品用のパーツがついてるだけで、基本的には汎用性の高い形状。調布のいうように、伏せるように拘束して後ろからいろいろやってもいいし、あおむけにブリッジさせるようにして拘束することもできそうだ。

 もちろん調布をこれに身動き一つできないように拘束して、様々なことをしてみたい。

 

「さっき、ハルカがぶらさがってたアレ。いろいろパーツが組合せられそうね。

 それに天井には金属の輪。ベッドでも、そっちのスペースの天井からもいけそう

 それに前泊った部屋にはなかったわね、この道具棚。何に使うのかしら」

 

 さっき国領が騒ぎながら体操の練習みたいなことをやってた、ぶらさがり健康器ににた、でもおそらくもっと陰惨な用途の備品。

 それ以外に、ベッドの天井にも、スペースの天井自体にも金属の頑丈なリングがある。ここからぶら下げたりできるんだろうな。

 そして調布が言うように、前のときの部屋にはなかった割と大型の道具棚があり、鋼鉄の黒光りする禍々しい器具が置いてある。一見しただけでは使い方が分からないけど、拘束具のようにも思える。あの台と組み合わせるのかもしれない。

 どれもいい。調布を剥いて、ぶら下げて、あるいは拘束してめちゃくちゃに打ち据えたい。

 

「それに。

 あたし、みなりから聞いた。あの子、次のステップに進んだそうじゃない。すごく自慢げだったわよ。

 あたしだけじゃない、まだ進んでないのって!」

 

 ん?何の話だろう。次のステップって、と僕は思った。

 

「その。まだよね?──ほら、後ろとか外とか」

 

 調布は口ごもったが、僕は言わんとするところを察知した。ほら僕、鈍感系じゃないし。

 つまり、紫藤は自分が受けたプレイの詳細をすぐ調布に通報したってことだな。輪ゴムで手首括られちゃったよー、とか。こいつらの間では情報だだ洩れって考えた方がいいな。

 僕は、あのかわいい紫藤の顔を思い浮かべ。

 今度機会があったらこんこんと説教しながら折檻してやろう、と決意した。

 

「そこはもう、しっかりと研究開発(Research & Development)してやろうじゃないか」

 

「怖いです先生」

 

 棒読みで調布は言った。すました顔をしているが、耳が少し赤い。

 そしていろいろと彼女を研究開発するべく、僕は調布に命じて活動スペースに移動させたのだった。

 

 ──────

 

 デリケートな部分に挿し入れて使ったりするグッズは、備品もなくはないが基本は物販になっているみたいだ。

 僕は一度エレベータホールに向かい、オーナーの嗜癖のせいで飲料よりもはるかに充実している性具の自販機の前で妄想に頭をピンク色にしながら、いくつかを選定して購入した。

 いそいそと部屋に戻る。髪を落ち着かないように触りながら立ち尽くす調布の手首に革手錠を嵌め、とりあえずは天井の金属のリングに吊り具を固定し、両手で天井から吊り下げるような姿勢にした。ただし、まだ服は脱がせてないし、足も床についてる。

 

 白い丈夫なコットンシャツのボタンを外していく。調布が恥ずかしいのか、顔を逸らす。

 タンクトップの下にはスポブラが盛り上がっている。もちろん触る。

 そして、下だな。ごく普通の濃紺のジーンズは、ぱつぱつに張っている。

 前のボタンをはずし、ジッパーを降ろす。そしてジーンズの腰のあたりに指を入れると、調布が体をくねらせた。くすぐったいみたいだ。

 

「──ねえ志野、わざとやってる?」

 

「だとしても文句は言えないよなー、調布君」

 

 ふん、といわんばかりに調布がそっぽを向いた。僕はかまわずジーンズを太腿に降ろし、そして足先までひきさげた。

 解放された下半身から、ふわっと熱とさわやかな匂いが感じられた。汗もかいてるだろうけど、もちろん嗅ぐ。

 

「意地悪!」

 

「よいではないかよいではないか」

 

 くんくん、とわざとらしく嗅ぎまわってみせる。ふくらはぎあたりから、ひざの裏、そして股間のあたりまで。

 下着は、例のサイドが紐というかリボンになった、すごく挑発的なやつだ。

 このまま楽しみたい気もするし、剥いてしまって色々したい気もする。

(ほら、もちろん服を全部脱がせるとすごい興奮するけど、脱がしかけで上はシャツで下は下着だけ、って興奮するよね?)

 とりあえずいやらしくナデナデと撫でてみると、調布が器用に膝を曲げて足で僕を遠ざけるように押しやってきた。けしからん。

 

「何をする?──罰だな」

 

「先生は変態です。これは自衛です」

 

 ほほう。どうやら調布は今日は先生・生徒プレイにつきあってくれるみたいだ。

 1階のコスプレ衣装スペースで何か借りてくればよかったかな、とちらっと思ったが、目の前の調布を早く責めたい気が勝った。

 壁にある鞭の一つを手に取る。長い一本鞭。

 この手の鞭、マジで振ると先端は音速を超えたりすると聞く。強く当たりすぎないようにせねば。

 

「変態先生、もしかするとあたしに、──くっ!」

 

 ピシッ、といい音を立てて鞭が調布の太腿の裏を打ち。調布がぐっと背をそらして硬直した。

 

「──ひどいです先生」

 

「ほらほら、悪いことをしたらなんというんだ?」

 

 鞭を振り上げ、こんどは服の上から背中を打った。

 

「悪いことなんて、んむっ!」

 

 返す鞭で、胸のあたりを打つとびくっと身を震わせて、怨ずるような目でこちらを見た。いい反応だ。

 僕は愉悦を目に浮かべたまま、調布のいかにも俊足そうな、しっかりしたふくらはぎを狙って鞭を振った。

 

 ──────

 

 数分後。調布の肢には、赤い筋が鮮やかだ。

 調布は最初は声を押さえていたが、そのうち悲鳴を上げてくれるようになった。

 打たれるごとに身を反らし、あるいは身を折り、膝を上げて鞭から逃げようと惑ってくれる。

 下劣なことに、僕はその調布の姿に背中にゾクゾクと快感が走るのを覚えた。

 

「──止めて、先生。もう逆らいませんっ!」

 

「本当だろうな」

 

 最後は思わず強めに振ってしまったけど、大丈夫だろうか。

 近寄って、白い太腿に走る赤い筋を指でなぞった。

 

「はい。先生が変態の豚野郎だってこと、誰にもいいません」

 

 全然へこたれてないじゃないか。

 僕は無言で調布の腿をわしづかみにして力を込めた。爪を食いこませる。んんっ、と苦痛を耐える声。

 

「それじゃあ、その豚にこれからされることも、誰にも言っちゃだめだよ?」

 

「──はい」

 

 ──じゃあ、一度降ろしてあげようか。

 そしてそこに立って腕を上げるんだ。そう、服を脱がせるからな。

 

 そう言い聞かせ、調布のシャツとタンクトップを脱がせる。シャツ、タンクトップと1枚ずつ。鼓動が高まる。

 上はブラだけ、下は下着だけ。この姿もいいんだけどな。僕はじろじろと腕を上に上げたまま俯く調布を眺めまわし、その映像を脳内フォルダに収めた。

 スポブラを脱がせる。調布はスポブラを外されると腕を下げ、盛り上がる白い乳房を軽く持ちあげるように、その下で腕を組んで見せた。

 挑発するかのように胸を張ると、僕の大好きな形のいい胸が強調される。

 紫藤より少し突き出た先端をつまんで、目を調布の目と合わせた。目を覗きこんだまま、わずかに力を入れるが、調布は怯まず睨み返してくる。

 ならば、と下から胸の出っ張りを持ちあげたり、指でわしづかみにしてみたりする。調布の場合、あんまりふよふよでなくて食い込ませた指を押し返す弾力がある。調布は動じない。

 

「──豚先生。それ、セクハラだと思います!」

 

 乳首の先端を指でしつこく撫でるというか、軽く押してつぶすことを繰り返し、それに応えるように乳首が固くなってきたように感じたとき、調布がたまりかねたようにそう発言した。

 

「ぶひひ、すみませんねえ」

 

 僕は腹の中で後で泣かすぞと思いながら指を調布の乳首から放し。下着のリボンに手を移した。

 これって解くのか、脱がせるのか。僕は一応、脱がせることを選ぶ。

 長い肢を通すと、調布はおとなしく片足ずつ上げて下着を通してくれた。

 さて、次はどうするかな。脱がせた下着を押収した衣類の山に加え。僕は血走った目を棚に走らせた。

 

*1
前に一度、角猿と怪老人の共通点に思いが至ったことがある(第249話)。

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