※この作品はR-18です。

タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。   作:Marchhatter

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ご感想を頂きました。ありがとうございました!
ちょっと粗が多いかもしれないα版です。また変なところは修正します。
少しだけ不適切な描写があります。閲覧時にはご注意ください。


64 傾斜に逆らって進む(6)(紫、一部三人称)☆

 

 ヤツザキグループの担当者の面接を受ける。そして、健康診断も受ける。

 そう聞かされた。

 すごく急な話ではあるが、望むところだ。

 わたしのやる気をアピールして、絶対に奨学生になる!

 そしてお母さんに最高の治療をしてもらうんだ。

 

 面接は、市内のグループの医療研究施設で行われた。

 思ったより、面接はかなりあっさり終わった。

 二人組の担当者の面接。土曜日午後って、多分残業だよね。ごめんなさい。

 小柄な、年かさの男の人と、若手のちょっと疲れ気味の男の人が面接官。

 志望の理由とかを聞かれて、ありのままを正直に答える。

 若い方の男の人が、お母さんを助けたいんですって答えたとき、ちょっと涙ぐんでいた。 

 うん、この人の心は獲った!

 

 ただ、小柄な年かさの男の人の方は、良くわからない。

 だいたい、なんか人間っぽくないんだ。

 目線がほとんど動かない。じいっと見てるようだけど、瞳孔が開いてるような。

 スケベな男の人みたいに、体をみてくるってわけでもない。

 精密な人形かアンドロイドみたい、と思ってしまった。

 だけど、ちゃんと質問もしてくる。普通の質問に混ざって、よくわからない質問もあったけど、丁寧に答えた。

 口は堅いか、エビやカニは大丈夫か、とか、幽霊とか怖いものに耐性はあるか、貧血になったりしないか、とか。

 全部、大丈夫って答えた。それ以外もあったけど、そんな変なことは答えてないと思うんだけどな。

 

 むしろ健康診断が、長かった。今まで受けたことのないような、変わったのもあった。

 精神の安定度を測るとか言ってたけど、決まった時間でひたすら数字を足していく試験とか。

 インクの染みが、何に見えますか、って試験もあった。うん、猫の顔って答えたよ。

 あと、実のなる木を書く試験とか。美術部のさとみんだったら、きれいにかけただろうけどな。漫画に出てくる木みたいになっちゃった。

 

 胸囲の測定もあったけど、やっぱり一番恥ずかしかったのが、その、たぶん産婦人科の診察台だよね。

 あれに足を開いて乗って、あそこをチェックされたこと。

 やるって聞かされて、固まっちゃったよ。

 もちろん、必要以上にじろじろ見る、って感じじゃなくて、お医者さんがさっと指で広げてライトを当ててチェックしただけだけど、心構えができてなくて泣きそうになった。あんまりだ。

 下着も、ボロボロじゃなかったかな。うう、心配だ。

 性病チェックという可能性も一応ないわけじゃないけど、おそらく処女かどうかのチェックだ。たぶんまちがいない。

 やっぱり、夜伽ありなんだろうか。それは嫌だ。

 90歳すぎのおじいさんにも、性欲があるのか。

 聞いてみて、もし夜伽ありだったら、断ろう。

 

 そう思って、最後に何か質問はありませんか、と健康診断を含めたその日のすべての調査予定が終わって聞かれたときに、ほかの質問といっしょに、思い切ってそれも聞いてみた。

 若い方の人は、吹いてたな。

 そんなこと、ない、ないっす!よね?ーー、って、年かさの人に聞いてた。

 こっちの年かさの人の方が、決定権限があるみたいだ。

 年かさの方の人は、驚かなかったが、不思議な、口の端だけを引き上げるような笑みを浮かべてた。そして、そんなことはありません、と答えた。

 嘘をついている気配はなかったから、少し、安心した。

 でも、本当は安心なんかできないよね。夜伽あります、なんて答えるはずないし、この人がすべて知っているわけでもないだろうし。

 もし。だけど。

 そういうことになったら、どんなことがあってもやめたい気がする。

 断ったらどうなるかわかってるんだろうな、と言われて体を差し出すなんて。イヤだ。

 ああ、でも。ーーお母さんの治療。千里の夢。大学への進学。志野くんへの恩返し。

 心が揺れる。

 わたしはお金に揺らぐ、汚い、打算的な女だ。

 お金で体を売るのかどうか、ちょっとでも考えてるなんて。

 

 心は、まだ決まってないけど。

 せめてもの、贖罪。

 志野くんに、先に抱いてもらおう。学期末までに。

 それは約束もしたし、大丈夫だろう。

 そう、志野くん。

 奨学生の採用期間は聞いてない。学校にも通わせてもらえる、って聞いてる。

 だけど、勤務先はかなり遠い。転校はあるんですか、と聞いたら、可能性はあります、と言っていた。

 志野くんと、別れ別れになる?

 でも断れば、お母さんと、千里が。

 奨学生になったら、志野くんへの裏切りになる、のだろうか。

 だけど今生の別れじゃない。

 給金ももらえるはず。土日は、必ず志野くんに会いに行けばいい。

 志野くんも、奨学生の話を聞いたら、頑張れって言ってたし。

 そう、希望と不安のないまぜで揺れる心を抱えて、わたしは面接試験を終え、お父さんと帰路についた。

 

 ーーーーー

 

 お父さんは自動車を運転する。よくわからない外国車。

 あのドラ○もん女の吸うようなたばこの臭いがする。

 

 「よし、今日はよくがんばった。」

 

 珍しく、お褒めの言葉。

 

 「ありがとうございます。お父様。」

 

 「それでだな。ーーあの見舞いに来てた同級生だとかいう女子生徒。あれは、お前の友達だな?」

 

 「はい。」

 

 さとみんのことだ。

 不安に、胸がきゅっと痛くなった。

 

 「家に呼んだりできるか?何、いいお友達だと思ってな。」

 

 心臓がどくどくする。重力が強い、心臓が重たい。

 

 「わかりません。ちょっと、忙しい人なので。学校の役職についてて、ーー」

 

 さとみんが、忙しそうなのは確かだ。

 

 「わかってるだろうな?この話、進むも壊れるも俺の一存だ。」

 

 こっちに向きなおる。お父さん、一瞬だけど前がお留守だ!運転中だよ!?

 

 「はい、お父様。」

 

 「何を心配している?襲ったりなどするものか。ただ、娘の友達と話がしてみたい、それだけだ。」

 

 「はい、お父様。」

 

 「まあ忙しいというのなら、急ぎはしない、だが考えておけ。」

 

 ああ、さとみん。

 お父さんがさとみんに興味を持ってる。それって。

 ーー体に関心がある。

 わたしの貧弱な想像力じゃ、それ以外に考えられないよ。

 

 さとみんは、立派な体してるからね。

 決して、女の子の理想みたいな、ほっそりしたお姫様タイプなんかじゃないけど。

 手足はしっかりのびやかで、腹筋も薄く浮いてて。胸も巨乳じゃないけど結構あって突き出てて、おしりも大きくて、でもしっかりウェストは細くくびれてて。

 白い肌と合わせて、大理石の彫像みたいだと思ったことがある。

 さとみんを家に呼んだりしたら。

 お父さんに、この人の皮をかぶった獣に、さとみんを餌食として差し出したりすることにならないだろうか。

 お父さんは、まあ心配するな、と含み笑いをしているけど、不安だ。

 

 「採用、されるでしょうか。」

 

 それ以上その話をしたくなくて、話をそらした。

 本当に採否が不安だったのもあるけど。

 

 「まあ、大丈夫だろう。先方はお前を気に入っているみたいだった。」

 

 「聞いたのですか?」

 

 面接が終わって、お父さんだけ呼ばれたっけ。

 あ、一言二言だけ、会話を交わしてたけど、あれで?

 

 「あの2人の面接官のうち、チビの方。あれは、俺の兄だ。」

 

 衝撃の事実。

 似てない。

 

 「似てない、と思っただろう?よくそう言われたものだ。」

 

 父親が違う、とかのからかいが、あったんだろうな。似てないことで。

 想像がつく。

 真面目な、小柄なおとなしい兄と、大柄で乱暴者の弟。

 仲はよかったんだろうか。悪かったんだろうか。

 

 「まあいい、外からはわかりにくいが、あれは気に入ったんだろう。」

 

 最近は、ますますわかりにくくなってるけどな、まるで人形みたいだ、とつぶやいてる。

 決まるのは、うれしい。

 でも志野くんと別れることになるとしたら、やだ。

 一生の別れになんか、するつもりはない。でも、毎日会えないと思うだけで、心がしょんぼりしてしまう。

 すごく遠いだろうけど、通えないかな。ダメだろうか。

 羽立毛市内から通ってる子、いたような気がするんだけどな。

 まあ、悩むのは採用が決まってからだ!

 

 ーーーーー

 

 夜。

 お父さんに食事を出す。膝の上に座らされ、胸を触られたが、それ以上のことはしてこなかった。

 ドラ○もん女が来るまでは。

 

 「みなりちゃぁぁん、きいたわよぉ。」

 

 目をぎらぎらさせてる。怒り?喜び?よくわからない。

 ろくでもないことをわたしにしようとしていることだけは、わかる。

 仕方なく、挨拶をする。まあそれでとがめられなくても、別のことでとがめられるんだろうけど。

 

 「ひさしぶりだったからねー。」

 

 「昨日ぶりだろう。」

 

 お父さんがツッコミを入れる。

 昨日は、立位体前屈の姿勢で、手首と足首とを繋がれた。

 もちろん姿勢を崩せないように、足をまっすぐにのばした状態で拘束する例のパイプ付きで。

 数分もしないうちに限界が来たよ。限界が来てからも延々と続いた。死にそうだった。

 蝋燭も垂らされた。でも、もうそれどころじゃなかったな。

 お父さんたちは少し不満気なようすだった。もう少し動きがあるほうがよかったんだろう。

 ということは。

 不吉な予感しかしない。

 

 「きょうはぁ、みなりちゃんのお祝いにぃ!」

 

 「なんだ。」

 

 「この縄を渡ってもらおうかとぉ!」

 

 「ほほう、新しい趣向だな。だが、結べるか?」

 

 麻がなにかの、使い込まれたようなロープだ。

 ところどころに、結び目のこぶがついてる。

 渡るって。綱渡りじゃないよね。

 

 「こことぉ、ここに結ぶとぉ!」

 

 「おお、そうできるか。」

 

 部屋の隅から隅に、腰の高さより少し高めに張られたロープ。

 うん、なんとなく、何をやるかわかったよ。

 どんなことしてでも、わたしをいじめて、泣く顔をみたいんだな。

 

 「そのスカートは、邪魔だろう。」

 

 「きょうはぁ!ぐっとアダルトにぃ、フルオープン!」

 

 ろくでなし野郎どもめ。

 お父さんの目がぎらぎらし始めてる。

 脂肪女の目は、最初からだけど。

 

 「ああ、でもな。セミオープンにしとけ。」

 

 「なぁんでぇ?あ、もしかするとぉ?」

 

 「そういうことだ。」

 

 何がわかったのかわからないが、あうんの呼吸。

 お仲がよろしいことで。

 

 私は何もわからないままに、志野くんに買ってもらったお気に入りの黒いキュロットスカートを脱がされ。

 お父さんに抱きかかえられて、結び目のこぶのいっぱいついた、ロープを跨がされる。

 ロープが、下着越しだけど、きりきりと食い入る。腕は背中で縛られた。足首にも、動けないほどじゃないけれど、独力でロープを跨ぎ直して逃げられないよう、重りが結えられた。

 これで、歩く?

 歩くって、ーー擦れる。

 ああ。

 痛くはないけど、恥ずかしい。

 いや、擦られているうちに、痛くなるのかな。

 あと、ロープの結び目のこぶを越えるときに、その、そこに当たるんだな。下着越しだけど。

 まあいい、歩くしかない。

 そうだ。志野くん。

 志野くんのことを考えればいい。

 するとすこし、じわっと濡れてきた。

 

 ーーーーー

 

 「昨日と今日と、いまいちだったな。」

 

 「濡らすなんてぇ、いやらしい子!」

 

 今回は痛くなかったからわたしが泣かないし、むしろ志野くんのことを考えて濡らしてしまったことを見咎められて、縄を挟んで歩くのは、終わりになった。

 思ったような反応が得られなくて不満だったらしい。だから、ベルトでわたしを打って苦痛を与える方向に転換。

 ひとしきり背中や太腿にベルトを振るわれたわたしが身をよじりながら縄の上を逃げ惑い、限界を迎えてぐったりすると、満足した二人は夜の中に消えていった。

 

 うん、振るわれるベルトも、目をつぶって志野くんの愛の鞭だと思うと。

 たいしたことない。いや、むしろ快感だったんだよ。

 いつか志野くんにも、くすぐりなんかじゃなくて、ちゃんと打ち据えてもらおう。

 そう思うと、ぞくっとして、また濡れるのを感じた。

 想像する。

 裏切りへの怒りに燃える目で、わたしに鞭を振るい、苦痛の頂点に追い詰めていく志野くん。

 うん、いい。

 でもなー。志野くんは、そういう人じゃないんだよ。

 外見はクールに見えるけど。実際はなー。

 すこし脚をみせただけで、あそこが膨らんじゃって。

 立ち上がれなくなって、わたしに気付かれないようにあせあせしてる純情少年だからなー。

 そんなこと頼んだら、鼻血ブーだよ、きっと。

 

 うん、志野くんは、千里の変態さを少しだけ見習ってもいい。すこしだけ。

 ほら、二人がいなくなったのをいち早く感づいて。

 降りてきて、ロープ渡りの体勢のまま、逃げられなくてぐったりしてるわたしをじろじろとみて。

 さっそくポークビ○ツをいじってるじゃないか。ここまでくると天晴れだ。

 早くこのロープをほどきなさい。ちがう、引き上げるんじゃなくて!

 

 ーーーーー

 

 千里にロープを解き、拘束をほどいてもらって、部屋着を着た。

 やっぱり疲れている。あまりロープが食い入らないように、重りを引きずりながらもつま先立ちで歩かないといけなかったから、またふくらはぎが筋肉痛かな。

 

 「千里、明日は学校ないんでしょ。お母さんに会いに行く?」

 

 「うん。」

 

 わたしたちは質素な夕ごはんを食べる。お母さんが前、アルバイト先からもらってきてくれた冷凍のめざしやししゃもも、もうなくなってきたな。買っといた大根も、この味噌汁で最後だ。

 志野くんからのお金がまだある。明日、スーパーのコブタヤと八百屋さんに行かなきゃ。

 

 「もう少ししたら、ちゃんとしたものが食べられるようになるからね、千里。」

 

 「ーーみなり姉、『売り』するの?」

 

 「ばっ、ーー!そんなわけないじゃない!」

 

 あ、でももしかすると奨学生は、それと似たことになる可能性もあるのか。ないと信じたいけど。

 

 「違うからね!お姉ちゃんをなんだと思ってるの?」

 

 「いたぶられてよく濡らしてる淫乱。ちなみに公園でのっぽの兄ちゃんにキスで舌入れられて喜んでる。」

 

 「ちがーうー!覚えときなさいよ!」

 

 ぐう、最近は戦績が悪いな。

 

 「そういう千里は?」

 

 「うーん。まあ。そこそこ?」

 

 なんか決まり悪げに頭を掻いている。

 なんか、ロマンスの気配?

 うん、いいことだ。もしそうだとしたら、応援してあげよう。

 

 きっとお姉ちゃん、奨学生になったら。千里も大丈夫にしてあげられるよ。お父さんとも、距離を置ける。

 そのためなら。多少なら、セクハラも我慢する。

 でも本当にヤられるのは、やっぱり、いやだ。

 そういうことになったら、逃げだそう。

 千里には悪いけど、その時は公立に行ってもらうしかないかも。

 でも、一応今の学校で受けられる奨学金も探しててもらおう。

 お母さんの治療費と生活費は、わたしのバイトでなんとかしよう。手続きとれば月いくら以上はかからない、って先生はいってたかな。

 まあいい、今日は疲れた。お風呂でゆっくり考えよう。

 

 ーーーーー

 

 少年は、今日も後ろめたい快感に浸った。

 あの継父と、継父の情婦らしいむちむちした女とがやって来ているときには、たいてい彼の姉が手酷く苛められる。

 おおむね、土曜日が多い。

 彼らの、少年の姉に対する行為は、もはや拷問とも呼べるようなもので。

 

 昨夜も、海老責めとおそらく江戸時代には呼ばれたものに近い責めを受けていた。

 体を屈曲させ、折り曲げた状態で縛り付ける。

 見た目は地味だが、屈強な悪人でも自白に追い込むくらいの恐るべき苦痛を与えるものだと、少年は歴史書を読んで知っていた。

 少年の姉が受けていた責めは、それより苛酷にすら見える。

 その姉の苦痛で浮いた額の汗に、乱れる髪が絡みつく様子が、少年にはとても美しく思えた。

 母が倒れたことによる不安はあったが。いや、あったからこそ、その不安を紛らすべく。

 もちろん、抜いた。

 

 そして今夜。

 姉はやはりいたぶられて、今日は張られた縄に力なく股を責められた状態で項垂れていた。

 結び目のついた縄をみて、聡い少年は、すぐに状況を理解した。

 無惨美。

 彼も思春期の男の子であり、欲望には忠実である。

 伊藤晴雨の筆になる一幅の絵のような姉の姿を鑑賞し、抜くことは忘れない。

 だが、彼も姉を愛する一人である。もちろん、その後でちゃんと助け出す。

 その過程で、間違ったふりをして少し姉を責めてみるのは、役得というものだろう、と少年は考えている。

 

 それにしても。

 彼の姉はあれだけ蹂躙され、責め抜かれながらも。

 驚くべき回復力で立ち直り、こうしてにこにこしながら、美味しそうに質素な食事をほおばっている。

 

 きっと、それはあの、気に食わないあの間男。

 男に興味はないから名前は忘れたが、とにかくあいつが心のよりどころになっているからだろう。

 姉は、少年と母のために、好条件の奨学金を狙っているらしい。ただ、それは別の市への転居を伴う可能性がある、つまりあの間男と物理的には引き離されることを意味する。

 そして、去る者は日々に疎し。

 

 姉の、よりどころを外してしまえば?

 つまり、間男と別れた姉がどうなるか。

 壊れてしまうかもしれない。そして、僕がつけこむ余地がでてくるのかもしれない。

 そう思うと、小さな昆虫や蛙のような小動物を殺すことを想像するような(実際に殺したことはない。彼は小学校の同級生たちと異なり、そういう残酷な行為を自分の手でするのがとても苦手だった)、悪酔いのような奇妙な快感を覚える。

 

 だけど、同時に少年は、姉の幸福を祈る人でもあった。

 気に食わないけど、あの間男は姉に必要だ。

 姉を愛しているであろう、あの間男は強い。きっと、姉を守ってくれるだろう。

 奨学生になるのはいいけど。本当にみなり姉はあの間男と離れることに耐えられるだろうか。

 別れるには至らなくても、毎日のように会うのは不可能になるのに。

 奨学生になることは、選んでよい道なのだろうか?

 いや、少年と母にとっては良くても。

 姉にとっては、取り返しのつかないことにならないのだろうか。

 

 奇妙な期待と不安のせめぎあいを覚えながら、彼は姉とともに簡素な食事を口にしつつ。

 この後の姉の入浴を窃視し、あわよくば混浴するための作戦を練るのであった。

 

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