タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
後半、一応、不適切とされそうな描写がありますので閲覧時にご注意ください。(ただしあいかわらず不適切な感じ不足で、誰得?って感じです。)
書きたいことがたくさんあるのですが、週末まで少々更新に間が開きます。
放課後の資料倉庫。わたしとさとみんは、そこで窓のそとを眺めていた。
雨は降っていないけどうす曇の空。部活はほとんど休みだけど、吹奏楽の練習する音がかすかに風に乗って流れ、聞こえてくる。
さとみんは今日の球技大会、大活躍だったな。
わたしも、自己評価ではかなりがんばったよ。わたしは小さいから、レシーブ&セッターもどきだったけれど。
ここでお願い!というさとみんの心の声が聞こえる気がして。
それにしたがってボールを上げた。信じられないくらい、息のあったプレーだったと思う。
オープンでトスを上げるだけじゃなく、クイックも試した。
完璧な連携。
技術的にはまだまだ拙いと思う。でも、さとみんの目を見るだけで、いや、見なくても。さとみんがわたしの背中側にいるときでさえ、何をしてほしいのか、わかった気がした。
相手チームはもちろん、観戦してる人も、息をのんでるのが、わかった。
楽しかった。
試合に勝って、チームのみんなと笑いながら、手の平をたたきあった。
勝ちを告げるホイッスルが鳴ったときには、さとみんに抱きついてしまった。さとみんも、ぎゅって抱き返してくれた。
明日も明後日もこのまま、さとみんと仲の良い姉妹のように、過ごしていけたら。
ーーでも、その前に、さとみんにやってもらうことがあるんだよ。
「さとみん。忙しいのに来てくれて、ありがとう。」
さとみんは、さっきまでの試合での勇ましさ、明朗快活さが嘘のように。
そう、借りてきた猫のように。
しょんぼりした様子で、そんなことないわ、というように首を振った。
そして、また罪悪感がすこし戻ってきてしまった目で。
いたずらを見つかった犬が、飼い主さんを見上げるような目で。
わたしを見上げた。
球技大会の日は、流れ解散だ。わたしたちのクラスは、女子は早めに試合が終わった。志野くんたちは、もうしばらく、そう、20分くらいかかるだろう。
わたしが先にきたけど、たぶん友達に引っ張られてたさとみんが、15分くらいそれに遅れて来た。
わたしは窓際に立って、遠くに霧に霞んで見える丘陵を眺めやった。こちらの方向は、高い建物はなく、人家も少ない。
さとみんは、その近くにおいた教室用の椅子に座っていて、ぼんやりと外を見ている。
ごくときたまだけど、資料倉庫は使うことがある。資料を探してるときがそうだけど、それ以外に、今日も、先生から、ものを置くのに一時的に使わせてほしい、と言われて、昼休みに鍵を貸してあげた。
でもなあ。ちゃんともとに直してほしい。
たぶん大きな機械か大量の資料、もしかすると試験のプリントとかを置いたのかもしれないけど、会議机、教室机や椅子が部屋の壁際に除けられちゃってて、かなり広い空間が中央に開いてる。
あの3人掛けのソファのほかには、さとみんの座ってる椅子くらいしか、座れるような席がない。
「ーーさとみんは、志野くんのことが好き?」
さとみんは、ぎゅっと目をつぶって、頷いた。
のどの動きで、ごくんと唾を飲みこんだのがわかった。
「さとみん。わたしは、さとみんの志野くんへの気持ちが本物だって、わかってる。」
「ごめん、なさい、ーー」
しまった。さとみんが泣きそうだ。
わたしはよしよし、とさとみんのそばに寄り、頭をなでる。
いつもと役割が逆だ。なんか、新鮮。
「しかたない、しかたないよ、さとみん。」
わたしもそうだった。人を好きになる気持ちは、止められない。
「でも志野くんには、さとみんの気持ちは、まだ伝わってないかもしれないよ?
ちゃんと正面から、好きだって言ったことがある?」
しばし考え込む、さとみん。
おずおずと、首を振った。
そして、このやり取りに、なにか疑問を覚えたように、わたしを見る。
「そして、大事なのは、志野くんの気持ちだよ。志野くんは、嘘はつかない。」
正確にいえば、嘘がつけない。ばればれなんだ。
「でもね。志野くんも、自分で自分のことがわからなかったりするんだと思う。」
これは、最近気づいたこと。
志野くんは、自分で自分の気持ちに、考えに、気づいてない。
こうあるはずだ、って思い込みで、それ以外のことにかたくななまでに目を閉ざしてしまっている、といえばいいのかな。
思い込みが強いんだ。変なふうに。
そして志野くんはあんなにすごいのに、自分についても、なんだか半分、あきらめてるところがある。
わたしと付き合いはじめるときも、すごくおっかなびっくりで、わたしが志野くんのことを好きになる可能性があるなんて、全然考えてなかったみたいにすら思えた。
試しに付き合って!とか。まるでお試しセールスする、訪問販売の新人みたいじゃないか。
そう、本当の自分をさらけ出したら、好かれるはずないって、思い込んでるみたいに。
最初は少しこわかったよ、たしかに。
まだ全然話したこともないのに、好きだって言われて。
でも、その後、志野くんと話して、短い間だけどいろんなことも経験して、わかってきた。
志野くんがたぶん隠しておきたいこと、たとえばちょっぴりいじわるで、えっちで、かわいい女の子をみるのが好きなことも。
でもわたしのことを本当に大事にしてくれて、頼りになって、すごく、すごく優しいことも。
そしてわかる。志野くんが、すくなくとも今は、わたしのことを本当に好きでいてくれてることも。
そして、わかる。志野くんが、さとみんのことを、心のどこかでは好きなことも。
わたしのことが好きだから、わたし以外の女の子は好きになっちゃいけない、好きになるはずがないって、目をそらして、無意識に、気持ちにふたをしてるってことも。
もちろん、今も志野くんはさとみんをみてる。でも、違うんだ。志野くんは、それがただ、えっちな気持ちで見てるだけだ、って自分で自分をだましてる、いいわけしてる。
本当は、違うんじゃないかな。
だって、さとみんを見るまなざしは、ときどき、とても優しい。
そして、ーー淋しがるような?懐かしむような?
わからない。
今日、それを、志野くんの気持ちを確かめるんだ。
ちらっと時計を見る。うん、そろそろくるんじゃないかな。
さとみんに、念押ししなきゃ。
さとみんに。この意地っ張りな、さとみんにも。
正直になってもらわないと。
さとみんに意地っ張りな鎧を捨て去って、裸になって、生の感情を、思いを、ぶつけてもらわないといけない。
伝える時間が、あまりない。急がないと。
端的に、印象の強い言葉で伝えよう。
「さとみん。今日は、裸になってもらうよ。」
「えっ!え!?ええ。もちろんよ。」
「志野くんが、もうすぐこの部屋に来るんだ。」
「ーー。」
「その志野くんの前で。すべての意地を、覆いを取り去って、裸になって。これ以上ないくらい。
自分で自分に、そして志野くんに、正直になって。
ありのままの、自分をみせて。」
「わかったわ。」
時間がない。早口になってしまう。大事なこと、伝えないと。
ああ、そうだった。言葉でなくてもいい。抱きしめるだけで伝わるならそれでもいいんだ。そう伝えよう。
「どんなふうに、でもいい。言葉でなくてもいいんだ。志野くんに、いや。」
うーん、表現がむずかしいな。
志野くんの本当の、ナマの、裸の心。
難しいことを考えすぎてて、思い込みすぎてて、自分の気持ちすら見えなくなってしまってる、志野くんの頭でっかちになってる頭に、じゃなくて。
「志野くんの心。志野くんの裸の心だね。そうだ、頭じゃないんだ。志野くんの体に、生のからだに、本音を言わせて。言葉じゃなくてもいい。」
拙いことばだけど、伝わったかな。
「それが、さとみんの試練だよ。ーーかの高き塔、高みの世界に至る、神の定めたもうきざはし。」
わたしは、そう告げる。
なぜか、言うつもりもなかったのに、すらすらと言葉が流れ出た。自分でも意味がよくわからない。
さとみんは、頷いた。
もう、罪悪感は宿っていない。
いや、むしろ、やる気になってる?
足音。ノックの音がした。
「おそくなってごめん、みなり、調布、」
「志野くん?どうぞ。」
「ーーー、志野。」
志野くんがきた。
とりあえず、座る場所がほかにないな。ソファに誘導する。
戸惑ってるな、この空間、この空気感。
志野くんには悪いけど、まずさとみんに意地を取り去って正直になってもらうっていう、この試練を受けないといけないんだ。
わたしという巫女に宿っている、何かがそう告げている。
うん、神なんかじゃない。これは。
これは、愛だ。
わたしの中に眠っていた、愛。
志野くんに触れて、目を覚まし、小さい産声を上げ、育ってきた、愛。
「きょうは、お互いに正直になろうよ。ありのままの自分を、みせるんだよ。
ーーさとみん、それじゃ。」
しまったな。みんなで話し合える感じに、テーブルとか椅子とかをソファのまわりに持ってこなきゃ、って思った。
でもそのときには、さとみんが動き出してた。
「志野。見てほしい。目をそらさないで。」
さとみんが、そう告げる。決死の面持ち。
中央の広いスペースに、ゆっくりと歩み出る。
顔がかあっと赤くなりかけたな。
何か言おうとしてる。けど、喉が動いただけだった。
がんばれ、さとみん!言うんだ!
ちょうど吹奏楽も応援するように、ムードのある曲を演奏し始めてる。
そしてさとみんが、胸のあたりに手をやってる。
中間服の制服の襟のスカーフを、ごそごそと。
あれ?
さとみん、何をしている?
鎧を捨てさって、ありのままの自分の思いを伝えるんだ。
いや、これは。
わたしは意外なさとみんの行動に、口をぱくぱくさせた。
さとみんは、まずスカーフをふつうに頭をくぐらせて外そうとし。
思いなおしたのか、わざわざ結び目をほどく。
ほどいたスカーフの一端を手に持ち、しゅるしゅると、そっと抜いていく。
そして少し胸をそらし、志野くんを見つめながら。
優雅に、かるく一回転するように、スカーフを後ろに投げる。
ちょうど吹奏楽の奏でるその曲に合わせるように。シンバルの音と同時に、決まった!
流れるスカーフの次に、回転してすこし膨らむスカートの裾へ、志野くんの視線が移った。
ああ。さとみん。
裸になって、って。
言葉でなくていい、って。もしかして、そう解釈したのか。
うわあっ。
ーーいや、でも。
これは、これで正しいよ!
自分の思いを伝えてる。自分のありのままを伝えようとしてるんだ!
だって、ほら。さとみんの顔。
上気して、すごくきれいなバラ色。
目が、潤んでるんだ。
志野くんへの思いを、湛えて。
頬にぎこちない笑みが、ふるえてるんだ。
こわいんだね、拒否されるのが。
かすかに開くくちびるは、きっと志野くんを求めてる。
それらが何より雄弁に、さとみんの心を、語っている。
志野くんは?
わたしは志野くんに、目を向けた。
うん、ーーそっち方面は、合格だね。
食い入るように、見てる。
何がはじまるかを推知して、その、志野くんのあそこが持ち上がってきてるよ。ソファに座ってるけどわかる。
千里の本にもあったけど、まさに「体は正直だな」だ。意図しない形だけど。
あとで罰。うん、罰。
でも、わかったはずだ。わからされたはずだ。
さとみんが、志野くんのことをどう思ってるか。
さとみんが、ブラウスの前に手をかける。
私たちの学校の中間服では、スナップボタンだ。
一つ一つ外すボタンの方が、風情があるのかもしれないけど、正直面倒。
ファスナーだと、もっと楽なのかもしれないけどね。
さとみんは、両膝をついた。両膝は揃えるのでなく、少し広めに開いて、でも足首はかさねて。
目を閉じ、軽く体全体をそらせる。胸から上は強くそらせ、顔はほとんど真上に近く。髪が後ろに垂れ、足首に流れる。
吹奏楽の奏でる甘い抒情的な旋律に合わせるように、ゆっくりと体を揺らしながら。
少しゆっくり目に、さとみんがボタンを外していく。
途中まで、そう、上から4つめくらいのボタンで、胸元が空いた状態で一度止める。伏し目がちに目を開けて、志野くんを見やる。
おりしも最高のタイミングで鳴る、吹奏楽のシンバル!
志野くんのそれが、期待に満ちて持ち上がる!
うん、罰を強化しよう。
さとみん、ボタンを外すのを再開。
最後の一つを、外し終わった。
また立ち上がり、曲に合わせて、ゆっくりと一回転。
すぐに上を脱ぐことはしない。
ボタンを外し終わったブラウスを、残したまま。
今度は、スカートに手をかける。
なんだ、さとみん。ノリノリじゃないか。
心配したよ。
さとみんは、志野くんが好きだ。わたしのことも好きなはずだ。かなり前だけど、言わせた。
わたしも志野くんが好きだ、そしてさとみんのことも好きだ。この前、言った。
だったら、仲良くできないはずがない。
そして、志野くんもわたしと、そしてさとみんのことが好きだ。
志野くんは、さとみんのことが好きな自分を、すぐには受け入れられないかも。
でもこの、魂が抜かれたような凝視。
そして持ち上がる股間。
言い訳はできないね。
そう考えてたら、いつの間に!
さとみんが、スカートから足を抜いている。
立派な太腿とふくらはぎは、多分、よく運動してるからなんだと思う。事実、どんな運動部の女の子より、さとみんは脚が速い。
志野くんの目が、舐めるようにその脚に注がれてる。
あれ?さとみん、上履きを履いたままだな。
さとみんも気づいたな。ぶわぁって顔が赤くなった。
あれは恥ずかしがってる顔だ。
それも、スカートを外すことを恥ずかしがってる顔じゃない。
順番まちがえたー、っていう顔だ。
あ、でも乗り切るつもりだ!
キリッ、って。すまし顔になってる。
スカートを、投げた!
志野くんの、頭に!
すごい!
その一瞬で、いつのまにか、上履きが脱がれて丁寧に横に揃えて置いてあるよ!
志野くんがスカートから脱出したころには(少し匂いを嗅いでるみたいに遅かった。罰だ、罰だよ!)、さとみんは元の体勢に。
くつしたは脱がない。わかってるんだね。
男の人的には、最後まで上履きを履いてるのもアリかもしれないけど、スタンダードじゃないよね。
ーーうん、つぎは、もう前を開けてるブラウスかと思ったんだ。
さすがさとみん。男前だ。
最後までためらうかと思った、グレーのショーツに手をかける。
そっと、おろしていく?
止めた?
微妙にずらして止めた。
そう、片方だけ、腰の骨を出して、もう少しで、その、デルタのところの膨らみがかすかに見える、という絶妙なところまで下げて。
志野くんの凝視。
今度は、ブラウス。
ゆっくりと抜き取る。
腕をあげたときに見える、きれいなわきの下に、志野くんの熱い視線。
そして、タンクトップ型の下着にいくつもりだな。
うん、志野くん前かがみだね。食い入るように見てる。
これはもう仕方ないけど。後で罰、罰。
つぎに、タンクトップだ。
先に下を脱ぐ、ってのもありだけど、なんか外すと変って感じもするからかな。
卑猥さを取るか、美しさを取るか。
まあ、ここは美しさを取ったのかな。
両腕を交差させるようにして、タンクトップの下をつかみ。
そっと、引き上げていく。滑らかだけど、うっすらと腹筋のみえるおなか、そしておへそ。
身をひねるように反らせて、タンクトップを抜き上げていく、そしてみえる脇腹、ごくかすかに浮くあばら骨。
それらを包む、滑らかな肌。すこし、汗ばんでる。
うん、美しい。肉感的だよね。
この肌を思うままにできる男って、幸運だよ?志野くん、わかってるのかな。
もちろん、わたしの肌も思うままにしてほしい。
わたしの肌はこれはこれで味わいがある、と思うんだけどな。
いつのまにか、さとみんはさっき絶妙にずらしたショーツと上のスポブラ、靴下だけ。
Yバックのグレーのスポーツブラが、上半身を締めあげている。
さとみんには合ってる。むしろ、普通のブラよりそそるんじゃないかな。
さとみんは、スタンダードに靴下を次に脱いだ。
一枚脱ぎ、服の山に投げるごとに、優雅に回転してみせた。
半分近く見えてしまっている立派なお尻に、志野くんの目が釘付け。
そして。
ブラを外す。さとみんの上半身をしっかり締めてる、スポーツブラ。
慣れてても結構大変なんじゃないかな、これ外すの。
だけど、さとみんはこともなげに器用に片手で半分外して、優雅に体を回しながら頭をくぐらせ、志野くんの視線から遠いところで、もう片方の腕を抜き取った。
さすがだね。ここでうーんって苦労するのも、かわいいけど。
さとみん的には、ナシなんだろうな。
それより。
押さえつけてた胸が、そう、ふわあっと、ぽろんと、どーんと、ぷりんと。
すごい。
大きさは、まあ大きいけど巨大ってほどじゃない。
だけど、持ち上がってて形がよくて、確かな高さで、つんと紅い乳首が上を向いてて。
赤ちゃんにもどって、吸い付きたいって思うんじゃないかな、男の人は。
ああ志野くん。まあいいんだけどさー。
見すぎだよ。
さとみん、もいだろか。
少し私の黒い殺気を感知して、胸を反らして見せてたさとみんは。
急に誰かに見られた?みたいな恥じらいの表情を作り(あざとい!)、
片手で、胸を隠して見せる。
ダ・ヴィンチの「ヴィーナスの誕生」みたいに、堂々とした感じじゃなくて。
それはもう、恥ずかし気に。
にもかかわらず、もう片手で、そっと、ショーツをおろしていく。
少し膝を合わせて、内股になって、何かを耐えるような、色っぽい顔。
そして、下までショーツが落ちて。
そっと拾い上げ、投げるのではなく、ほかの服の下に隠す。
わかるよ。
上に、みえるところに置きたくないんだな。
志野くん、きみは女心のわからない男だ。
そんな微妙なさとみんのこころには全く気付かず。
目をさらのようにして、さとみんのそこをみている。
ショーツを隠すために後ろ向きになり、片膝をついたときにみえた、そこを。
さとみんの腿と腿の間には、隙間がある。そこからみえた、閉じた切れ目の線を。
さとみんが向き直る。
志野くんの視線の向かう先は、脚の付け根の、そこ。
さとみんは、脱いだもう片手で、軽く隠している。
さとみんは、あそこを剃っていない。デルタ部分の下向きの頂点、少し張り出したそこに、薄い茂みがある。
その膨らんだ丘。閉じた裂け目を隠そうとした手で隠しきれない、ごくごく薄い茂み。
さとみんは、片手で胸、片手でその丘を隠そうとしながら。
少し志野くんに近い位置に来て。
両膝をついた姿勢になり、両手を、両手の指を胸の前で祈るように組んで、志野くんを見上げた。
上目遣いに、訴えかけるような、哀願するような、ーー。
ごくごく薄く漂う、甘い香り。
発情してる。
うん、合格だよ。
さとみんの覚悟、見届けた。
さとみんはそのまま、志野くんの少し斜め前に寄って。
指をほどき、体をかがめて、ーーいや違う。お尻は上げて、でも上半身を地面につけるようにして、志野くんの足の甲に手を伸ばし、そして頬ずりした。
お尻を強く反らしてて、あそこが上を向くくらいに付き出してるから、少し汗ばんで光る背中と腰の間のあたりに、しわっていうか、線ができるくらいに。
そして続いて、身を低くしたまま、背中をそらして腰を突き出したその姿勢で、膝から下のところに抱き着いた。
胸で志野くんの片脚に、その乳房の間に、はさむように。
志野くんは、凍ってる。いや、惚けてるんだ。
強く香る、少しだけ酸っぱいシトラスの甘い香り。
さとみんがわたしを振り向く。
哀願するまなざしに、にっこりと笑みで答える。
わたしも、歩み寄る。
「さとみん、わたしとさとみんで。ーー姉妹になろうよ。」
あの日もさとみんに伝えた言葉を、再度、もう一度、誤解のないように繰り返す。
そう、志野くんを介しての、そういう姉妹関係。
たしか、
「竿姉妹、っていうんだっけ、」
たしか、千里の本に書いてあった。
思ってたんだ。
さとみんと、志野くんと、わたしとで、ずっと一緒になれる。
わたしが前、空想してたことが叶う!
だけど、その言葉を発したとき。
なんか、さとみんも志野くんも、ぎく、と動きを止めた。。
思いがけない人物から、信じられない単語を聞いた、って感じ。
お互いに、顔を見合わせ、そしてわたしの方に顔を向け。
そう、その顔の表情は、驚愕というか。
後から思い返すと、誰だこんな言葉教えたのは!っていう、憤り2割呆然8割、みたいな感じに近かったような気がする。
ただ、そのときのわたしは、少してんぱってたんだろう。
私の言葉を聞いて、二人の視線に驚愕がこもったことには気づいたけど、それどころじゃなかった。
なんだろう、こうしたい、こうすべきだ、っていう強い衝動に突き動かされて。
わたしも膝をついて、さとみんと志野くんの肩に左右の両腕を伸ばし、引きよせ、強く抱きしめるようにした。
いつのまにか頬に涙が伝ってたさとみんも体を起こして、わたしと志野くんに抱き着いてる。
さとみんは、意外と泣き虫なんだね。
志野くんからも、力強く抱き返す腕から伝わる感情の高ぶり。
志野くん、でも何か気を使ってるね。
一人だけ座ってるから、本当は姿勢が苦しい。でも立ち上がらない。
きっと、すごく固くなってるに、ちがいない。
それをわたしたちに押し当てるのが恥ずかしいんだな。
いいよ、いいよ!気にしなくていいんだよ!
わたしは立ち上がった。さとみんも。そしてわたしに促されて、志野くんも、おずおずと。
3人で、立った姿勢でもう一度、ちゃんと抱き合った。
最初は3人で。そして志野くんとわたし、志野くんとさとみん、さとみんとわたし、それぞれに。
もちろん志野くんのそれは、ズボン越しにわかるくらい固く立ち上がってて。
気のせいか、軽くびくびく震えててた。さとみんとも違う、なにかの花みたいな甘い匂いも。
それが、わたしたちに隠しようもなく押し当てられて。
いつのまにか私とさとみんは、笑ってた。うれしくて、笑ってた。あははは、って。
志野くんも、赤くなって恥ずかしがって、でも笑ってた。
楽しい。
いつ、本当の姉妹になれるかな?
そっと二人の顔を見あげた。
「志野くん、さとみん、大好きだよ!」
しあわせな気持ちのままに、伝えた。
さとみんも、少し涙で赤くなった目で、恥ずかしそうに、でも幸せそうに。
志野くんも、うれしはずかし、って顔で。
お互いに、好きだ、って伝えあった。
そして、話した。
正直に、お互いの気持ちを。
好きだっていう、お互いの気持ちを。