※この作品はR-18です。

タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。   作:Marchhatter

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ご感想をいただきました。ありがとうございます!

本日2回投稿の2回目(2/2)です。読む際に、順番にご注意下さい。
微量の不適切な描写がありますので、読む際にご注意ください。α版で、後に粗を修正したいと思います。


79 空を飛ぶ夢(5)(志)☆?

 

 これ、戻れるかな。不安になってきた。

 幅の狭い山道や尾根を伝って修験道の本拠地近くに接近した。人ひとり会わない。

 修験道に真正面から踏み込むのは避けようと思ってのことだが、道に迷ってないか?わずかに不安がある。

 ところどころ開けた場所もある。太陽の位置から方角はわかるし、方位磁石もある。多分、大丈夫だと思うのだが。

 しばらくしたら、深入りせずに戻ろう。そして、置いてある自転車を回収して帰ろう。

 紫藤の安全には代えられない。

 

 今、ちょうど少し開けた、一方が急な崖に面した見晴らしの良い尾根道に入った。

 牧歌的だ。日当たりもよくて、菫の花も咲いている。

 だが。

 首筋がちりちりする。ひぃぃーんと、危険を知らせる感覚。

 まだ小さい、差し迫った危険ではないようだが、ーー。

 

 「みなり、隠れて。」

 

 僕は紫藤を山の背側の巨木の木陰に引っ張り込んだ。自分も隠れる。

 

 「?」

 

 不思議そうな顔。

 静かに。指を一本、唇の前に立てて、そう伝える。

 そういえば、あたりが静まり返ってたのに気づく。

 さっきまで鳴きかわしていた鳥の声も、聞こえない。

 

 ぱきり。ぱきり。ばきばきばき。

 

 何かがいる。

 尾根を下りたところ。崖の下に。

 熊か?

 飯場や修験道の偵察だったから、熊鈴はつけていなかった。クマよけスプレーはあるのだが。

 熊だったら、面倒なことになるかな。

 ここは北海道じゃないが、ツキノワグマでもかなりの被害がある。例の、前聞いた人食い熊の話が頭をかすめる。

 だが、かなり急な崖だ。野生の熊でも登るのは難しいだろう。

 

 ばきばき。ずる、ずる。

 

 何かが転がってるような?這いずるような?

 熊が何かを引きずっている?

 そのまま待ってて、と手振りで示し、僕は極力音を立てないように木陰から出る。

 細心の注意を払い、崖に近づく。ただ、ごくわずかに土を踏みしめる音を立ててしまったかもしれない。

 そっと、首を出して目視しようとして。

 高まる警戒音。

 きぃぃぃんとなったそれに従って、伏せた。

 

 ぴゅん、というような音。

 

 一瞬、空中に長いもの。鞭のようなものが躍った。

 そう、もし僕が首を出していれば、ちょうど首をやられるあたりに。

 

 なんだ?人間か?

 しばらく待つ。紫藤が心配でそっと顔を曲げて、背後に視線を投げる。紫藤は隠れてるが、顔の半分だけ出してこちらを窺ってる。よしよし。

 しばしの沈黙。

 ばきばき、という音が再開。少しずつ遠ざかってる?

 ひぃぃんという警戒音も、小さくなる。

  

 蛮勇を振るって、そっと顔を出した。

 見えにくいが、何か巨大なもの。

 熊じゃない。熊より、大きいかもしれない。

 象くらいもありそうにみえる、相当な巨体。

 ずんぐりした、灰色の、切り株に似た生き物。

 触手、だよな?

 触手で這いずっている。しいて言えば蛸に近い?

 それが、ゆっくりと、ゆっくりと移動していく。

 気が付くと、この崖。あの、地図で見たくぼ地の縁だな。

 修験道の支配勢力下の一部の、神域を取り囲むようになってた、陥没した地形。

 一部は、確か何かを閉じ込めるように、人為的に石積みがあった。何かを逃がさないためのようだった、ーー。

 

 ”勘違い”

 

 ”遠い、小さい、ない、見る”

 

 ”匂い、小さい”

 

 ”小さい、ない、聞く”

 

 ”自分、時間、長い、過度、自分、時間、長い、過度”

 

 突然、妙な想念が自分の中に浮かんだ。

 自分が、一時的に正気を失ったのかと思った。毒ガス攻撃とかで。

 

 ”与える、必要”

 

 ”未来、種、必要、土、必要”

 

 ”過去、種、土、腐る、全部、否、多数”

 

 ”伝える、○○○、必要”

 

 ”頼む、○○○、頼る、一つ、○○○、一つ”

 

 そして想念は浮かばなくなった。

 これは?

 

 ばきばきという音は遠ざかっていく。

 巨体に見合った相当の重量があるのだろう。動くたびに下生えを踏みつぶして、移動していく。

 やがて視界からは、灰色の巨体は消えた。

 

 気が付くと、汗で身が濡れそぼっている。

 暑いわけじゃない。いや、暑くもあるのか。

 あるけど、そうじゃない。腰に、膝に力が入らない。

 でもな。このままここにいては、危険だ。

 修験道がガードするわけだよ。

 とんでもないものを、飼ってやがった。

 あの生き物が何かわからないが、さっきの奇妙な思念。あれは、あの生き物の思念なのだろう。

 テレパス?

 一体何なんだ、あれは。

 何を言っているかよくわからなかったが、僕に何かを伝えようとしていたようには思えない。

 独白に近いもののように思えた。

 

 紫藤のところに戻る。

 紫藤も、冷や汗をかいている。おそらく、僕もひどい顔をしてる。

 顔を見合わせる。

 

 「志野くん、さっき、頭の中に変な声がーー」

 

 「ああ、僕もだ。だけど、まず安全なところに逃げよう。」

 

 見つかったら、何をされるかわからない。

 まずは離脱だ。離脱だ!

 こんなところにいられるか!僕は安全なところに帰るぞ!

 帰ったら、僕、紫藤と抱き合うんだ。

 そして喫茶店で、紫藤と熱いコーヒーを飲むんだ。学校の級友たちの話、街で見つけた面白い店の話、最近見たテレビの話、いろんな小さなくだらない話をしてさ、そして笑うんだ、ーー。

 頭の中で十数本の死亡フラグを立てながら、僕は紫藤と山道を這いずるように急いだ。

 

 ーーーーー

 

 恐怖に早まった足で、歩く。

 紫藤の分のリュックは僕が持ち、ひたすらに進んで、ようやく道のガードレールが見えたときには泣きそうになった。

 怖かった。

 

 紫藤も怖がっていたようだが、どちらかというともう復活していて、僕のことの方が心配だったみたいだ。

 すまない。僕はチキンだ。

 紫藤の方が、よっぽど勇敢だ。

 

 「みなり、ごめん。危なかった。」

 

 「ううん、わたしのためだよね。だけど、あれって、ーー」

 

 「ああ。聞こえた?」

 

 「うん、何か変な声が、ーー」

 

 お互いの情報を軽く突き合わせる。

 聞こえた内容は、少しずつ違うようだ。

 おそらく受ける側の感度(?)とか、波長の合う合わないみたいなものだろうか。紫藤には、僕に聞こえたより多くが聞こえていたようだ。

 

 「嘆いてるみたいだったよ。もうあまり見えない、匂いもわからない、耳も聞こえない、ーーおじいさん、おばあさんの言葉みたいな。」

 

 「ああ。長生きした、おじいさんかおばあさんなんだろうな。」

 

 あれが、竜神か?

 多分、そうだよな。

 どう見たって竜じゃないぞ。爬虫類ですらない。

 あれ、しいて言えば頭足類?棘皮動物?

 蛸か何かに近いのだろうか。だけど触手はあったが、蛸じゃない。触手にあたる根のもしゃもしゃある切り株に近かった。それに、あんなでかい蛸がいてたまるか。

 外見だけなら、ヒトデやイソギンチャクに似てる気もしたが。

 

 そして、知性があった。知性、しかも、僕たちと不完全ながら、意思疎通ができるような。

 こんな生き物、地球の生き物の系統樹には嵌らないだろう。

 地球の生き物じゃないんじゃないか。

 ええいクソッ、どうしていいかよくわからん。キャパオーバーだ。

 約20年後もこんな生き物のニュースはなかった。

 多分、紫藤を救う本筋には関係ないことなのかもしれないが、ーー

 約20年後、修験道ってまだあったっけ。それすらもわからない。

 とりあえずは、帰りたい。

 帰って熱いコーヒーが飲みたい。もっと言えば、浴びるほど酒が飲みたい。

 もっといえば。

 紫藤を抱きたい。

 

 ーーーーー

 

 僕らが山に分け入った入り口まで戻り、自転車を回収。

 紫藤を後ろに乗せて走らせる。何事もない平和な世界と、僕に巻かれた紫藤の腕に、少しずつ心がほぐれてくる。

 

 「ねえ、志野くん。」

 

 「みなり?」

 

 急にひしと抱き着かれて、思わずハンドル操作が怪しくなる。

 

 「志野くん。今日は、少しの間でいいから一緒にいたいな。途中の公園でも、どこでも。」

 

 「ああ、もちろんだ。」

 

 紫藤も相当メンタルやられてるかもしれないしな。

 いや、僕の方こそ紫藤セラピーが必須だ。精神的ダメージが大きい。

 あの生き物、どうすりゃいいのか。

 いや、放置しかないよな。放置だ、放置。

 一つだけわかったことがある。

 あっち方面のルートは取るべきじゃない。少なくとも、修験道のあの本拠地周辺には行っちゃダメだ。

 目くらましに使うくらいにはいいとしても。

 捕まったら、あの生き物の餌にされそうだ。

 

 ーーーーー

 

 あの廃集落のあたりを過ぎ、勝手知った道に入ると、ようやく僕たちの舌もほぐれてきた。

 さっき確認したときにうっすら分かってたことだが、紫藤には、僕より多くが聞こえていた気配だ。

 僕には、切れ切れの単語のつながりとしか思えなかったものは、もう少し文章っぽいものとして紫藤には聞こえていたことが、話してるうちに分かった。

 また時間的範囲としても、僕が聞いた部分より、多くのことが聞こえているっぽい。

 心の耳(?)の聴覚が、いいのかな。

 後で正確に突き合わせてみよう。あ、それと調布にも相談したい。気がふれたと思われるかもしれないけど。

 

 国道近くになる。

 このくらい市街地から離れてしまうと、ほとんど公園すらない。どっかの空き地でゆっくりするか。それとも。

 いかにも田舎なのだが、俗悪なお城みたいなデコレーションのラブホテル。

 名前はあの、千夜一夜物語の登場人物。なんでだろう。

 惹かれる。

 抱き合いたい。 

 紫藤の体温を、感じたい。

 

 いや、今はやめとこう。

 国道を下り、しばらく行った公園。まだ田舎なので、人影もない。

 とても小さな、コンクリート造りの2階建ての西洋のお城みたいな遊具。そこから、ジャングルジムに線路みたいな通路が伝わってる。滑り台にも。

 ジャングルジムはかなり大きくて、別の遊具に繋がってる。

 

 あそこに見える、ベンチにしよう。

 紫藤とベンチに腰掛ける。麦茶の残りを勧める。今は正直、熱い飲み物が欲しいけど。

 紫藤と麦茶を飲んで。見つめ合う。

 

 「ねえ、志野くん。」

 

 「みなり。」

 

 紫藤が恥ずかしそうに目を伏せる。長めのまつ毛をみながら、僕はそっと手を肩に回した。

 並んでベンチに座ったままで、体をお互い、軽くひねって、キスをした。

 僕の癖で、少し僕が頭を左に傾ける。紫藤も、それに合わせて。

 柔らかい、暖かい唇。かすかにリップクリームの匂い。

 キスをしたまま、抱き寄せる。急な締め付けにうぅん、と肺から息を押し出されながら、紫藤はちょっと無理な体勢になるが、逆らわずそっと柔らかく体を僕に預けた。

 温かい紫藤の体温、胸に感じる膨らみと、そして少し立ち上がってくる僕のソレ。

 うん、紫藤は生きてる。大丈夫、大丈夫。

 そして痛烈に、その、情欲が。

 唇を離して、もっと、ぎゅっと抱きしめる。

 大丈夫だ。

 

 しばらくそうしていて、ようやく平常心を取り戻した。ごめんね、紫藤。

 紫藤はちょっと眩しそうに瞬きながら、僕を少し半眼にした目で見た。

 

 「志野くん、大丈夫?疲れたでしょう?」

 

 「うん、大丈夫だ。心配かけてごめんね。」

 

 急に恥ずかしさが襲ってくる。誰か見てなかっただろうな。

 幸いにも、人影はない。大丈夫だな。

 天気が崩れかけてるからかもしれない。大きな入道雲。翳ってきてる。

 一雨来るかな?

 

 「志野くん、ちょっと探検しようよ。あのお城とか。」

 

 うん、行ってみようか。久しぶりに、子供みたいに。

 

 ーーーーー

 

 紫藤は身長が低いし、成長が遅れてたと思う。実際、学年の初めの時期だったら、少し発育のいい小学生、あるいは中学生1年くらいだと思ったと思う。

 ただ、最近は少し成長してきたのかな。相変わらず小さいけど、それなりに胸もあると分かるようになったし。

 でも、こうして無心にアスレチックをたどってる姿は、まだ子供っぽいかな。

 僕も追いかける。がおーと言って追いかけると、わー、と言いながら紫藤が逃げる。

 心がかなり、ほぐれてきた。

 

 日がさらに翳る。ゴロゴロという雷の音。

 ぼつぼつと、そしてざあっと、大粒の雨が降ってきた。

 

 「志野くん、雨宿りしよう!」

 

 「ああ、」

 

 リュックサックは防水だったかな。自信がないので、取って返す。

 この公園の東屋は、藤が這わせてあって天井は藤棚になってる。雨宿りできるようなものじゃない。

 トイレも、あまりきれいじゃない。

 

 公園の遊具のお城に逃げ込んだ。

 お城には、小さな部屋?がある。窓もあるが、子供が通り抜けられないように、小さいうえに鉄格子がある。

 狭い、小学生でも4人くらいが限度なんじゃないかな。紫藤も入ったが、天井も低いので、ちょっと窮屈そうだ。

 紫藤を入れ、リュックを入れる。僕は入るかな?

 思い切って、僕も入った。 

 

 「志野くん、狭いけど、大丈夫?」

 

 「大丈夫。」

 

 僕は思い切って、床に胡坐をかくように座った。

 僕のリュックにはタオルや予備の服や雨具が入ってて、クッション代わりに使える。

 僕のリュックから固いもの、水筒とかを抜いて、紫藤に断って紫藤のリュックに一時的に移した。

 僕のリュックを胡坐の膝の中心に置いた。

 紫藤の腰を持って、そっとその上に抱え下す。

 紫藤がおっかなびっくり、僕に包まれるように腰を下ろした。

 

 「固いの、当たってない?大丈夫?」

 

 「大丈夫だよ、ありがとう。」

 

 成人男性だとまっすぐ立てないくらい、天井も低い。閉所恐怖所の人はここは絶対入れないな。

 そして、少し汗をかいたのか、雨に濡れたのか、紫藤の匂い。本当に薄いけど、石鹸の匂いがする。

 首筋に顔を埋めたら、くすぐったそうにしている。

 そしてこっちに体をねじって、顔を見ようとしてきた。

 二つ結びに下げてる髪が、僕の顔を撫でる。

 振り向いた。にこにこしてる。よかった、ぎちぎちになって、狭い!と不機嫌だったらどうしようかと思った。

 

 「冒険だね!あの時を思い出したよ。」

 

 「ああ、あの時も降られたね。」

 

 あの時より、ずっとましだ。ほとんど濡れてない。

 

 紫藤が半身を向けて、目を閉じて、少し上を向いた。

 クッションはあるけど、まだ僕の顔が少しだけ高い位置にある。

 

 うん、僕も欲しかったんだ。

 また、紫藤の唇にキスをした。

 誰も見てないよな?

 そっと、肩に回した腕に力を伝える。

 すると。

 僕のもう片方の手を、紫藤がそっと掴んで、紫藤の胸に当てるように持っていった。

 僕も掌で、そっと下から持ち上げるように触る。

 多分新しいブラに包まれた胸は、大きくはない。でも、確かに実ったふくらみが存在してる。

 ぱちん、とアウトドア用のシャツのスナップボタンを片手で外す音がした。

 僕の心臓の音がうるさい。

 そっと、僕の手が招じ入れられた。紫藤の着ている、シャツの下に。

 我慢できない。

 そっと、手首を曲げて、ブラの裏に、下から手を滑り込ませた。ぷる、と一瞬だけ紫藤が震えた気がした。

 僕の手は熱く感じられてるに違いない、紫藤の乳房がひんやりとして感じる。

 先端に、触れる。

 

 「志野くん、ーー」

 

 紫藤がぎゅっと僕の体に抱き着く片腕に力を入れる。

 でも、もう片腕は、僕の手を招じ入れた状態。体は半分、開いてて、胸を触らせてくれてる。

 僕は、そっと先端を指で嬲った。

 どうしようもなく、欲情してる。自分で、わかる。

 しまった。この公園の子供のお城じゃなくて、さっきの俗悪な大人のお城に入っとくんだった。

 紫藤が少し体を離した。狭いから、頭が天井に当たらないように気をつけないと。

 窓はひとつだけ、狭い部屋にぎゅうぎゅうに二人。少し暑くなってきてる。

 紫藤はボタンをさらに2つ、3つ外して、そしてそっと一瞬、腕を背中に回して。

 フックを外したのだろう。ぽろん、とブラが緩んだ。

 片方だけ、紫藤は胸を出した。白い、でも少し血色の良くなった胸。

 紫藤はこっちに向き直り、膝立ちになって、胸を僕の口元に近づける。

 目で問いかける、紫藤が、なんだか少し泣きそうにも見える笑い顔で頷く。

 僕は赤ちゃんだ。怖い外の世界に怯えてる。

 僕はそっと、紫藤の胸を口に含んだ。

 

 ふうっ、と紫藤が息を吐いた。目を閉じて、少し上を向いてる。

 それを確認して、また僕は目の前の乳房に集中した。

 ぎゅうぎゅうっと吸い付きたいけど、ダメだ。

 優しく、柔らかく、口に含んで、舌で転がして。

 紫藤は、その間も、僕の頭を優しく腕で抱えてくれて。

 情けないクズ男の僕はしばらく、そうして紫藤に守られてた。

 その間、僕の脚の間で、紫藤はクッションのリュックの上に膝立ちというか、正座した感じになってた。クッションがあるとはいえ、長時間の無理な姿勢で、辛くなかっただろうか。

 今回は、紫藤は息が少しずつ荒く上がっていったが、声は上げずに耐えきって。

 本当に落ち着くと、僕は口を離し(すごく名残惜しかったけど)、紫藤を今度は背中向きでなく、その向き合った姿勢のままで、狭い狭い空間で膝というか腿の上に抱きかかえた。ぎゅっと、いわゆる対面座位の形で、お尻を引き寄せて、密着して。

 コンクリートの褥は固くて居心地は悪い。でも、紫藤がいれば、それでもいい。

 ずっとこうしてたかった。

 いや、撤回。

 もっといろいろしたいな。

 僕、全部終わったら紫藤とセ○クスしたいんだ。

 むくむくと僕のそれがまた紫藤に当たるように動いたのを察知したのか、紫藤がちょっと赤くなった顔でこっちを伺った。

 紫藤は脚を広げて僕にコアラみたいに抱きついた状態。

 僕のものは、たまたまそのお尻の下に潜り込んでて。っていうか、多分あそこにも当たって、持ち上げてて。

 笑いかけてみた。上気した顔で、うれしそうに笑い返された。

 

 ーーーーー

 

 僕が元気になったのがわかったのか、紫藤は再起動。

 通り雨が上がった園内を歩く。

 ねえ、あっちも行ってみようよ!とはしゃいでる。

 ちょっとだけためした。タオルで座面を拭いて、コーヒーカップみたいなのに乗ってぐるぐるハンドルを回して目を回してみたり。

 うん、ぶらんこもこいでみた。二人で横に並んでこいで、あと強度的に少し不安はあったけど、昔小学生のころにやってたみたいに、紫藤に拭いた後で座ってもらって、僕が向かい合わせに立って立ちこぎ。

 ああ、でもこれなにか僕のあれが紫藤の顔に近い。

 交代してみた。

 うん、紫藤のお腹っていうか、その、あそこが近くにある。天国。

 紫藤は知ってか知らずか楽しそうにええい!とこいでた。

 僕は重いから、大変だったかもな。

 

 ひととおり雨上がりの公園で年齢に見合わない公園遊びをした。まだ若いお母さんが小学校低学年の子供と小さなよちよち歩きの子の兄弟を連れてきたのを機に、公園を離れた。

 

 どうしようか。

 紫藤母の病院に一度寄るか。ただ、街中はさすがに二人乗りはできない。

 紫藤と協議。街近くになったら、歩いていけばいいんじゃない。まあ、それでいいよね。

 

 紫藤母の病院に寄る。表面上は、変わったところはない。

 また、あの超感覚にごくわずかに引っかかる何か。

 紫藤母が倒れた日に、接客してた相手。

 なぜかわからないが、誰もそれを気にしてない。

 筋肉男が、妙な催眠術を、紫藤母にかけた?

 そこまで迂遠なことをしなくても、簡単に衆人環視のもとでも殺せそうな気がする。

 ーーしかし、な。

 もしかすると、相手の記憶をごまかすのに、条件があるのではないか。

 筋肉刺青男は、2人、3人の目撃はごまかせている。それが普通なら催眠術などかける暇がなさそうな、対戦相手であっても。

 しかし、一度に多数の注目はごまかせないのではないか?

 ちょっと可能性を念頭に置いておこう。

 

 しばらく、くるくると母の世話をする紫藤を見守る。

 今日は短めにとどめて、早めに引き上げることにするという。まあ、流石に疲れたんだろう。

 紫藤の住むざくろが丘団地まで送って行こう。今日も引っ張りまわしちゃったしな。

 自転車を駅前の駐輪場に置き、バスで一度送ろう。

 

 ざくろが丘団地に到着。

 いつかの不良たちがいるのでは?と少しひやひやしていたが、幸いにも遭遇しなかった。

 少しだけ紫藤の買い物に付き合う。

 子豚が料理人の帽子をかぶってるトレードマークのスーパーに立ち寄る。

 カートを出して僕が押し、前の買い物かごに紫藤がくるくると立ち回って食品を入れていく。

 かいがいしく、てきぱきと動く二つ結びの髪、一瞬だけ考える真剣な横顔。

 紫藤母の病院へのお見舞いもあって、あまり買い物の時間が取れてなかったらしい。悪いことをした。

 まるで新婚夫婦のようにお買い物に付き合っていると、また多幸感が立ちのぼってくる。

 もし、だよ。

 僕が紫藤と結婚出来たら。

 こんなふうに、休みの日は二人でお買い物とかするのかな。

 僕と紫藤と調布と三人だったら?

 交替で行ってもいいんだろうし、三人で行くのも楽しいだろう。

 好みのおやつを一つずつ選んでいれたりして、ね。

 帰ってから、好きなおやつでお茶するんだ。

 おっと。買い物が終わりらしい。

 リュックに加えてかなりの大荷物になってしまったかな。もちろん、持ち運びは手伝うつもりだ。

 

 また周辺にスパイの目がないのを厳重に確認してから、三角公園でキスをして、やはり道に人がいなさそうなのを見澄まして、家の近くまで荷物を運んで別れた。

 角に戻り、紫藤が振り返り、そっとこちらに手を振って、家に入っていくのを見送った。

 寂しい。

 家に帰ったら、抜こう。

 いわゆる感想戦だな。

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