タイムリープで同級生の残酷な運命を変えようと頑張る話。 作:Marchhatter
まだ後で誤字脱字や細かいところを修正予定のα版です。多少不適切な内容がありますのでご注意ください。
準備あれば憂いなし。
そう、それは心の準備にも言える。
後になって思うと、僕は紫藤に心の準備で負けていた。
多分、紫藤はどこかで心の準備をしていたんだろう。
そして僕は、できていなかったんだ。
だからこの事態に。
頭の中で放送されてる古いニュース映画では、巨大戦艦が燃えて沈みかけてる。
我奇襲ニ敗北セリ、ーーー。
流血の惨事。
血に染まった紫藤を見下ろしながら、呆然として僕はそう思った。
さっきからの流れを、思い出しながら。
ーーーーー
「志野くん。きみはざことして、身の程をわきまえるべきだよ。」
紫藤は顔を赤らめながらも、小声で煽る煽る。
かわいいけどウザい。ウザかわいい。
ただ、僕も人生歴三十余年。
実質自分の半分くらいの年齢の小娘に負けてなるものか。
そう考えた、ちゃちなプライドで。
実際、僕は平々凡々だし、下手をすると普通の人が簡単にできることができなかったりする。
人の心をつかんだりとか、人の言葉の裏を読むとか。難しすぎるよ。
「ねえ、ぐうの音も出ないかな。ぐうっていってみてよ、ぐっ!」
スカートをあげる手を止めて、一度、紫藤を黙らせるために。
胸の先端を摘まんだ。紫藤は声をかろうじて抑えたな。
「ひきょうものだ!おまわりさんこのひとです。ゲンロンの自由を、ーー」
紫藤はいつになくハイテンションだ。口が減らない。
ぐぬぬ、小娘め。目にもの見せてくれよう。
周りを見回す。
あれ使うか。
そう、流しの側の金属のタオル干し。旅館なんかにもある奴だ。
2つばかり、あまり使われてなさそうな手拭いがかかっていて。
空いてる部分には、洗濯ばさみが数個ついている。
「ヨウギ者をタイホしてください、ーーひうっ、」
2つの洗濯ばさみ。
それぞれの胸の先端、ぽちを挟む。
バネは、結構強力だ。きりきりと紫藤のそれを挟みこむ。
僕は指で洗濯ばさみを軽く弾いて、揺らして見せる。
「くっ、手足の自由は死せどもみなりは死なず!」
タオル干しにかかってる、カリカリに乾いてる白い清潔そうな手拭いを取る。
そっと流しで濡らして、絞る。
紫藤は痛くてもいいってさっき言ってたけど、僕には無理。
共感性は低いんだけどな。でも紫藤が本当に痛がるのは、無理だよ。
でも、懲らしめたい気がする。
それで、手拭い。
自分の手を濡らした手拭いではたいてみて、感じを確かめる。
本当に痛いわけじゃないけど、ぱちんと音がして興奮する感じの具合を。
ああ、こんなときになんでだ、超感覚が発動してきた。
でも好都合だ。精密に、痛痒さっていうか、本当に痛くはないけどぴりっとする具合ってのを確かめられる。
まあ紫藤と僕とで痛覚が違う可能性もあるけど。
さて。
ぱちっとお腹をはたく。
「!」
いい音がした。痛いのかな?と感覚を向ける。
少し発汗した?だけど、暑さじゃない。痛みでもないと思う。興奮?
ぱちっ、ぱちっと叩く。
うぅん、というような声にならない声を上げて、紫藤が身を捩った。
僕も興奮してきてしまう。
すこしだけ、はたいたところが赤くなってる?強くはたきすぎた?
ぱしっ、と、頭の方に上がった腕も。
そして、ぱちっ、と胸のふくらみをはたく。
はうっ、っと紫藤が息を吐いた。
そして少し強めにはたいた。
洗濯ばさみと、洗濯ばさみを付けた胸の先端を。
ぴちっ、と音を立てて。
洗濯ばさみが、胸の先端からはずれ、落ちた。
おそらくは、紫藤の胸から外れる最後の際に、いっそう強く摘まむ力を伝えた後で。
紫藤が、目を閉じて陶然としたように体をよじらせる。
もう一個、残った洗濯ばさみが揺れる。
容赦なく、そちらもはたいた。
もう一つの洗濯ばさみも、ぴちっ、と音を立てて外れ、落ちた。
はぁっ、はぁっと紫藤が息を吐いた。
でも、すぐに息を整えて。
「もうこれでおわりかな!志野くんは、早いんだね!」
ぐぬぬ。
再開するよ、当り前だ。負けてなるものか。
紫藤の足元に回った。
紫藤のスカートを、ゆっくりと引き上げる。
白い腿が、ふたたび僕の目にさらされる。
そう。
まず、この腿だね。
そう、紫藤は、女性らしい皮下脂肪がまだ乗りきってはいない。
熟してない。でも、よく歩くからだろうか、脚は細くはない。
筋肉を秘めている、締まった白い脚。どうしようもなく劣情がそそられてしまう。
ゆっくりと、さらにスカートを引き上げる。
腿の上、接合部に至る。
内股の付け根の筋。脚と胴のちょうど接合部の筋だ、たしか半腱様筋っていうんだっけ。
その筋の盛り上がりを、じいっと観察する。
さっきまで煽ってきていた紫藤も、スカートが引き上げられ始めたあたりから口を閉じ、静かになった。
さらに引き上げて、下着をさらす。
落ち着かなげに、紫藤がもぞもぞとする。
ぴっちりした、紫藤の白い下着。
100%機能的なスポーツショーツだ。
なんのフリルもなく、色はただの白、カットも深くもなく浅くもなく、脚と胴のつなぎ目に沿っている。しいていえば、ゴムがしっかりした感じ?
僕の脈拍は30~40くらい、増加した。
本当に胸の音が聞こえるくらいの興奮っぷり。
だって、ほら。
他はぴったりとしわもなく張ってるのに、その股間にだけ。
うっすらと筋目を映す、窪みがある。
紫藤の顔を伺う。
紫藤は、顔を横に向けて、ーー多分あれは、恥ずかしがってるな。
観察してみよう。
のしかかるように、膝元の方に立ったまま、上体を曲げてコーヒーテーブルに片手をつき、紫藤の顔を覗き込む。
「志野くん。なんですか。言いたいことがあったら言いましょう。それか行動で示しましょう。」
僕の凝視に気付いた紫藤が、顔をもとに、つまり正面に戻して、とりすまして言う。
ただ、顔は上気して赤い。
でも多分僕は、紫藤以上に赤い。心拍が、耳のあたりでどくどく聞こえそう。
そうだな、行動で示そう。
両手をコーヒーテーブルについて、紫藤にのしかかる体勢になった。
いや、そのままのしかかったら紫藤が潰れちゃうから。腕で支えて。
顔を近づける。
「みなり、大好きだ。」
紫藤の唇に軽くキスをする、つもりだったが。
んぐんぐ、と紫藤も情熱的に応えて。
舌をお互いに入れ合う。紫藤の舌を誘い込んで、きゅうっと、痛くならない程度に吸う。
そのまま、紫藤の上に乗っかりたい。
でも、その誘惑を抑えて。
体をいったん、離す。
「んもう、ズルいよ志野くん。」
紫藤はぷふっと息を吐いた。紫藤も、息を詰めていたんだな。
僕も息をしてなかったよ、一瞬。
無防備にさらけ出されてる紫藤を見ながら、さらにいろいろしたいのを抑えて。
一度降伏を勧めよう。
「降参しない?僕は、みなりにいろいろしちゃうよ?」
「降参?何の話かな志野くんは。ついにわたしの色香にボケてしまったかな。」
まだ紫藤は余裕あるのな。
紫藤の顔をみつめたまま、また直立し。
羽根を手に取った。
羽根を、そっと、下に持っていく。
膝のあたりを、さわさわと撫でる。
「ふふっ、」
やはりくすぐったいらしい。体をねじる。
羽根を置きしゃがみこんで、指でもさわさわと膝を撫でてみる。
その手を、そっと肌に押し当てて。
上に、滑らせていくーー。
「んん、ーー。」
大腿をぺたぺたと変態チックに触って。
頬を、当ててみた。
この前、何を思ったか生足で膝枕してくれた、その生の大腿。
あの時は興奮のあまりあまりに混乱して硬直して、楽しむこともできないくらいだったっけ、ーー。
「ん、志野くんも進歩してるんだね。感心感心。」
頬をつけられるようになったじゃないか!と。
煽られてる。
うん、進歩しているところを見せてあげようじゃないか。
清潔な白い肌とショーツに目をやる。
勇気を出そう。
腰のあたりに手を伸ばし、ショーツの縁に指を入れる。
下ろそうとすると、紫藤も腰を少し浮かせる。よし、このまま。
このやりとりのどこかで、チャイムが鳴っていたんだろう。
夢中になっていた僕には、チャイムの音は聞こえなかった。もとから、注意力が一つにしか向かないし。
紫藤は?
紫藤も、聞こえなかったんじゃないかな。でも、聞こえていても同じだったかもしれない。
もう止められないくらいに暴走してた。今にして思うと。二人とも。
ーーーーー
すりすり、とショーツを下した。
腰骨のでっぱりを越えた。
そのまま下し。
脚、太腿と胴体の接合部の谷が現れた。
思わず、唇をつけてみる。
ひうっ、と紫藤が息を吸い込んだのが分かった。
そのままさらに下そうとして。
そう、紫藤は足を開いて縛られてるので、それ以上、ショーツを下ろせない。
じゃあ、ちょっと持ち上げてみよう。
そう思って、ショーツの手前の側を持ち上げて。
丘がある。
そして、その下部に谷が。
そう思った。そのとき。
ぽた、ぽた、ぴちゃあと。
紫藤の白い肌に鮮血が落ちた。
僕の鼻から。
濃く香った女の子の匂いに。
心拍数、多分、分あたりで倍くらいにも上がった気がした。そのせいだろうか。
つうっと鼻水が出たのを感じ、啜ろうとして口に広がる鉄の味に気付いた。そして。
僕はめでたく鼻から血を噴出した。
クソっ、ラブコメ漫画かよっ!
興奮して鼻血なんて。「1回目」では1度もなかったぞ。
ーーーーー
流血の大惨事。紫藤の下半身が血に染まった。
そして話は冒頭につながる。
「しかたないよ。」
被害者であろう、紫藤が悟りすました顔で僕に告げる。
一見、いや一聞すると優し気な言葉だが。
「志野くんは、ピュアなハートのサクランボくんなんだよ!」
ぐぬう。小娘め。
「ごめんねごめんね。志野くんには、わたしのわがままボディはちょっと早かったかな、うふふ。」
何がわがままボディだ。紫藤よ、まだうっすら肋骨浮いてるだろ。
休みの日に連れ出して、何かいいものを食べてもらおうか。これが終わったら。
今日は時間切れ。
紫藤の下半身を血に染めた僕は。
必死に謝りながら紫藤の下半身を丁寧に、そりゃもう丁寧に冷たい水に浸した手拭いで拭った。
それによって、いままでの僕の努力よりはるかに効果的に紫藤を悶絶させた。
なんだったんだ、紫藤を屈服(?)させようとしていた僕のけなげな努力は。
表から見える衣類には、幸いにしてわずかな飛沫が飛んだだけだった。
不幸中の幸いだ。
でもショーツには少し血が付いたな。大丈夫かな。
家で誤解されないだろうか。
紫藤の服装を整え、そしてロープをほどき、解放する。
紫藤は余裕たっぷりに起き上がる。
そして、その時にチャイムがなる。そういえば、ーーー
「志野くん。時間。」
「あっ」
下校時刻を、かなり過ぎてる。
正確な時間はわからないけど。
気が付くと、生徒の喧騒は何一つ聞こえなくなってる。
鎧戸の外。もう相当に暗くなってる。
ーーーーー
「それにしてもあれはないなー、志野くん。」
「ごめんなさいみなり様。」
「うん?わたしは怒ってるんじゃないんだよ?」
紫藤は僕の横を歩いている。
僕たちは足音を潜めて、校舎の出っ張りから出っ張りに体を移して忍び歩き。。
あの後、スパイ大作戦で5階の開かずの間を抜け出た。
そして、仮部室でもう一度時計を確認。
もう生徒の下校時刻を1時間は過ぎてた。
最初は、正門から出ようと思っていた。
正門から出たら、いや、校舎内で歩いているところを抑えられたら、確実につかまる。
野球部とかは、試合直前期になるとこっそり遅くまで練習するみたいだけど、堂々とやってはいない。
校則違反だからだ。
まあ、捕まってしかられるだけだからいいんだ、そう思っていた。
それに、文化祭の準備で、といえばちょっと注意されるだけだろう。
しかし。
校門の側に、学校でちょっと嫌われてる先生の影。
うちのような進学校、先生もそこそこいい人たちがそろってる。
ときたま手が出るような先生もいるのだが、基本はまとも。
殴られたりすることは、まずない。
ただな、例外もいるんだ。ごく少数だけど。
そこにいた、いらいらした顔で煙草を吸ってる、顔の幅の広い脂ぎった顔の男。
こいつはダメだ。
なんか情緒不安定っていうのだろうか。
自分が生徒に馬鹿にされたと思うと、妙にヒステリックに。
何か成長の過程でトラウマがあるのかな。
暴力的っていうより、なんというんだろう。
酷薄に、ねちっこく、取り付く島もないように。
生徒をいたぶりぬくんだよな。
一度、全く違うことで笑ってた生徒を、自分を笑ったのだと思い込んでとことん追い詰めてたのを知ってる。
1回目のころだけどな。
立派なアカハラ野郎だ。
こいつに捕まるのは、避けたい。
まあ百歩譲って僕はいい。紫藤はダメだ。
僕たちは、正門から出るのでなく、手薄な方角。校舎からの死角にあたっていて、いつもは閉め切ってある裏門からの脱柵を図った。
簡単にいえば、裏門の鉄の門扉を乗り越えるんだね。
どきどきしながら、校舎の出っ張りの物陰に隠れて移動。
用務員さんや先生がいたら、やり過ごす。
しばらく立ち話してる先生たちもいて、やきもきする。
ようやくたどり着いた裏門。
裏門に接近すると、まず周りを慎重にみる。先生たちの駐車場が近くにあるので、神経を使う。
すばやく人影がないのを確認すると、飛び出して、まず二人の鞄を門扉の縦の格子の隙間から外に半分出す。
次に僕が門扉の前にしゃがみこみ、手を組んで頭に上を向けてつけ、そこに紫藤が足を掛ける。
紫藤を押し上げる。
紫藤は運動神経は悪くない、門扉の上に手をかけ、押し上げられて、ひらりと飛び降りる。
めくれたスカートに気をとられつつ、次に僕がよじ登って飛び越える。
最後に、鞄を回収。
これを夕闇の薄暮の中、やった。どきどきだね。
こらーという声も聞こえてこない。後は、夕闇にまぎれるだけだ。
ーーーーー
紫藤も僕も不完全燃焼だが、まあ仕方ない。
でも明日は前夜祭だっけな。泊まり込みのできる日だ。
また、続きがしたいな、なんて思う。
だけど、泊まり込みということでふと心配になった僕は、紫藤に声を掛ける。
「そういえば。土曜日、外泊の許可って下りそう?」
「うん?あれ、志野くんが頼んでくれたんじゃないんだ?」
「いや、僕は何もしていないよ?」
「外泊許可、下りたよ。あれ、昨日の夜、お父さんから言われたんだ。わたしの友達から電話があって。
文化祭の準備と後片付けで外泊することになったって聞いたぞ、って言われた。
あのお友達って、志野くんじゃなかったんだ?」
僕らは顔を見合わせる。
「あいつか。」
「さとみんだね。」
あいつが、紫藤の継父に電話を掛けたのだろう。おそらく、昨日、あの後で。
タフだな。あいつ。一度、失神したくせに。
いやそんなことじゃない。
分かってるんだろうな、紫藤継父は結構危険な奴だ。
確かこの前の話では、調布になんか執着してるみたいだったから、そこにつながりができてしまったのは、ちょっと気に入らない。
いや、調布を独占したいってわけじゃないんだが。
「さとみんには、気をつけてって言ったのになあ。」
「ちょっと今度、注意しておこう。まあ、友達と一緒に泊まるだけってことだから、やましいこともないし、ーー本当はあるけどな。」
「そうだね。わたしも言っとくよ。間違っても一対一で会ったりしちゃ、ダメだって。」
そうだな。釘を刺しておかないとな。
あいつはハイスペックだけど、自分を恃むところがある。
まだ高校生なんだから、ちゃんと見ておいてやらなきゃ。
ただ、結果オーライ、結果としてのファインプレイと言えなくもない。
僕の電話だったら、難色を示されてたかもしれないしな。この前もほとんど無視されてたし。
紫藤が頼んでも、通るかどうかは微妙だしな。あの父親は。